2016年07月25日
【仕事術】『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力』山梨広一

マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった「仕事術本」。すでに土井英司さんがメルマガで取り上げているので、お求めになった方も多いと思います。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
世界最高のコンサルティングファームのトップコンサルタントとして得た豊富な経験からわかった「いい努力」「悪い努力」とは?
本書は、マッキンゼー在籍25年、パートナー経験20年の中で膨大な仕事を経験してきた著者が、「生産性が劇的に上がる働き方」を初めて公開した、極めて画期的な一冊だ。
なお、Kindle版は、本日から配信スタートです!

Day 91--Meeting / lorda
【ポイント】
■1.「いい努力」の7つの定義(1)「成果」につながるもの
(2)「目的」が明確なもの
(3)「時間軸」を的確に意識しているもの
(4)「生産性」が高いもの
(5)「充実感」を伴うもの
(6)「成功パターン」が得られるもの
(7)「成長」を伴うもの
(詳細は本書を)
■2.生産性が高い思考に必要な3点セット
いい努力に結びつく、生産性が高い思考に必要なのは、「(1)目的 (2)境界条件 (3)課題」の3点セットを押さえることだ。(中略)
早合点で目的を誤認していたら、一生懸命にやった行動がムダになる。
また、行動する前に、「そもそもどこまでの範囲で動いてもいいのか」といった条件(=境界条件)についても確かめておくべきだ。それを知らずに努力すると、無意味なムダが随所に生まれてしまう。
そして、目的を達成するためにどのような課題があるかを考えないと、いい努力はできない。課題を誤認していたら、それを解決しても、目指す成果にはつながらない。
■3.「いちばん効くレバー」を引く
まず、いい努力をするには、つねに「いちばん効くレバーは何か」という発想を持っておかなくてはならない。優れたコンサルタントは、「この課題を解決しよう」というとき、まずはいちばん効くレバーは何かを考える。(中略)
方策にしてもキーパーソンにしても、全部のレバーを引くわけにはいかないから、どれが最も効くかを考える。考えた末に、いちばん効くレバーを見つけられるかどうかが、成否の半分ぐらいを決める。(中略)
そのうえで、レバーの効果を最大化するにはさらに、「素早く、一気に」引くことだ。
■4.大きな成果につながる仕事を優先する
いい努力とは、自分が目指す成果につながる行為だ。純粋にこの視点から仕事を見れていれば問題はないが、漫然と仕事をしていると、ついいつのまにか目指す成果から目がそれているものだ。
あなたはいま、催促のうるさい上司や付き合いやすいクライアントの仕事を優先してはいないだろうか? 締め切りが近い仕事から順番に取り組んではいないだろうか?
どういう基準で「その仕事を優先すべき」と考えているのか、改めて「成果の大きさ」の一点からプライオリティの付け方を見直してみることだ。
■5.早く帰ることで「仕事の筋肉」を鍛える
仮に、真夜中まで残業するクセがついていた若手社員が、「どんなに遅くても夜9時には帰る」と決めたとする。
最初は死にものぐるいでやっても9時が精一杯かもしれない。だが少し経つと、死にものぐるいにならなくても9時に仕事を終えられるようになる。そのままだと仕事のやり方にゆるみが出てくるから、今度は8時に帰ると決める。そして次は7時に帰るようにするなどとしていけば、徐々に仕事のスピードは上がっていく。
これは仕事におけるフィジカルの強化ともいえる。
【感想】
◆本書を読んでなかなか本質を突いた1冊だな、と感じました。まずは、上記ポイントの1番目の「いい努力」の7つの定義。
これらを満たすものでなければ、本書で言うところの「いい努力」には該当しません。
これはむしろ、逆を考えれば、「何が『いい努力』でないか」が分かるかと。
たとえば「『成果』につながらないもの」や「『いつまでに』が漠然としているもの」は、「いい努力」ではないワケです。
ちなみに本書では、「いい努力」が75項目が列挙されているのですが、小見出しの横下に「悪い努力」も併記されていますので、ご参考まで。
◆また、本書における「いい努力」はかなり広範囲に及びます。
アマゾンの内容紹介の後半部分にあるように
「行動法」「思考法」「時間管理術」「会議術」「情報収集」「スケジューリングの方法」と、テーマも多種多様。
また、書かれていないものでも「マインドセット」や「洞察・仮説の立て方」「リーダーシップ」なんてものもありました。
……さすが「マッキンゼー在籍25年、パートナー経験20年」という経歴は伊達ではありませぬ(その後は「2014年、マッキンゼー退社後、イオン株式会社執行役を経て特別顧問。2016年から株式会社LIXILグループ取締役」とのこと)。
◆なお、言い方を変えたりしながらも、本書内で何度となく指摘されていたのが、「仕事をダラダラしない」ことです。
特に個人的に刺さったのが、上記ポイントの5番目。
私の場合、会社員時代はやたらと忙しかったので、むしろ「長時間残業に耐える」ことで、「仕事の筋肉」を鍛えたつもりでいました。
あの頃は「どうせ残業は避けられないのだから」と、逆に体力を温存して、結果、仕事のスピードを上げる訓練を怠っていた自分……。
まぁでも当時の職場環境を考えたら、もし全力でやって速攻で仕上げても、さらに別の仕事が降ってきて、結局同じ時間に帰ることになり、ヘロヘロになっていた可能性も否定できないんですが。
◆そういえば、つい最近、やはり「マッキンゼー出身者」の手による、こちらの作品をご紹介したばかりでした。

47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?
参考記事:【オススメ!】『47原則―――世界で一番仕事ができる人たちはどこで差をつけているのか?』服部周作(2016年07月16日)
ただ、この『47原則』の方が、著者の服部さんが海外のマッキンゼーにいらした分、「欧米スタイル」な感じ。
もっとも、お二人とも長期に渡ってマッキンゼー流の仕事術をされてきただけに、説得力は大きいです。
かつ、今回の山梨さんの作品の方が、「悪い例」まで挙げて説明している分、理解しやすいと思われ。
無駄な努力をする前に読むべし!

マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をしてわかった いい努力
第1章 努力の質を変える 仕事に「いい流れ」をつくるルール
第2章 いい努力を生み出す思考法 「次の行動」をクリアにする考え方
第3章 いい努力につながる時間術 早く動いて「努力の効果」を最大化する
第4章 いい努力を進化させる 自分を「成長」させ続ける行動法
第5章 人と一緒にいい努力をする 「最も大きな成果」を生み出す仕事術
【関連記事】
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【仕事術】『世界No.1コンサルティング・ファームが教える成長のルール ハイパフォーマー集団が大切にする3つの仕事力』作佐部孝哉(2014年11月28日)
【オススメ!】『コンサル一年目が学ぶこと』大石哲之(2014年07月30日)
【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)
【編集後記】
◆本日のKindle日替わりセールから。
日産 驚異の会議
中古の方がお買い得なのですが、当ブログで以前ご紹介しているので、ご参考まで。
参考記事:【ゴーン流!?】『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』漆原次郎(2011年12月30日)

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