2016年11月30日
【生産性向上】『自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方』ちきりん
自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった1冊。おなじみちきりんさんの新作は、上記未読本記事にて「物語形式っぽい」と申し上げましたが、ノーマルなスタイルで、個人的にはひと安心しました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
多忙で余裕のない4人の物語からわかる「忙しさの本質」と「日本で働く人たちの問題点」とは?
そして今、世界中で進みつつある「大きな変化」とは?
2つの視点から明らかになる、1つの重要な概念と方法論。
超人気“社会派ブロガー"が「現代を生きぬくための根幹の能力」を解説する、大好評シリーズ第3弾!
なお、Kindle版は、元々「10%OFF」なところに今なら「20%ポイント還元」も付いてきてお得です!
Working overtime / fabbio
【ポイント】
■1.「忙しすぎる」問題の本質●長い時間、働くことによって、問題を解決しようとしている
●すべてのことを「やるべきこと」と考え、全部やろうとしている
●なにもかも完璧にやろうとしている
●不安感が強すぎて、NOと言えなくなっている
●「とにかく頑張る」という思考停止モードに入ってしまっている
(詳細は本書を)
■2.これからは「高生産性社会」へシフトしていく
タクシー業とはいったいどういうビジネスなのか、ちょっと想像してみてください。東京など都市部では、ものすごい数のタクシーが延々と空のまま走っています。あれを見ると、いつもなんという生産性の低いビジネスなのかとため息が出ます。地方でも同じですよね。鉄道の駅ごとに、これまたすごい数のタクシーが何時間も停車したまま客を待っています。こちらも信じがたいほど生産性が低い。
ところがUberの場合は、ドライバーは自分がヒマになったときだけ近くにいる客を探すので、無駄な時間が発生しません。つまり、今後タクシーシステムからUberシステムへの移行が必然的に起こると考えられる理由は、後者のほうが圧倒的に生産性の高いシステムだからなのです。そしてこれからはあらゆる分野でそういう方向(=生産性が高くなる方向)に社会が変わっていきます。これが、高生産性社会へのシフトという現象なのです。
■3.インプットが増やせる状況では生産性は上がらない
実は日本人農家は、「農地面積あたりの収穫高」の向上には熱心だったけれど、「農業従事者ひとりあたりの収穫高」を上げることには関心を示しませんでした。彼らは日本でも、そしてブラジルでも「たくさんの子供を産んで、農業の担い手を増やす」という方法を採用し続けたのです。
これはまさに「インプット=人手」を増やして収穫を増やそうという考えであって、ブラジル人農家が「収穫量を増やすには農地を増やせばいい」と考えたのと同じです。
この例からわかるのは、「インプットを容易に増やせる状況においては、誰も生産性を上げようとは思わない」ということです。日本人農家が土地の生産性には敏感な一方、労働生産性に頓着しなかったのは、彼らにとって労働力を増やすのはたやすいことだったからです。そしてブラジル人にとっては、畠の面積を増やすほうが簡単なことだったのです。
■4.メールはすべて返す必要はない
私はもう10年以上前から、「すべてのメールに返事をする」のをやめています。本来はメールについても、「重要なメールに返事をし、その後に時間が余ったらそれ以外のメールにも返事をする」のが正しい時間の使い方です。(中略)
また、私の使っている日本語変換ソフトには、「りょうかい」とタイプして変換を押すと、「了解いたしました。よろしくお願いいたします。」と出てくるよう登録してあります。「せっかく」とタイプして変換すると「せっかくお声掛けいただきましたのに、貴意にそえず大変申し訳ございません。どうぞよろしくご理解のほど、お願い申し上げます。」と変換されます。
なのでほとんどのメールには、「りょうかい」か「せっかく」とタイプするだけで返事ができます。そしてその2語ではすまない返事が必要なときは「今、このメールに返事をするために、私の貴重な時間を本当に使うべき?」と考えるのです。
■5.生産性の高いところにのみ注力する
多くのことに手を出し、その大半を数年でやめてしまう人のことを「なにをやっても中途半端な人」などと批判する人がいますが、私はこのスタイルのなにが悪いのかわかりません。こういう人は、自分の貴重な時間を学びの生産性が極めて高いフェーズにのみ投入している、とても合理的な人です。
「途中で止める」コトに伴う意味のない罪悪感にとらわれず、「学びの生産性が低くなってきたな」と思ったら、「これは本当に自分にとって、希少資源である時間を投資すべき分野だろうか?」と考えましょう。「頑張り続ける」のではなく、「ここは自分が頑張るべき分野なのか?」と考え厳選すること。それが重要なのです。
