2016年04月30日
『医学で合格る勉強法』が想像以上に凄い件について

医学で合格る勉強法
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった勉強本。著者の長井敏弘さんのように、「勉強本」を書かれるお医者さんは珍しくはないのですが、さらに大手予備校講師の経験まである方、となると、おそらく初めてではないかと思います。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は、医学的な知識やノウハウに基づいた新しい勉強術を提案する書籍です。
医師の資格を持つ著者が、学習の効率ややる気を維持するためのノウハウを、医学的な背景も考慮しながら解説します。
著者は、広島で地域トップクラスの塾「長井ゼミ」などを経営する傍ら、臨床現場にも教育現場にも立つバリバリの現役医師であり、さらには過去に代々木ゼミでカリスマ講師と呼ばれた経験もある、という異色の存在。
専門の医学的なアプローチで、受験生や資格学習者の心理状態を上手にコントロールし、学習効率を上げて見事「合格」をもぎ取るための手法を多数紹介します!
お値打ち価格のKindle版もお忘れなく。
なお記事タイトルは、久し振りにホッテントリメーカーのお世話になりました!

Studying / mer chau
【ポイント】
■1.「4Dイメージ法」で五感をフル活用して暗記するたとえば、dawn (明け方)という英単語を覚えようとする場面を考えてみましょう。
まずはdawnという単語を目で見て、その意味である「明け方」という言葉から連想するイメージを、脳内でできるだけリアルに展開します。
そんなふうに、五感すべての感覚を伴ったイメージを脳裏に思い浮かべながら、何度か口に出してdawnの発音を繰り返せば、強い記憶として脳に記録されることは間違いありません。(中略)
この記憶法は、短い単語を覚える場合だけでなく、テキストなどの1ぺージ分を丸々暗記するようなケースにも応用できます。
この場合、まず1ページすべての文章を読み、そのぺージ内で重要な意味を持っているキーワードを10個程度選びます。
そして、それらのキーワードに対し、先ほどの4Dイメージ法で五感の情報を伴うイメージ化を次々に行い、声に出して覚えていくのです。
(詳細は本書を)
■2.「右脳ペースト法」でテキストを丸ごと覚える
どんな試験でも、その試験対策用のテキストがあるはずです。
そこで、そのテキストで覚えたいぺージがあれば、まずそのぺージにある重要と思われるキーワードに線を引きます(1ページにせいぜい5個程度)。また、図や写真などの画像で覚えられる要素についても確認していきます。
これらのいくつかのキーワードと、図や写真などの位置関係を『画像』として認識したうえで、五感をフル活用した4Dイメージ法を使って、これらのキーワードと図や写真のみを、右脳で固定します。(中略)
これができるようになったら、次に、先ほどの『数個のキーワードと図や写真』を木の幹として、枝をつける作業にかかります。
1ぺージ当たりの文字数にもよりますが、1べージを4つくらいに分けたうえで、まずは最初の4分の1ぺージを声に出して読み、キーワードを図や写真と関連づけながら暗記します。
(詳細は本書を)
■3.解けない頻出・典型問題のマスターの仕方
(1)ひと通リテキストの解答を読んで理解する。
その際、解くのに必要な知識をチェックする。
(2)じ〜っとテキストの解答を見つめ、頭のなかに記憶する。
(3)テキストを閉じ、ノートに実際に解答を書いてみる。
(4)途中で書けなくなったら、再びテキストの解答をじ〜っと見つめる。
(5)テキストを閉じ、再度ノートに解答を書く。
以下、できるまで(4)(5)を繰り返します。
決して、テキストを横に置いて解答を写すという作業をしないこと!
■4.テキストを理解して覚える方法
(1)10ぺージをひと通り読んで、わからないところを調べてテキストに書き込むなどして完全に理解する。
(2)各ぺージの【重要語句】にアンダーラインを引き(1ぺージに5個程度)、その重要語句のみ覚える。
(3)各ぺージの【まあまあ大切な語句】に、(2)とは違う色でアンダーラインを引き(1ぺージに10個程度)、そのまあまあ大切な語句を覚える。
(4)次に1ぺージ目を、【重要語句】と【まあまあ大切な語句】を確認しながら、声に出して読む。
(5)テキストを閉じて、【重要語句】と【まあまあ大切な語句】を思い浮かべながら1ページ目全体をおおぎっぱでいいので空で言ってみる。
(6)(5)が済んだら、次は2べージ目、3ぺージ目と順に制覇していく。
■5.勉強と勉強の間の過ごし方
何かの勉強をしていて、集中力がなくなってきたなと感じたら、その勉強はいったんやめてしまいます。やめて休憩をとるのではなく、すぐに別の何かを始めることで、集中力を持続させます。
ここで言う「別の何か」には、いま行っている勉強とはできるだけ異質なものを当てるといいでしょう。たとえば腕立てや腹筋などの筋トレ、料理や指先を使う創作、ギターなどの楽器の練習など、なんでもかまいません。(中略)
少しべッドで横になるとか、音楽を聞くなどといった静的なものを挟むのはやめたほうがいいでしょう。その間に脳が本格的なリラックス状態に入ってしまい、再び勉強をする気力が湧いてこなくなってしまうからです。
また、パソコンでネット情報を見たり、ゲームなどの娯楽を始めてしまうと、逆に集中しすぎてしまい、脳を休ませることができません。勉強に対する集中力はかえって低下するので、避けるようにしてください。
【感想】
◆上記ポイントでは触れていませんが、著者の長井さんが本書で書かれていることで、「私と同じだ」と感じた事が2点ありました。1つは「手で書いて覚える」記憶法にネガティブな立場をとっていること。
むしろ長井さんはネガティブというより、積極的に否定しており「とても非効率」「『記憶作業を行っている』という錯覚がもたらされる」「あくまで作業でしかなく、記憶にはあまり役立っていない」「あまり意味がない」と散々です。
ちなみに本書内では「記憶」のシーンで「書く」ことは一切言及されていません(ほぼ覚えている知識の確認としてはアリ)。
私も税理士試験の受験生時代、「書いて覚える」ことを試してみたものの、「書きながら別のことを考えてしまい、全然覚えられない」ことが分かり断念したことが。
ただ、税理士試験の専門学校では、周りに一定数「手で書いて覚える」人がいたので、「そういう覚え方をする人もいるんだな」と考えていましたし、他の勉強本でも、「目で見て、口で言って、手で書いて」と複数の感覚を使うことを奨励していることが多いので、ここまではっきり否定的なスタンスはとっていなかったと思います。
◆もう1つは「同じテキストでもレイアウトが変わると記憶が崩れる」という指摘。
これだけだとちょっと分かりにくいので説明すると、長井さんは英単語本の例を出されているのですが、改訂版で単語数が増えたことにより、微妙にページ構成やレイアウトが崩れると、記憶が不安定になったのだそう。
そこで本にハサミを入れて切り貼りをし、単語の順番やレイアウトを元に戻したところ、脳が落ち着きを取り戻し、覚え込んだ英単語をすべて思い出すことができたのだとか。
私も税理士試験のテキストで、「理論テキスト」いうものを丸暗記する必要があったのですが、税法改正等に伴い、新しい節が加わったりすると、その部分だけ新しいテキストのコピーを取って、元のテキストに貼って使っていました。
実はこれって、実は上記ポイントの2番目の「右脳ペースト法」に関連するお話でして、「理論テキスト」には図も写真も一切ありませんが、私は自分で線やマーカーを色を分けて引くことで、「画像」として記憶に残していたワケです。

