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2016年06月26日

【文章術】『誰も教えてくれない 書くスキル』芝本秀徳


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誰も教えてくれない 書くスキル


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった文章術本

著者の芝本秀徳さんは、かつては「上村敏彦」名義で活動されていたそうで、私も7年くらい前に著作にお世話になっていました(知らなんだw)

アマゾンの内容紹介から。
報告書をわかりやすくしたい、意図が伝わる企画書にしたい、サクサクとメールを書きたい…「7stepのプロセス」で伝わる文章が誰にでも書ける!

なお、ややお得なKindle版もすでに配信済みです!





Notes / Brady Withers


【ポイント】

■1.書けないのはプロセスを持っていないから
 たとえば、これから料理を覚えようとするときに、「野菜の切り方」「魚のおろし方」「肉の下ごしらえの仕方」「ダシのとり方」などを個別に覚えても、レシピがなければ料理を作れるようにはなりません。料理ができるようになるには、「肉じゃが」や「ハンバーグ」などのレシピを知って、レシピに沿って実際に料理をしながら、基本的な技術を練習していかないとできるようにはならないわけです。
 書くスキルも同じです。基本技術にどんなものがあるのかを知っておく必要があります。でも、基本技術を知るだけではなく、レシピ、つまりプロセスにしたがって書く中で、基本技術を使うことで書けるようになるのです。みなさんは日本語も読めるし、短い文章なら書ける。基本的な技術は持っています。足りないのはレシピ、つまりプロセスです。プロセスがあれば、みなさん書けるようになります。


■2.書くプロセスの全体像
・メッセージを定める

・読み手を分析する

・アイデアを集める

・アウトラインを作る

・ドラフトを書く

・推敲する

・リライトする


(詳細は本書を)


■3.ホウ・レン・ソウに使うべき「報告型アウトライン」
 仕事でよく使う筋道としては、「事実、情勢判断、意見具申」があります。これは簡潔に報告したいときにすごく使えます。(中略)
 たとえば、冷戦時代に「ソ連がミサイルを発射しました」という事態が起きたとします。これはアウトラインでいうところの事実です。情勢判断は「このままだと数時間後にワシントンに着弾します」で、意見具申は「すぐに迎撃しましよう」です。危機管理時にすぐに簡潔に報告したいとき、この3つの構成要素があれば、相手に何が言いたいのかがすぐに伝わるというわけです。
 よく「ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)」が大事だといわれます。中でも「ホウ(報告)」は大事で、「リアルタイムに報告しましよう」とか、「悪いことも報告しましょう」と、よく言います。でも、ホウ・レン・ソウをするとき、何を伝えればいいのか、意外にわかっていない。部下にも「ちゃんと、ホウ・レン・ソウしてくれ」といいながら、何を伝えてほしいのか教えられていない。でも、「報告するときは、必ず事実と情勢判断と意見具申を3つセットで言いなさい」と教えれば、非常に明解ですね。これはすごく使えるアウトラインです。


■4.文を作る3つの基本原則
(1)ワンワード/ワンミーニング
 大切なことは、読み手と共通認識を持てるかどうかです。そのワードがいろいろな意味に解釈できるなら、意味を説明しないといけません。
(2)ワンセンテンス/ワンアイデア
センテンスというのは文です。1つの文に対していろいろなこと、複数のアイデアを盛り込まないということです。
(3)ワンパラグラフ/ワントピック
1つのパラグラフでは1つの主題しか扱わないようにします。トピックに関係のない情報はノイズです。複数のトピック、主張、言いたいことを1つのパラグラムに入れてしまうと、このパラグラフで何が言いたいのかがわからなくなり、読み手は混乱してしまいます。


