2017年01月08日
【STEAM?】『AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である』成毛 眞
AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した、成毛 眞さんの最新刊。今流行の「AIネタ」「科学ネタ」が満載の1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
近い将来、人はAIやロボットを使う側、使われる側に否応なく選別される。
定型的な仕事しかできない人は使われる側、創造性を活かし社会的な知性を身につけた人は使う側にまわる。
そのために今、必要なのが「STEAM」である。
日本屈指のイノベーターが、残酷な10年後を見据えた人生戦略を説く。
私は新書で読みましたが、若干お得なKindle版も配信中です!
SpaceX / theglobalpanorama
【ポイント】
■1.弁護士の仕事もAIに奪われる2016年5月、アメリカの大手法律事務所「Baker & Hostetler」が、世界初となるAI弁護士「ROSS」を採用したことが話題になった。
このAI弁護士は、主に破産に関する法律のアドバイスを担う。何か質問をすると人間では読みきれないほど大量の法律文書や参考文献を読み込み、最適な回答を導き出す。(中略)
AI弁護士は今後、多くの"人間弁護士"の仕事を奪うことになるだろう。
アメリカでは裁判や示談交渉などをするのはひと握りのエリート弁護士であり、その下の弁護士たちは事務所で彼らをサポートするという構図になっている。すでに、そんな"下級弁護士"の仕事をAI弁護士が代替しはじめているのだ。
■2.マークシート方式が日本をダメにする
鈴木 これまでのようにマークシート形式の入試を続けていると、この国はダメになると思います。あれは要するに、人から与えられた選択肢を消去法でつぶしていき、最後に残ったものにマークするというものです。つまり、製品のダメ出しをしているのと同じです。
成毛 確かにそうですね。
鈴木 そういう人を毎年何十万人と量産するのが、マークシート方式の今の大学入試センター試験なんです。一方で、白い紙に自由に論述していくとなると、2つとして同じ答案はできません。それこそがオリジナリティであり、イノべーションであり、クリエーションです。
■3.イーロン・マスクの狙い
成毛 僕はもともと自動車業界にいたから、経験則でしかできないことが参入障壁になっているのはわかっていたけど、電気自動車にはもう勝てないことは、自動車業界の中にいる人のほうがよほどわかっているんじやないかと思う。
堀江 そう思いますよ。僕らはロケットの開発をしていますが、宇宙にはまだ技術的に電動ではたどり着けない。(中略)
とにかく、ロケットはまだ化石推進べースの力に頼るしがないんですけど、それこそまさに高温の流体を扱う世界。自動車のエンジニアの専門分野です。だから電気自動車の普及で彼らの仕事がなくなってこちらの業界へ来ることになるのなら、これは歓迎すべき動きですよね。そこまで考えて、テスラモーターズの電気自動車で世界を席巻して、自動車産業で内燃機関をつくっている人を全部、ロケットに持ってこようと思ってるんじゃないですか、イーロン・マスクは。
■4.プレイステーションVRが人生の分かれ道?
何事もそうだが、VRも実際に体感するとしないのとでは、距離感がまったく異なるものになる。
そして、VRを日常的に体験する人にとって、VRは当たり前のものとなる。
再三再四指摘してきたようにAIの飛躍的な進化により、今は当たり前のようにある仕事の多くが代替されるようになる。
ということは、今は当たり前のようなものがVRに代替され、それによって失われる仕事があり、新たに生まれる仕事もあることは容易に想像できる。
そんな時代にVRを最初に実用化したと言っていいゲームを「たかがゲーム」などと侮ってはいけない。
むしろ真っ先にVRのような先端テクノロジーを体感するようでなければ、ビジネスパーソンとしては生き残っていけないのだ。
■5.テクノロジーを体感するということ
すべてのスマホには「ジャイロセンサー」が入っている。これによってスマホが東西南北どちらの方向を向いくいるのか、表になっているか裏になっているかがわかるのだ。(中略)
標準的なスマホには、他にも方位を計測するための「地磁気センサー」や、スマホを伏せると画面を暗くしたり起動したりする「傾きセンサー」「圧力センサー」などが搭載されている。
このようにスマホはセンサーの塊なのだ。これはあらゆるデータを集められることを意味する。
そのデータを高速CPUで処理すれば、スマホでできることはさらに増える。少なからずの読者が「そんなことは知ってるよ」と思うことだろう。
しかし、こういったことをいまだにガラケーを使っている人たちは知らないし、実感もできていない。
【感想】
◆そもそも「STEAM」とはなんぞや、については、本書の内容紹介にあったので引用していなかったのですが、皆さまご存知でしたでしょうか?お恥ずかしながら、私は本書を読むまで素で知らなかったので、念のためここで。
サイエンス(科学)の「S」最後のアートは別としても、ガチガチに「理系推奨」的な内容となっているわけです。
テクノロジー(技術)の「T」
エンジニアリング(工学)の「E」
マセマティックス(数学)の「M」
+アート(美術)の「A」――を意味する
……ちなみに、昨日ご紹介した「出版社横断2017新書フェア」の記事で、「今、とある本を読んでいて、こうした科学ネタの作品もスルーできない」と申し上げていたのは、この本だったのですがw