まさに「位置」が変わるとゼロからのやり直しになるので、長井さんの言われていることが非常に腑に落ちた次第。
◆こうした記憶法に関する記述もさることながら、長井さんの本領が発揮されるのが第4章の「脳と心の状態を自在に整える技術」です。
「現役の心療内科医」だけあって、スランプに関するアドバイスは、説得力大。
たとえば「行動療法」の考え方として、「行き詰ったとき、『マイナス思考をしない』ことは難しいのですが、『できることを行なう』ことは簡単なのです」と言われてらっしゃいます。
つまり、「元気を出せばなんとかなる」のではなく「何かをすることで元気を出す」ということ。
具体的には、ポストイットに「しなければならない」ことを書いて、これを「しなければならない」「いましている」「達成できた」と左から三等分した小さな掲示板に貼っていきます。
最初ポストイットはすべて左端にありますが、この中から達成できそうなことを選び真ん中に移動、達成できたら右端に移動する……のですが、その意味や効果等は本書にてご確認を。
◆一方第5章では生活習慣、特に食事や運動について言及されています。
食事については、流行の「糖質制限ダイエット」とは逆に「主食をしっかり食べること」を推奨。
ただし、勉強で疲れたときに甘いモノをたべることは、「血糖値が上がり、それによって眠気を感じやすくなり、集中力が落ちるからダメ」と言われています。
また、運動については、身体的な運動をした際に多く分泌される「セロトニン」が、勉強による「精神疲労」をとる働きがあるのだそう。
運動は記憶力にも良い影響があると類書で読みましたが、さらにこうした作用もあるのですから、積極的に取り入れて頂きたいと思います(でも私は出不精w)。
◆冒頭でも触れたように、「お医者さん」と「予備校講師」の両方を兼ねられていた著者さんは、少なくとも当ブログでご紹介した著者さんの中にはいらっしゃいませんでした。
しかも代ゼミ時代には、1コマ90分で14万という高額で「カリスマ数学講師」とまで言われていたそうですから、それだけ成果も出されていたハズ。
その長井さんが、実際に生徒に指導したやり方が書かれている以上、本書が「理論」と「実践」を兼ね備えているのは明らかです。
上記ポイントの1番目から4番目までは、引用するボリュームの関係で詳しく書けなかったのが残念なのですが、興味のある方はぜひ本書をお読み頂ければ、と。
私自身のやり方に近いから、という点を差し引いたとしても、本書は勉強本として、かなりのクオリティだと思います。
勉強本好きなら、読むべし!

医学で合格る勉強法
第1章 勉強意欲を途切れさせない5つの方法
第2章 脳の仕組みをフル活用する暗記の技術
第3章 効率よく成果を上げる! アウトプット重視の勉強術
第4章 脳と心の状態を自在に整える技術
第5章 成果を上げやすい暮らしと勉強の習慣を身につける!
第6章 試験直前のコンディショニングはこう行う!
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【灘校流?】『試験に受かる「技術」 灘高が教えてくれた「超」合理的メソッド』吉田たかよし(2015年01月16日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
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レビューの星1つが気になったのでチェックしたところ、大半が「音声DLができない」ことによるもので、それは現在は対応されているようです。
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