2016年10月17日
【読書術】『一流の人は、本のどこに線を引いているのか』土井英司
一流の人は、本のどこに線を引いているのか
*Kindle版出ました!
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先月末の「未読本・気になる本」の記事で一番人気だった「読書術本」。お馴染み土井英司さんが、ビジネス書の選び方から、その線の引き方まで明かしてくれるありがたい1冊です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
読書とは数千行の中から自分の未来を拓く「1行」を見つける行為。
日本一のビジネス書評メルマガ『ビジネスブックマラソン』の編集長であり、世界的なベストセラーを世に送り出したカリスマプロデューサーでもある著者が、実践に役立つ読書術とおすすめ本をあますところなく公開する。
当ブログの読者さんなら、マストな作品だと思われ!
2010/365/26 Turn the Machines Off / cogdogblog
【ポイント】
■1.書評や読書感想文を書く必要はない読書は、「書評」を書くためにするものではない。自分が主であり、本は従だ。その本から必要な部分を取りだし、自分のなかに練り込んでいく作業こそが、読み手がやるべきことだろう。
私の書評は、その本から自分自身が何を取り込んだかを説明している。本の内容よりも自分自身の変化を述べることにしている。現在の自分に不足している部分が見えているからこそ、それを補うために読書をするのだ。(中略)
書評や読書感想文など書く必要はない。たった1行でいいから、自分の身になる文章に線を引き、それを体にしみ込ませること。それができれば、その本は価値ある1冊になる。
■2.自分の考えを後押しするような箇所に線を引かない
自分の考えや信念を後押ししてくれるような1文を読むと、テンションが上がって勢いよく線を引きたくなる気持ちもよくわかる。しかし、これは単なる「自己陶酔」にすぎない。特に名言集が好きな人には、この傾向がある。
逆に、読んだときには多少の嫌悪感があっても、どういうわけだか"気になる"1行に出会うことがある。こんな1行には、思い切って線を引いてみたい。そのときは役立たなくても、いつの日か読み返したときに決定的な1行になっているかもしれない。
線は、新しい発見や役に立った箇所、そして自分の考えと「ちがう」箇所に引くことで、成長の糧になるのだ。
■3.読むべき本を立ち読みで見抜く11の戦略(抜粋)
●経営者本は「創業者」か「中興の祖」を選ぶ
●「プロフィール」で本物か偽物かを見極める
●著者は「一流の変態」を選ぶ
●著者が「専門外」を書いていたら避ける
●冒頭の数ぺージで「いい線」が引けそうな本は買い
●「翻訳書」は良書の率が高い
(詳細は本書を)
■4.途中で挫折することにもメリットがある
読めるところまで読んだことによって、「何がわからないのか」が明確になる。「ある高名な著者の名著を、○章の○○ページまで読んだが、どうしても△△についてわからなかった」という具体的な「わからない」部分に出会える。そこに線を引いておけばいい。この1本の線から、人生は動きだす。(中略)
わからないことは単にわからないままになっているのではない。知らないうちに自分の頭のなかに「わからなかったこと」として叩きこまれ、蓄積されて、その後の勉強を進める際、無意識に、自然に答えを引き寄せ始める。
あるとき突然、急に理解できたり、腑に落ちたり、人が救いの手をさしのべてくれたりする。これも挫折のおかげ。「わからない」は尊いことなのだ。
■5.「結果」ではなく「原因」に線を引く
本のなかに、「○○社は20期連続増収増益をしている」という記述があったとする。大したものだ、と感心しながらその1文にすっと線を引く。たしかに20期連続の増収増益とは、なかなかできることではない。
しかし、である。ここに線を引いても、あなたにとって何らプラスになることはない。これはあくまで「結果」だ。大切なことは、その会社はなぜそのように成長し続けることができるのか、という「原因」の部分である。(中略)
「原因」を見抜く作業をしたからといって、それが正解である保証はないし、望んだ「結果」を得られるとは限らない。それでも、つねに「原因」を考え、仮説を立てるくせをつけておけば、やがて自分のビジネスにおいても、「結果」を導くための「原因」を発想できるようになる。あしはそれを卜ライしてみるだけ。このプロセスを繰り返し行っていけば、望む「結果」を手にすることができるだろう。
【感想】
◆いきなり上記ポイントの1番目で「書評や読書感想文を書く必要はない」と言われてしまったので、気持ち的にペンが進まないと言うか、なかなか書きにくいところなんですが、ドンマイ自分wもっとも私の場合、そもそも読書自体も「自分のため」というより、「読者の皆さんのため」でもあるので、若干話が違うのかもしれませんが。
とは言え、多くの読書術の本で推奨されている「アウトプット」を、バッサリと斬り捨てているのは事実です。
ただ、確かに「アウトプット」自体が、読書の「目的」となってしまっては、本末転倒かと。
そして、本書の主旨としては「線1行」引ければ、それだけで十分というワケです。
◆では「線1行」引くために、まずどんな本を読むか、ということについては、上記ポイントの3番目をご参照のこと。
小見出しにあるように、実際には「11個」戦略が紹介されているのですが、一応ネタバレ自重ということでw
「立ち読み」とありますけど、土井さんご自身は立ち読みしているのではなく、土井さんの会社に毎日各出版社から届く「10〜15冊ほどの本」中から、1日平均3冊の本を選んで読み、メルマガを書かれているのだそう。
つまり毎日、読むべき本を「選書」されているワケで、その「基準」は私たちにも十分活かせるものだと思います。
