2016年10月26日
【心づかい】『JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える “心づかい"の極意』江上いずみ

JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える “心づかい"の極意
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「東京都オリンピック・パラリンピック教育推進のための道徳教材『おもてなしの心に学ぶコミュニケーション』(DVD)に出演されている、という江上いずみさんの最新刊。CAさんの作品というと、以前ANAの加藤さんの作品をレビューしたことがありましたが、本書も負けず劣らずの濃い内容でした。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、私がCAとして働いていた時期に経験した事例をベースに、「心づかい」とは何か、その原則とスキルをまとめたものです。
したがって、航空機の機内の事例が多く出てきます。
しかし、そういった事例は、機内という特殊な空間での出来事だけではなく、あらゆるビジネスに通ずるものだと私は考えています。
なお、本書は新刊ですが、「20%OFF」のKindle版も既に配信されています!

IN FLIGHT SERVICE / RubyGoes
【ポイント】
■1.相手に関心を持って寄り添うホチキスで綴じる行為だけでも、心づかいを発揮する場面はあります。
横書きの書類の場合、たいていは左端を綴じますが、これは右利きの人を前提とした綴じ方です。もし、参加者の中に左利きの人がいた場合はどうでしょうか? その人の分だけ右端を綴じて渡せば、その人は見やすいと感じるでしょう。
これは、まぎれもなく心づかいのできる人の行動です。
左利きであることを知っているのは、「あなたのことを見ていますよ」という心づかいの表出です。さらに、そのためにわざわざほかの人と違う綴じ方をするのは、「あなたに寄り添う気持ちがありますよ」という心づかいなのです。
■2.「同時礼」ではなく「分離礼」で心づかいを表す
たとえば、「よろしくお願いいたします」と挨拶をするとしましょう。同時礼は言葉を発すると同時に頭を下げる方法です。多くの日本人は、この方法で挨拶をしていると思います。
頭を下げて挨拶をしているのですから、これはこれで立派な心づかいです。
しかし、頭を下げながら言葉を発するこの方法では、せっかく発した言葉が床のほうへ向かってしまい、聞き取りにくくなってしまいます。
それを「分離礼」で行ったらどうなるでしょう。
まずは、相手の目を見ながら「よろしくお願いいたします」と伝え、その後に頭を下げる方法です。こうすれば、言葉が床のほうに向かってしまうことなく、しっかり相手に伝わるので、より丁寧な挨拶になります。
お願いごとをするときや、就職活動の面接のときなどは、ぜひこの分離礼で挨拶してください。相手に対する心づかいが、しっかりと伝わると思います。
■3.サービスは「目→物→目」で
たとえば、お客さまにコーヒーをお渡しするとき、まずは「お待たせいたしました。コーヒーをお持ちいたしました」と言いながら、お客さまの「目」を見ます。
テーブルに書類やパソコンを広げているお客さまにお渡しするときは、コーヒーをしっかり受け取っていただいたことを確認するため、コーヒー、つまり提供する「物」を見ます。
そして、お渡しできたことを確認したら手を離して、「どうぞ、ごゆっくりおくつろぎください」と言いながら、もう一度お客さまの「目」を見るのです。(中略)
この「目→物→目」は、CAの世界だけの合い言葉ではありません。
ビジネスにおいても、名刺を交換するとき、取引先に書類やサンプルを渡すとき、あるいは、就職面接でエントリーシートを渡すときでも相手の「目」を見て挨拶をし、「物」をしっかり手渡したあと、もう一度相手の「目」を見て「よろしくお願いいたします」という言葉を添える――この一連の「目→物→目」の動きを、ビジネスの場面でも大いに活用していただきたいと思います。
■4.「少々お待ちください」ではなく「すぐに」
本当にこれは日本人の習性なのかと思えるほど、日常生活のさまざまな場面で「少々お待ちください」という言葉を聞きます。
ファミリーレストランで「お水のおかわりください」と依頼しても、「少々お待ちください」。
役所の受付で「○○届をください」とお願いしても、「少々お待ちください」。
お店で買い物をして「ラッピングお願いします」と依頼しても、「少々お待ちください」。