いや、ホント自分的にはできれば読まずに済ませたいテーマだったので、本書の内容は「耳イタイ」点が多かったです。
◆まず、第1章の「STEM」の解説や、第2章の「アート」もさることながら、当ブログの読者さんにとっては、第3章の「"今ある仕事がない世界"がやってくる!?」辺りは興味深いのではないか、と。
たとえば上記ポイントの1番目に登場する「弁護士」。
一応、裁判や示談交渉をしない「下級弁護士」というくくりではあるものの、ある意味もっとも「聖域」に近かった職業でさえ、今後はAIによって浸食されてしまうわけです。
以前ご紹介したこの本では、「弁護士」は「グローバル化」の影響を受けにくい職業の1つとして挙げられていたのですけどね……。
10年後に食える仕事、食えない仕事
参考記事:【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)
◆一方、第4章と第5章では、「いかにSTEAMを学ぶか」についてレクチャー。
読書は当然として、成毛さんは「サイエンス系のテレビを1.3倍速で視聴」することを推奨されています。
具体的な番組名については本書でご確認いただくとして、これらをハードディスクレコーダーに録画し、BGV(バックグラウンドビデオ)として流しておけば十分とのこと。
また、雑誌もいくつか紹介されている中、強くオススメされていたのが、iPad日本語版『ニュートン』です。
Newton International Edition(iPad日本語版) | ニュートンプレス
成毛さんいわく
単に月刊誌をデジタル化したものではなく、インタラクティブ(双方向)なコンテンツや動画も追加されており、自分だけでなく親子でも楽しみながら最先端のサイエンスに触れられる稀有な媒体だ。年間購読料は12号で3000円と、果たしてこれで利益が出ているのかと心配になるほどコスパ抜群だ。とのこと。
◆さらに第6章では、成毛さんお得意のブックガイドが。
26タイトルほど挙げられている中、唯一当ブログでレビューしていたのがこの本でした。
ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか
参考記事:【スゴ本!】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ(2014年09月26日)
他には、成毛さんが
AIに関する知識を仕入れようと思ったら、本書を最初に読むべきだ。と言われているのがこちら。
AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)
出版されたのは2015年3月ですが、成毛さんによると「内容は古びない」とのことです。
特にセール対象ではないのですが、中古よりもKindle版の方がお求めやすい模様。
◆そして、上記ポイントの4番目と5番目にあるように、時代に置いて行かれたくなければ「体感せよ」と。
さっそくアマゾンで「プレイステーションVR」をググったら、高い!……というか、妙に低評価なのは転売屋の「ボッタクリ値」に対してなんですな。
PlayStation VR
そもそもVR以前にゲームをする習慣がない時点で、置いていかれてる気が……。
さらには上記ポイントの5番目のスマホも、私の場合たまたまPHSが壊れて、もはやPHSを買うよりスマホの方が安いので乗り換えただけだったのですが、確かに成毛さんの言われていることがよく分かります。
うーん、技術の進化、恐るべし。
文系人間こそ読んでおくべき1冊!
AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書)
第1章 これからは STEMが必須
第2章 STEMとアート(A)が結びつく
第3章 "今ある仕事がない世界"がやってくる!?
STEM(STEAM)対談:すずかん先生(鈴木寛 文部科学大臣補佐官)
第4章 学校では教えてくれないSTEAMを学べ
第5章 マーク・ザッカーバーグはSF小説に発想を得る
イノベーター対談:堀江貴文(ホリエモン)
第6章 残酷な10年後に備えて今すぐ読みたい本
終章 ゲームで遊ばないような奴に明日はない
【関連記事】
【スゴ本!】『ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ(2014年09月26日)【文系必読?】『理系に学ぶ。』川村元気(2016年05月02日)
【理系の子?】『人気講師が教える理系脳のつくり方』村上綾一(2012年11月18日)
【スゴ本】『理系の子―高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン(2012年06月07日)
【必読!】『10年後に食える仕事、食えない仕事』渡邉正裕(2012年02月04日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術 ビジネスライフ
下記のように当ブログでもレビュー済みのこの作品が、中古もそこそこのお値段がするのに、「66%OFF」の激安設定!?
おかげでKindle版が600円弱お買い得となっています。
参考記事:【疲労回復?】『明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術』渡部 卓(2016年06月21日)
ご声援ありがとうございました!
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