2016年06月08日
【88のコツ?】『恥をかかないスピーチ力』齋藤 孝
恥をかかないスピーチ力 (ちくま新書 1189)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した1冊。お馴染み齋藤 孝先生が、ご自身が得意とする「スピーチ」について、そのコツを88個も披露してくださるという注目作です。
アマゾンの内容紹介から。
自己紹介や、結婚式、送別会など人前で話す機会は意外と多い。そんな時のためのスピーチやコメントのコツと心構えを教えます。これさえ読んでいれば安心できる。
確かに、本格的な「プレゼン」はさてき、公私問わずに人前で話す機会がある方なら見逃せません!
Speeches / 3dpete
【ポイント】
■1.相手に向かって身体を開く同じ内容の話を聞いても、心に響く時と響かない時があります。心に響かないのは話し手の身体が聞き手に対してちゃんと閉かれていないからです。(中略)
どうすればいいのかというと、物理的に身体を相手に向けて、相対してしまうのです。こうすればいやでも相手に意識が向かいます。
背中を丸めて、下を向き、視線を落としていたのでは、身体が閉じてしまい、相手に意識がつながりません。その身体では話が相手に届かない、ということです。
■2.大声を出すより声を張る
「声を張る」とはひじょうに良い表現です。「声を大きくして」と言っても、音だけが大きくなって、遠くまで通る声にはならないのですが、「声を張って」というと声が通って、人に伝わる声になります。
「声を張って」というと気持ちや身体、息に張りが生まれます。「気を張る」とか「息を張る」という言葉はとても重要で、身体に張りを持たせて息を張れば、自然に声も張ってくるわけです。
つまり声の張り=気の張りであり、息の張りです。
■3.聴衆を6ブロックに分けて視線の方向を決める
視線をコントロールするにはコツがあって、まず全体を6ブロックに分け、右・左、真ん中、後ろと順番に見ていきます。身体ごとそちらへ軽く向けるようにして、意識の中でブロック全体を押さえるのです。
もう少し慣れてくると、その中の誰かとピンポイントでアイコンタクトがとれるようになります。100人くらいを相手にしていても、その中の数人とアイコンタクトがとれるようになると、かなり上級者の域に近づいていると言えます。
■4.小ネタ披露会をして、仕込みを万全にしておく
ネタは公開せずにしまっておくと、鮮度が失われて、腐ってしまいます。仕入れたネタは新しいうちに、友だちや仲間うちで披露して、相手の反応を見てみましょう。初めてしゃべって面白いネタはほとんどありません。前述したように、芸人さんの話が面白いのも、仲間うちの飲み会でさんざんしゃべって磨きをかけているからです。
ですから私たちも、ふだんのおしゃべりの中で、「お、これはネタに使えそうだな」と思うものをストックし、互いに披露しあっておくのを習慣にするのです。ちょっとしたネタを30秒で話す訓練をしておくと、急に頼まれたスピーチでも手際よく小ネタが話せるようになります。
■5.呼吸法で気をしずめ、自律神経を整える
そのやり方とは、まず息を軽く鼻から吸って、肺を空気でいっばいにします。次に口をすぼめてゆっくり「ふ〜っ」と吐きます。ストローで息を吐くようなイメージで10秒〜15秒、長くできる人は20秒くらいかけてふ〜っと吐きます。
すると気持ちが下に下がっていく感じがします。「気持ちが下がる」というのは曖昧なようですが、気があがってしまった状態をしずめ、おへその下のほうにどっしり重心ができる感じのことです。
そうすると、浅くなっていた呼吸が深くなり、息が長く続くようになるので、声が上ずってうまく出てこない状態から、腹の底から出るようなはっきりした声の状態になります。
これは呼吸法によって、興奮をつかさどる自律神経である交感神経が抑えられ、落ち着かせる自律神経である副交感神経が優位になるからです。
【感想】
◆齋藤先生らしい、「ネタ満載」の作品でした。上記では厳選して(個人的にですが)5つしか取り上げておりませんが、本には付箋を貼りまくり。