言い慣れている、聞き慣れていると言ってしまえばそれまでですが、逆に言えば、「すぐにお持ちします」「すぐにお手続きいたします」「すぐにご用意いたします」という第一声を発するだけで、相手に対する心づかいを表すことができるのです。
■5.相手の気持ちを思いやった言い方をする
日本航空では、相手に依頼したことをやってくれているかどうか確認するとき、
「○○はどうなっていますか?」
「○○はやってくれましたか?」
という言い方はしません。
「○○、ありがとね」と言うのです。
依頼されたことにすでに対応していたら、それに対してお礼を言ってもらうことになるので、言われたほうは気持ちよく感じます。
一方、仮に何らかの理由でまだ対応できていなければ、その人は「まずい、早くやらなくちゃ」と思っているはずです。そんなときに、「どうなってる?」と聞かれたらどうでしょうか? その人をさらに追い込んでしまうことになります。
適切なタイミングで、「○○、ありがとね」と言われたら、あらためて早く取り組まなければ、と自覚するはずです。
【感想】
◆こうした「気づかい本」「心づかい本」は、そんなに頻繁に読んでいるわけではないのですが、読むたびに新たな「気づき」と、"知っているのにやっていなかった"という「反省点」に出会えます。まずは上記ポイントの1番目の「ホチキスの右端綴じ」。
私は今まで考えたことすらなかったですよ、これ……。
実際に左利きの方がいたら、結構嬉しいんじゃないでしょうか?
……その後ファイルに綴じる場合に、穴を左側に開けていたら、結局綴じ直すのかもしれませんが。
◆逆に上記ポイントの2番目の「分離礼」は、アクション自体は知っていましたが、こういう名称だとは知りませんでした。
ちなみに「声が伝わりやすい」だけではなく、分離礼のもう1つの利点が、聴覚に障害がある方が、唇の動きから言葉が理解しやすい、ということ。
著者の江上さんは、聴覚に障害のある高校生の一団が修学旅行で登場した際、引率の先生に感謝されたのだそう。
また、そもそも「声が伝わりやすい」ということは、音が頼りの視覚に障害がある人にも利点なワケですから、意識して実践してみたいところです。
◆また、上記ポイントの3番目の「目→物→目」では、割愛してしまったのですが、注意点が1つありました。
何でも、「目→物→目」の最後の「目」のときに、相手から目を離す「目切り」を早くしてはいけない、とのこと。
というのも、相手が受け取る「物」に集中していて、まだこちらの目を見ていないことがあるから。
相手がせっかくこちらの目を見てくれたのに、こちらの目が横を向いていたら、失礼になってしまいます。
ここはひとつ、後半部分にあるように、相手の目をキチンと見て「よろしくお願いいたします」と言うようにしたいな、と。
◆一方、上記ポイントの4番目の「少々お待ちください」というのは、私自身、無意識のうちに言っていました。
実は「少々お待ちください」と言おうが「すぐにお持ちいたします」と言おうが、所用時間は変わりませんから、積極的に「すぐに」と言うのが正解でしょう。
ただし、本当に相手を待たせてしまう場合は、どの程度の時間待ってもらう必要があるかを、
「すぐにお手続きしますが、おそらく10分ほどお待ちいただくことになろうかと思います」のように、誠意をもって伝えるべき。
逆に「少々お待ちください」とだけ言って、10分待たせてしまったら相手に対してかえって失礼です。
◆なお上記ポイントは、すべて第2章の「おもてなし達人の『心づかい』30の習慣」からのもの。
ここでは他にも「敬語」や「テーブルマナー」等についても言及があり、私自身誤っていた「習慣」がありました(恥)。
ただこれらは特に「JALならでは」ですとか、「CA特有」という事例があるわけではないので割愛した次第。
とはいえ、いくら他の「心づかい」が優れていても、この辺で足元をすくわれてしまっては意味がないですから、ぜひご一読ください。
「おもてなしの達人」の妙技がここに!

JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える “心づかい"の極意
はじめに おもてなしの一歩先をいく「心づかい」
第1章 おもてなし達人の「心づかい」7つのルール
第2章 おもてなし達人の「心づかい」30の習慣
おわりに 心づかいの「極意」とは
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【編集後記】
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