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2016年04月21日

【働き方】『未来から選ばれる働き方』神田昌典,若山陽一


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未来から選ばれる働き方 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた、「仕事術本」

お馴染み神田昌典さんが、UTグループ株式会社代表取締役社長兼CEOの若山陽一さんと、これからの時代における働き方を探ります。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
2024年までに「会社」は一度、死ぬ。働き方はどう変わるのか? 飛躍できる人、組織の条件とは?
「景気が低迷した20年、私たちが失ったのは経済成長だけではないことを、若山陽一氏から衝撃とともに教わった」と経営コンサルタント・神田昌典はいう。
現実を知り、未来に備える書を著すときに神田昌典が選んだ共著者・若山陽一は「正社員として雇った社員を派遣する」という信念のもと、日本のモノづくりを支えるUTグループの代表。
二人の対論から、新しい時代に飛躍するために持つべき「勇気」、身につけるべき「力」を導き出す意欲作。

神田さんの『2022―これから10年、活躍できる人の条件』の続編とも言える1冊です!





Business meeting in coffee shop with Windows Mobile devices / gailjadehamilton


【ポイント】

■1.これからの会社をめぐる環境の変化
 あれこれ話が広がりましたが、ここまでの話をまとめると、会社をめぐる環境の変化には次の3つがあります。
【従来】社内の活動が価値を生み出す→【今後】社外の活動も価値を生み出す
【従来】社内リソースの活用が容易→【今後】社外リソースの活用も容易
【従来】人間がすべてを判断する→【今後】コンピュータも判断し始める
 これらの変化によって、これまでの「会社」は2024年までには、「一度、死ぬ」というのが私の予測です。


■2.ハイブリッド型人事とは?
 まず定義ですが、ハイブリッド型人事とは、「組織ビジョンに共感し集ってきたチームメンバーが、それぞれのワークライフスタイルで、求められる責任を果たしながら、自己実現していく最適な場所と制度を創り上げる試み」ということになります。
 シンプルに言い換えますと、仕事も家庭もしっかりと責任を果たしながら、誰もが楽しく働ける場所をつくりましょう、という私たちなりのチャレンジなのですが、これが始めてみると、なかなか難しい。
 なぜなら、もともと会社といえば、正社員ばかりだったのが、そのうち正社員と派遣社員になり、次に正社員と派遣社員+契約社員となり、さらに正社員と派遣社員+契約社員+業務請負、しかも業務請負先の社員や、取引先の社員が集まってくるという状況が生まれているからです。


■3.中途採用においてチェックする3つの要素(若山社長)
 僕は、中途採用試験では、次の3つの要素をシビアにチェックします。
(1)コミットメント――当社に来て、何をしてくれるのか。
(2)エビデンス――今までどんな仕事をしてきたのか。
(3)アップサイド――伸びしろ。前職で年収1000万円なら、弊社で2000万円プレーヤーになれるかどうか。
 これらを判断するうえで、必ず聞くことは、「成功体験」です。
「これまで働いてきて一番成功したことは何か」を聞けば、課題に対してどんなアプローチをするのかがわかります。


■4.未来に選ばれる人が持つ、3つの勇気
「会社」がなくなる時代には、どのような人材が飛躍していくのか?
 この問いの答えを、これまで若山社長と語りながら、探求してきました。振り返ってみますと、次の3つの勇気を持つことが大切だという結論に、私たちはたどり着いたようです。
●激変する技術環境に対応し、未知なる分野に踏み出す勇気。
●暗闇のなかでも、輝かしい未来ビジョンを描き、1人からでも声をあげる勇気。
●自分と共振するビジョンを持つ組織を見分け、その組織とともに成長していく勇気。
 この3つの勇気を持つ人が、未来から選ばれ、活躍していきます。


■5.会社やサービスなどに一貫性を持たせる「ワンワード・エクイティ」
 これは、『モチべーション3.0』などの全米べストセラーを著したダニエル・ピンクさんが、2013年に私と共同で行なった講演会で話していた言葉。正確には、「これからは、ワンワード・エクイティの時代だ」と述べていました。
 これはいったいどういうことかというと
「あなたの資産(才能)を、表現する一言はないか」
 ということです。
 これだけ世の中の情報量が多くなると、人は情報をパッと見て判断するようになります。パッと見て、よくわからなそうな情報だと、スルーされてしまいます。だからこそ、あなたの会社の特徴を、象徴するワンワードで表現することが必要だというわけです。


