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2016年08月31日

【アピール?】『なぜか好かれる人の「わからせる技術」』馬場啓介


なぜか好かれる人の「わからせる技術」
なぜか好かれる人の「わからせる技術」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲したコミュニケーション本

著者の馬場啓介さんは、史上最速・最年少で国際コーチ連盟の資格を取得したという逸材です。

アマゾンの内容紹介から。
「わかってもらえない自分」の負のスパイラルに終止符!!!コミュニケーションの超プロがはじめて明かす、あなたの「がんばり」を無駄にしないサバイバルコミュニケーション術!

なお、お買い得なKindle版は、本日配信開始です!





All Staff Meeting / MDGovpics


【ポイント】

■1.相手に興味を持たせる
 私は、名刺交換をしたときには、自分からは話しかけないことにしています。いただいた名刺をじっと見つめるふりをして、相手から何かを聞かれるまで、わざと相手の名刺を見ながら待つのです。そうするとたいてい先方が「馬場さんはどのような方にコーチングされているんですか?」という感じで話しかけてくれますから、私は自然な流れで自分のことをアピールできるというわけです。(中略)
 アピールとは"相手に聞かれたもの勝ち"です。そしてまた、相手が自分に聞きたくなるために必要なのが「相手に興味を持たせる」ということなのです。
 相手が聞く態勢にないところで一方的にどんないいことを話しても響きません。いかにこちらのホームに持ち込むかが大事なのです。


■2.自分をアピールしたいなら、相手のアピールを認める
 上司のゴルフ自慢をたくさん聞き出せば、上司もあなたのことをもっと聞かなくてはという心理が働きます。そうすると、「最近、調子はどうだ?」というように、あなたについて聞かれる可能性がかなり高まり、アピールするタイミングが増えるというわけです。
 自分のがんばりを認めてもらいたいときも、こちらのがんばりを推すよりも、まずは相手のがんばりを認めるのです。そうすると、相手もあなたのがんばりを認めようとしてくれます。
 人間というのは、自分を認めてくれる人のことは認めたいと思うものなのです。
 そして、そういう気持ちが生まれると、こちらがわざわざアピールをしなくても、がんばっているところやよい部分を一生懸命に、相手が自ら見つけ出そうとしてくれるのです。


■3.「相手と同じ言葉」で会話する
横文字のビジネス用語をすらすら並べてプレゼンする人というのは、なんだかできる人っぽくてかっこいいものです。しかしその一方で、聞いているほうは「フェーズ? プロトコル? スキーム? は??」となっているかもしれません。本当にできる人というのは、相手に合わせた話し方をするものなのです。
 相手に伝わるように話す。「言語をそろえる」とは、そういうことなのです。
 会話中は、その人がよく使う言葉に注意してみるのです。(中略)
 さらに、相手が使った言葉を復唱するというのもおすすめです。相手が「夢を持って……」と言えば、「たしかに夢があると成長も早いですよね」というように、その人が使う言葉を反復しながら会話を進めるのです。すると相手は、「この人は話がわかる人だな」と、あなたのことを認めやすくなります。
 相手がよく口にする言葉を意識して自分も使うようにする。これだけで、相手との距離もぐっと近づき、仕事もスムーズに進みやすくなります。


■4.敵意を向けられたら、好意にして返す
 たとえば「君は口だけで、調子がいいやつだね」と嫌味を言われたときに、「そんなことないです! 先日出した企画だって通りました!」と反論したり無言の抵抗をしたりするのは、感情のコントロールができていない証拠です。
 これがアピール上手な人であれば、「そうなんですよ〜」とひとまず笑顔でかわします。そして「だから、いつもあとが大変で……自覚はしている悪いくせで……」と、自らその敵意を認めてしまうのです。(中略)
 そしてさらに、「Aさんにそんなふうに思われていたなんて残念です。以後、気をつけますので、今後ともよろしくご指導くださいね」とつけ加えてみましよう。私は自分のことを「調子がいい」というのはわかっている、でも尊敬するAさんにそんなふうに思われているのは悲しい、言いにくいことを言ってくれてありがとう、というように受け止めるのです。
 このように敵意に好意で返すと、相手はそれ以上責めにくくなります。


■5.まずは自分を信頼する
 では、まわりから信頼され、多くの人から好感を抱いてもらうためにはどうすればいのでしょうか。
 私のコーチング(トラストコーチング)のロジックでは、まずは自分自身を信頼することが出発点となります。
 人間は自分のことを信頼できてはじめて、他人からも信頼してもらえるようになります。そして、そのうえでさらに信頼を深めるコミュニケーションを取ることで、本当の意味で厚い信頼が得られ、好意を抱かれ、「いざというときに助けてもらえる」関係が築けるという仕組みなのです。(中略)
 つまり、自分を信頼できず、まわりからも信頼されていない状態でいくら「がんばり」をわかってもらおうとしてもなかなか認めてもらえないし、アピールが空回りしてしまうのです。
 自分が信頼できる自分、他人から信頼される自分という土台ができてはじめて、これまでお伝えした習慣やテクニックも活きてくるのです。


