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2016年12月29日

【英語】『【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる』三木雄信


【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる (PHPビジネス新書)
【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる (PHPビジネス新書)



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気を集めていた勉強本

2014年11月に出てベストセラーとなった単行本の新書化、とのことなので、そちらをお持ちの方はご留意ください。

アマゾンの内容紹介から。
英会話が大の苦手なのに、孫正義氏の秘書に任命された元ソフトバンク社長室長。英語の会議で固まる自分に注がれた孫社長の視線…クビ回避のため自分に設けた期間は1年間。超多忙な日々、たった1年で英語をマスターするという決意のもと編み出した究極の勉強法を完全公開。「仕事で必要な英語だけ勉強する」「教材は一つに絞る」などの学習戦略に加え、やる気維持・習慣化や教材・スクール選びのコツも紹介。ベストセラー、待望の新書化。

なお、新刊ながらも「20%OFF」なKindle版も配信中です!





Academic Life / Les Roches


【ポイント】

■1.学習目的を明確にする
 社会人の英語学習は、学生時代の勉強とは違います。  
 学校ではまんべんなく勉強しなくてはいけませんでしたが、社会人の場合は自分にとって必要な部分だけを勉強すればいい。つまり、英語力が思いっきり偏っていていいのです。  
 例えば、「英語でプレゼンをしたい」という人はスピーキングとヒアリングの勉強に徹して、リーディングやライティングの勉強は後回しにしてもかまいません。そのスピーキングとヒアリングも、プレゼンをする際に必要な表現や言い回しを学べる教材だけに絞って勉強すればいいでしょう。
「これは目的達成に関係ないからやらない」と割り切る。つまり、やらなくていいことは捨てて、やるべきことだけに時間と気力を集中する。  
 使える英語を一年でマスターする秘訣は、ズバリ 「超目的思考」 に徹することです。


■2.音声を聞く時は、必ずテキストを見ながら
 音声を聞いたら、正しく聞き取れたかどうかテキストで確認し、また音声を聞く。これを何度も繰り返すだけです。でも、これを続けていくうちに、耳から入ってくる音とテキストに書かれたスペルを、頭の中でひもづけられるようになります。  
 最初は当然、聞き取れるところと聞き取れないところがあります。  
 だから聞き取れないところがあれば、テキストに戻ってスペルを確認します。
「全然知らない単語に聞こえたけれど、文字で見たら『talk about』じゃないか」と理解できるわけです。  
 それをわかった上で、また同じ箇所を聞いてみる。それを繰り返すうちに「talk about=トーカバウ」のひもづけができるようになります。  
 ワンフレーズ聞いたら音声を止めて、聞き取れなかったところに戻り、テキストで確認して、また同じフレーズを聞く。そうやって何度もしつこく繰り返すことでしか、ヒアリング力を向上させることはできません。


■3.「胸声」で発声する
英語を話す人たちは、矯正しなくてもこの胸声を出すことができます。  
 なぜなら、普段の会話の時から、のどを開いて声を出しているからです。  
 皆さんも、何も考えずに「ほー」と声を出しながら、のど仏を指で触ってみてください。それがのど声を出している時の位置です。
 では次に、のど仏に指を当てたまま、「ほー」と言いながら徐々に声を低くしていってください。
 のど仏の位置が、だんだん下がっていくのがわかりますか?  
 これ以上低くできないというところまで下げると、指一本分くらいはのど仏の位置が下がるはずです。そして、自然とのどの奥を震わせて声を出していることに気づくでしょう。  
 このように、のど仏が完全に下がりきった状態で出すのが「胸声」で、ネイティブが英語を話す時の発声法だということです。
 

■4.英文メールは「テンプレート」をフル活用する
 英文メールを効率的に作成するには、テンプレートを活用するのが賢い方法です。
「ビジネスで役立つ英文メール例文集」といった本もたくさん出ていますし、ネット上にもテンプレートを紹介するサイトが数多くあります。  
 ですから必要に応じて、それらを"コピペ"すればいいのです。  
 あるいは、ネイティブからもらったメールやレポートなどから使える文章をコピペして、自分流にアレンジして使ってもいいでしょう。  
 こんなにたくさんお手本があるのですから、わざわざ自分で英作文をする必要はありません。人の力を借りて、どんどん"英借文"をすればいいのです。  
 そもそもメールは事務的な連絡事項が中心で、それほど複雑な内容は書きませんから、シンプルな定型文さえあればほとんど事足りてしまいます。  
 どうしても一般的な定型文だけで足りない場合があれば、スクールの先生や社内にいるネイティブにお願いして、必要なテンプレートを作ってもらえばよいと思います。


■5.全体を機械翻訳し、必要なところだけ精読する
 リーディングの勉強も社会人はやる必要なし、というのが私の考えです。そこでここでは、ライティングの時と同様に、学習法ではなく、効率よく作業するための"手抜き法"をご紹介したいと思います。
 そもそも、ビジネスで求められるリーディング力というのは、最初から最後まで書類を読み通す力ではなく、自分に必要な箇所を素早く見つけて、その部分の意味を正確につかむことです。  
 ですから、英語の資料を渡されたら、まずはWeb上の翻訳サービスで全体をざっと訳してください。この時は正確性は必要ありません。どこに何が書かれているかがだいたいわかれば十分です。  
 ここで全体の意味をざっくりと把握し、自分の仕事にとって重要そうな部分を見つけたら、今度はその部分だけを精読するのです。


