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2016年09月08日

【ハーバード?】『世界に通用する一流の育て方 地方公立校から<塾なしで>ハーバードに現役合格』廣津留真理


世界に通用する一流の育て方  地方公立校から<塾なしで>ハーバードに現役合格 (SB新書)
世界に通用する一流の育て方 地方公立校から<塾なしで>ハーバードに現役合格 (SB新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも個人的に注目していた「子育て本」

著者の廣津留真理さんは、地元大分市内で英語スクール等を運営されているだけあって、特に英語の学習法は参考になりました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
妊娠中に育児本を200冊読破。
独自の教育論を確立し、0歳から英語と日本語の絵本を読み聞かせ、2歳から自分で英語を学び始め、4歳で英検3級合格。
手作りの教材で家庭学習を施していたため、幼稚園に通わせるつもりはなかったが、仕方なしに1年だけ通園……。
もはや東大・京大なんて眼中にない。
世界レベルの学力の伸ばし方がわかる。

ちなみに、Kindle版が新書と同じお値段なのは、「出版社により設定された価格です」の表示がないゆえ、アマゾンの意向なのかな、と……。





My Bro, Ricky, Graduating from Harvard's KSG (MPA-ID) / joebeone


【ポイント】

■1.小さな成功体験を6歳までに積み重ねる
 勉強なら目標が半分達成できたら大成功。達成率40%でも「すごいね!」と褒めちぎってあげましょう。
 例えば、ある日の英語学習の目標が「英単語を10個覚える」だったとします。それなのに4個しか覚えられなかったとしても「4個覚えられたんだ、やったね!」と褒めてあげると、子どもにとっては成功体験として刻まれます。
 それをひたすら続けていると、覚える英単語が4個から5個、5個から6個、7個になり、いずれ10個覚えられるようになります。
 子どもの学力を伸ばすために、親はとことん褒め上手になるべきです。


■2.「ToDoリスト」を活用する
 小学生になったらぜひ活用してもらいたいのは、こなすべきタスクを簡潔にまとめた「ToDoリスト」(やることメモ)です。
 6歳までは親が子どもの代わりにやるべきことに優先順位をつけたり、スケジューリングしたりしますが、小学生になったらToDoリストを使って子どもが自分でやるべきことをマネジメントするように導きましょう。
 ToDoリストを使えば、やるべきことが順序立てられて"見える化"します。すると「あれも終わってない」「これもまだ……」と混乱することがなくなります。


■3.ビジネスと同じ発想で家庭学習をマネジメント
 ここで家庭学習において踏まえておきたい4つのポイントを紹介しましよう。
◎重複していることや費用対効果の低い"ムダ"を削る
◎優先順位をつける
◎効率的にスケジューリングする
◎ムダを削った分、余暇を増やして有効活用する(中略)
 このように親が子どもの勉強をビジネス感覚でマネジメントするようになると、結果として子どもは重圧から解放されて、のびのびと自由に過ごせるようになります。すると、世界的に重視される主体性や創造性が自然と身についてきます。望むならば新たな受験システムにおいて、俗にいわれる"受験勝者"への道も開けるでしょう。


■4.「読み書き」と「聞く話す」はまったくの別物
 私が暮らす大分のような地方でも、これからは英語スキルがいっそう大事になるということで、幼少期から英語を習わせようと英語の塾に通わせる親御さんが少なくありません。しかし、幼稚園あたりから英語漬けにすると英語が身につくというのは一種の幻想です。
 英語漬けにする方法を「イマージョン法」と言いますが、これが有効なのは自宅でも英語漬けにできる家庭だけです。親が英語で話せる家庭であれば、子どもたちは英語がペラペラになるでしょう。
 この環境が備わった家庭だとしても、満たされるのはリスニングとスピーキングだけです。話し言葉と書き言葉はまったくの別物。リーディングとライティングは両親が英語のネイティブスピーカーであろうがなかろうが、全方位的に学習しないと獲得は厳しいのです。


■5.英文はわからないなりに読み進めて、単語は別途覚える
 英文を読んで、わからない単語を確認して……という具合に、まるでアクセルとブレーキを頻繁に繰り返すような運転をしていると、燃費(効率)が極端に悪化します。文章の内容が頭に残りませんし、単語もそれほど覚えられないという中途半端な結果しか得られません。
 英文と英単語を切り離して、英文はわからないなりに読み進めればよいのです。そして、わからない英単語を覚えるときは、「単語帳」を使います。単語は単語として、集中して語彙を増やしていくというアプローチが正解です。


【感想】

◆自己啓発系ではない、勉強系の「子育て本」としては、本書は「良くも悪くも(?)」かなり異質な部類に入ると思います。

まず一番大きいのが、著者の廣津留さんが、英語を「本業」として「人に教えられるレベル」にまであったこと。

英語が得意だったり、TOIECが高得点な方はたくさんいらっしゃるでしょうけど、自分の子どもに英語をマスターさせるスキルは、またちょっと違います。

ハーバード含め、海外の大学に入るには、まず英語レベルが大きな難関でしょうから、ここをクリアできる環境にあったのは、娘さんにとっても大きかったでしょう。


◆そしてもう1つが、あえて(?)内容紹介等では一切触れられていないのですが、娘さんは幼少時から習っていたバイオリンが、かなりのレベルにあります(ハーバード卒業後はジュリアード音楽院の修士課程で2年学ぶそう)。

