2016年09月14日
【会話術】『"トークの帝王"ラリー・キングの伝え方の極意』ラリー・キング
“トークの帝王"ラリー・キングの伝え方の極意
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げたコミュニケーション本。本書の旧版は「話し方の古典」として高く評価されたそうなので、今、改めて読んでみようかと思った次第です。
アマゾンの内容紹介から、推薦文の部分を一部引用。
「これほど的確で実用的なアドバイスが詰まった本を手にしたのは初めてだ。コミュニケーションは必要不可欠なスキル。
ラリーがもう少し早くこの本を書いていてくれたら、私のキャリアは違ったものになったかもしれない」
ダン・ラザー(ニュースキャスター、ジャーナリスト)
「ラリー・キングはコミュニケーションの達人だ。彼が教える方法は、誰もが学ぶべき大原則である」
ヘンリー・キッシンジャー(元国務長官・国際政治学者)
今なら、上記の未読本記事の時点ではなかったお買い得なKindle版も配信されております!
With "Larry King" / m01229
【ポイント】
■1.苦境にあることを正直に伝える私は自分の直感に従うことにした。自分が置かれている状況をそのまま視聴者に伝えることにしたのだ。
私はこう話した。
「緊張しています。ラジオは3年間やってきましたが、テレビは初めてなんです」
こうして正直に話すと、緊張感は消えてなくなった。自分の状況を正直に話せば、緊張することなどないのである。(中略)
正直であることで私は視聴者と運命共同体になれるのだ。自分の状況を正直に話し、最善を尽くしていることを理解してもらえば、一緒に苦境を乗り切れるのである。
苦境にあることを正直に伝える方が、下手に隠そうとするより、ずっといい結果が得られる。これは覚えくおいて損はないだろう。
■2.場を盛り上げる「もし〜だったら」の質問
「もし〜だったら(どうする)?」――この質問は、社交の会話の最高のきっかけになる。話が途切れがちになった時にも、話に活気を取り戻すことができる。
具体的な例で考えると、以下のような文章が「もし〜だったら」の質問だ。
「ダラス・カウボーイズの新コーチがバリー・スウィッツアーに決まりましたね。これで成績が上がらなかったら、オーナーは解雇に踏み切ると思いますか?」
「カリフォルニアに夢のマイホームを建てたとして、そこに地震帯があることが発表されたらどうします。引っ越しますか?」
「もし〜だったら?」の質問は数限りなくある。その時々のニュースや世間の関心事をベースにいくらでも質問を考えることができるからだ。時事的なものだけでなく哲学的な質問もおもしろい。
■3.有名人への失言に注意する
映画俳優、テレビスター、アスリートといった人たちから話を聞くと、彼らのような有名人を相手にすると、無意識に失言する人が実に多いそうだ。
「小さい頃からあなたのファンなんです」
これが定番の失言だ。こういう言葉をかけるということは、「あなたも年を取ったね」と言っていることになってしまう。
「私も野球選手(あるいは映画スター、小説家)になりたいと思っていたんです」
これも定番の失言だ。相手の才能や業績を軽く見て「あなたのやってることなんて、誰にでもできるよ」と言っていることになってしまう。
■4.ユーモアを使う際には余計なひと言を言わない
ユーモアを使う時に余計な一言はNGである。
「つまらない冗談ですが……」
「先日おもしろいことがありました……」
「笑い話をします。すごくおかしな話なんです」
「こんなジョークがあります。ご存じの方もいるでしょうがお話ししますね」
こんな前置きをしては、せっかくのユーモアも台無しである。
ジョークを言った後に「冗談はさておき」と言うのがダメなのも同じ理由だ。
■5.司会者は控えめに
あなたも自分の仕事で、進行役を務めることがあるだろう。
もし、あなたが議長や司会をやることになったら「司会者は控えめに」という私のアドバイスを思い出してもらいたい。
実際、このアドバイスは、2人以上の人が賛否を話し合う場面なら、必ず役に立つはずだ。あなたが進行役を務めるなら、中立の立場で議論を進行させるのが大切だ。双方が同じだけ話せるように時間を調整し、議論がテーマから脱線しないように目を配ろう。
あなたがうまく司会役を務めれば、議論を尽くした後、意見を戦わせるために集まった人たちは、友として帰っていくことができるのだ。
【感想】
