2016年09月02日
【成功への近道?】『時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS』シェーン・スノウ
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「ポスト・マルコムグラッドウェル」と評される若手ジャーナリストであるシェーン・スノウが、成功者たちの秘密を探った1冊。すでに土井英司さんがメルマガで紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
地道にじっくり、ていねいにやれば、成功……しない。
*ゼロから起業してすぐ億万単位を稼ぎ出すスタートアップ起業
*動画投稿で、化粧品ブランド御用達のメイクアップアーティストになった女子大生
*九九を教えず電卓を使わせることで、子どもたちを世界トップレベルの学力水準に押し上げたフィンランドの教育
*創業6年でロケット打ち上げを決行、失敗後わずか5週間で改良版ロケット打ち上げを成功させたイーロン・マスク
彼らはみな、SmartCutsをしていた!
「SmartCuts 賢い近道」と「ShortCuts単なる近道」はまったく違う。
「ShortCuts」は従来型の省略やサボリ。成功につながる努力を最大限にし、つながらない努力はいっさいしないのが「SmartCuts」である。
講談社さんにしては、かなりKindle版がお買い得なのも、ポイント高いです!
Bug Report screenshot for Khan Academy / syvwlch
【ポイント】
■1.別の階段を一気に駆け上がるこうした階段の切り替えは、企業の成長を加速させやすい。軸足を移し、ビジネスモデルや主力製品を切り替えて上向いた企業は、従来の道にとどまり続けた場合と比べて、はるかに大きな成果を上げる傾向にある。
技術系ベンチャー企業についてまとめた「スタートアップ・ゲノム・レポート」の2011年版によれば、「1回または2回の方向転換を経験したべンチャー企業は、そうでない企業と比べて、売上が2.5倍、ユーザー獲得率が3.6倍に増える一方、未熟なうちに事業拡大で失敗するケースが52%少ない」という。
■2.メンターは自主的でないと効果がない
アンダーヒルはこの四半世紀に発表された100件以上のメンター制に関する調査を吟味した。(中略)
彼女の調査結果によれば、職場でメンターがいる人は、メンターがいない人よりも平均して成果が若干上回ることが判明した。しかも「非公式のメンター制のほうが公式のメンター制よりもキャリアの結果に大きく重大な効果があった」とアンダーヒルは言う。
メンター制調査の結果に矛盾が見られたのは、メンター制が「人為的に作られた制度」なのか、それとも「自然発生的な師弟関係なのか」の違いが影響している。効果が小さいのは前者だ。実際、会社が一方的にメンターを割り当てるマンツーマンのメンター制の場合、メンターがいない場合とさほど大きな違いはなかった。つまりは役に立っていないことになる。
ところが、自然に、あるいは自主的に絆が結ばれ、個人的な関係を築いた師弟関係の場合、将来の収入や地位、昇進回数、仕事への満足度、仕事のストレス、自己評価などで見ると、大きな効果があったのである。
■3.失敗の原因を外部要因に結び付けない
例の心臓外科医も同じだ。新しい手術法に失敗したら、それは運が悪かったから。よく見えなかったから。患者の容体が不安定だったから。時間がなかったから。
「自分自身の失敗については、自分以外の原因に結びつけようとする。運のように、自分の力ではどうにもできないようなものに原因を求める。その結果、将来、同じ作業を任されても奮起するモチベーションが削がれる」とスターツは説明する。
なるほど、医師が自分の失敗を不運と片付けてしまったから、次はもっとがんばろうとは思わなかったのだ。失敗したときに自分に都合のいい理由を探したのである。
「たとえ失敗の経験に重要な学びのチャンスがあったとしても、その経験を生かす行動がなければ、せっかくの学びの機会は埋もれたままになる」とスターツは言う。
■4.自分の中に潜在的なエネルギーを蓄えておく
ミシェルのストーリーからもわかるように、勢いを味方につける秘訣は、自分の中に潜在的なエネルギーを蓄えておくことだ。不意に訪れたチャンスが何倍にも増幅される。公園の遊び場で言えば、踏み台を用意しておくのだ。そうすれば吊り輪渡りを素早くスタートできる。ミシェルの"踏み台"は、それまでにストックしておいた良質な動画だ。
有名な発明家で『世界はひとつの教室』(邦訳:ダイヤモンド社)の著者としても知られるサルマン・カーンもそうだ。オンラインで1000本もの数学レッスン動画を公開し、これが教育支援に熱心なビル・ゲイツの目に留まる。一躍脚光を浴び、ゲイツの資金援助で画期的なオンライン・スクール「カーン・アカデミー」を設立する。
ミシェルもカーンも、表面的には「一夜にして大スター」に上り詰めたように見えるが、実は一夜どころか長年にわたる仕込みがあった。この蓄積があったから、突然のブレークの際に大放出するだけのネタがあったのだ。
■5.制約があるほうが独創性は発揮しやすい
圧倒的な値ごろ感にチャレンジしたチェンのように、一定の制約があると、従来の常識を覆す画期的なイノべーションが生まれやすい。1日1ドルで暮らしている人々のための製品開発など仕事として存在しなかったから、とことんシンプルに徹した保育器を開発しようとは誰も思わなかったのだ。(中略)
ところがチェンが抱えていた制約に対応するには、そんな常識自体を捨て去らなければならなかった。予算を湯水のように使える場合よりも、制約を抱えているほうが、はるかに独創性のあるアイデアが生まれたのである。
