2016年07月13日
【自己鍛錬】『君もチャンピオンになれる』ボブ・ボウマン
君もチャンピオンになれる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だったスキルアップ本。エピソードはトレーニングのお話が中心ですが、スポーツに限らず「何かを究めたい」方なら参考になることうけあいです。
アマゾンの内容紹介から。
通算18個の金メダルを獲得したマイケル・フェルプスをはじめ43人の世界記録保持経験者を育て上げた伝説の名コーチが教える、大きな目標を最短で実現する10のゴールデン・メソッド。仕事、スポーツ、勉強、芸術、教育、子育て…あらゆる場面で活用できる!
新刊にしてはお手頃価格なので私もゲットしたKindle版がオススメです!
Michael Phelps / The Wolf
【ポイント】
■1.はっきりした目的をもってビジョンを思い描くいくつものビジョンを思い描こう。したいこと、なりたいもの、達成したいこと──たくさんのメニューを作ろう。想像の翼を広げるのだ。ただし、はっきりとした目的を持って想像しよう。頭のどこかで、「夢を見ているだけかもしれない。でも、実現するかもしれない」と思おう。
たとえば、「パリにアパートメントを持ちたい。お金に困らないようになりたい。そうだ、スキーも習いたい」と思うとする。それから現実に戻ると、ビジョンの中には、すぐに、あるいは、何か月、何年か先にならないと取りかかれないものがあることに気づく。子供が中学を卒業するまでは無理だな、とか、親が高齢で、弱りはじめているから、とか。
しかし、中には1つくらい、すぐに挑戦できる夢があるかもしれない。たとえばスキーを習いたいというビジョンを「当面の計画」に入れよう。これが、新しい何かを始める第1歩になる。
■2.結果をめざすなら「勝つ」ことを目的にしてはいけない
これまでマイケルや他の世界クラスの選手を指導してきたが、「オリンピックで金メダルを勝ち取ること」を最優先課題にしたことは一度もない。私は選手全員にこう言っている。「金メダルはおまえがコントロールできないものだ。試合当日に他の選手がおまえよりうまくやるかもしれないからな」
しかし、狙いを記録更新に定めれば──自己ベストを目標にすれば──目に見える目標、達成できる目標、すなわち自分がコントロールできる目標が見えてくる。
若いアスリートがこの違いを理解するには、適切な視点を身につける必要がある──世間から認められることをめざすのではなく、自分が満足し、かつチームのためになる結果をめざすという視点だ。
■3.目標を毎日目にするところに掲げる
短期目標と長期ビジョンの両方に集中しつづけるには、視覚に訴えるのが効果的だ。だから、メドーブルックの会議室には、オリンピックまでのすべての主要な大会とその日までの日数が書かれた大きなホワイトボードがある。
そのボードは面白いように選手に活を入れる。ワークアウトを少し手抜きした選手がオフィスに入ってボードを見て「まずい! メサ・グランプリまで4週間しかないぞ!」と叫び、その日から猛練習する──そんな姿を何度も見てきた。
あなたも自分が追求する毎日の目標と、最終的に実現したいゴールを書き出そう。月間の売り込み電話のノルマが達成できずに苦労している営業マンは、本当はどうすればいいかを知っているはずだ。(中略)
まず、1か月の大きなカレンダーを用意して、月末の欄に大きな赤い数字で、ノルマの数字を書く。たとえば毎月電話を100回かけるのなら、20日働くとして、すべての営業日の欄に赤い字で大きく「5」と書き込む。そのカレンダーをオフィスの全員が見るところにかけよう。
■4.「ちょっと余分な努力」が成功につながる
私が言いたいのは、どんなことでも、多くの場合、どれだけの質と量の努力を注ぐかによって成功が決まるということだ。
私の父親のような着実な方法でも、マイケルのような猛烈な方法でも、目標にたどりつくのは同じだろう。ただ、どちらのルートでも質と量がものを言うということだ。日々の努力について言うなら、両方を追求すれば最も良い結果が出る。
選手たちには、毎回の練習のときの「ちょっと余分な努力」がビジョンという口座の預金を増やすと伝えている。銀行口座のように、努力すればするだけ、才能やスキルが増えていくのだ。
■5.集中できないときは「ふり」をする
リオに向けたトレーニングが1年ほど経過した2014年夏、彼女はメドーブルックの練習を見に来た記者に、反復とルーティンと練習が嫌になることがあると言った。「練習に来たくない日もあるわよ。でも、だれだって仕事に行きたくない日があるでしょ」
乗り越える秘訣があるのかと記者が聞くと、アリソンはうなずいた。「ふりをして、そのふりが本物になるまで、ふりをしつづけるの」
「どういうことですか?」
「じきに泳ぐのが楽しくなるぞって自分に言っていると、そんな気になれないときでも、だまされて楽しくなるのよ」
アリソンの言う通りだ。ときには、がんばって「がんばるふり」をしなければならない日がある。より大きな目標を追求しているときは特にそうだ。しかしどんな気分のときも、ゲームプランと日々の目標を絶対に守る姿勢を維持すべきだ。たしかに簡単ではないが、絶対に必要だ。