■5.文章の3つの基本要素「データ」「論拠」「主張」
 説得力のない文章は、「データ(事実)」「論拠」「主張」の3点セットのうち、どれかが欠けています。主張だけしていたり、事実だけ書いてあったり、事実を示さずに論拠だけだったりと、どれかが欠けているのです。「なぜ嫌なんですか。嫌だから」「なぜやりたいんですか。いや、やりたいから」。これでは「主張、主張」ですね。「売上が減ってきています。だから新商品の開発をしましょう」だと、主張と事実だけ、論拠がありません。「売上が減ってきている」と「商品を開発しましょう」はつながらないわけです。その事実から何が言えるのかという論拠がないといけない。「このままだとジリ貧になる可能性が高いです。だから新商品を開発しましょう」だったらロジックとしては通るわけです。


【感想】

◆記事タイトルに「文章術」とは付けましたが、俗にいう「文章術本」とは少々毛色が違う作品でした。

というのも、類書とは取り扱っているテーマがやや異なるからであり、この辺のお話については、本書の第1章で詳しく触れられています。

まず、著者の芝本さんいわく、「書くスキル」とは、3つの構成要素からなる、と。

具体的には、語彙やレトリックといった「表現のストック」、センテンスの作り方といった「基本技術」、それにアイデアをまとめあげて文章に仕上げる「プロセス」の3つです。

このうち最初の2つについては、類書でもよく扱っているのに対し、本書では真ん中の「基本技術」についても触れているものの、最後の「プロセス」に注力しているのだそう。


◆というわけで、続く第2章では「書くためのプロセス」と題して、上記ポイントの2番目にある「プロセス」の各項目について解説が。

実は本書の6割超が、この第2章で占められています。

さらに第2章は、この各プロセスごとに、節が分けられていますので、まさに順を追ってプロセスを理解できる仕様になっているという。

なお、「プロセスとはなんぞや?」という方は、まずは上記ポイントの1番目をお読みいただければ、と。

ちなみに、上記ポイントの3番目は、プロセスの中の「アウトラインを作る」から、上記ポイントの4,5番目は「推敲する」&「リライトする」から抜き出しております。


◆また、割愛した中で1点触れておきたいのが、接続詞の使い方について。

昨日の記事で、「『話すとき』には接続詞を用いよ」と申し上げたのは、以前ご紹介したこの本で、「接続詞の多い文章は幼稚に見える」と言われたからなのですが。

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情報を活かす力 (PHPビジネス新書)

参考記事:お前らもっと『情報を活かす力』の凄さを知るべき

一方本書では、「接続詞を意識して使うと読み手に『論理』が伝わる」と肯定的なスタンスです。

逆に「接続詞の少ない本」は要注意で、「接続詞を使わなくても論理が伝わる本」か「論理がない本」のどちらかである、と。

言うことがコロコロ変わっているようでアレですが、たとえ「幼稚に見られる」のであっても、「読み手の理解を助ける」という見地からしたら、本書の言うように、やはり接続詞は使ったほうがいいと思います。

……もちろん「適切に」という前提ですがw


◆そして最後の第3章では、実際に「書く演習」が行われています。

そもそも本書は、芝本さんのセミナーをベースにしており、そのセミナーでも演習を多く取り入れているのだそう。

本書でも「<ワークシートに記入してください>」「<パソコンに入力してください>」といった指示があり、また、セミナーで使われたワークシートもダウンロードできるため、セミナーをバーチャル体験できるようになっています。

ちなみに本書収録のテーマは、「職務経歴書」。

本書では受講者の「Before & After」が掲載されているのですが、指導を受けてここまでブラッシュアップされるものか、と。

なるほど確かに、本書のテーマである「プロセスを意識した文章術」について、考えを改めざるをえませんでした。


ロジカルに文章を書き進めるために!

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誰も教えてくれない 書くスキル
第1章 書くことと、書くスキル

第2章 書くためのプロセス

第3章 書くプロセスに基づいた演習


【関連記事】

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【オススメ】『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』唐木 元(2015年08月14日)


【編集後記】

◆本日も「Kindle日替わりセール」からなんですが……。

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「やめる」習慣

手塚治虫先生を除いて、同じ著者さんが連日対象になるって、今まで記憶にありませぬ。

中古も値崩れしていますが、送料や「20%ポイント還元」を考えると、実質中古の半値以下でお求めいただけます。


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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