なお、上記ポイントでは、「戦略」だけ抜粋していますが、本書ではそれぞれについて、キチンと解説が付されていますのでご安心を。
◆また、本書の第3章では「どんな分野の本を読むべきか」についても触れられています。
全部で8分野あり、それもポイントで挙げようかと思ったのですが、アマゾンの目次部分にしっかり書かれていたので、ここに引用。
1.会計・ファイナンス正直、当ブログには縁遠いものばかりなので、涙目の巻ですよ。
2.戦略
3.マーケティング
4.オペレーション
5.マネジメントとリーダーシップ
6.商品開発
7.統計
8.経済
ここでは各分野ごと、「なぜ必要なのか」や、「読むべきポイント」、さらに各分野ごとの「おすすめ書籍」まで挙げられていますので、当然見逃せません。
ちなみに、ジョンソン・エンド・ジョンソンの有名な社是「我が信条(Our Credo)」が、ある財務書類に則って書かれている、という指摘は、個人的に「目からウロコ」でした(ネタバレ自重)。
◆さて、本を選んだら、次に「どこに線を引くか」を考えなくてはなりません。
上記ポイントの2番目は、私の場合も、言われてみたら「なるほど確かに」と、思い当たるフシがある指摘です。
さらに割愛した「線を引いてはいけない部分」の1つが、感動するような「いい話」。
土井さんいわく、「いい話」は「心の栄養」ではあるが、「ビジネスとは関係がない」とのことで、「どうやって自身のビジネスを成功に導いたのか」や「どんなアクションを起こしたのか」が大切である、と。
そして上記ポイントの5番目にあるように、「結果」ではなく「原因」に引くべし!
ここでいう「原因」とは、「ボウリングのセンターピン」……と言われてピンと来た方もいらっしゃるかもしれませんね(詳細は本書を)。
◆なお、本書内では、上記で挙げた「分野ごとのおすすめ本」以外にも、必要に応じて具体的な書名が挙げられていますので、それらの本も要チェックでしょう。
加えて巻末には、土井さんが読んだ2万冊のビジネス書の中から44冊を厳選し、具体的に引いた「44本の線」が紹介されています。
ここはそれぞれの本の書影や、実際に引いた「赤線」がフルカラーで掲載されていますから、立ち読み等なさる際にはお見逃しなく。
以上、最初から最後まで、ビジネス書好きにはたまらない1冊なので、当ブログの読者さんなら、安心してアマゾンアタックしてくださいw
これはオススメせざるを得ません!
一流の人は、本のどこに線を引いているのか
序文 人生は「1本の線」から動きだす
第1章 こんな読書をしてはいけない
第2章 「速く」読むな。「遅く」読め
第4章 「結果」を見るな。「原因」を見よ
第3章 「全体」を見るな。「部分」を見よ
第5章 「同じ」をつくるな。「ちがい」をつくれ
第6章 「中身」を読むな。「背景」を読め
第7章 さあ、「教養」に挑め!
終章 ブルー
巻末付録 私の引いた44本の線
【関連書籍】
◆上記で触れた「44冊」のうち、当ブログでご紹介済みのものを挙げておきます(本書内にはもっとありますが)。成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール
参考記事:これは凄い! 『成功する練習の法則』を便利にする8つのツール(2013年07月22日)
案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」
参考記事:【脳内経験】『案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」』山本高史(2008年04月10日)
FBIアカデミーで教える心理交渉術 (BEST OF BUSINESS)
参考記事:中間管理職なら知っておくべき『FBIアカデミーで教える心理交渉術』の5つの法則(2012年06月03日)
私はどうして販売外交に成功したか (Life & business series)
*Kindle版アリ
参考記事:【名著!】「私はどうして販売外交に成功したか」フランク・ベトガー(2008年10月26日)
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
*Kindle版アリ
参考記事:【スゴ本】『ストーリーとしての競争戦略』楠木 建(2010年10月20日)
ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
参考記事:【フツウにスゴ本】「ザ・コピーライティング」ジョン・ケープルズ (著), 神田昌典 (監修)(2008年10月20日)
【関連記事】
【必読】『土井英司の「超」ビジネス書講義』に学ぶ、本の5つの選び方と2つの読み方(2012年05月30日)【読書術】『自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる!』堀 紘一(2015年12月06日)
【読書術大全】『大人のための読書の全技術』齋藤 孝(2014年08月07日)
【読書術】『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』出口治明(2014年09月12日)
【読書術】『読書は「アウトプット」が99%: その1冊にもっと「付加価値」をつける読み方』藤井孝一(2014年01月02日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ネイティブはこう使う!マンガでわかる時制・仮定法
何度かセールに出ているので、お持ちの方も多いと思いますが、一応。
「57%OFF」はいいんですけど、中古にプレミアが付いているのは、どういうことなのかと……?
ご声援ありがとうございました!
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