【感想】
◆想像通りと言いますか、むしろそれ以上に「真っ当な」やり方が終始展開されていた1冊でした。中心となるのは、内容紹介にもある、10ステップから成る「ゴールデン・メソッド」。
その各ステップが、そのまま本書の第1章から第10章に対応する仕様です。
下記目次とも内容的にかぶりますが、一応。
・ステップ1:「ビジョン」を描く途中、ステップ4の「ゲームプラン」というフレーズだけ違和感があるかもしれませんが、それ以外は普通に「自己啓発書の目次」と言っても、誰も疑わないでしょう。
・ステップ2:「オールイン姿勢」で臨む
・ステップ3:「リスク」を負う
・ステップ4:「ゲームプラン」を立てる
・ステップ5:「毎日」努力を欠かさない
・ステップ6:「チーム」の助けを得る
・ステップ7:「モチベーション」を維持する
・ステップ8:「逆風」をバネにする
・ステップ9:「自信」を身につける
・ステップ10:達成を「祝う」
しかも、その「ゲームプラン」というのも、内容的には「詳細なスケジュール」なんですから、冒頭の内容紹介で「仕事、スポーツ、勉強、芸術、教育、子育て…あらゆる場面で活用できる」というのもうなずけるところ。
◆ただし、求めるレベルはかなりハードです。
もっとも、登場する事例の8割がたが、世界的なスイマーであるマイケル・フェルプスなんですから、さもありなん……。
マイケル・フェルプス - Wikipedia
上記Wikipediaのページは今般初めて見たんですが、右端に年度ごとのオリンピックや世界選手権のメダルの色が掲載されており、金だらけでワロタww
このフェルプスの場合、著者のボウマンが指導を始めたのは、フェルプスが11歳のとき。
その時点ですぐにボウマンは、フェルプスの才能を見抜き、両親に2000年のオリンピックの代表選考会に出ることを予言します(実際に15歳でオリンピックに出場)。
さらには2004年のオリンピックではメダルを獲る(実際に金6、銅2)、と断言するんですが、これはまさに、上記ポイントの1番目の「ビジョン」でしょう。
◆もちろん、ただ「ビジョン」を思い描くだけでなく、その目標が高い分、日々のトレーニングは熾烈を極めます。
それでも「自分のすべてを賭けて」打ち込む、というのが、ステップ2の「オールイン姿勢」。
北京五輪で8個の金メダルを獲った後、フェルプスは水泳以外のさまざまな外的環境からトレーニングに打ち込みにくくなるのですが、ロンドン五輪の1か月前からトレーニングを再開します。
結局ロンドンでも4つの金メダルを獲れたのも、最後の1か月は、この「オールイン姿勢」でいられたから……なんですが、もっと早く戻れていたら、さらにいい結果になれたことは、フェルプスもボウマンも理解していたのだそう。
◆ちなみにフェルプスはロンドン五輪後一回引退したものの、現役に復帰します。
本書のプロローグでは、フェルプスがボウマンを呼び出し、カムバックの意志を伝えた場面が描写されており、ここがなかなかスリリングで、読んでいて緊張しました。
「適切な理由がない限りやめたほうがいい」というボウマンに対し、フェルプスは「まだかなえたいことがある」と訴え、二人は再びタッグを組むことになります。
本書の執筆時点では、リオ五輪に挑戦することになったフェルプスがどうなったか描かれていないのですが、どうやら選ばれたみたいですね。
フェルプスが3冠 リオ五輪競泳米国代表選考会:日本経済新聞
◆なお、本書の巻末には付録として、ボウマンの「名言集」が収録されています。
立ち読みされる方は、上記のプロローグとこの「名言集」からチェックしていただければ、と。
ただし、本書は全体として、あまりに「真っ当な」ことばかり書かれているので、「ラクして成功」を目指す方には向かないでしょう。
裏ワザとは無縁の、「努力」「友情」(ステップ6は「チーム」ですw)「勝利」の「ジャンプメソッド」的な展開に、いずまいを正したくなること必至!?
スポーツ以外では、確かに「営業」「受験」辺りに効きそうな1冊です。
成功を手に入れたいなら要チェック!
君もチャンピオンになれる
●STEP1【Vision】:自分が実現したい明確な「ビジョン」を持つ
●STEP2【All-In】:成し遂げる人はみな「オールイン姿勢」を備えている
●STEP3【Risk】:大きな目標のためにあえて「リスク」を負う
●STEP4【Game-Plan】:「ゲームプラン」があればゴールまで迷わない
●STEP5【Routine】:「毎日」進みつづける努力を欠かさない
●STEP6【Team】:「チーム」のサポートなくして個人の成功はない
●STEP7【Motivation】:情熱に火をつける「モチベーション」の保ち方
●STEP8【Adversity】:さらなる高みに行くには「逆風」が必要
●STEP9【Confidence】:いざというときの「自信」が決定力になる
●STEP10【Celebration】:「祝う」ことで新しいビジョンが見えてくる
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【編集後記】
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