2016年07月28日
【遊び?】『大人はもっと遊びなさい』成毛 眞
大人はもっと遊びなさい (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、1つ前の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた成毛 眞さんの新作。帯に書かれているように、忙しい現役世代のための「成毛流"遊びのすすめ"」が指南されています。
アマゾンの内容紹介から一部引用
「趣味は何ですか」「最近遊んでいますか」と聞かれて、ドキッとした経験はないだろうか。「仕事が忙しくて趣味どころではない」「そもそも遊び方がわからない」という声も少なくない。しかし、著者は「真面目に働いている人ほど、遊んだほうがいい」と断言する。「仕事と遊びの関係」「遊びの種類・探し方・選び方・止め方」「テレビ番組の活用法」「道具の選び方」「東京圏の遊び、地方の遊び」「時間の捻出方法、お金のかけ方」「編集者の趣味」「子どもと遊び」「遊びを語る作法」など、遊びを多角的に論じることで、生き方を問う一冊。
なお、新書版に内容紹介がなかったので、上記はKindle版の方から引用しております。
Kabuki theater / matsuyuki
【ポイント】
■1.退職後も続けられる遊び・趣味を見つけておくこれはもう何年も前から言われていることだが、仕事に夢中になっていた人が退職後、抜け殻のようになってしまうことは珍しくない。膨大な時間を手に入れて、何をしたらいいのかわからなくなってしまうのだ。(中略)
だから今から、退職後も続けられる遊び・趣味を見つけておいたほうがいい。ボートで海を渡るなら、どこからどこまで、どこを経由していくか見当をつけておくのである。そして少しはオールの扱い方を練習しておいたほうがいい。どうすればボートが前に進むのかくらいは、若いうちから知っていて損はないのだ。
■2.初心者こそが最強
私の知り合いに、子どもの頃からあまり映画を観てこなかったという人がいる。友人たちが映画の話を始めると、まったく話についていけず、困っていたそうだ。ところが、その友人のうちの1人に「ということは、まだまだこれからたくさんの名作を初めて観る喜びを味わえるということだね」と言われ、目からウロコが落ちたという。
遊びには、続けているからこその楽しみがあるのは確かだ。しかし、初心者には初心者の楽しみ方がある。何も知らない子どものように素直に「すごい」とか「びっくりした」とか「これは好きじゃない」と直感的に言えるのは、初心者の強みである。
だから、多くの人がすでに経験している遊びを今から始めることを、ためらう理由はどこにもない。やってみたいと思ったら、その気持ちに素直になってやってみればいいのである。
■3.遊びに優劣はない
何かのコレクションをしている人でも、自分とは桁違いのコレクションを持っているる人の前では、沈黙してしまう。別に、それで人間の序列が決まるわけでも何でもないのだから、好きなものの話をすればいいのに、あたかも、流暢に英語を話す日本人の前では口をつぐんでしまう、片言の英語しか話せない日本人のように寡黙になる。
その点、私は無趣味であることを誇りに思っているし、そのときに気になることがあれば「今、ハマっているのはこれです」と言ってしまう。言ってしまうどころか、楽しくその話をして回り、仲間を増やそうとすらする。
なぜなら、遊びとはその程度のものだと思っているからだ。
遊びに優劣はない。ねばならないもない。好きに楽しめばいいのである。
■4.止めてしまわず「休止」する
大人気のランニングやジム通いではあるが、始める人がいる一方で、止める人も多い。しかし、止めることは恥ずべきことではない。仕事や人生ではないのだから、止めたくなったら止めればいい。(中略)
ただ、止めたと思ってしまうと復帰へのハードルを上げてしまいかねないので、しばらく休むと思うこと。引退ではなく、お休み。それも休止ではなく一時休止である。いつまで休むかは、自分自身と神のみぞ知る、だ。
この発想があると、どんなことでも楽しめる。
■5.何をキュレーションするかで人物がわかる
私は『イノべーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著、翔泳社)や『ザ・ゴール』(エリヤフ・ゴールドラット著、ダイヤモンド社)といった、べストセラーのビジネス書のことも、愛読書として挙げることはない。
こういった本は私にとって読んで面白い本というよりは、押さえておくべき本であって、これらを読むことは毎朝ひげを剃る行為に似ている。仕事の相手との会話を最低限成立させるためのマナーとして、読んでいるのである。だから、こういった本を力強くすすめる人に遭遇すると、なぜひげ剃りをそんなにすすめるのだろうと戸惑ってしまう。
なお、私がHONZでキュレーションするのは、あまり人に知られていない、でも読むと知的好奇心を強く刺激される本ばかかりだ。みんなが読んでいるものより誰も読んでいないもの、「へえ、そんなに面白い本があるんですか」と言われるような魅力のあるものが好きなのだ。これは私の性格そのものだし、できれれば親しい人にはそういう本を見つけ出してくる人だと思ってもらいたいと考えている。
【感想】
◆いかにも成毛さんらしい1冊でした。そもそも私が一番最初に読んだ成毛さんの本というのがこちらでしたし。
大人げない大人になれ!
