2016年11月06日
【ウソ発見!?】『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』清水建二
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で見かけて気になっていた1冊。著者の清水建二さんは、とある事件に巻き込まれたことをきっかけに、「人間の真実の姿」を理解しようとする人生を歩まれたのだそうです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
これまでの「人を見抜く系」の書籍は知識を紹介・解説して終わってしまうものが目立ちますが、本書は知識の紹介だけにとどまりません。
実際の日常・ビジネスシーンでどのように使いこなすか、手法を「見える化」しています。
ぜひ本書で、相手の心を可視化する最強のコミュニケーション技法を学び、ビジネスに、恋愛に、プライベートに役立て、思いのままの人生を実現されることをオススメします。
なお、出たばかりで中古はまったく値崩れしていませんから、Kindle版がお買い得です!
liar / elysiummag
【ポイント】
■1.目を強く閉じる夫が自宅で死亡していたのを妻が発見しました。第一発見者の妻は、夫がいつも夜、何時にお風呂に入って出るのかについて証言していました。
「いつもだったら9時にお風呂から出て来るのに、出てこないから……」
夫の日々の行動パターンを説明しているとき、妻は目をやや強く閉じて証言していたのです。ここに不自然さがあります。決まりきった夫の日々の行動を説明するのに、目を閉じなくてはいけないほど集中する必要があるのか、ということです。
結論としてはこの妻はウソをついており、妻が夫を殺害していたことが後に判明しました。
目線が上下に向かう、どこか一点を注視している、目が閉じられる。
こうした集中している様子が見られたら「この内容は集中を要する話題だろうか?」と考えてみると相手の本音が見えてくる可能性が高まります。
■2.時間稼ぎのために繰り返す
例えば、妻から「あなた浮気しているんじゃない?」と浮気を疑われた夫が、「僕が浮気をしてるって?」「僕が浮気をしていると君は疑っている。僕が浮気をしていると……」と妻の質問に直接答えるまでの間に発言を繰り返す行為です。
実際の時間稼ぎの例としては、政務活動費の不正使用を疑われた某県議会議員の発言があります。その議員は、記者から質問を受ける度に、「え〜○○新聞の△△記者のご質問にお答えします」と、記者からの質問に答える前に必ずこのような言葉を入れていました。これも時間稼ぎの典型例です。
■3.時制を間違える
某「誘拐」事件を事例に紹介します。
「自分の娘が誘拐されたのです」「誘拐された娘について何か知っている人は、何でも情報を下さい」と涙の訴えをしていたある母親が、
「私は娘を愛していました」
とテレビカメラを前に答えていました。
まだ生きているかもしれない娘に対し「愛していました」は変です。これではまるでもう娘がこの世にいないかのようです。後に、この母親が自分の娘を殺害していたことが判明しています。このように、時制のミスに意識を向けることで本音が垣間見られることがあります。
■4.ウソを検知する「反予測質問」
反予測質問とは、回答者が回答することを事前に予測していない質問をする質問テクニックのことです。このテクニックは、主に回答者のウソを検知するために生み出されたものですが、何でもない普通の話題に対しても回答者から詳細な情報を得ることができます。
回答者がこうした質問事項に対して日々どれだけ意識的に考え、どのように物事を観察しているかを垣間見ることができるのです。
反予測質問は2003年以降に研究数が増大し、その有効性が認められ始めた最新の質問テクニックです。これまでの研究からわかっている反予測質問は、(1)感覚に関わる質問、(2)時間に関わる質問、(3)行動プロセスに関わる質問、(4)悪魔のささやき質問、(5)シュチュエーション質問の5つです。
(詳細は本書を)
■5.相手の記憶を様々な角度から確かめる「反復質問」
(1)逆質問法順番がある事柄についてその順番とは逆の順番で回答してもらう方法です。(2)図解法
例えば、回答者に昨日の行動を時系列で答えてもらい、次に「昨日の行動を夜から朝にかけて逆に説明してください」と質問する方法です。五感情報を図で描いてもらう方法です。(3)交互質問法
例えば、昨日の夜、あるレストランにいたという人物にそのレストランの様子を口頭で答えてもらい、次に「その様子を絵に描いてください」と質問する方法です。(中略)同じ体験をした2人の回答者に対して交互に質問をする方法です。
最初の段階で2人の回答者を1人ずつに分け、個別に質問し、情報を集めておきます。次の段階では、2人の回答者を同じ場所に招き、もう一度同じ質問をどちらか片方にします。
【感想】