【感想】

◆本書の「おわりに」には、三木さんがそもそも何で英語勉強本を書こうと思ったのか、について述べられていました。

いわく、
「英語学習もプロジェクトである」と思ったから
とのこと。

プロジェクトには、通常「目的(=何のためにやるか)」「納期(=いつまでにやるか)」「コスト(=どのくらいの予算、人員などをかけられるか)」の3つの条件があり、それらをやりくりしていくのが、「プロジェクトマネジメント」です。

そして三木さんは、この「プロジェクトマネジメント」に関しては「誰にも負けない自信がある」のだとか。

つまり本書の英語学習法は、この「プロジェクトマネジメント」に沿って行われているワケです。


◆まず本書の第1章では、「社会人の英語学習における7つの間違い」を列挙。

その初っ端が「英語を勉強する目的があいまい」であり、それに対応するのが上記ポイントの1番目になります。

三木さんの場合、「海外で英語でビジネスの交渉ができるようになること」が目的だったため、本書における勉強法も、ややそちらにシフトした感じ。

また、割愛した中には「インプットばかりで、アウトプットの練習が不足」なんてのもあって、個人的にはハゲシク同意しました。

ほかにも「『正しい英語で話す』ことを目標にしている」という「間違い」のパートでは、「正しくなくても大丈夫」な例として、孫さんが引き合いにだされており、確かにあれはあれで、全然アリだな、と。


◆一方、第2章の「戦略編」では、「何を勉強し、何を勉強しないか」を指南。

ここはかなり大胆に割り切っており、中途半端に抜き出すと誤解を招きそうだったので、丸ごと割愛しました。

たとえば「単語は勉強しない」といいつつ、とりあえず「Oxford 3000」は分かっている前提(多分)。

単行本のレビューでも指摘されていましたが、この「Oxford 3000」がクリアできているのは、そこそこ英語ができる方なのではないでしょうか。

また、「覚える言い回しは1つだけ」だったり「イディオムは覚えない」のも、自分が発言する分にはいいですけど、相手から言われたら、分からないのでは、と思ったワタクシ。

……この辺の「割り切り」も「プロジェクトマネジメント」思考ゆえなのかもしれませんが。


◆そして、続く第3章の全体的な勉強法(モチベーション、タイムマネジメント等)も本当は大事ですが、上記ポイントでは、第4章の「ジャンル別勉強法」を中心にセレクトしました。

見てお分かりのとおり、ポイントの2番目から順に、「ヒアリング」「スピーキング」「ライティング」「リーディング」について。

なお、ヒアリングの教材として、三木さんは、映画『ウォール街』の音声を徹底的に聴き込んだのだそう。

ウォール街(特別編) [DVD]
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ただしこれは、あくまで三木さんの「目的」と、この映画の状況がマッチしていたからであり、私たちはそれぞれ自分の目的に合わせて選ぶ必要があります。

また、スピーキングのパートでは、自宅の電話で受験可能な、こんなスピーキングテストのサービスが紹介されていました。



ビジネスで使える英語力を測定・分析|Versant

聞く&話すのスキルは、TOEICよりこちらの方が正確に分かりそうな気が。


◆なお、最後の第5章は、まだ英語が上達していない時点での「英語仕事術」について。

具体的に、現時点で英語を勉強する予定のない方でも、この章の内容なら実践できそうです。

ちなみに、かつてソフトバンクが他社に先駆けて、日本国内でiPhoneの独占販売権を勝ち取ったのは、孫さんという会社のトップが、通訳を付けずにAppleを説得したからだ、という指摘は確かにそうかもしれません(他社トップは、その場に立ちあうことはあっても、通訳が話をしていた)。

結局「英語」は「目的」ではなく、あくまでも「手段」であり、本来の「目的」を達成するためのものですもんね。


実践的な「英語」を身に着けたい方に!

【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる (PHPビジネス新書)
【新書版】海外経験ゼロでも仕事が忙しくても「英語は1年」でマスターできる (PHPビジネス新書)

第1章 1年でマスターできる人、いくら勉強してもマスターできない人
第2章 こうすれば、1年でマスターできる!1 戦略編
第3章 こうすれば、1年でマスターできる!2 戦術編
第4章 学習ジャンル別・最短最速のトレーニング法
第5章 1年も待ってもらえない人のための英語仕事術


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック キャッチコピー力の基本
ひと言で気持ちをとらえて、離さない77のテクニック キャッチコピー力の基本


川上徹也さんの作品は、中古でも値崩れしているものが結構多いのですが、この本は別。

当ブログでも何度もプッシュしていますし、個人的にもこのジャンルの中ではピカイチだと思います。

今回は「79%OFF」であり、送料加味した中古よりも800円以上お得ということなので、私もKindle版に乗り換えましたw

参考記事:【77のテクニック】「キャッチコピー力の基本」川上徹也(2010年07月26日)


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