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2016年06月20日

【箇条書き】『超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術』杉野幹人


超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術
超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった文章術本

著者の杉野幹人さんは、「世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを修了後に、グローバル経営コンサルティングファームのA.T.カーニーに参画」された、という肩書の持ち主です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
シリコンバレー、戦略コンサル他、世界の最前線で、超一流は何をしているのか?
答えは「Bullet Points(ビュレットポイント)」と呼ばれる“箇条書き"によるコミュニケーション。
箇条書きは、英語や会計、そしてロジカルシンキングと同じくらい世界的に求められているスキルなのだ。

なお、お買い得なKindle版も本日より配信です!





Bullet Points / NMC Second Life


【ポイント】

■1.箇条書きを超えた「超・箇条書き」とは?
 多くの人は伝えたいことを羅列するに留まっている。形式的には箇条書きになっていて単に情報量が減っただけで、伝わらないものになっている。
 それとは真逆の「短く、魅力的に伝える」箇条書き。そして人を動かす箇条書き。
 本書では、それらを『超・箇条書き』と呼ぶこととする。
 普通の箇条書きと『超・箇条書き』は何が違うのか。
 普通の箇条書きは、伝えたいことを「羅列化」するだけで完成する。
 『超・箇条書き』はこの「羅列化」の他に、3つの技術的要素が加わることではじめて完成するのだ。
 3つの技術的要素とは、「構造化」「物語化」「メッセージ化」である。

(詳細は本書を)


■2.相手を楽にするグルーピングをする
 最初におさえておくべきポイントは、「状態・現象」を伝える文と、「行為」を伝える文とを分けるということ。
 なぜなら、「状態・現象」と「行為」とでは、相手がイメージするものが異なるからだ。
 例えば、「料理」と聞いて、あなたは何をイメージするか。これも「状態・現象」と「行為」では、そのイメージが異なる。
「料理がある」という状態であれば静止画だが、「〜を料理する」という行為だと動画になる。
 静止画か動画かを判断するのも、相手にとっては情報処理の負荷がかかる。
 その負荷を減らすためにも、「状態・現象」を伝える文と、「行為」を伝える文は分ける必要がある。


■3.「直列と並列」で時間軸を整える
 直列型、あるいは並列型に整理して伝えることで、相手に「時間の流れ」を意識させることができる。
 結果、箇条書きの全体像がより理解しやすいものになる。
 もう少し詳しく見ていこう。箇条書きのつながりを直列型にするということは、そこには何かしらの時間の流れがあるということだ。
 最初の文に対して、それ以降の文がそこから未来に時間が流れるか、あるいは過去に時間が遡るかだ。
 問題解決の枠組みで考えてみよう。例えば、「問題の発生→解決策の立案→結果」というようなものは、過去から現在、そして未来へという時間の流れを伝えるものだ。こうした問題解決の枠組みは直列型といえる。
 一方で、箇条書きのつながりを並列型にするということは、そこには時間の流れがないということだ。
 例えば、未来の夢のリストアップ、現在におけるアクションのリストアップ、過去の原因のリストアップなどがその典型だ。


■4.あえてMECEを崩して情報量を絞る
 イントロがフックとなり、Aさんの話に引き込まれていたのに、これでは本末転倒だ。AさんはがんばってMECEで伝えたのだが、それが原因で相手の関心を引けなくなってしまっている。
 つまり、MECEで伝えたことが原因となり、物語化に失敗してしまっているのだ。(中略)
 箇条書きで伝えるときには、MECEにこだわるべきではない。考えたり、頭を整理したりするときにはMECEを使うにしても、伝えるときには、敢えて「MECE崩し」をしたほうがよいことがある。(中略)
 上司にとっては届けられる情報量は減るのだが、重要なことだけを聞かされるため、Aさんの物語を聞くのに最後まで集中力がもつ。絞ることで、物語の山場がハイライトされて伝わるからだ。


■5.「ソフトな否定」を使う
 否定を使う。そう言われると、「それができればよいが、そこまで絶対的に否定できることなんてあまりない」と思う人もいるかもしれない。
 そういう場合は、「〜ではなく」と絶対的に否定する必要はない。
 相対的に否定すればよい。
 つまり、比較して、よりよいほうを選ぶことを強調すればよい。 
 比較で否定のニュアンスを出し、スタンスをとるのだ。
 例えば、「AよりもBだ」という文だ。BのほうがAよりもよいと言っているので、スタンスはとっているが、必ずしもAを否定しているわけではない。