◆そもそも私は、本書の著者であるラリー・キングの出演番組である「ラリー・キング・ライブ」について知識がなかったのですが、Wikipediaによると、「毎回原則的に1人か1組のゲストを招き、キングとの対談を進める」スタイルなのだそう。ラリー・キング・ライブ - Wikipedia
上記リンク先に、その出演者が列挙されており、芸能人から政治家まで多種多彩。
YouTubeに動画も多数上がっており、短めなこちらだけご紹介しておきますが。
脚注に「アメリカ版『徹子の部屋』」とあって、なるほどそういうものなのか、とw
ただし「視聴者が電話で参加してゲストに直接質問したり、意見を話したりできる」とあるので、当然生放送でしょう。
そこで、上記ポイントの1番目のような「緊急時のTIPS」もあるワケなのですが、これは私たちでもスピーチ等で使えそうな気が。
◆とはいえ、当たり前とはいえ「テレビ出演時」のためだけの本ではなく、幅広いシーンでも活用できるよう配慮がされています。
たとえば上記ポイントの2番目は、第4章の「パーティで気後れしない『社交の会話術』」の中の「場を盛り上げるコツ」からのもの。
ただし「コツ」は他に7つもあるものの、正直、アメリカほどパーティのない日本では、それほど活用しきれないかもしれないヨカンw
それより同じ第4章の「葬儀で取るべき態度とは?」というパートは、結構考えさせられました。
たとえば「痛ましいことです」「どんなにかお辛いこととお察しいたします」といった言葉は、遺族の悲しみを自分の尺度で測っていることになるから使わない、とのこと。
ではどう言えばいいのか、については、本書にてご確認ください(日米の違いもあるとは思いますが……)。
◆続く第5章は「仕事で結果を出す『ビジネス会話術』」ということで、こちらは当ブログの読者さんにも直結するテーマです。
実際、「効果的なよいミーティングを行う6つのヒント」「ミーティングの司会で心得ておきたい3つのヒント」あたりは、目を通しておきたいところ。
ただ、類書でも目にしていたTIPSが多いというか、執筆年月日的には実は本書の方が先だったりするのかもしれませんが、既読感は否定できませぬ。
むしろ、この本の著者であるハーブ・コーエンが幼なじみで、とあるいたずらにより一緒に中学を停学になりかかったエピソードが面白かったです。
FBIアカデミーで教える心理交渉術 (BEST OF BUSINESS)
参考記事:中間管理職なら知っておくべき『FBIアカデミーで教える心理交渉術』の5つの法則(2012年06月03日)
なんでも、コーエンが校長の弱みに付け込んで
◆一方、第8章の「番組史上『最高のゲスト』『最悪のゲスト』は?」辺りは、もはやTIPSというよりエピソード集に。
普通にロバート・ケネディとか登場しており、「いったい何年前の話だYO!」って感じですがw
残念ながら、アメリカの、さらに古い時代の人となると、こちらとしても興味が薄れてしまうのですが、第9章に収録された、アル・ゴアとロス・ペローが番組内で対談した際のお話は、興味深かったです。
ちなみにこの対談は、上記Wikipediaによると、視聴者数が1,117万人を記録したそうで、当時のアメリカでのケーブルテレビ専門チャンネルの最多視聴者数でだったとのこと。
この日の番組は、「政治とテレビの歴史を変えた」とまで言われたそうで、その舵取りをしたラリー・キングの手腕が見事だったのも言うまでもありません。
「50年間で5万人と対談した世界No. 1キャスターの対話術」がここに!
“トークの帝王"ラリー・キングの伝え方の極意
第1章 いつ、誰にでも通用する「たった1つの大原則」
第2章 会話の達人に学ぶ「8つの習慣」
第3章 初対面でも緊張しない「会話の続け方」
第4章 パーティで気後れしない「社交の会話術」
第5章 仕事で結果を出す「ビジネス会話術」
第6章 聞き手を魅了する「達人のスピーチ術」
第7章 達人の一歩先へ! 「スピーチ術・上級編」
第8章 番組史上「最高のゲスト」「最悪のゲスト」は?
第9章 テレビ・ラジオで生き残る「メディアでの話し方」
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【編集後記】
◆きんどうさんのツイートによると、Kindleの大規模セールが始まっている模様。Amazon.co.jp: Kindle本 セール: Kindleストア
ただし、Kindle Unlimitedも大量に含まれているので、どうしたものかと……。
ご声援ありがとうございました!
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