たとえば第1章の「これだけはマスターしたいスピーチの基本」でうたわれていたのが、「15秒プレゼン」の重要性です。
これは文字通り「人前で15秒話す」訓練で、齋藤先生いわく「20年以上教えていて、もっとも効率的にスピーチがうまくなる方法はこれだと実感している」のだそう。
というのも、この15秒プレゼンをくり返していると、この単位のスピーチに慣れてくるからで、30秒はもちろん、1分あれば、小さい話が2,3個入る感じになり、聞いているほうにも「話慣れている」「言葉がスムーズに出てくる」と思ってもらえるのだとか。
◆続く第2章は、齋藤先生お得意の「身体」面からのコツで、実は上記ポイントの1〜3番目はここから抜粋したものです。
この章からは「緩急をつける」というTIPSも取り上げたかったのですが、さすがにそれだと偏りすぎなので自重(詳細は本書を)。
ほかにも、当ブログでは『「からだ」と「ことば」のレッスン』が大人気だった竹内敏晴さんの、「話しかけのレッスン」というお話も紹介されていました。
一応、本書で紹介されていたのは別の本(『ことばが劈(ひら)かれるとき』)だったのですが、TIPS自体は下記の公家シンジさんの記事で解説されているので、詳しくはそちらを。
「からだ」と「ことば」のレッスンーー秀逸すぎるナンパの教科書 - 性とナンパについて渋谷で考えた
シンジさんは「ナンパ」と絡めてますけど、これはスピーチにおける聴衆との関係も同じで、要は話し手の声に「方向性」や「距離感」がないと、聴衆が「話しかけられている」と思えないワケですね。
◆一方、第3章では「小ネタ」の重要性が力説されています。
結局、話が上手い人というのは、常日頃から「話のネタ(小ネタ)」をストックしている、ということ。
しかも上記ポイントの4番目にあるように、それらをブラッシュアップしています。
ちなみに齋藤先生は、教え子たちに必ずネタ帳をつくらせ、日頃からネタ探しに励ませているのだそう。
とりあえずネタを20個用意しておけば、臨機応変に話ができて、会話の場に参加できるようになるそうです。
この章では、ネタの集め方等にも触れられていますので、ぜひご確認を。
◆そして本書で特徴的だったのが、第5章の「シーン別 恥をかかないスピーチのやり方」。
ここでは「自己紹介」「PTA、保護者の集まり」「来賓に招待された時の挨拶」「結婚式の挨拶」「部署異動の挨拶」といった具合に、シーン別にスピーチのコツが列挙されています。
冒頭の内容紹介でもありましたが、何百人を対象とするスピーチをする人は少ないでしょうけど、こういったオフタイムまで含めた「人前で話す機会」というのは、誰でもあるハズ。
私もここ数年、父母会やら保護者会やらで(全員順番で)、話をしなければならないケースが何度もありました。
……なるほど、あの時はココに気をつければ良かったのか(手遅れw)。
◆なお、上記ポイントの5番目は、第6章の「人前であがらないためのひと工夫」からのもの。
こちらでは、文字通り本番直前に知っておきたいTIPSが紹介されています。
そのポイントの5番目の「呼吸法」も、別のところで触れられている「手の動き」とセットにすると、より効果的なのだとか(詳細は本書を)。
他にも耳のマッサージやら水を飲むといった、実践的なアドバイスがありましたので、ぜひご確認頂ければ、と。
使えるネタ満載の1冊です!
恥をかかないスピーチ力 (ちくま新書 1189)
第1章 これだけはマスターしたいスピーチの基本
第2章 スピーチができる身体になる
第3章 スピーチで役に立つ小ネタの集め方
第4章 コメントを求められた時の対処法
第5章 シーン別 恥をかかないスピーチのやり方
第6章 人前であがらないためのひと工夫
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。アマゾンにも負けない、本当に強い会社が続けていること。
中古が値崩れしてますが、送料考えると、Kindle版がちょっとだけお得です。
ご声援ありがとうございました!
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