2016年03月28日
【エグゼクティブMBA】『世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方』山崎裕二,岡田美紀子
世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、リアル書店で捕獲した仕事術本。著者のお2人は、UCLA-NUSのエグゼクティブMBAの同窓生であり、実際の授業で検討された事例も豊富に収録されていました。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
スタンフォード、シカゴ、ウォートン、UCLA-NUS…世界の第一線のプロフェッショナルが学んでいる「本質的な考え方」のコツとは?(中略)
世界一時間にシビアなエリートたちが、あえて貴重な時間を割いて学んでいる「ビジネスで最も利用価値の高い」知識・思考法・問題解決術のすべて。
Kindle版のご用意もありますので、そちらもご検討ください!
Changing Healthcare Delivery through Design 46275 / tedeytan
【ポイント】
■1.プレゼンで言うべき3つの要素要するに、「こんなに儲かる話があって、これほどユニークな魅力を持っていて、このような理由で実現可能で、あとはただ一点、あなたの決裁(あるいは「資金」「協力」など)だけが必要なんです」というのが正しいプレゼンのかたちなのだ。
これは投資案件など社外でのプレゼンもそうだが、社内で企画を通そうとする際もベースは同じと考えていい。
「いかに速く、どれくらい儲かるか」「どんなユニークポイントがあるか」「実現可能であること」を、説得力を持って語ることができれば、間違いなくだれかが食いついてくる。
逆に言えば、この3つの要素が決定的に欠けていたなら、いくら内容をこねくり回しても結果は変わらないということだ。
■2.「プレッシャー」時の自分の反応を知っておく
そもそもリーダーにとって「プレッシャーがかかったとき、自分はどのような反応をするのか」という視点はとても重要だ。
なぜなら、窮地のときほどリーダーとしての真価が問われるからだ。
しかし、その自己認識を正しくできているリーダーは驚くほど少ない。
いかに普段は温厚で、部下の話に耳を傾けるタイプでも、プレッシャーがかかったときに攻撃的になるようでは、部下も信頼してついてきてくれなくなってしまう。(中略)
つねにどんな環境でも自らのリーダーシップを効果的に機能させるためには、プレッシャーがかかったときの自分の反応と対処方法を知っておくことが重要なのだ。
■3.人間関係を数値化する
シカゴ大学のEMBAに行っていた友人のジョージによると、彼が受けた授業では「相手に与えた恩義でさえ、すべて数値化できる」と教わったという。(中略)
もちろん、この発想に賛否があるのは当然だ。
恩義をすべて定量化するなんて現実的でないと考える人もいるだろう。
しかし、現実には「知らない相手」「文化的、宗教的に相容れない相手」「嫌いな相手」に、何らかの影響を与えなければならない場面は多い。ビジネスであればとくにそうだ。
そのような相手に対し、私たちはどのようにアプローチをして、交渉ごとを進めていけばいいだろう。そんな場面で最も効力を発揮するのが「相互利益」だ。それも、はっきりと定量化した「ギブ&テイク」の関係を築くことが一番スムースかもしれない。
■4.抵抗勢力をマトリックスに当てはめて考える
人事や組織変革について先進的な発想を持つその企業では、組織変革を実施するに際しては、まず、すべての関係者をリスト化し可視化するという。(中略)
そして、リストにあるすべての関係者を「変革への影響力×協力度」の4象限マトリックスに当てはめてみる。
「影響力が高く、協力度が低い人」を変革のキーパーソンと位置づけ、コアチームで戦略を練り、アタックするのだ。
たとえ協力度が低い(つまり、反対派の)相手だったとしても、影響力が大きくなければいったんは置いておく。こうやって、少ない人数で効率的かつ効果的に抵抗勢力にアプローチする。
「反対勢力への対策」も組織変革におけるタスクの一つとして客観的に捉え、システマチックにまとめてしまおうという発想だ。
■5.「誰と組むか」が非常に大事
Eインクも、液晶パネルの業界ではまったく見向きもされなかった。鮮明でカラフルな液晶パネルが次々と開発されるなか、「白黒で、なんとなく薄暗い」パネルが必要とされるはずなどなかったのだ。
普通に考えれば、Eインクも世間に溢れる「日の目を見ないテクノロジー」と同じ運命を辿るはずだった。
しかし、必死に組む相手を探した果てに、アマゾンという組織にアクセスし、キンドルという相手を見つけた。そして、ぺーパーホワイトという、軽くて、薄くて、充電する回数が極端に少ない商品にEインクの特性がフィットした。
その後の展開は多くの人が知る通り。
もし、Eインクを開発した会社が「パソコン用の液晶パネル」という狭い領域でビジネス化することにこだわっていたら、今日の成功はなかっただろう。
【感想】
◆本書の舞台となるのは、UCLA-NUSのEMBAなるもの。これは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とシンガポール国立大学(NUS)が共同で行っているプログラムであり、オックスフォードやケロッグと並んでエグゼクティブMBAとしては「世界のトップ5」と言われているのだとか。
EMBAといえば、丁度先日ハーバード・ビジネススクールのエグゼクティブMBAである「PLD」のお話であるこの本をご紹介したばかりなのですが。
ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?
