2016年11月28日
【起業】『7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法』ダン・ノリス
7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法
【本の概要】
◆今日お送りするのは、先日ではなくてその前の「未読本・気になる本」の記事で人気だった起業本。起業ネタの作品は色々ありますが、ここまで自らの「失敗」を踏まえて書かれた作品も珍しいのではないか、と。
アマゾンの内容紹介から。
14年間さまざまな事業で失敗した筆者は、わずか1週間で“億万長者”ビジネスを見つけた。全米ベストセラーの画期的起業法とは?はじめて起業する人のための教科書。
なお、上記未読本記事の時点ではなかったKindle版は、まだ新しいのに「23%OFF」とお買い得で、ポイント還元を合わせると、ポッキリ1000円でお求めいただけます!
Startup / Skley
【ポイント】
■1.スタートアップ3カ条そこかしこのビジネス指南書で、スタートアップの起業に必要な事柄を簡潔にまとめることは難しいとされている。しかし、以下のなじみ深い格言を見直して見よう。・ビジネスにのめり込むのではなく、俯瞰せよ――ゼロからの新しいアイデアにとらわれているのなら、それは不可能、非実践的だ。本書のゴールは、あなたをウォントレプレナー(アントレプレナー志望者)からアントレプレナーに、アイデアを持つ人からスタートアップを行う人に変容させることである。私は常にウォントレプレナーたちと、彼らのアイデアについて語り合っている。大抵の場合、彼らはお決まりのように上記3カ条のうち1つに失敗する。逆にいえば、成功するスタートアップ企業は上記3カ条をすべて満たしているのだ。
・拡散を最大化せよ――リード(見込み客)がなければ意味がない。
・成長を急げ――顧客なくして実現は困難。
■2.人々の「いいアイデアだね」はあてにならない
以下は、私が Inform.lyを開発中に得たいくつかの意見である。・「これはいいビジネスだ」(スタートアップのベテランのジェイソン・カラカニス。彼にログインIDを送ったが、一度もログインしなかった)これらのコメントはお願いしてもらったものではない。多くの友人たちがすばらしいアイデアだと言っていたし、お墨付きをくれた。彼らは自分の行動を予測することが上手ではなく、きっと買うだろうと思っても、買うと決めたわけではなかったのだ。
・「このメールでピンとくるかどうかはともかく、君は我々がすでにやっておくべきだった仕事に取り組んでいるんだよ!」(スタートアップ創業者兼出資者。結局、有料顧客にはならなかった)
・「私たちが毎日悩まされている問題を解決してくれてありがとう!」「すごい! 私はいつもこれを使ってるし、まわりにもオススメしといたよ」(結局、有料顧客にはならなかった)(中略)
誰も知人の気分を害したいとは思わないものなのだ。
■3.すばやくローンチできるものを選ぶ
残念なことに、経験のないアントレプレナーや自己資金に頼っている会社には iPhoneみたいなイノベーションは起こせない。ゼロからの起業型ビジネスにより向いているのは、すばやくローンチできるものだ。
複雑なソフトウェア、物理的なプロダクト、ローカルの実店舗などは向いてない。ローンチに1年もかけてしまえば、実際の顧客から得られるデータから学ぶ機会は遠のく。
すばやくローンチすることが可能で、修正が可能なアイデアを選ぼう。有料顧客からリアルなデータが得られ始めれば、プロダクトを正しく進化させることができる。7日間でローンチできるアイデアを選ぶのがいい。それが無理だとしても、2年かかるものよりも2カ月でローンチできるアイデアを選ぼう。
■4.実用最小限製品(MVP)をつくる
私はビジネスが軌道に乗ってから顧客に提供しようと考えていたサービスを、私自身の手でそのまま提供することになった。
つまりこんな具合にだ。1 Inform.ly 事業から引き継いだライブチャットソフトを契約していたので、それを作業の依頼窓口としてサイトに実装した。チャットで話しかけてくるのは顧客だけとは限らなかったが、気にしなかった。少しばかり時間を無駄にしたからといって、何だというのだ。経営者の視点からは地獄のようにダサかったが、ともかくも顧客にとっては24時間年中無休で対応する開発者に他ならず、お金を払う価値があるものと見なしたのだ。
2 開発者は一人しか確保していなかった。つまり、1日のうち残り16時間、誰かがオンラインである必要があった。もちろん、それは私だ。私は毎晩電話とライブチャットに対応した。誰かがチャットにインすると私はベッドから飛び起きて対応したが、それは誰にもバレなかった。苦労も短期間なら問題にならない。
3 サポートデスクを設置する時間はなかったので、ライブチャットとサポート用のEメールアドレスを公開した。顧客は気にしなかったし、むしろEメールを好んだ。
■5.問題は起きてから対処せよ
ビジネスオーナーの多くは、いまだ存在しない問題の解決に時間を費やしている。ロブ・ウェイリングはこれを早計な最適化、と呼んでいる。たとえば、1 顧客がひとりもいないのに完璧なクレジットカード決済システムを求める。これらの判断は普通、問題が起きてからではすぐには対処できないだろう、と信じることから導き出されている。しかし、この推測はしばしば間違いである。(中略)
2 トラフィックがないのにウェブサイトを最適化する。
