2016年06月22日
お前らもっと『情報を活かす力』の凄さを知るべき
情報を活かす力 (PHPビジネス新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲したおなじみ池上彰さんの「知的生産術本」。多作な著者さんゆえ、当ブログではほとんどスルーしているのですが、このテーマで出されたら、読まざるを得ませんw
アマゾンの内容紹介から一部引用。
テレビ番組のニュース解説、新聞・雑誌連載や書籍の執筆、大学での講義……多方面で活躍し、超多忙な著者。自宅に届く新聞7紙の読み方から、記事のスクラップ法、書店での本の探し方、ネット情報との接し方、話の聞き出し方、わかりやすい説明のコツまで、その情報収集・整理・活用術を一挙公開。「情報の海」で溺れることなく、情報を自らの糧にしていくためのヒント満載。
なお、書名がシンプルすぎるので、「ホッテントリメーカー」で記事タイトルを盛っておきましたw
Newspapers / emaspounder
【ポイント】
■1.誰かに説明するつもりで情報収集する先ほどのマイナス金利について調べるのであれば、経済にあまり関心がなさそうな友人に説明することをイメージしてみてください。その友人に「マイナス金利って要するにどういうこと?」と質問されたとき、、「なるほど、そういうことか!」と思ってもらえる説明ができるように、情報を集めていくのです。
そういう意識を持つと、マイナス金利に関する入門書を読むときも、読み方が変わってきます。それまでは、読み終わって「ああ、わかった」となると、それで満足していたはずです。でもそれだと、いざ友人から質問されたとき、うまく説明できませんよね。それはその本で得た知識がまだ自分のものになっていないからです。
本でも何でもインプットというのは、誰かに説明(=アウトプット)しようとして初めて、自分の頭の中で整理されて身になるものなのです。
■2.新聞は「さっと目を通す」
具体的には、まず1面の見出しを大きい順に読みます。本当に時間がないときは、これだけでも十分です。次に1ぺージめくって2面と3面を開きます。総合面と呼ばれ、一面に関連のある記事や特集が掲載されています。この特集で何が取り上げられているかをチェックします。さらに、社会面。これは最終面(多くの新聞はテレビ欄ですね)の裏側のページにあります。
ちなみに、多くの新聞は、右ページよりも左ページ、奇数面に大きな記事を掲載します。ですから、1面、3面、最後の奇数面(社会面)の見出しを読むだけでも、その日の大きなニュースを頭に入れることができます。
ぺージの中では、右上かいちばん重要なニュースです。視線を左ページに向け、その中では右上に注目しながらぺージをめくっていくという読み方でも時間が短縮できます。
■3.「みんなが聞きたいことは何か」を意識して質問する
私の質問に対する政治家の反応はさまざまです。怒り出す人もいれば、論点をずらして反論を試みる人、他党の例を出してごまかそうとする人、絶句する人……。
こうしたインタビューが評判になりましたが、裏を返せば、これまで政治家に対して誰も厳しい質問をしてこなかったということです。
「当選おめでとうございます。今のお気持ちは?」といった質問は、視聴者が聞きたいことではありません。答えも容易に予想できてしまいます。(中略)
こうした「聞かずもがな」の質問は、いい質問とは言えません。いい質問をするために、私は視聴者が何を知りたいのかを考えます。
■4.自分で「面白い」と言わずに、相手に「面白そう」と言わせる
もし面白い本に出合ったら、人に話す前に「何が面白かったか?」を自問自答してみるようにしましょう。その上で、その本の内容や面白さを誰かにわかりやすく説明します。このとき「面白かった」という言葉は禁句。自分が面白かったものを「面白いよ、面白いよ」と言っても、それは自分の感想の押し売りにすぎないからです。
あなた「この本はこういう話なんだよ」
相手「へぇ〜、なかなか面白そうじゃないか」
というように、「面白い」という言葉は相手に言わせなければいけません。
読んでいる途中でも、「この部分をどう説明しようか」とアウトプットを意識しながら読むと、情報が整理されて、本の内容の脳への定着度も上がる気がします。みなさんもぜひ一度試してみてください。
■5.意識的に接続詞のない文章を書く
文章を書くときは、接続詞を極力少なくする努力をしてみてください。接続詞が多い文章は幼稚に見えます。(中略)
接続詞が多い文章は幼稚な上に、リズムが悪くなります。「決して接続詞を使わないぞ」と決意して文章を書くようにすると、文章の論理の流れにも敏感になります。接続詞を安易に使っていると、文章がなんとなくつながっているように見えてしまうからです。
接続詞がない文章を並べていくと、文章の並べ方だけで論理を構成していかなければなりません。その努力が、あなたの文章を論理的なものにします。リズムがよくなり、読みやすい文章になるのです。
【感想】