参考記事:【リーダーシップ】『ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?』森若 幸次郎(2016年03月11日)
ただこの本は、その「PLD」にどんな人がいて、いかに勉強が大変で、という話が多かったのに対して、本書はそれらのテーマは一切割愛。
冒頭で触れたように、検討した事例が数多く紹介されていました。
……今見たら、アマゾンでも「イキイキとした授業の追体験」なんてレビューがあがってますねw
◆具体的に1つのケースの概要を挙げると、こんな感じです。
・主人公はMBAを卒業したばかりのマイケル(31歳)
・彼は、大手ソフトウエアの子会社にゼネラルマネージャーとして採用された
・その際、親会社の創業者の面接を受けており、直接彼に報告することになっていた
・ところが入社直後に組織再編があり、間に別の上司が入ることになった
・いざ着手してみると、想像以上に納期が遅れていることが判明
・上司はシステムの知識が乏しく、マイケルの報告もまともにとりあわず
・さらに年上のベテランエンジニアとの折り合いが悪く、こちらもまともにとりあわず
・そこで信頼できるスタッフを重要ポストに登用するが、これもチームの反感を買う
……といった前提から、クラスでディスカッションしていくという次第。
たまたまこれは人間関係の話がメインですが、EMBAではさまざまなケースが出され、そのケースごとに活発なディスカッションを繰り返すのだそう。
◆その人間関係の絡みで言うと、本書の第1章では「『あらゆる相手』を動かす方法を学ぶ」というタイトルそのままに、「人を動かす」方法を検討。
いきなり、個人的にはイチオシのこの本が紹介されていて、思わずニンマリしましたw
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
参考記事:【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)
「人を動かす」必要性は、社外のみならず社内でも必要であり、たとえば上記ポイントの4番目の「抵抗勢力」というのは、具体的には買収した相手企業を取り込む際の、組織変革について述べたもの。
ただ、このマトリクスに当てはめるやり方は、そこまで大がかりでなくとも、転職や異動等により新しい職場で働く際に使えると思います。
◆一方、テーマとしてツボだったのが第4章で、ここでは主にビジネスモデルについて言及が。
上記ポイントの5番目にもあるように、私も愛用しているKindle Paperwhiteが、こんな経緯で生まれたのだとは知りませんでした。
また一時期ひんぱんに接していた、インテルの「intel inside」(インテル入ってる)というブランディング戦略も、なかなか興味深いもの。
各メーカーが、PCに「intel inside」のステッカーを貼ると、いくらかのお金が返金されていたのですが、高いCPUを売っているインテルにしてみたら、多少の返金など微々たるもの。
むしろそれによって、消費者に「インテル=高品質」「インテル以外は心配」と思わせることに成功しているわけです。
その結果、インテルは単なる部品メーカーでありながら、絶大なブランドを築き上げたという……。
◆本書はタイトルだけ見ると、「ビジネスエリートがどのように学んでいるか」という「勉強法」の本のようですが、それはちょっと違うな、と。
「どのように学んでいるか」というよりは、むしろ「何を学んでいるか」に近いと思います。
そして学んでいる内容が「ビジネス直結」であるがため、必然的に広い意味での「仕事術」になるという次第。
結局、エグゼクティブとして働く以上は、「コミュニケーション」、「マネジメント」、「マーケティング」、「経営」等々の、さまざまな分野の知識が必要になるわけですね。
ビジネスエリートの「学び」を俯瞰する1冊!
世界の最も野心的なビジネスエリートがしている 一流の頭脳の磨き方
はじめに:世界の野心的なプロフェッショナルは、どうやって「頭脳」を磨いているのか?
序章:「最速で結果につなげる思考」をつくる――プロフェッショナルの学びのルール
第1章:「あらゆる相手」を動かす方法を学ぶ――大きな仕事ができるリーダーシップ思考
第2章:「絶対に負けない交渉法」を頭にインプットする――トップエリートの知的ネゴシエーション術
第3章:「不毛な消耗戦」から抜け出す発想をつかむ――イノベーション思考を身につける
第4章:「勝つ方法」のすべてを頭に叩き込む――マーケットの勝者になる技術
第5章:「世界視点」で考える――グローバルに成功できる知力をつかむ
おわりに
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【リーダーシップ】『ハーバードのエリートは、なぜプレッシャーに強いのか?』森若 幸次郎(2016年03月11日)【速報!】最強のビジネス本「影響力の武器」の[第二版]がいよいよ登場!!(2007年08月18日)
【世界標準?】『ザ・チェンジ・メイカー ―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン』齋藤ウィリアム浩幸(2016年01月31日)
【ハーバード流?】『ハーバードの“正しい疑問”を持つ技術 成果を上げるリーダーの習慣』ロバート・スティーヴン・カプラン(2015年07月18日)
【グローバル】『「世界標準」の仕事術』に学ぶリーダーシップのルール7選(2011年09月29日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。《増補改訂版2015》本好きのためのAmazon Kindle 読書術: 電子書籍の特性を活かして可処分時間を増やそう! AmazonKindle術シリーズ
内容紹介と目次を見たら、恐ろしく書き込んであってビックリの巻。
これはKindleユーザーや、これからKindleをお使いになろうと考えている方には、必読の作品だと思います。
ご声援ありがとうございました!
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