参考記事:【痛快!】「大人げない大人になれ!」成毛眞(2009年11月25日)
当時から成毛さんのスタンスは、効率性や生産性を重視する、いわゆるハック系の作品とは完全に一線を画していました。
主催されている「HONZ」でも基本的には、いわゆる「ビジネス書」は少ないですし、「ビジネス書以外の本を読んでビジネスに活かすべし」と主張する成毛さんにとって、「遊び」を本のテーマにされるのは自然なことです。
それにしても、新書なのはさておき、よりによって「ビジネス」メインの「PHPビジネス新書」というのはいかがなものかと思いますがw
◆さて、その成毛さんの遊び方ですが、上記ポイントで挙げたように、きわめて自由です。
なんたって、第2章のタイトルが「真面目に遊ぶな」ですからw
実際にどんな遊びをするのかについても、「ダメ出し」等はされていません(「身を滅ぼす系」を除く)。
意外だったのがゲームも薦めてらっしゃったことなんですけど、たまたま気になってチェックしたこちらは、タッチや世界観が素敵です。
……でも、私はゲームはしませんけどね!←頑なw
◆なお、どんな遊びをするにせよ、成毛さんいわく「すべては本から始めよ」「ひとまず5冊は読んでおきたい」とのこと。
内訳は、「絵本、大御所による専門書、当事者による専門書、新書、そして雑誌」なのだとか。
本書では歌舞伎を例に挙げて説明しているのですが、たとえば絵本がこちら。
絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)
大御所による専門書は、具体的な書名は挙げていないものの、渡辺保氏の作品が該当する、と。
Amazon.co.jp: 渡辺保: 本
当事者による専門書としてはこちらが。
染五郎の超訳的歌舞伎
そして新書と言えば、この本を忘れてはなりません(他の新書も紹介されていましたがw)!
ビジネスマンへの歌舞伎案内 (NHK出版新書 446)
ちなみにこの本は、Kindle版を購入して、絶賛積読中なんですが(ダメじゃんw)。
なお、最後の雑誌に関しては、専門誌がなくとも『Pen』や『BRUTUS』のような雑誌が特集していたら購入すべき、なのだそう。
◆個人的には、子どもとの関わり合いについて、色々考えることがありました。
遊びを何か一緒に始めるもよし、自分が教えるもよし。
ちなみに私の父は、私の目から見てもかなりの趣味人(ゴルフシングル、囲碁五段等)でしたが、小学生だった私に色々仕込もうとして、すべて失敗していました。
私はどれも興味が持てませんでしたし、それもあって、私はムスコには何かを強制はさせたくありません。
唯一、この本で一緒に始めたゲームプログラミングも、実際に3DSを買ってからは、市販のゲームの方が面白いらしくて(当たり前ですがw)、もう半年以上触ってもいませんし、どうしたものか……。
MOONBlockでつくるゲームプログラミング: エンちゃんと遊ぼう!
◆上記ポイントの5番目についても、成毛さんらしいな、と。
確かに成毛さんの著作や『HONZ』では、ベタなヒット作や話題書を取り上げることはあまりありません。
むしろ『HONZ』で取り上げられたことによって、その後ヒットとなる作品もいくつか出ていますし。
一方私は、他人からオススメ本を訊かれた際は、相手や状況にもよりますが、大抵こちらを挙げているという……。
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】『影響力の武器』の[第三版]を[第二版]と比較してみました(2014年07月14日)
「親しい人にそういう本を見つけ出してくる人」だと思われるのだとしたら、実際ヒトサマからどう思われているのやらw
遊びの敷居を低くしてくれる1冊!
大人はもっと遊びなさい (PHPビジネス新書)
第1章 できる大人は、遊んでいる
第2章 真面目に遊ぶな
第3章 成毛流・新しい遊びの始め方
第4章 ずらせばずらすほど遊びは面白い
第5章 誰かに語るまでが遊びである――キュレーションする作法
【関連記事】
【痛快!】「大人げない大人になれ!」成毛眞(2009年11月25日)【キュレーション?】『これが「買い」だ:私のキュレーション術』成毛 眞(2016年04月18日)
【成毛節全開?】『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。 新・ミドルエイジ論』成毛 眞(2013年06月16日)
【スゴ本】『横井軍平ゲーム館: 「世界の任天堂」を築いた発想力』横井軍平,牧野武文(2015年08月17日)
【編集後記】
◆昨日ご紹介したこの本ですが。オトナ相手の教え方
参考記事:【教え方】『オトナ相手の教え方』関根雅泰(2016年07月27日)
レビューのPVも並みでしたし、ブクマもされなかったのに、かなり大量にお買い上げいただきました。
ただ、そのレビューでも書きましたが、ぶっちゃけこのお値段だからこそ取り上げたようなものなので、セール価格(?)終了後にお求めになる方は、ご留意ください。
ご声援ありがとうございました!
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