【感想】

◆上記ポイントの1番目の最後にあるように、『超・箇条書き』の「技術的要素」には、「構造化」「物語化」「メッセージ化」の3つがあります。

内容について簡単に触れておくと、「技術的要素」とは「相手が全体像を一瞬で理解できるようにする」こと。

「物語化」とは「相手が関心をもって最後まで読み切れるようにする」ことであり、「メッセージ化」とは「相手の心に響かせ行動を起こさせるようにする」こと、なのだそう。

このうち、読者の皆さんがすんなり納得できるのは、第1章のテーマでもある「構造化」だと思います。

そして「構造化」で注意しなければならないのが、「レベル感を整えること」、つまり、伝えたいことの階層を揃えることなのですが、上記ポイントは全然揃っていないという(すいません)。


◆上記ポイントの2番目の「静止画」「動画」に関して、具体的なコツとして挙げられていたのが、「『自動詞と他動詞』を使い分ける」というもの。

つまり「そのときの状態」を伝えたければ、1つひとつの文に「自動詞」を使い、「誰かが何かに影響を与える行為」を伝えたければ、「他動詞」を使うワケです。

たとえば、「コップが落ちる」と自動詞を使えば、その現象や状態を伝えており、「私がコップを落とす」と他動詞を使えば、行為やそれによる因果関係を表していることに他なりません。

要は、これを全体で統一し、グルーピングの1つの指針とすることが、構造化につながるということ。

本書の具体例では、「営業部で期間限定のスタッフが増える」と自動詞で書かれていた文を、「マーケティング部が営業部に期間限定でスタッフを貸し出す」と他動詞の文に直すことによって、統一化されていました。

……この辺、今までまったく意識したことがなかったワタクシ(冷や汗)。


◆一方、上記ポイントの3番目の「直列と並列」のお話は、無意識にでも分けられていた方も多いのでは?

上記では「問題の発生→解決策の立案→結果」とありますが、このように「矢印」がある時点で、何らかの「時間の流れ」を意識しているハズ。

ちなみに、必ずどちらかになるわけではなくて、「直列型」と「並列型」のミックスされた「ハイブリッド型」もあるとのこと。

実際、「問題」を列挙した上で、その「解決策」を列挙するのも、「ハイブリッド型」と言えそうです。

なお、「構造化」のコツはもう1つあるのですが、詳しくは本書にてご確認を。


◆さて、この「構造化」さえできていれば問題ないか、というとそうではありません。

たとえ「構造化」ができていても、相手の関心を引けず、結果として伝わらない箇条書きも「山のようにある」のだとか。

そこで登場するのが、上記でも挙げた第2章の「物語化」であり、その要件というのが、本書曰く「フックをつくる」こと。

つまり、相手の関心を踏まえ、相手がドキッとする仕掛けを、意図的に埋め込む必要があるのだそうです。

この「物語化」のコツも3つあり、そのうちの1つが、上記ポイントの4番目の「MECE崩し」。

確かに「MECE」を意識するあまり、些細な情報まで言及していては、論点がぼやけそうですもんね。


◆ここまでクリアしたとして、相手に箇条書きを最後まで読んでもらいましたよ、と。

とはいえ、それでも相手が動いてくれなかったら、極論を言えば「意味がなかった」ということ。

というわけで、第3章の「メッセージ化」によって、相手を動かすことになるのですが、詳細はやはり本書にて。

上記ポイントの5番目は、その「コツ」の1つのうちの、さらにテクニックの1つ……ってレベル感がまったく無視されているのですが(すいません)。

とりあえず私は、「構造化」だけでもマスターして、今後の業務に活用したいと思います。


ワンランク上の箇条書きを身に着けるために!

超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術
超・箇条書き―――「10倍速く、魅力的に」伝える技術
序章:なぜ箇条書きが、最強のビジネススキルなのか?
第1章:超・箇条書きの技術1『構造化』
第2章:超・箇条書きの技術2『物語化』
第3章:超・箇条書きの技術3『メッセージ化』
第4章:超・箇条書きをもっと使いこなす


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【メモ術】『自衛隊に学ぶメモ術』松尾 喬, 平野隆之(監修)(2014年09月30日)


【編集後記】

◆そういえば学研さんが、またぞろセールをやっているらしいのですが。



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「全点セール」というだけあって、作品数も「4,169点」と膨大なもの。

ただ、作品によって割引やポイント還元もさまざまなので、具体的には上記リンク先にてご確認ください!


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