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2016年04月15日

お前らもっと『ヤバすぎる経済学』の凄さを知るべき


ヤバすぎる経済学―常識の箱から抜け出す最強ロジック
ヤバすぎる経済学―常識の箱から抜け出す最強ロジック


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日ではなくその前の「未読本・気になる本」の記事にて人気だった1冊。

当ブログではその著作を全てレビューしている、スティーヴン・D・レヴィット&スティーヴン・J・ダブナーの「ヤバ経」コンビ最新作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
テロ、犯罪、戦争から家族や人生の問題、エロい話まで、いま激動の世界で起こっているすべてを解決する131話
悪用厳禁!
昨日とは違う世界が見えてくる世界でいちばん過激な経済学。(中略)
アメリカで大炎上!
世界的スター経済学者によるシリーズ700万部突破の大ベストセラー、待望の最新版。

なお、Kindle版も既に配信されていますので、こちらもご検討ください。

ちなみに記事タイトルは、久々に「ホッテントリメーカー」のお世話になりました。

もちろん付箋も貼りまくり!







Freakonomics / Keith Allison


【ポイント】

■1.コカ・コーラから盗まれたレシピをペプシが買わなかった理由
 ぺプシがコークの秘密のレシピを手に入れてそれを公表し、コークとまったく同じ味のする飲み物を誰でも作れるようにしたとする。これは処方薬の特許が切れて、ジェネリック薬品の会社が製造に乗り出すときの状況にそっくりだ。影響はというと、本物のコークの値段は大幅に下がる(でもまがい物のジェネリック・コーラと同じところまではたぶん下がらない)。コカ・コーラにとっては間違いなく一大事だ。で、たぶんぺプシにも、やっぱり悪いことが起きる。コークの値段がとても安くなったので、世の人はぺプシからコークに乗り換えるたろう。ぺプシのほうも利益が減ってしまうのだ。(中略)
 結局、ぺプシがコークの秘密のレシピを手に入れてそれを利用したら、コカ・コーラもぺプシも、それまでより悪い状況に陥るのだ。


■2.ツイッターのキリ番コンテストで、何故フォロワーが減ったのか?
 ぼくらはツイッターの状況を見つめていた。40万番目のフォロワーを特定するためだ。そしてそのときはものすごい速さで訪れた。新しいフォロワーが毎秒5人とか6人とかそういう割合で増えたみたいだった。そんなふうにして、ぼくらは注意深く数を数え、ジャーン、当選した人を捕まえた。(中略)
 でもそれから、ツイッターのメイン・ぺージに戻ってみると、ぼくらのフォロワーはまだ40万人より少ないのに気づいた。しかもまだまだ足りない。実を言うと、コンテストが始まったときよりもフォロワーは少なかった。
 何が起きたんだろう?
 あなたがツイッターのプロならもうおわかりでしよう。ぼくらがグッズを進呈しますと言ったとき、ぼくらのツイッターをフォローするのをいったん止めて、またフォローしなおすインセンティヴが生まれたのだ。


■3.ムンバイの無賃乗車の罰金保険
 ガネッシュ・クルカーニってブロガーによると、ムンバイの通勤路線の利用者は毎日600万人いて、それなのに切符をチェックする機械が備え付けられていない。代わりに、担当の職員がランダムに乗客を調べて回るのだとクルカーニは書いている。そんな仕組みのおかげでインチキの手口が出来上がり、「チケットレス乗車」なんてステキな呼び名がついている。無賃乗車でとっ捕まるなんて、たぶんそうそうないんだろうけど、もしも捕まったらけっこうな罰金だ。そこで、とクルカーニは続けている。ある頭のいい利用者が保険を作った。無賃乗車で捕まったら罰金の一部を払ってくれる保険だ。
 仕組みはこんなふうになっている。500ルピー(11ドルぐらい)払うとチケットレス乗車族の組織の仲間になれる。切符を買わずに乗っていて捕まったら、まず罰金を払う。領収証を組織に提出すると、組織は罰金と同じ額を払ってくれる。