3 仕事がないのにスタッフを雇う。
4 業務に必要以上のシステムに投資する。
今時、たいていのビジネス上の問題はすばやく解決できる。発生してもいない問題に時間を費やせば、価値ある時間と金を浪費するだけでなく、目の前のなすべきことから注意を逸らさせる。新規ビジネス立ち上げ時のチャンスとは、重要な問題はたった1つ、という点だ。それは十分な顧客がいない、ということである。その解決にこそ時間を費やすべきなのだ。
【感想】
◆本書の基本的な起業のコンセプトは、完璧を目指さず、とにかく顧客の求めるものをローンチして、後から手直ししていく、というもの。私は読んでいないのですが(スイマセン)、この本の流れに沿うもののような(本書でも言及アリ)。
リーン・スタートアップ
ただし、そこでうたわれている(らしい?)仮説の検証の手法には、本書の著者であるダン・ノリスは疑問を投げかけています。
その1つが上記ポイントの2番目にある、「人々の評価」の不確実さ。
他にも「気に入ったよ。証言が必要な時は言ってほしい。私はずっとこれを待っていたんだ」とか「ヘイ! Inform.ly は驚きだよ! なんて壮大なアイデアなんだろう。同じ場所からすべてを扱えるなんて」なんてコメントをしてきた人たちは、いずれも有料顧客にはならなかったのだとか。
◆同様に、Eメールの登録数が多くても、それが成功につながるとは限りません。
かつて、ノリスのサービスである「アナリティクスダッシュボード」のベータ版には、3か月で1200人がローンチ告知のためにEメールを登録したものの、結局思ったほど利用者が伸びず頓挫しています。
また、上記ポイントにも登場する、やはり成功しなかったサービスである「Inform.ly」は、ある権威のあるテック雑誌に掲載されたのだとか。
しかしそれによる顧客獲得は、本書によれば「ゼロ」だったとのこと。
確かにDropboxは、「Hacker Newsに投稿された3分間のビデオで、1日に75000人がサインアップ」しましたが、それはレアケースなワケです。
◆そこでノリスは言います。
スティーブ・ジョブズになろうとするな実際、彼は「Inform.ly」を手掛けているとき、ジョブズを目指していたのだそう。
確かに、ジョブズの有名な発言である「目の前に見せてあげるまで、人々は自分が何を欲しているかわからない」は、真実を突いています。
ただし、それはクリエイターが目指すものであり、アントレプレナーにとっては危険な目標である、とのこと。
逆にアントレプレナーは、「顧客が解決のためにすでにお金を払っている問題を解決する」ことを目指すべきなのです。
実際、ノリスが「7日間で成功した」WPCurveは、ワードプレスを利用している人の直面している問題を解決するもの。
そして、その立ち上げ時のMVP(Minimum Viable Product)は、上記ポイントの4番目のとおり、極めてプリミティブなものでした。
◆さて本書では、具体的に「7日間」で何をすべきかを詳しく指南。
このうち1日目が「アイデア」で、2日目が「MVP」と、上記ポイントでも言及しているものになります。
「ビジネスの名称」に3日目の1日を丸々かけながら、4日目に「1日で100ドル以下でウェブサイトをつくる」というのは、バランスが微妙な気がw
ただ、この辺から異様に細かくなってきて、たとえばステップ1が
ドメイン取得(4ドル、所有時間:5分)……って、そんな分単位で書かんでもw
その翌日の5日目は「マーケティング」であり、こちらも「10の必勝法」として具体的な手法について述べられていますから、ホントに起業したい方ならかなり役立つ内容だと思います。
◆ただ、まだアイデアも何もない方が、細かい手順を読んでも使いようがないですし、紹介されているサイトやサービスも、基本的に米国のものですから、脚注でURLまで載っていても、使いようがなかったり。
それよりも、何かアイデアを思いついたら、今回ボリューム的に割愛した「独立起業アイデアの9要素」に照らし合わせていただければ、と思います。
ちなみに上記ポイントの3番目の「すばやくローンチできるものを選ぶ」というのもその1つ。
なお、序文で同じくアントレプレナーであるロブ・ウォーリングが、自らのメールマーケティングサービスのローンチに数か月かかったことで、「7日間」という期間についてノリスに疑問を投げかけたところ、この「9要素」から評価していましたので、ご参考まで。
はじめての起業を目指すなら、要チェックです!
7日間起業――ゼロから最小リスク・最速で成功する方法
第1章 ローンチしなければ学べない
第2章 スタートアップとは何か?
第3章 アイデア、エクスキューション、ハッスル
第4章 なぜ7日間で?
第5章 7日間起業
第6章 ビジネスモデルを精査しよう
第7章 ビジネスルール金科玉条
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【編集後記】
◆上記で触れた『リーン・スタートアップ』ですが、何故かKindle版が激安となっております。リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
「48%ポイント還元」のおかげで、中古より400円以上お買い得なので、今日の本とご一緒に!
ご声援ありがとうございました!
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