【感想】
◆上記ポイントでは割愛していますが、本書には4人の男女が登場します。本書の内容紹介の別の部分から引用。
残業ばかりで限界の管理職、正樹。本書の序章では、彼ら4人の現状についての描写があり、いずれもまさに「多忙で余裕のない」人そのもの、といった感じです。
家庭と仕事の両立に悩む母親、ケイコ。
働きづめのフリーランス、陽子。
会社が伸び悩んできた起業家、勇二。
そこで彼らの問題がどこにあるのかについてまとめたのが上記ポイントの1番目。
「時間がない」と悩むビジネスパーソンの多くが、このどれかに該当すると思います。
◆そしてこの問題点のいずれにも共通するのが「生産性の低さ」。
実は本書は、タイトルや書影の文字には出てこないものの、ほぼ全編を通じて「生産性」について言及しています。
その対象は個人の働き方だけでなく、社会現象についても同様で、上記ポイントの2番目のUberもその1つ。
Uberの優位性は、「クレジット決済だから」「レビューでドライバーの評判がわかるから」といった理由もさることながら、本書ではその「生産性の高さ」を本質として挙げています。
つまり、今後社会もより生産性の高い方向にシフトしていくはず、とちきりんさんは主張している次第。
◆そこで本書では、具体的にどうしたらいいのかについての方向性が指南されています。
まず最初に考えるべきは、「働く時間を減らす」。
なぜなら、上記ポイントの3番目にあるように、インプットを増やすことでアウトプットを増やそうとしても、生産性は上がらないからです。
その具体的な方策については、本書をご覧いただくとして、一番大変なのは「マインドセットを変えること」ではないか、と。
現時点のアマゾンのレビューで、比較的低評価をしている人の1人がまさにそんな感じで、今後も同様の感想を持つ人も出てくると思います。
ただ、あの電通ですら行政指導が入ったことで変わるかもしれませんし、まずはマインドの部分から変えていかなくては。
◆そしてもう1つが「全部やる必要はない」。
具体例として、上記ポイントの4番目に、ちきりんさんのメール作法を挙げましたが、これも「会社勤めには無理」という反論が出て来そうな気が。
ただこういうのも、「どこまでやるか」と「どうやるか」はさておき、そうしようとする「意識」が大切なんだと思います。
本書でも、「すべての仕事をやる必要はない」「どうしてもやらないといけないこと以外やらない」と決めることによって、「それはどれか?」という優先順位を考える発想が強制的に生み出せる、とあってなるほど確かに。
また、上記ポイントの5番目は、前半部分を割愛したので仕事と勘違いされそうですが、習い事全般についてです。
料理でもスポーツでも初心者レベルは上達の度合いが高い(生産性が高い)ので、ある程度マスターしたらそこでOKとするのは、確かに合理的。
そう考えると、この本のやってることは、まさにそうなんですがw
たいていのことは20時間で習得できる
参考記事:【超速スキル獲得法?】『たいていのことは20時間で習得できる』ジョシュ・カウフマン(2014年09月22日)
◆なお、本書の終章では、序章で登場した4人が「それぞれどう変わったか」が描かれています。
いずれも「ほぼ理想的」な形に収まっていますが、まぁそれはフィクションですからいいとしてw
実際に彼らが実践した方策を、私たちがそのまま真似るのではなく、それぞれの置かれた状況に応じて、ベストの選択をすべきなのだと思います。
私自身、このブログの運営は必ずしも生産性が高くないので、思うところが多々ありました。
ゆとりも成功を手にするために読むべし!
自分の時間を取り戻そう―――ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方
序章:「忙しすぎる」人たち
1章:高生産性シフトの衝撃
2章:よくある誤解
3章:どんな仕事がなくなるの!?
4章:[インプットを理解する]希少資源に敏感になろう
5章:[アウトプットを理解する]欲しいモノを明確にしよう
6章:[生産性の高め方1]まずは働く時間を減らそう
7章:[生産性の高め方2]全部やる必要はありません
8章:高生産性社会に生きる意味
終章:それぞれの新しい人生
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【編集後記】
◆本書の「よく一緒に購入されている商品」から、つい先日発売されたものを。生産性―――マッキンゼーが組織と人材に求め続けるもの
……って、同時期にあの「伊賀泰代さん」が同じようなテーマで!?
ご声援ありがとうございました!
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