■4.絶滅危惧種を保護する法律は、かえって絶滅の危機に追い込んでいる?
ある種が絶滅危惧種に指定されると、その種の生存に欠かせない生息地が決められる。まず仮の境界線が引かれ、公聴会が開かれた後、どの範囲を生息地として保護の対象にするかが正式に決められるのだ。ときに、その過程で議論が行われている間、民間の関係者には、絶滅危惧種の生息地に指定されて開発できなくなる恐れがありそうな土地を、そうなる前に開発してしまおうとする強いインセンティヴが生じる。だから短期的には、生息地が破壊されるケースはむしろ増える可能性が高い。
 この仮説に基づいて、(ジョン・)リストたちは、アリゾナ州トゥーソンに近い地域でサボテンアカスズメフクロウのデータを調べた。彼らの発見によると、生息地に指定されることになる地域では開発のスピードがたしかに大幅に上がっていた。


■5.プリウスの大人気はプリウスだと分かるから?
 最近、ポドキャストで誇示的環境保護を取り上げて、アリソン・セクストンとスティーヴ・セクストンが書いた論文の話をした。2人は双子で、経済学部の博士課程で勉強している。論文のタイトルは「顕示的環境保護:プリウス効果と環境に対する配慮への支払意思」だ。
 なんでトヨタのプリウスを取り上げたんだろう? スティーヴ・セクストンはこう説明している。
「ホンダのシビックのハイブリッド版は普通のホンダのシビックと見かけは同じである。フォードのエスケープのハイブリッド版は普通のフォードのエスケープと見かけは変わらない。だから、プリウスの見かけがトヨタのカムリとかトヨタのカローラとかと同じだったらあんなに大人気になってないという仮説を立てた。そうしてこの論文で、その仮説を実証することにした」


【感想】

◆400ページを超すボリュームですが、相変わらず面白くて、一気に読み切ってしまいました。

ただし従来の作品とちょっと違うのは、本書が「ブログの書籍化」であること。



Freakonomics - The hidden side of everything Freakonomics | The hidden side of everything

著者2人がブログを書いていたことは知っていましたが、今年で丁度10周年なのだとか。

そのブログ記事、約8000件から厳選されたネタ131個を収録したのが本書というワケです。

……「131個」というのは、実際に数えたワケではないのですが、原著のサブタイトルがそうなっているので。

B00FJ331Q8
When to Rob a Bank: ...And 131 More Warped Suggestions and Well-Intended Rants


◆上記のブログをご覧頂くと分かるのですが、各記事には2人の署名があり、どちらが書いたかが明らかになっています。

そして本書もそれに倣い、タイトルの下に2人の頭文字(SDL or SJD)があるのですが、今回はスペースの関係で割愛しました。

一方、本書内では、2人以外にも客演して記事を書く人や、質問に答える人もアリ。

たとえば、『ヤバ経』マニアにはお馴染みのスディール・ヴェンカテッシュですとか。

4492222952
ヤバい社会学

読んだハズなのにレビューがないと思ったら、当時リレー式に書評を書いていた宝島に寄稿していたんでしたw

参考記事:【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)

ほかにも有名どころとしては、ナシーム・ニコラス・タレブや、ダニエル・カーネマンなどなど。


◆ちなみに『超ヤバい経済学』に登場した、高級コールガールのアリーさんも再登場しております。

4492314067
超ヤバい経済学

参考記事:【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)

なんでも『超ヤバい経済学』で紹介されたことで、彼女に大きな関心が集まったため、「ヤバ経ブログ」の読者からの質問に答えてくれたのだそう。

上記では割愛しましたが、第10章の「もっとヤらせて、ぼくら経済学者だし」(ちょww)の「高級コールガールですがなにか? なんでも聞いてあげる」にてご確認ください。

