2016年08月24日
【自己アピール?】『ビジネスで差がつく「自己アピール」の技術』劒持秀樹
ビジネスで差がつく「自己アピール」の技術 (知的生きかた文庫 け 2-1)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した書き下ろし文庫本。お名前を変えられていたので最初気が付かなかったのですが、著者の劒持秀樹さんの作品としては、以前当ブログで『選ばれる人になる絶対的存在感の作り方』をレビューしております。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
第一印象、話し方、目つき、顔つき、態度……
評価は「ここで」劇的に変わる!
世界一厳しいプレゼン・トレーナーが教える、一生モノのコミュニケーション術。
タイトルの「自己アピール」もさることながら、上記内容紹介にあるように「コミュニケーション術」としても秀逸な1冊です!
y2.d89 | the metronome i listen to beats inside of my chest, it speeds up with a level of stress, it's built to last, but analog at best. ingest another measurement of time served. my lifeline swerves, kinda like a sine curve. time blurs. / B Rosen
【ポイント】
■1.「行動するメリット」と「行動しないデメリット」を比較する誰よりも先に行動することで、確かに目立つことはでさます。しかし、同時にリスクが生じます。行動の結果、何が起きるかわからないし、それに対する回避策も持ち合わせていないことが多いからです。失敗を恐れていると、行動には移せません。
そこで大切になるのが、行動を起こした場合に得られるメリットと、起こさなかった場合に生じるであろうデメリットを比較するという考え方です。
多くの方が、行動を起こした場合のメリットとデメリットを比較してしまいますが、これには意味がありません。なぜなら、行動しない言い訳を探しているに過ぎないからです。
■2.「一回一動作」「語先後礼」を徹底する
「一回一動作」「語先後礼」について、簡単に解説しておきましょう。
これらは、言葉の通り、「歩さながら携帯で電話をする」「お辞儀をしながら挨拶をする」といったような、動作の複合をやめ、分離させることをすすめる考え方です。(中略)
実は、これにはゆったりした立ち居振る舞いによって相手に好印象を与える、という表面的な意味合いだけではなく、その裏には「小さなケアレスミスを未然に防ぐ」という"意図"が隠されています。(中略)
そして、「一回一動作」は、目上の方や顧客といった、自分より立場が上の相手だけではなく、同僚や部下など、自分と同等、もしくは下の立場の相手に対しても、「あなたを大切にしていますよ」という"意図"をアピールすることができます。
■3.ジェスチャーに身体言語をリンクさせる
日本語には、身体の一部を組み込んだ慣用句が数多く存在します。そこに使われる言葉とリンクさせたジェスチャーを組み込むことで、意味を伝わりやすくすることが可能です。「胸が熱くなる」→胸に手を当てる
「耳の痛いご指摘です」→耳を押さえる
「腹を割って話しましょう!」→ジャケットのボタンを外してシャツを見せる
「手のうちは全て見せています(隠しごとなど何もありません)」→手のひらを相手に見せる
■4.自分に起きている身体的反応を冷静に分析する
先ほども例に出した緊張は、身体が震える、呼吸が浅くなる、声が上ずる、とした反応を生み出します。人はそれらを認識した瞬間、現状に立ち向かおうという意欲が一気に低下し、自信を失い、行動することに恐怖や不安を覚えてしまうのです。
この状態とうまく折り合いをつける方法が「切り離し」です。自分に起きている身体的反応を客観的に眺めることにより、影響を受けないようにするスキルです。
実は、身体的反応を消し去ることは、プロのミュージカルの舞台に立った経験がある私でも、不可能です。
ですから、緊張して震えている自分を「武者震いしているね!」「こんなに震えるのは、○○の公演以来かな?」などと、冷静に分析してしまうのです。すると、震えという身体的反応が、自分の問題ではなく、どこか他人事のように感じられていくのです。
■5.出来事にポジティブな見解をプラスして伝える
次に上手な自己開示のコツをご紹介しましょう。
それは、自分の人生に起こった出来事(事実)を話題にするだけでなく、その出来事に対して感じた「自分ならではのポジティブな見解」をプラスして伝えるということです。
自分自身が体験した出来事から得た、気づき(学び)・変化について、あなたのキャラクター(個性)・価値観・信念・アイデンティティなどを反映させながら表現するのです。(中略)
あなたという存在のフィルターを通して語ることで、はじめて相手との距離を縮め、商談の成功という成果への道のりを進むことができるのです。
【感想】
◆「自己アピール」というと、一般的に日本人の感覚としてはあまり好ましく感じられない場合が多いです。というのも、日本がいわゆる「言わなくても分かってもらえる」という「ハイコンテクスト文化」だから。
ところが本書の著者である劒持さんがいた芸能界では、もともと才能のある人たちがしのぎを削る世界だけあって、持って生まれた能力だけで差をつけるのは至難の業です。
そこでものをいうのが「自己アピール」。
そして実は、これはビジネスシーンでも同じで、同期入社で成績も大差ないのに、出世に差があるのは、「自己アピール」によるものです。
つまり、同じスキル、同じ能力であるなら、「自己アピール」がモノを言う次第。
◆そこでまず留意すべきが「挨拶」です。
冒頭で触れた劒持さんの前作のレビューでもご紹介しているので、今回は割愛しましたが、「挨拶は命がけ」!