【感想】

◆本書が神田さんと若山さんの共著ということは、事前には知っていましたが、少々意外だったのが、章ごとに分担されていた、ということ。

下記目次をご覧頂ければお分かりのように、第1章、3章、5章を神田さんが、第2章と4章を若山さんが、それぞれ執筆されています(第6章は対談)。

そして若山さんのパートでは、若山さんがほぼすべて、ご自分の会社のことを話されているという仕様。

このうち、第2章は若山さんの「回顧録」が中心、一方第4章は、若山さんの会社の特徴に言及する、というものです。

もちろん、神田さんの話に絡めて、本書のテーマに沿ったものにはなっているものの、神田さんの本のつもりで本書を手に取ると、少々面食らうかもしれません。


◆とはいえ、若山さんの会社であるUTグループは、独特な社風を持つ会社のようで、一番の特徴は、社員が「派遣される『正社員』」である、ということ。

つまりUTグループに正社員として採用されて、クライアント先に「派遣」されるわけです(これっていわゆる「特定派遣」というものでは?)。

さらにUTグループの場合、クライアントの事業の現場を理解した社員が、UT本社での管理業務に携わり、望めばUTの株主にもなれる、とのこと。

しかも「エントリー制度」という、社員が現場のマネージャーや執行役員に立候補できる制度もあるのだとか。

実際、35歳で上席執行役員になった「若手のホープ」は、もともとは高校中退して時給900円で働いていた派遣社員なのだそうです。


◆一方第3章では、神田さんの「最近の働き方」に言及。

メディア等でご存知の方も多いと思いますが、神田さんは2010年に「癌の宣告」を受けたことで、30数名いた社員に別れを告げて、事実上会社を解散しています(厳密には神田さん1人残して)。

一応癌は完治はしたものの、再発する危険性も考え、その後は「1人会社」のまま、かつての社員である「社外ブレーン」と新たな体制を構築。

手がけていた仕事の多くを、そのまま継続したのだとか。

ところが、このまま社員ゼロのアウトソーシングの体制でいくのかと思いきや、今再び「正社員が必要である」と考えるようになったとのこと。

目指すのは、上記ポイントの2番目にある「ハイブリッド型人事」です。

この辺の心境というか、考え方の変化については、本書の第3章をお読み頂きたく。


◆なお、神田さんご担当の章である第5章では、上記ポイントの4番目の「3つの勇気」を得るための「コネクティング・インテリジェンス」について解説されています。

フォトリーディングを開発した、ポール・シーリィ博士によると、個人が矛盾やズレを起こしやすいコネクトは、次の3つである、とのこと。
(1)思考と感情
(2)個人と社会
(3)意図と行動(振る舞い)
この3つのコネクトを一致させた個人がたくさん集まり、組織に矛盾やズレがなければ、最強の組織ができあがる(UTグループもその1つ!)、とのことなのですが、詳しくは本書にてご確認下さい。


未来から選ばれる人や組織になるために読むべし!

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未来から選ばれる働き方 (PHPビジネス新書)
まえがき
第1章 あなたの会社は進化するか、それとも絶滅か――神田昌典
第2章 目の前から、正社員が消えた10年――若山陽一
第3章 会社をなくしてわかった可能性と限界――神田昌典
第4章 才能が自然に磨かれていく「場」を創る――若山陽一
第5章 コネクティング・インテリジェンスの時代――神田昌典
第6章 [対談]これから10年、飛躍するための条件
あとがき ――2020年、日本の人口は45歳以上が過半数を占めるようになる


【関連記事】

【"かなめ"になる】『「新しい働き方」ができる人の時代』セス・ゴーディン(著)神田昌典(監訳)(2011年07月01日)

【はてブ3000超!】ダニエル・ピンクの新作『モチベーション3.0』がついに登場!(2010年07月06日)

【働き方】『藤原先生、これからの働き方について教えてください。 100万人に1人の存在になる21世紀の働き方』藤原和博(2015年12月28日)

【一石多鳥?】『25歳からのひとりコングロマリットという働き方』おち まさと,本田 直之(2012年01月25日)

【全世代必読?】『40歳からの会社に頼らない働き方』柳川範之(2013年12月07日)


【編集後記】

◆先日マンガの『ぼのぼの』が、何十巻も10円で一瞬だけ(?)放出されていたのですが、今現在は「90%超」のポイント還元になっているようです。

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ぼのぼの(1) (バンブーコミックス 4コマセレクション)

とりあえず、15巻までは1巻あたり52円ほどでお買い求め頂ける模様。



とはいえ、念のため購入前には、ポイントのご確認をお願いします!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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