……普通に記事に書いたら、Google先生にお仕置きされてしまうのでお許しを。

また、上記ポイントの4番目に名前があるジョン・リストは、彼の「独裁者ゲームの新しい発見」について、この『超ヤバい経済学』の中で触れられていたのでした。

なんてことを書いてたら、久々にこの本読みたくなったんですけど、月替わりセールのおかげで、Kindle版が「46%OFF」とセール価格になっているという。

B00LF3TUBG
超ヤバい経済学

送料加味しても中古の方が安いので、お買い得ではないのですが、結構厚いので、Kindle版の方が便利かもしれません。


◆さて、アマゾンの内容紹介では、本書の収録テーマ中のいくつかについて、このように列挙されていました。
●効果的なテロの起こし方って?
●銀行襲うならいつ?
●家族以外の人より家族に誘拐される方が3倍多い?
●格安航空券で飛行機が墜ちる?
●絶滅危惧種を守る法律で絶滅が早まる?
●地産地消は地球にやさしくない?
●名前で人生が決まっている?
●高級売春婦の経営戦略って?
●ご褒美の中身とタイミングで子どもの成績が良くなる?
このうち、絶滅危惧種の話については、上記ポイントの4番目で言及済み。

また、「銀行襲うならいつ?」というのは、原著のメインタイトルでもあります(ただし結論は微妙w)。

ただ、個人的にはここで挙がっているものと、上記のポイント以外にも付箋を貼りつつ割愛したお話が多々あったわけでして。

具体的には

・選挙で好きなだけ何度でも投票できるが、投票した回数の2乗の関数分(1,4,9,16…)お金を払うシステム

・特定のミドルネームを持つ男性が、ありえないほど犯罪を犯している件

・試合を行う場所を選手側が決めることで、高い税金を回避できるスポーツのお話

・自分の話を「回顧録」として出すのと「小説」として出すのと、どちらが売れるか

・銃による犯罪を減らす法律を考える


といったあたりが非常に興味深かったな、と。

これらについても、本書で併せてご確認下さい。


◆まー、長々と書いてきましたが、従来からの『ヤバ経』ファンなら、楽しめることウケアイ。

あまり馴染みがない方には、「行動経済学のぶっちゃけ本」だと思っていただければ、大体合ってますw

そもそも彼らのデビュー作で取り上げられている「妊娠中絶と犯罪発生率の関係」の論文のおかげで、彼らのもとには、山ほど苦情や批判や嫌がらせの手紙が届いたのだとか。

本作でも「子どもにわいろを贈って試験で頑張らせる」という実験で現金を渡したところ、これまた苦情のメールやコメントが届いたそうで、相変わらずの平常運転の模様。

個々のお話にブログ掲載時の日付がないのが少々残念でしたが、それ以外はファンとしては文句なし!


10年間の「ベストセレクト」をお楽しみください!

ヤバすぎる経済学―常識の箱から抜け出す最強ロジック
ヤバすぎる経済学―常識の箱から抜け出す最強ロジック
第1章 ぼくたち、お役に立ちたかっただけなんです
第2章 マス掻く手コキとウェインの恐怖
第3章 ガソリン値上がり万歳!
第4章 コンテストいろいろ
第5章 間違ったものを怖がるとは
第6章 インチキしてないってことは一所懸命やってないってことだ
第7章 でもそれ、地球にやさしいの?
第8章 21で大当たり
第9章 銀行襲うならいつがいい?
第10章 もっとヤらせて、ぼくら経済学者だし
第11章 万華鏡みたいなもの
第12章 ひとたびジェットになったなら……
訳者あとがき


【関連記事】

【『ヤバ経』再び!】『0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる』スティーヴン・レヴィット,スティーヴン・ダブナー(2015年02月15日)

【ヤバ経再び】『超ヤバい経済学』スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー(2010年09月27日)

ヤバい経済学 [増補改訂版](2007年05月16日)

「ヤバい経済学 」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー (著)(2006年05月07日)

お前らもっと『ヤバい経営学』の凄さを知るべき(2013年03月03日)

【オススメ!】『オタクの行動経済学者、スポーツの裏側を読み解く』トビアス・J・モスコウィッツ,L・ジョン・ワーサイム(2012年07月03日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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みんなの楽しい英文法 「スタンプ例文」でわかる英語の基本

ウチのムスメはぜったい英語でつまづきそうなので、こういうので勉強させるといいのかも!?


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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