実際、劒持さんは劇団四季時代、「挨拶がきちんとできなかった」がために干された人を何人も見てきたのだそうです。
そしてそれに関連するのが、上記ポイントの2番目の「一回一動作」と「語先後礼」。
「語先後礼」は、説明がありませんでしたが、「言葉が先で、お辞儀が後」という意味で、あいさつの基本です。
いずれにせよ、「動作の複合をやめる」ことは、特に相手に対する敬意を表すもの。
本書の第2章では、セールス本の著作も多い朝倉千恵子さんが、「部下の報告を聞く際、パソコンを見ながらだったのをやめたら、チームの成績が急上昇した」エピソードが収録されており、その効果が実感されます。
◆また、上記ポイントの4番目の「身体的反応を冷静に分析する」というTIPSは、以前この本でご紹介した「自分の行動を実況中継する」に通じるな、と。
頭の回転が速くなるすごい!法 (知的生きかた文庫)
参考記事:【能力開発】『頭の回転が速くなるすごい!法』佐々木豊文(2011年08月29日)
上記書籍によると、第2回WBCの決勝・対韓国戦の10回表で、イチロー選手が打席に入る前にあれこれ頭に浮かんだ際に、実際に行ったそうです。
「こんなことが頭に思い浮かぶときはろくな結果になりません。でも浮かんでしまった以上、消すこともできないから、こうなったらこの流れに便乗したれと思って、ちょっとした実況中継を始めたんです。『さあ、この場面でイチローが打席に入ります!』みたいにね」
ご存知のようにイチロー選手は見事タイムリーヒットを快打!
それにあやかるワケじゃないですが、ぜひ、プレゼンや会議でも実践してみたいな、と。
◆一方、上記ポイントの5番目にある「自分ならではのポジティブな見解」をプラスするためには、自分のことを一段掘り下げてとらえ直し、しっかりと理解しなくてはいけません。
そのために本書では、「自分を深堀りするための10の質問」なるものが掲載されているという。
参考までにいくつかご紹介しておくと、このような感じです。
・あなたの人生で飛び上がるほどうれしかった出来事は何ですか?(いくつでも)答えられない質問ではないのですが、今まで考えたことがなかったということは、それだけ深掘りができていないのだな、と思った次第。
・あなたの人生で消し去りたいほどいやなことは何ですか?(いくつでも)
・あなたの人生に大きな影響を与えた出会いは何ですか?(いい出会い、悪い出会いなどいくつでも)
・「もう死にたい」と思ったことはありますか?あるとしたら、それはなぜですか?
ピンと来られた方は、ぜひ本書を読んで、10個全部に答えることで「自分を見つめ直して」ください。
周りから「選ばれる人」になるために!
ビジネスで差がつく「自己アピール」の技術 (知的生きかた文庫 け 2-1)
第1章 「アピール力」は最強の武器
第2章 できる人の「目つき・顔つき・態度」を学べ!
第3章 もっと「自分」を上手に伝える話し方
第4章 「感情の整理」がうまい人は、何をやってもうまくいく
第5章 相手を味方にする会話「すぐできる」コツ
【関連記事】
【劇団四季流?】『選ばれる人になる絶対的存在感の作り方』櫻井秀樹(2014年05月19日)【心理術】『仕事もプライベートも 「思い通りにならない相手」を動かす心理術』水島広子(2014年05月05日)
【90のTIPS!】『どんな場面でもそつなく振る舞えるコミュニケーション・テクニック90』レイル・ラウンデス:マインドマップ的読書感想文(2014年04月29日)
知らないと損する『「なぜか人に好かれる人」の11の法則』 活用法(2012年03月26日)
友達には秘密にしておきたい『90秒で好かれる技術』(2011年08月19日)
【編集後記】
◆今頃気が付いたのですが、「ヤバ経」シリーズの過去の作品が、先月になって相次いでKindle化されたようです。ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不都合な真実
参考記事:お前らもっと『ヤバい経営学』の凄さを知るべき(2013年03月03日)
超ヤバい経済学
参考記事:【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)
ヤバい経済学〔増補改訂版〕―悪ガキ教授が世の裏側を探検する
参考記事:ヤバい経済学 [増補改訂版](2007年05月16日)
うーん、最近「時間差Kindle本」記事書いてなかったのですが、そろそろ棚卸しないといけないかもですね……。
ご声援ありがとうございました!
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