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2016年05月06日

【思考法】『瞬間モチベーション――結果を出す人の驚くべき思考法』シャンタル・バーンズ


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瞬間モチベーション――結果を出す人の驚くべき思考法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた自己啓発書

著者のシャンタル・バーンズ女史は、世界中のさまざまなビジネスパーソンにアドバイスを行っているリーダーシップ・コーチ、メンターであり、BBCの元マーケティング最高責任者なのだそう。

アマゾンの内容紹介から。
一瞬でモチベーションが上がる!読むだけで不安、ストレスやプレッシャーから自由になる!心がスッとラクになるBBCやワーナーも採用する「やる気」のつくり方。集中力が上がって仕事や勉強のパフォーマンスをあげる即効のモチベーション術。「すぐやる人」に変わる8つの方法!

つい先日、Kindle版も発売になりました!





motivation / jean-louis zimmermann


【ポイント】

■1.「やる気」の本質
 心理状態とモチべーションは異なるものとして扱われがちですが、本来この2つは結びついています。
 モチべーションとは、実のところ、ひらめきや幸福感、怒り、いらだち、好奇心といった感情として表れる心理状態です。私たちの行動を方向づけるのは、こうした感情なのです。(中略)
 モチぺーションとは、特定の生き方をしたいという欲求や意思やエネルギーであり、外的な物事に一切左右されません。モチベーションは瞬時的で自発的なものであり、あなたの考え方から生まれるものなのです。
 もっとやる気を出したい、もっとうまくチームを管理したい、もっと影響力を持ちたい、もっとゴルフがうまくなりたい、もっと自信を持ちたい――。あなたがどんな変化を求めているのであれ、いちばん重要なのは、自分の心理状態を理解することです。それなのに私たちは、その探求をいちばん後回しにしがちです。


■2.ストレスの仕組み
何らかの思考を持つ
     ↓     
思考から生まれる感情が、思考以外の何かのせいかもしれないと考える
     ↓
自分が、自分以外の何か(他人、状況、過去の出来事、未来のシナリオ)に翻弄されている気がする
     ↓
ストレスの原因である(と思い込んでいる)「外側」の物事をどう管理するべきかという、「ストレスの多い」思考で頭がいっぱいになる
     ↓
その結果、焦って不安な心理状態になる


■3.目標設定が有効とは限らない
 目標や野心を、自分の達成感や幸福感の条件にしてしまうと、私たちは、すでに自分が持っているものを取り去ってしまいます。
 いい気分は、実績や成果によって得られるものだと考えてしまうと、自分の外にある未来の目標に意識を集中することになりかねません。明日、来月、来週など、未来に関する思考で頭がいっぱいになると、人生のフローを逃してしまいます。今という瞬間を逃してしまうのです。でも、私たちが持って生まれた心の明晰性や健康が存在するのは、今という瞬間です。思考と思考の間にある静寂なスぺースです。


■4.行動を起こすのに自信は不要
 自分の不安を払拭するために、外から内への思考をしてきたことに薄々気づくだけでも、あなたの心の自己修正機能が働いて、あなたは本来の状態、つまり明晰な頭脳に戻ることができます。それが私たちが持つ知的システムのすばらしいところです。
 最初は躊躇したり緊張したりしたけれど、いまや朝飯前というくらい簡単にできることが、あなたにもありませんか? それを自信がつくまで待っていたら、やってみることさえなかったかもしれません。
 これはモチべーションでも同じです。動機づけがないと、行動を起こせないなんて嘘です。私のある友達は最近、「もしやる気になるのを待っていたら、僕は何1つやらないだろうねと」と、言っていました!


■5.自尊心は自分の思考から来る
新米マネジャーのジョアンのケースを考えてみましょう。ジョアンは、他人に認められ、賞賛されれば(外的要因)、彼女の自尊心は高まり、自信とやる気が高まると考えています。
 この考え方だと、ジョアンは周囲に認めてもらうために奮闘するか、自尊心を高めるために環境をコントロールしようとするでしょう。賞賛も承認もなかったら、ジョアンはやる気をなくし、正しく評価されていないと不満を募らせる可能性があります。
 これは典型的な外から内への錯覚の罠です。ジョアンは、自尊心は自分の思考以外のどこかからくるものだと考えています。でも、こうした気持ちは、自分の中からしか生じえません。エレノア・ルーズべルトはかつて言いました。「あなたさえ同意しなければ、誰もあなたに、自分は劣った人間だと思わせることはできません」と。


