2016年05月21日
【76の習慣】『中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること』村上綾一
中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、たまたまネットサーフィンしていて見かけた子どもの教育本。著者の村上綾一さんの作品は、以前読んだ『人気講師が教える理系脳のつくり方』がとても良かったのですが、本書もそれに負けない出来でした。
アマゾンの内容紹介から。
低学年の育て方、高学年の伸ばし方。「伸び続ける子」が育つ、76の習慣。開成・麻布・武蔵・灘・筑駒などの難関中学入試で驚異の実績!しつけから勉強法まで親が今からできること全部。
なお、Kindle版のご用意もありますので、ご夫婦でお読みください!
When Young Children "Hate" School / wecometolearn
【ポイント】
■1.諦めないことを低学年のうちに覚えさせる私の塾は少人数制をとっているので、個別に問題を出すこともしています。その場合は、個々に落とし穴を作った出題をします。子どもたちはみんな、予想通りそれぞれの落とし穴にはまります。
ここで這い上がれるかどうかは、10歳までの教育で差が出ます。
諦めずに這い上がれるのは、これまでに鉛筆と消しゴムをたくさん使って試行錯誤をくり返し、「わかった!」という休験を積んでいる子どもです。高学年になってから「諦めないでやりなさい」と声を掛けてみたところで、もう遅いのです。諦めないことを覚えさせるのは、低学年のうちです。
■2.丁寧な字は必要なときだけでいい
超難関中学校の入試問題では、止め・ハネまで丁寧に書くよう指示されますが、いざ求められたとき、必要に迫られたとき、正確で丁寧な字が書ければいいと思います。
常に全部を丁寧に書かなくても大丈夫だというのには、ほかにも理由があります。
丁寧にゆっくり書いていると、書く作業に気を取られて思考が止まってしまったり、思考の速さに書くスピードが追いついていけず、思考を遮るおそれがあるからです。頭の高速フル回転を、手の動きで止めてしまわないようにしましょう。
■3.丸つけと解き直しを繰り返す
丸つけは、親がするときも本人がするときも、○か×だけをつけることがポイント。特に本人が丸つけをする場合は、必ず守らせてください。これで、答えを写してしまう悪いクセを回避できます。
×のついた問題は、まっさらな状態でもう一度解かせます。終わったら持ってこさせて、親が丸つけ。また間違えたら、また解き直させる。何度かくり返し、それでも解けないようなら、ヒントを出すか、解き方を教えます。
問題を解けるようになるまでくり返すのが勉強です。くれぐれも、答えを写してわかったような気になって、おしまいにすることがないようにしましょう。
■4.かけ算・わり算も暗算させる
暗算は、頭の中にたくさん汗をかかせることです。頭に苦労をさせるトレーニングです。将来、算数や数学を考える頭を作るための、初歩のトレーニングになります。
頭の中で、筆算をしましょう。慣れてくれば計算を工夫するようになりますが、最初のうちは工夫せずに筆算を頭の中で行ってください。暗算をする目的は賢くなることですから、工夫して楽をする必要はありません。工夫は、小学6年生頃から始めれば十分です。
この時期の過ごし方いかんで、賢くなれるかなれないかがわかれる、と言っても過言ではないのです。頭の中だけで考え、組み立て、処理していく力を養成しましょう。かけ算・わり算の暗算は、その最初の一歩。しかも、この時期にしておくべきトレーニングなのです。
■5.幼少期にはスピードを育てる
ミスをしないことはすばらしいことです。しかし、そういう子どもの計算スビードを速くするのは難しいです。「確実に」「ゆっくり丁寧に」が身についてしまっているからです。中学入試や大学入試では、そのスピードのなさが命取りになります。逆に、計算が速い子どもの計算ミスは直せます。親としてはスピードよりもミスのほうが目につくと思いますが、幼少期に育てるべきはスピード。成長してからミスを減らしていきましょう。
理系の人は、ひらめきのセンスがあると、よくいわれます。実は、彼らはひらめいているわけではありません。頭の中で考え、組み立て、処理するスピードが速いのです。そのため、ひらめいているように見えるのです。
【感想】
◆今まさに学習塾で奮闘しつつあるムスコを持つ親としては、色々と考えさせられた1冊でした。まず上記ポイントの2番目の「字」については、ムスコは男子にありがちなのかもしれませんが、汚な杉。
算数の数字ですら、丸付けをする先生が、たまに見間違えるくらいです。
そこで結構口うるさく言っているのですが、「思考スピード」のことまでは考えたことがありませんでした。
一応、漢字検定も受けていて、まだ下の方(?)なので痛い目にあっていないものの、止め・ハネまで厳しくチェックされてから考えようかと。