【感想】

◆冒頭の内容紹介から、「アピール術」の本であることは分かっていましたが、内容的には、いわゆる「アピール」とはひと味違うものでした。

そもそも「アピール」というと、「積極的に自己主張する」と思われがちです。

しかし著者の馬場さんは、それを「欧米式のアピール」と呼び、「日本人向けではない」とバッサリ。

では、どのようにアピールするかというと、「相手が自分のがんばりに自然と気づくようになってくれる"引くアピール"」をせよ、とのことで、上記ポイントの1番目のように「相手に興味を持たせる」のが重要です。


◆本書ではその好例として、著名クリエーターである箭内道彦さんの、入社試験でのエピソードを紹介。

なんでも箭内さんは、広告代理店の面接にギターを持って臨み、それを自分の席の横に立てかけたまま、ギターについてはまったく触れずに面接を受け続けたのだそうです。

そしてそのまま面接が終わりになって「ありがとうございました」と言って離席しようとしたとのこと。

「自己アピールで弾くんだな」と思っていた面接官たちは、「ちょww」となって「そのギターは何だったの?」と当然質問します。

すると箭内さんは、何食わぬ顔をして「え? 聴きたいですか?」と言って、おもむろにギターを弾き、無事自分のアピールに成功したのだとか。

……真似するには、ちょっと勇気がいりますがw


◆また、上記ポイントの2番目の「相手のアピールを認める」というのも、「上司のゴルフ」よりは、分かりやすい事例があったので、そちらもご紹介。

たとえば自分が独身で、フルタイムで働いているとして、職場に産休明けで定時で帰ってしまう同僚がいるとします。

彼女のフォローをして自分が残業をすることもあるのに、彼女はそのがんばりに気づいていない模様。

こんなとき「ひと言くらいお礼があってもいいんじゃない」なんて言うと、「私だって大変なのよ! 会社の規則を破っているわけじゃないんだし、大きな顔しないでよ!」と口論になりかねません。

そこで逆に「仕事と育児を両立するなんてすごいよね。手伝えることがあったらなんでも言ってね」と、先に相手のがんばりを認めてしまうのです。

すると相手も「こちらこそ、私の仕事をフォローしてくれてありがとう」と、気遣ってもらえる次第。

このように、自分のがんばりをわかってもらいたかったら、自分をアピールするよりも、相手のがんばりをまずは認めてしまうのが大事なワケです。


◆これに関連して、第2章では「相手からわかってもらう」ための日頃のTIPSを指南。

たとえば上記ポイントの3番目の「『相手と同じ言葉』で会話する」というのもその1つで、馬場さんにもこれで失敗した経験がありました。

あるときクライアントにプレゼン資料を提出することになり、自信のある内容の資料を提出したのに、あっさりと突き返されたのだそう。

どこが問題なのかと聞いたところ、「ヴィジョンなんていう言葉聞いたことがない。こんな書き方されても頭に入らないし、やる気もでない」と言われたのだとか。

実際、その資料の中で馬場さんは、「このヴィジョンが……」という言葉を繰り返していました。

しかしそもそも、その方は打ち合わせで「ヴィジョン」どころか、カタカナ言葉自体ほとんど用いていないことを思い出した馬場さんは、「ヴィジョン」を「未来予想図」に変え、内容をそのままに再提出。

すると相手は「すごくいいね!」と大満足してくれた、とのこと。

なるほど、内容が同じでも、「相手が使う言葉やしっくりきそうな文言を選ぶ」だけで、評価が一変したりするんですね……。


◆やたらと事例ばかり挙げてしまいましたが、本書はこのように実際のケースを多々収録しており、分かりやすく、かつ、腑に落ちました。

そんな中、付箋を貼ったもののご紹介できなかったのが、第4章の「それは、愛からなのか、それとも不安からなのか」というお話です。

これは、相手に同じ意見を言うのであっても、「愛」で伝えれば伝わりやすいが、「不安」で伝えれば「攻撃」と受け止められ、伝わりにくくなる、というもの。

ここは中途半端に引用すると、誤解されたり、意味が通らない可能性があるので割愛しましたが、ぜひ本書にてご確認いただきたいと思います(私の場合、モロに子育てに関係していると感じました)。


自分のことをわかってもらうために読むべし!

なぜか好かれる人の「わからせる技術」
なぜか好かれる人の「わからせる技術」
第1章 「わかってもらいたい」と思う人ほど、実はわかってもらえない!
第2章 この習慣が「何もしなくてもなぜか人から好かれて引き上げられる人」をつくる
第3章 認められようとしないのに認められてしまう人になる方法
第4章 「自分をちゃんとわかってもらえる人」になるために


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【編集後記】

◆そういえば、知らぬ間にこの本のKindle版が出ていました。

悪いヤツほど出世する
悪いヤツほど出世する

うーん、やはり「時間差Kindle本記事」も、いいかげん書かないと、まずいな、と……。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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