◆冒頭で述べた、著者の清水さんが巻き込まれた「とある事件」については、本書の「はじめに」で触れられていました。なんでも「女友達」が、「身代金目的の誘拐事件」に巻き込まれた、とのこと。
「彼女」とは表現されていませんでしたが、「彼女と過ごした日々」という表現があったので、それなりに深い関係にあったことがうかがわれます。
警察に連絡し、用意した身代金を持って、指定された場所に行くものの、犯人は現れず。
やがて、捜査中の捜査員が確保した犯人とは……なんとその「彼女」自身でした。
要は「狂言誘拐事件」だったワケです。
清水さんの会社のサイトによると、この事件は清水さんが20歳の時に起きたそうなんで、それは「その後の人生に大きく影響するわ」、と思った次第。
◆さて、本書によると、私たちの本音は「感情漏洩モデル」なるものから読み解けるのだそう。
そして、その「感情漏洩モデル」とは、「表情」「身体」「声」という3つの非言語チャンネルから生じるもの。
本書では、下記目次の第2章から第4章にあるように、それぞれのチャネルについて「本音の見抜き方」を解説してくれています。
ちなみに、「表情」について本書では、「幸福」「軽蔑」「嫌悪」といった種類ごとに、それぞれ顔写真を掲載してくれているのですが、当然本エントリーではご紹介できませんので、割愛。
上記ポイントの1番目のように、文章のみでイメージできるもののみとさせてもらいました。
◆一方、第3章では「身体」から本音を読み取るお話なのですが、「表情」ほどバリエーションに富んでいるのではない模様。
「はい」や「いいえ」「止まれ」といった、万国共通の5つのジェスチャーについては納得できるものの、それで心を読み取るのは、結構難しそうです。
むしろ第4章の「声」の方が、トーン(声の高低や音量)やスタイル(話し方の特徴)から、本音や感情を読み取ることができます。
ちなみに、上記ポイントの2番目の「繰り返し」や、3番目の「時制」は、「スタイル」に関する特徴で、類書でも目にしたことがありますが、「ウソ」をつくときの典型的な特徴かと。
また、「五感情報のない発言は、実体験のない発言にみられる傾向がある」という指摘も、大いに納得です。
◆ただ、「表情」や「身体」といったボディランゲージからウソを見抜く正解率は、「54%」なのだとか。
当てずっぽうの確率でも「50%」ですから、実は大差ありません。
そこで重要となってくるのが、詳細情報を得るための「質問テクニック」です。
本書の第5章では、こうした「質問テクニック」を詳しく解説。
上記ポイントの4番目の「反予測質問」は、その最たるものですし、上記ポイントの5番目にある「逆質問法」は、この本にも出てきましたね。
FBIトレーナーが教える 相手の嘘を99%見抜く方法
参考記事:【99%?】『FBIトレーナーが教える 相手の嘘を99%見抜く方法』から選んだ嘘つき の7つの特徴(2012年09月09日)
◆なお、最後の最終章では、本書で得られた様々なテクニックを試すべく、ビジネスシーンにおける「エクササイズ」が収録されています。
これが結構ガチでして、最初の問題は、自分が商品の「売り手」となって、交渉過程における「買い手」の本音を推定するというもの(同じ設定で相手担当者ごとに2回も!?)。
それも単なる価格だけでなく、輸送時期や取り付け、支払時期といった要素も含めて交渉するんですから、本格的です。
……しかもそれぞれの要素で、数値ごとに自社の利益が提示されているんですから、下手したらリアルより細かいんじゃないか、というw
もし、このエクササイズに挫折されても、もう1つの問題である「採用面接」の方なら、まだ何とかついていけるはずなので、ぜひお試しください。
相手のウソを見抜くために読むべし!
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く
第1章 一瞬の「反応」から相手を見抜く
第2章 いつでも、どこでも、誰にでも表れる万国共通な表情
第3章 とっさの「動作」から相手を見抜く
第4章 相手の「声」から本音を見抜く
第5章 相手を見抜く「質問力」
最終章 相手を見抜く実践エクササイズ
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【ウソ看破?】「相手の隠しごとを丸ハダカにする方法」デビッド・J・リーバーマン(2010年04月02日)
【編集後記】
◆つい先日、土井英司さんのメルマガでも紹介されたこの本のKindle版なのですが。イルミネート:道を照らせ。―変革を導くリーダーが持つべきストーリーテリング法
中古はほぼ定価と同じなのに、なぜか「61%OFF」と激安状態で、1600円弱もお得という。
何かのセールか否かがわからないので、いつまでこのお値段かが断言できないのですが、お求めはお早めに!
ご声援ありがとうございました!
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