◆感想を述べる前に、1点、本書の注意点を述べておかねばなりません。アマゾンの内容紹介では触れられているのですが、実は本書は、こちらの本の「全面改訂版」とのこと。
池上彰の情報力
リアル書店でパラ見した際は、上記ポイントの1番目の「マイナス金利」等のお話もあったので、本書がリバイス版であることはまったく想定していませんでした。
ただし、こちらが出版されたのは2004年1月ということで、逆にお持ちの方も少ないのかも。
2007年に改題して文庫化されていますが、それにしたって、9年近く前のことですし。
実際、収録されている事例は恐ろしくアップデートされており、言われなかったら、元ネタ本を読んでない限り、リバイス本であることはまず気が付かないと思います。
◆さて、そのポイントの1番目にあるように、池上さんの「わかりやすさの秘訣」は、「誰かに説明するつもりで情報収集する」ことにありました。
特に池上さんの場合、その「誰か」が『週刊こどもニュース』の視聴者だったワケですから、極力「分かりやすく」する必要もあったワケで。
この『週刊こどもニュース』を担当していた11年間で、池上さんは子どもたちに「徹底的に鍛えられた」とのこと。
今でもテレビで何か解説しようとすると、「自分の頭の中に子どもたちが出てきて、『その説明じゃわからないよ』と言ってくれる」そうですから、池上さんの話が「分かりやすい」のもうなずけます。
◆誰かに説明する、という意味では、上記ポイントの4番目の「読んだ本の内容の説明」の話も鋭いな、と。
当ブログのような書評系のブロガーも、意識すべきことだと思います。
確かにグルメレポーターが「美味しい」と言わないでレポートするのと同様、「面白かった」を禁句にするのは理にかなっていること。
当ブログの場合、どこを引用するかがキモなので、基本的に「面白い」の押し売りは避けているハズなのですが……(震え声)。
◆さらに「相手が何を望んでいるか」を意識した結果が、上記ポイントの3番目の選挙特番のキャスターのお話。
以前当ブログでも触れたように、「歯に衣着せぬ」言いようがすさまじいと評判なのですが。
池上彰さんがテレビ東京の選挙特番でやりたい放題だと話題に : 市況かぶ全力2階建
この池上さんの活躍ぶり(?)は、「池上無双」と呼ばれるようになり、つい先日、こんな本まで出版されたという(著者は池上さんではありませんが)。
池上無双 テレビ東京報道の「下剋上」 (角川新書)
池上さんいわく、講演会やセミナーの質問で「『いい質問するな』と感心するのは、『そうそう、自分もそれを聞きたかったんだよ』という質問を誰かがしたときではないでしょうか」とのこと。
なるほど、こういう意識を持つことも大切だと思います。
◆一方、上記ポイントの5番目は、最終章の「情報発信術」から。
ここではアウトプットのキモについて触れられており、池上さんは、さすが「元NHKの記者」だけあって、文章術に関しても学びたい点が多々ありました。
「接続詞」については、過去当ブログでご紹介した多くの本でも、「極力使わないこと」が主張されており、こうして再度抜き出すことで、改めて心に留めておこうかと。
いずれにせよ(さっそく接続詞を使ってますがw)、本書は内容的に古臭さは感じさせませんし、他の池上さんの「知的生産術本」を読破してらっしゃる方以外は、一読の価値はあると思います。
池上さんがメディアで重宝されている理由が分かる1冊!
情報を活かす力 (PHPビジネス新書)
序章 情報活用力をいかに高めるか
第1章 私の情報収集術
第2章 私の取材・インタビュー術
第3章 私の情報整理術
第4章 私の読書術
第5章 私のニュースの読み解き方
第6章 私の情報発信術
【関連記事】
【池上流知的生産術】『<わかりやすさ>の勉強法』池上 彰(2010年11月10日)【知的生産】『仕事ができる人の「情報センス」: 「考える・深める・分かち合う」方法』藤井孝一(2015年09月22日)
【スゴ本!】『外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」』山口 周(2015年01月15日)
【知的生産】『プロの知的生産術』内田和成(2011年11月22日)
【知的生産術】『アイデアを形にして伝える技術』原尻淳一(2011年04月28日)
【編集後記】
◆これは個人的にはちょっとしたニュースなのですが、累積でいうと「ン百冊」売りまくったこの本が、ついにKindle化されました!ベスト・パートナーになるために―――男と女が知っておくべき「分かち愛」のルール 男は火星から、女は金星からやってきた
参考記事:【モテ】「ベストパートナーになるために」ジョン・グレイ(2007年08月09日)
もうちょっと早ければ、この本の初「当ブログにおける年間売上ランキング1位」に貢献できたかもしれませんね〜。
Kindleで読みたかった方はぜひ!
ご声援ありがとうございました!
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