2016年09月07日
【ミッション】『一生を賭ける仕事の見つけ方』斎藤祐馬

一生を賭ける仕事の見つけ方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で注目を集めた「キャリア本」。著者の斎藤祐馬さんは、公認会計士の肩書をお持ちですが、ベンチャーサポートのプラットフォームである「モーニングピッチ」を手掛けてらっしゃるという方です。
アマゾンの内容紹介から。
「今の自分は、なりたかった自分なのか」20代。仲間もカネも実績もなし。それでもたった1人、逆風のなか始めた「ベンチャー支援」を、100人超の仲間と数千社を巻き込む日本一のプラットフォームに!起業家の登竜門「モーニングピッチ」発起人が初めて明かす「思い」と「仕事」をつなぐ5つのステップ。
なお、新刊ですがKindle版なら、「19%OFF」となっていますので、お見逃しなく!

Start Ups / campuspartymexico
【ポイント】
■1.自分の原体験を自覚するミッションのタネは、人生の<山>か<谷>かのどちらかにあることが多い。
人生で最高に幸せだったと思える時間をもう一度味わいたいという強い思いは、その後の人生を駆け抜けていく大きな原動力になるし、人生でどん底の苦しみを味わった人は、その辛い思いを二度と体験したくないと思うはずだ。もしくは、そういう辛い思いを、他の人が体験しなくて済むようにしたいと思う人もいるだろう。
このように、人生において<山>や<谷>を味わった経験を、僕は「原体験」と名づけている。
「原体験」は、自分が何を大切にするか、という価値観の形成に大きく関わっている。自分のミツションを見つける第一歩は、自分の「原体験」を自覚することにある。
■2.自分の「価値観」を2つのキーワードで表現する
僕らが今取り組んでいるやり方では、自分の人生で重要な「価値観」を、2つのキーワードに落とし込む。僕の場合は「笑顔」と「挑戦」だ。とにかく自分が「挑戦」することが好きだし、「挑戦」する人を応援して、その人の「笑顔」を見られることが自分にとっての喜びになる。(中略)
「価値観」を2つにまとめなけれぱならない理由はないが、たいていの場合、2つにまで落とし込んではっきり言語化できると、自分の人生の浮き沈みを説明できるようになる。数が多すぎると、自分でも何が本当に大事なのかがわからなくなってしまうし、2つというのは妥当なところではないかと思う。
■3.「視点」を高めて「見える世界」を変える
僕が友人たちに伝えたのは、「視点」の重要性だ。
自分の出世や給料にしか関心を持たずにいると、「視点」はどこまでも「個人」のままだ。それが、営業部や支店、あるいは会社全体や業界全体を意識するだけで「視点」は簡単に上がる。そうすると、部署や社内で一目置かれるようになるんじゃないか。大雑把にそんな話をした。もともと会社のことが好きで、業界最大手をなんとか倒したいという思いを持ったある友人は、今では部門や支店の人たちを巻き込み、競合との戦いに勝つことに情熱を燃やしている。
この側が示すように、強烈な「原体験」がなくとも、ミッションを歩む人生を諦める必要はない。「視点」を高めるだけで見える世界が変わり、そこで自分のミッションを見つけられる可能性もある。
■4.「ビジネスモデル」の3つの柱
「ビジネスモデル」を組み立てるうえで、絶対に外してはいけない3つの柱がある。「マーケット」、「差別化」、「チーム」の3つだ。
これから挑もうとしている新規事業には、一定の売り上げとその後の成長を見込める「マーケット」があること。
そして、そのマーケットで自分たちを競合他社から「差別化」する戦略や独自技術があること。
さらに、「(経営)チーム」を構成するメンバーは、その戦略を遂行できる力を備えているとともに、それぞれのメンバーが各人のミッションにもとづき、どんな困難をも乗り越えていく本気度(コミットメント)でこの事業に取り組んでいること。
この3つの要素をはっきりと示せれば、それを見た人の理解と共感を得られるはずだ。
■5.プレゼンで緊張を和らげる方法
そもそもの話、なぜプレゼンで緊張するかというと、それは「多くの人に見られている」と思うからだ。
だとすれば、その状況に対する捉え方を変えればいい。「見られている」のではなく、「自分が壇上から多くの人を観察している」と思ってみる。それだけで気持ちがぐっと楽になるはずだ。
僕も昔はプレゼンのたびにひたすら緊張していたけれど、どこかで誰かからそんなアドバイスをいただいて、実際に試してみたら、それだけで本当に気が楽になった。プレゼンに苦手意識がある人は、自分が主体になって、聞き手の表情や反応を観察するよう心がけてみてほしい。