【感想】

◆上記ポイントを読んでも、具体的に何をしたらいいのかピンとこない方も多いと思います。

それに関して、本書の「はじめに」には、次のような一節がありました。
 よくある「仕事術本」は、あれこれテクニックを羅列していますが、本書は違います。
この時点で、ノウハウ本好きの方は「回れ右」しちゃいそうなw

ただし、著者のバーンズ女史曰く、「だからといって本書が『使えない』わけではありません」とのこと。

要は、「テクニックを学ぶのではなく、思考の働きを根本から理解する」ことで、「生まれながらに持つ、優れた働きをする能力は自然と高まる」のだそう。

確かに本書から単語を抽出した場合に、最も多いものは、おそらく「思考」でしょう。

その結果、「具体的なアクション」ではなく、「こう考えるべき」という「考え方」の話が本書の大半を占めているという。


◆この「思考」、さらには「感情」までを含めたパラダイムに関して、本書は終始「内から外へ」を強調しています。

それに対して、通常私たちが陥っている状態は「外から内へ」。

たとえば上記ポイントの2番目の「ストレス」のお話でも、「『外側』の物事」という表現がでてきます。

つまり外的要因自体は、固有の意味を持たないのにもかかわらず、「思考」がそれをストレスの要因にしてしまう次第。

具体例の1つとして、バーンズ女史は飛行機に搭乗している際の乱気流を挙げています。

女史は乱気流が苦手で、大きく揺れるとパニック状態になるにもかかわらず、周りの人は特に気にする様子でもなく、リラックスして食事までしている人もいたのだとか。

そしてこの時彼女は、自分のパニック状態が「思考」から生まれていることを実感したのだそうです。


◆ところで、冒頭の内容紹介では「『すぐやる人』に変わる8つの方法!」というフレーズがありました。

これはおそらく、下記目次の第2部「結果を出す人になるための8つの方法」を指しているのだと思います。

ただ、章によってページ数も結構違いますし、1つの章で複数のTIPSが登場することもあるので、ホントに原著が「8つの方法」と言っているのか疑問なワタクシ。

調べてみても、目次らしきものはなく。

Instant Motivation: The surprising truth behind what really drives top performance: Chantal Burns: 9781292065731: Amazon.com: Books

とりあえず、評価自体は良さげですがw


◆結局本書の評価は、上記で触れたように「仕事術」的なノウハウ本を求めているかどうかによると思います。

ちなみに巻末の「訳者あとがき」でも、翻訳の藤原朝子さん曰く、「本書の内容を『なるほど』と理解するには、少し時間を要した」とのこと。

もっとも、「考え方」に帰着するというのは、自己啓発書にはままあるお話ですし、常時「外から内へ」の思考法の方にとっては、本書は「目からウロコ」かもしれません。

本書の冒頭の4ページにも渡る「推薦の言葉」を見る限り、本書のコンテンツとしての優秀さは、間違いないと思います。


「内から外へ」の思考を忘れずに!

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瞬間モチベーション――結果を出す人の驚くべき思考法
はじめに――本書を読むべき理由

第1部 結果を出す人の考え方は何が違うのか?
 第1章 結果を出す人の考え方は何が違うのか?
 第2章 目に見える現実にだまされるな
 第3章 一瞬でモチベーションを上げるたった1つの方法
 第4章 さらば、ストレス

第2部 結果を出す人になるための8つの方法
 第5章 自分の中の「常識」を捨てる
 第6章 忙しい自分と決別する
 第7章 成果の罠から抜け出す
 第8章 自信なんてつけなくていい
 第9章 古い自分を捨てる
 第10章 人間関係なんて怖くない
 第11章 直感を信じる勇気を持つ
 第12章 何度でも立ち直る力を手に入れる


【関連記事】

【はてブ3000超!】ダニエル・ピンクの新作『モチベーション3.0』がついに登場!(2010年07月06日)

【スゴ本!】『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』イアン・エアーズ(2012年10月30日)

【やる気UP!】『「やる気」が出る心理学』中越裕史(2015年05月15日)

【ヒューリスティック】『思い違いの法則: じぶんの脳にだまされない20の法則』レイ・ハーバート(2012年04月24日)


【編集後記】

◆本書内でも触れられていたのが、ダニエル・ピンクのこちら。

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モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)

レビューは上記関連記事にございます。


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