◆また、上記ポイントの3番目の「丸付け」もムスコが間違えた際に、「〜に気を付けて!」「それは○○の場合だよ」といったコメントを書くことがあったのですが、これはNGな模様。
間違えた場合、そこの余白に色を変えて(2回目は青、3回目は緑)やり直させているのも、「まっさらな状態」とは言えなさそうです。
……今後はページを変えて、やらせなくては。
ただ、連続でやり直させると、「このパターンで×だったから、今度はコレ」となりがちなので、実際に違う問題で問われるまでは「解けるように」なっているかは微妙かも。
もっとも、解けるようにはなっておらず、エイヤでやって「たまたま合っていた」場合には、チェックしようがないのですが。
◆一方、上記ポイントの4番目の「暗算」については、この本の影響で、ずい分ムスコを鍛えていました。
脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する
(*今ならKindle版は「25%OFF」+「20%ポイント還元」です)
参考記事:【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)
この本によると「IQよりも、はるかに学校の成績と相関性がある」ワーキングメモリを鍛える方法の1つが、この「暗算」とのこと。
ただ、以前は2桁×1桁ならいつも暗算で解けていたのですが、筆算を習ってからは「暗算力」が著しく悪化してしまった感じです。
今までなら暗算で解けていた計算が、ちょっと考えてできないので、結局筆算でやり直しているという。
上記ポイントの5番目のお話も踏まえて、多少ミスってもいいから、一気に解かせてみようかな、と(それで間違えたら凹みそうですが)。
◆ちなみに、上記ポイントを含めて、算数ネタが多いのは、1つには小学3年生までは、国語と算数が中心だから。
それに加えて中学受験する際にも、「算数が合否を分けることが多い」ようです。
たとえば冒頭でご紹介した『人気講師が教える理系脳のつくり方』には、こんな一節がありまして。
2011年度の武蔵を例にとると、合格者の平均点と受験者全体の平均点には、算数だと21.7点の開きがありますが、国語は9.5点、理科は4.7点、社会は3.5点の開きしかありません。国・理・社は3科目全部足しても17.7点の開きしかありません。つまり、算数1科目でついてしまった点差は、他の3科目でいくら点数を稼いでも挽回できない仕組みになっているわけです。実際、他の有名校のデータも見たことがあるのですが、軒並み同じように「算数がキモ」でした。
加えて、身近に「国語が壊滅的にできないが、算数が飛び抜けてできる子」で中学の御三家に受かったケースもあるので、この傾向は、結構実感としてあるワタクシ。
ただし、第6章では「学力別・科目別 勉強のコツ」と題して、国語や理科、社会のTIPSにも触れられていますのでご安心ください。
◆なお、本書はこうした勉強法だけでなく、「しつけ」に関してもページを割いています。
特に「ほめ方」については、「無意味にほめるな」と題して、3つのポイントがあげられており、納得しきり。
「結果」でなく、「努力したプロセスをほめる」のは類書で知っていましたが、「好きなことをやっているときはほめない」というのは、意識したことがありませんでした(詳細は本書を)。
また、第5章の「親の疑問にお答えします(Q&A)」では、「テレビ」「ゲーム」「スマホ」それぞれに対しての接し方や、「塾」や「学校」の選び方が挙げられており、ここも要チェックかと。
ウチのムスコは、もう10歳ギリギリなんですが、まだ小さいお子さんがいらっしゃって、ある程度中学受験をお考えの方なら、本書をオススメしたいところです。
親にしかできないことを知っておくために!
中学受験で成功する子が 10歳までに身につけていること
第1章 低学年のうちに取り組みたいこと
第2章 低学年のうちにやってはいけないこと
第3章 低学年での勉強のしかた
第4章 高学年での勉強のしかた
第5章 親の疑問にお答えします(Q&A)
第6章 学力別・科目別 勉強のコツ
第7章 成功するために家庭でできること
終 章 本当に大切なこと
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【オススメ!】『脳のワーキングメモリを鍛える! ―情報を選ぶ・つなぐ・活用する』トレーシー・アロウェイ,ロス・アロウェイ(2014年01月14日)
【編集後記】
◆上記で触れたように、本書の第6章では科目別の勉強のコツが掲載されており、「社会」の項目として「歴史はマンガやゲームで楽しく覚える」とのこと。そこで本日の「Kindle日替わりセール」をご紹介。
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ご声援ありがとうございました!
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