2016年04月04日
【情報収集術】『社会人1年目からの「これ調べといて」に困らない情報収集術』坂口孝則
社会人1年目からの「これ調べといて」に困らない情報収集術 (「やるじゃん。」ブックス)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。著者の坂口孝則さんは、調達や講買が専門の方ですが、昨年執筆された『仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。』でも垣間見れたように、ビジネススキルも秀逸ですから、本書のようなテーマも納得です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
社会人に求められる資料作成は、学生時代のレポートとは違います。
適切な情報を探し、それを扱うスキルが不可欠なのです!
本書では、社会人として身につけておきたい情報収集の方法を紹介。
どこで調べればよいか、情報のどんなところを見れば良い資料が作れるのか、これを読めば丸わかり!
なお、お買い得なKindle版も出ていますので、お忘れなく!
Visiting Researchers / FDR Presidential Library & Museum
【ポイント】
■1.情報調査前に明確化すべきこと・いつまでにつくればいいのか
・資料の目的は明確になっているか
・対象者は上司だけか、あるいは、さらに上の役員なども見るものか
・報告手段は何を求めているか
・できれば、どういう結論を導きたいのか
・上司はどれくらいくわしいのか
(詳細は本書を)
■2.プロは結論から逆算して資料をつくる
すなわち、「この結論を導くためには、その直前で何を言えばよいのか、そこではどんなデータがあればよいのか、そしてそれはどんなグラフで指し示すべきか、そのデータはどこから導くべきか」と、自分の考えるように、いわば、データの「いいとこ取り」をするわけです。
これを説明するのは非常に難しく、最初に聞いたひとは「結論ありきの、とんでもない資料作成方法を教えているんじゃないか」と怒るかもしれません。したがって、これを言うのは勇気がいります。
しかし、それでも私は結論から逆算した資料作成をお勧めします。
なぜならば、結論から逆算し、データを「いいとこ取り」して資料作成しようとしても、そのような適切なデータを集められない場合は、その仮説自体が間違っていると初期段階から気づくからです。
それによって、仮説構築から検証までのスピードが格段にあがります。
■3.会社情報を調べるには週刊誌系のニュースサイトを
ここではあえて、「日経ビジネスオンライン」「東洋経済オンライン」、そして「ダイヤモンドオンライン」の3つをとくに推薦しておきます。
なぜかというと、執筆者が各分野の専門家だったり週刊誌の記者だったりするからです。もし専門家の文章について疑義があった場合、自社の記者に確認できます。また、私はこの3社とつき合いがありますが、かなり厳しくチェックしていることを知っています。
この3つのウェブサイトにはそれぞれ検索窓がありますので、そこで会社名を入力して検索すれば、ここ最近の状況がざっとわかります。この3つのニュースサイトからはじめて会社情報を探してみましょう。
■4.本はすべてを読もうとしない
その書籍であなたが求めているのは、ほんの数行です。
したがって、次のような方法で書籍を読みましょう。・まずざっと目次を読むこれだけで、おおよそあなたが必要としている箇所がわかるはずです。
・本をパラパラとめくって、図や表や写真などが入っているところを眺める
そして、・1ページから順にめくっていくものの、高速でめくるそうすると、だいたい10分から長くても1時間あれば、1冊の本を流し読みできます。そして必要なところに、問答無用に付箋や印をつけていきます。
・1ページから30分ほどはゆっくり読んでもいいものの、あとはさっと流す
■5.上場企業の決算書はEDINETで入手する
次に上場企業の場合です。これは明確で、EDINET(http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/)を活用して下さい。これは金融庁がやっているサイトで、金融商品取引法に基づく、有価証券報告書等の開示を行うものです。(中略)
ただ、行政のサイトはわかりにくいため、手法を記しておきます。・「書類検索」から「書類簡易検索」を選択
・「現在指定している検索粂件」の「決算期/提出期間を指定する」をクリックし必要な時期を選択
・「提出者/発行者/ファンド」を選択
・対象者(社)を記入して検索
【感想】
◆今の時代、「情報収集術」と聞いてまず思い浮かべるのが、「ネットでググる」こと。趣味や生活のことで情報収集するなら、まぁそれでもいい(どのサイトでどう調べるか等はべつとして)としても、本書が対象とするのは、「ビジネスシーン」における情報収集です。
そしてその場合の情報収集とは、基本的には「調査して資料にまとめる」ことに他なりません。
そこで調査する前に、まず考えなければならないのが、上記ポイントの1番目にある「調査前に明確化すべきこと」。
これをチェックせずに、やみくもに情報収集したとしても、上司が望むものとかけ離れてしまう可能性が大きいです。
◆中でも、特にキモとなるのが「できれば、どういう結論を導きたいのか」という論点。
要は、上記ポイントの2番目にもあるように、「結果からの逆算思考」によって資料を作成し、かつ、それに必要な情報を集めることが大事ということです。
この考え方は、コンサルタントでお馴染みの仮説思考に似ているのではないか、と。
確かにコンサルタントは、仮説思考を用いることで、大幅に時間を節約しています。
もっとも、その仮説が間違っていた場合、それでも理屈が通るようにするために、使うデータや数字をごまかしてしまっては、元も子もないのですが。
◆また、本書で多くページを割いていたのが、会社情報の収集です。
上記ポイントの5番目のEDINETは、以前当ブログでご紹介したつもりでいたのですが、今検索かけたら初めてだった模様。
さっそく最近話題の某会社でやってみたところ、こんな感じに……。
これは表紙の次の2ページ目にある「主要な経営指標の推移」という決算データ等のあるページなんですが、トータルで133ページもありましたw
もちろん決算数字だけでなく「対処すべき課題」「事業等のリスク」といったページもあり、なかなか読みごたえがあると言いますか。
上場企業ならば、こうしてかなり突っ込んだ内容まで調べられるワケですね。
◆なお、ここまで細かいデータが必要ない場合は、「Yahoo!ファイナンス」でOK!
私も本業で株価を調べたいときに、「Yahoo!ファイナンス」を使っていましたが、簡略版とはいえ決算数字まで掲載されているとは知りませんでした(使い方は本書にてご確認を)。
というか、「売上高」「営業利益」「経常利益」「当期利益」「総資産」「自己資本」といったあたりが3期分掲載されていますから、普通ならこちらで十分な気が。
一方、中小企業については、そもそも広告していない会社がほとんどですから、普通にネットでググっても分かりません。
そういう場合は、「帝国データバンク」や、「東京商工リサーチ」にお世話になることに。
データ(3年分の最終損益状況等)はネットで購入する(490円/件)こともできますし、繰り返し、もしくは何社も調べるのであれば、本を購入する手もあります。
帝国データバンク会社年鑑 | 帝国データバンク[TDB]
ちなみに、お値段が高すぎてビビった方は、本書に「タダで見る方法」が書いてありましたので、そちらをご覧頂きたく(ネタバレ自重w)。
社会人「ン十年目」の私でも、知らないことが多々ありました!
社会人1年目からの「これ調べといて」に困らない情報収集術 (「やるじゃん。」ブックス)
第1章 情報収集 5つの鉄則
第2章 資料作成の心得
第3章 会社・業界について調べてみよう
第4章 上級編・ここまできたら超「やるじゃん」な調査術
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。ロジカル・プレゼンテーション ― 自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
送料込みの中古の約半値なので、お買い得ではあります。
ただちょっと昔の本なので、その点はご留意を。
ご声援ありがとうございました!
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