【感想】
◆記事の冒頭で「キャリア本」と書きましたし、実際本書のカテゴリは「キャリアデザインの資格・就職」となっているのですが、上記ポイントをお読みになっても、「起業本」の印象が強いと思います。実際、著者の斎藤さんのお仕事は「ベンチャーサポート」ですし、接する方も起業家やそれを支援するベンチャーキャピタル等の方々がメインかと。
また、下記目次を見ても、第3章は「ビジネスモデルをつくる」ですし、ここだけ見たら、普通に「起業本」と思われてもしょうがないでしょう。
それでも上記ポイントの3番目で斎藤さんが指摘しているように、企業内においても「ミッションを歩む人生」は可能です。
もっとも、そのミッションゆえ、企業内ではあきたらず、外部に飛び出して起業してしまうケースもありそうですがw
◆ということで、何はともあれ「ミッションを定める」ことが最も重要になります。
本書では第1章にてその方法を指南しているのですが、その前に本書では「第0章」として、斎藤さんのこれまでの人生とミッションとの関わり合いについて紹介。
アマゾンの「著者について」に、「脱サラして起業した父親が事業を軌道に乗せるのに苦労している姿を見て」とあるように、中学時代に旅行会社に勤めてらしたお父さんが、ご自身で旅行代理店を立ち上げたものの、あまりうまくいかず、家族としてつらい思いをしたことが「原体験」となっているようです。
そこで高校時代に公認会計士を目指し、そのために合格者が一番多い慶応の経済学部にも合格(慶応出ているのに、著者略歴に書いていない人を初めて見ました)。
実際に公認会計士試験を、在学中から受け始めます。
ところがここで、またもや「原体験」とも言うべき挫折や浪人生活を経験(詳細は本書を)。
4回目の受験でやっと合格し、晴れてベンチャーに強いといわれるトーマツに就職したのですが、実は大手監査法人が手掛けるベンチャー支援業務とは、主にIPO支援であることを知るという……。
そこで本来の業務とは別に、ベンチャーの経営者を訪ね歩く等した結果、トーマツの新規事業であるベンチャーサポートの会社(TVS)のメンバーに選ばれ、現在に至るワケです。
◆上記では割愛しましたが、こうした「人生の振り返り」を、感情面からグラフにするのが、本書の第1章に登場する「感情曲線」なるもの。
これは、横軸が年齢で5歳刻みにし、縦軸が感情で、上半分が「楽しい」で、下半分が「悲しい」として、自分の感情を曲線で表す、というものです。
本書には斎藤さんの「感情曲線」が収録されているのですが、確かに中学時代が深い「谷」になっていて、大きな「原体験」だったことが明らか。
そしてそれは、斎藤さんにとっても「ミッション」の原点だったわけです。
なお、本書によると、できればワークショップのように、自分以外の他人に「感情曲線」を見てもらうとよいとのこと。
現に斎藤さんたちは、泊りがけの合宿等で、このワークをするのだそうです。
◆一方第2章以降は、より「起業ネタ」にシフトしていくことに。
特に第3章のテーマは、上記でも触れたように「ビジネスモデル」ですから、普通に会社勤めされている方には、ピンとこない可能性があります。
ただし、自分が「一生を賭ける仕事」を、必ずしも自分自身で興す必要はないのではないか、と。
たとえば自分のミッションにあった業務内容の会社や、ビジネスモデルを検討した結果、すでにそれを行っている会社に就職・転職する、というのもアリでしょう。
そういう意味では、本書はどなたにとっても読む価値はあると思います。
もちろん、起業を志している方、いつかは独立したい方にとっては、全面的にオススメです。
自分のミッションに従った人生を送るために!

一生を賭ける仕事の見つけ方
第0章 ミッションは、歩んできた人生の中にある
第1章 ミッションを定める
第2章 マインドを磨く
第3章 ビジネスモデルをつくる
第4章 ネットワークをつくる
第5章 チームをつくる
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
グーグル ネット覇者の真実
著者のスティーブン・レヴィは、ITジャーナリストとして米国では有名で、私も大昔に「iPod本」を読んで、感銘を受けた記憶が。
ただ、この「グーグル本」は、「71%OFF」とはいえ、送料込みの中古の方が若干お買い得なので、Kindleで読みたい方に。

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