ハーバードの受験には「際立った課外活動の成果」が必要であり、バイオリンだけが「決め手」ではないでしょうけど、逆にバイオリンをやってなかったら、合格はできなかったハズ。

つまり、「単に勉強だけをやる」のではなく、上記ポイントの3番目のように「余暇を増やして有効活用」し、「武器」を身に着ける必要があるわけです。

実際、娘さんが「塾なし」だったのは、バイオリンのレッスンや練習で忙しかったからのようで、この辺の「マネジメント」も、親としては必要なよう。

それ以前に、上記ポイントの2番目にあるように、「小学生になったらToDoリストを作らせる」というのは、目からウロコでした。

丁度ムスコが、塾やら習い事やらで「やらねばならないこと」が山積みになってきたので、冗談めかして「ToDoリストが必要だね」とか言っていたのが、全然シャレになってなかったというw


◆一方、汎用性がありそうだったのが、第8章の「ひろつる式英語学習メソッドで使える英語が身につく」。

上記ポイントの5番目は、この章からで、ほかにもこの「メソッド」がいくつか紹介されています。

割愛した中で1つ挙げておくと、「問題集は解かずに『覚える』」

なんでも中学・高校レベルの問題をいくら解いても、実用レベルの英語力の向上には結びつかないのだとか。

そしてそれよりも「定型文(テンプレート)をたくさん覚える」ことを推奨。

……いや、それって、普通に問題を解くより大変でしょうに。

むしろ、「自己紹介を100個覚える」というのなら、ウチの子どもたちにも、唯一できそうでしたがw


◆ちなみに、実際に「ハーバード受験」を志すご家庭なら、第9章の「地方県立高校からハーバード大学現役合格へ」だけでも、本書を読む価値がありそうです。

受験に必要なものから、手続きなどなど。

受験の流れだけをざっくり言うと、書類とエッセイを提出して、基準に達していたら、最終段階で面接があるのだそう。

私も知らなかったのですが、わざわざアメリカに行かなくとも、スカイプで国内で受験できるんですね。

万が一、エッセイを他人に代筆してもらったとしても、この面接(30分くらい話すとのこと)でバレてしまう模様。


◆なお、巻末には、廣津留さん親子の対談も収録されています。

幼少時からの子育てについて、娘さんはどう見て、どう感じていたかを「反対側から検証する」のは、なかなか興味深いものでした。

ウチもムスコをアイスクリームで釣って、外食時に難しい問題を解かせたりしているのですが、大きくなってからどう思い出してくれるのやら。

いずれにせよ、自身も娘さんをハーバードに入れた元Googleの村上憲郎さんが、本の帯で「ハーバードを目指さない親子にも大いに参考になる!」と言われているこの作品。

ガチな受験本とはひと味違いますが、確かに色々と勉強になりました。


お子さんの勉強法や受験に関心のある方に!

世界に通用する一流の育て方  地方公立校から<塾なしで>ハーバードに現役合格 (SB新書)
世界に通用する一流の育て方 地方公立校から<塾なしで>ハーバードに現役合格 (SB新書)
序章 子どもの才能を花開かせる育て方
第1章 6歳までの育て方が子どもの学力を伸ばす
第2章 子どもが自分で勉強するようになる
第3章 小学生からの頭がいい子の生活習慣
第4章 模試も宿題も無視! ひろつる式〈非常識〉受験メソッド
第5章 家庭学習はビジネス感覚でマネジメント
第6章 「文化資本」と「問題解決力」がポイント
第7章 学校教育で“使える英語”が育たない理由
第8章 ひろつる式英語学習メソッドで使える英語が身につく
第9章 地方県立高校からハーバード大学現役合格へ
第10章 ハーバード流のズバ抜けた結果を出す行動術
親子対談 ハーバード生の楽しい育て方


【関連記事】

【子育て】『一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』ムーギー・キム,ミセス・パンプキン(2016年03月10日)

【教育経済学!?】『「学力」の経済学』中室牧子(2015年06月30日)

【エリート?】『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』おおた としまさ(2016年02月16日)

【思考力】『東大・京大に合格する子どもの育て方』江藤 宏(2015年04月30日)


【編集後記】

◆本書とはベクトルが違いますが、子育てをなさっている方なら、目を通しておきたいのがこちら(レビューは上記関連記事にて)。

「学力」の経済学
「学力」の経済学

読む前は、タイトルからして「裕福な家庭の方が成績がいい」(実際、その傾向はありますが)というお話なのかと思ってましたが、ご褒美のあげかたやら自尊心のお話やらが収録されており、子育ての参考になることウケアイです。

上記Kindle版は、現在「60%OFF」とお買い得ではあるものの、セール期限は昨夜までなので、お求めはお早めに!(値上がりしていたらごめんなさい)


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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