制約があるほうが独創性は発揮しやすい。例えば「何かおもしろいことを言ってください」と話を振られたら、固まってしまう人も多いだろう。「自由」がありすぎるからだ。「〇〇を使って何か謎かけを」と言われたら考えやすい。フォーマットも決まっている。制約こそアイデア発揮の原動力なのだ。
【感想】
◆こうした引用部分だけだと分かりにくいのですが、「ポスト・マルコムグラッドウェル」という肩書が「なるほど」と思えるような1冊でした。たとえば、各章を読み始める時点では、登場する事例とどう結びつくのか分からなかったり、並行して複数の事例が進行したりしているのが、結論に向けて一気に収束するあたりは、確かに似ているかも。
著者名を伏せられて、「グラッドウェルの新作です」と言われたら、私には区別できなかったと思います。
特にテーマ的には、グラッドウェルのこの作品とも関連していますし。
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)
参考記事:【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)
◆また、少々強引(?)なところもグラッドウェル譲りで、たとえば上記ポイントの1番目の「別の階段」の他の例として、米国大統領の「前職」に注目しています。
そもそも、歴代大統領が上院議員より若い(大統領の平均就任年齢は55歳、上院議員に当選する平均年齢は62歳)のはなぜか、というと、多くの大統領が議員経験年数が少ないから。
要は「前職」(軍人、州知事等)での成功の階段を上りつめ、最後に大統領への階段に移り渡っているわけです。
それを踏まえて、「単にがむしゃらに働くのではなく、賢くスマートに働け」というのが著者であるスノーの主張。
彼はこれを「成功への階段(ラダー)をあざやかに攻略(ハッキング)する」という意味で「ラダーハッキング」と呼び、「短期間で成功を収める鉄則」の1番目に掲げています。
◆なお、直接的な「鉄則」とは違うのですが、非常に興味深かったのが、上記ポイントの3番目の「失敗の原因」のお話。
ハーバード大学ビジネススクールの研究員だったブラッドレー・スターツの研究によると、心臓停止を伴わない手術法を学んだ外科医の手術を対象に患者死亡率を追跡調査したところ、新しい手術法で失敗した医師は、その後の手術でもっと大きなヘマをする傾向にあったのだそうです。
その一方で、新手術法で成功した医師は、その後の成績はさらにアップ。
これは上記で触れたように、結果を「外部要因に結び付けたか否か」に依るわけです。
面白いのが、「新しい手術法に失敗した同僚を持つ医師」で、同僚が失敗するたびに自分の成功率は上がったのだそう(ちなみに同僚が成功するのを見ても、自分の成功率は上がらなかったとのこと)。
その理由は、「自分以外がしでかした失敗」だからこそ「他人事」と捉えられ、無意識のうちに「自分は同じ轍を踏まない」と考えるようになるからで、まさにこれこそ「失敗は成功のもと」ですよねw
◆一方、上記ポイントの4番目に出てくる「ミシェル」とは「レディ・ガガになるメイク」で一気に有名になった、メイクアップアーチストのミシェル・ファンのこと。
確かにこの動画1本で、彼女は広く知られるようになりましたが、その後の活躍ぶりは、上記で指摘しているように、それまでのストックがあったからこそ。
この辺は、短期間ですぐ有名になろうとする新興ブロガーの皆さんにも参考にしていただきたいところです(←古参ブロガーの嫌味w)。
いや、実際私も聖幸さんに紹介してもらったおかげで、認知されるようになったと思うんですが、あの時点ですでに2年半弱ブログやっていて、記事数も800以上はありましたからね……。
◆ちなみに、上記ポイントの5番目に関しては、そのテーマで「モロ」の本があるので、ご参考まで(かなりオススメです!)。
インサイドボックス 究極の創造的思考法
参考記事:【オススメ!】『インサイドボックス 究極の創造的思考法』ドリュー・ボイド,ジェイコブ・ゴールデンバーグ(2014年05月15日)
さらには、本書に似たようなタイプとしては、こちらもよかったです。
小さく賭けろ! 世界を変えた人と組織の成功の秘密
参考記事:【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)
逆に、これらの本を既に読まれて、お気に入りだったかたなら、本書は絶対ハマるはず。
もちろん、グラッドウェル好きの方なら、無条件でオススメです。
具体的な成功法則が学びたかったら読むべし!
時間をかけずに成功する人 コツコツやっても伸びない人 SMARTCUTS
はじめに なぜ、人より早く結果を出せるのか
第1章「成功の階段」をハックする
第2章 メンターの理想と現実
第3章 フィードバックで最適化せよ
第4章 プラットフォームの優位性
第5章 波を見つけて波に乗る
第6章 スーパーコネクターの作法
第7章 成功の連鎖をつくる
第8章 シンプルを極める
第9章 10倍思考を実行する
おわりに 実話に学ぶ9の鉄則
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【オススメ】『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』ピーター・シムズ(2012年04月05日)
【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件(2008年11月25日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。白柴さな。
このワンちゃんが「Instagramでのフォロワー数12万人」だというのに、私ときたら……(ry
ご声援ありがとうございました!
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