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2016年03月25日

【怒りの本質論】『怒りに負ける人、怒りを生かす人』安藤俊介


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怒りに負ける人、怒りを生かす人


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げたコミュニケーション本

著者である安藤俊介さんのデビュー作『アンガー・マネジメント』は、中古価格が4700円超という人気ぶりなので、本書も見逃せませぬ!

アマゾンの内容紹介から。
日々くり返される「イライラ」「カチン!」について悩んだときに開きたい「怒り」のバイブル。「怒らない」のにうまくいかない人「怒る」のにうまくいっている人―その差は何?世界で15人、米国人以外で唯一のアンガーマネジメント・トレーニングプロフェッショナルが語る「怒りの本質論」

ついカリカリしてしまう方なら、要チェックです!





angry face / _gee_


【ポイント】

■1.怒りは消えても、壊れたものは元に戻らない
「怒り」にかぎらず感情は、放っておけば小さくなっていく傾向があるのです。
 ずっと怒っていたり、ずっと悲しんでいたり、ずっと喜んでいたりはできない。
 しかし、「怒り」に駆られて、言ってはいけないことを言ったり、取り返しのつかないことをやったり、何かを破壊したり、そうした行動の結果、壊れた人間関係や仕事、物体は元に戻ることはないのです。
 それは、時代を超えて受け継がれている「真理」なのだな、と感じます。


■2.「とっさに怒る」の悲劇を防ぐためには、6秒待つ
「怒り」の感情を抱いたときに、最もやってはいけないことを、たった1つあげるとしたら何だと思いますか?(中略)
 それは「反射」です。だから、
・反射的に何か悪いことを言う
・反射的に悪影響のある行動をとってしまう
 こうした行動をなくすこととが、まず重要です。(中略)
 そのため、よくセミナーなどでご紹介するテクニックの1つに、「怒りを感じたら、まず6秒数えてください」というものがあります。
 怒りの感情のピークは6秒といわれているからです。日々のささいな怒りなら、6秒心の中でゆっくりと数えるだけでも、収まることも多いのです。


■3.ムダな怒りは、複雑な計算や翻訳でそらす
怒りをそらすのに参考になるアンガーマネジメントのテクニックがあります。「カウントバック」と呼ばれるものです。
 例えば、「100、97、94、91、88……」というように100から3ずつ引いて計算しながら数を数えるのです。あるいは、「ワンハンドレッド、ナインティナイン、ナインティエイト……」と英語で数を数えてもOKです。
 これは、とにかく少し複雑な計算をする、翻訳することで「意識を怒りの対象から遠ざける」ためのテクニックです。
 なぜ、怒りから気をそらすのに、計算や翻訳が有効なのでしょうか。
 それは私たちの脳の仕組みに関係しています。

(詳細は本書を)


■4.怒るときは「原因」より「目標」、「過去」より「未来」について語る
 妻とケンカした際に、「なんで、あなたは家事を手伝ってくれないの?」と「原因」を問われても、夫には責められた思いしか残らないものです。
 それならば、「家庭と仕事の両立でつらいの。あなたと楽しく結婚生活をするために、家事をもう少し手伝ってほしいの」と「2人の理想の結婚生活」を語りながら「家事を手伝ってほしい」と言われたほうが、納得感があるはずです。
 怒るときは、「原因」よりも「目標」や「理想」を大切にしてください。
 そして、「過去」よりも「未来」について語ることも重要です。


■5.怒りを損切りする勇気を持つ
 たとえ心底怒りたくなることがあっても、どこかで損切りしたほうがいい。
「あいつだけは許せない」と思ったとしても、他人も過去も変えられません。
 また、復讐したいとか、見返してやりたい、などの気持ちも非建設的です。
 どこかで、「運が悪かった」「失敗だった」「ひどい目にあった」とあきらめて、ふんぎりをつけて、前を向く。
 その怒りは、私の人生を幸せにするか、を考える。
 アンガーマネジメントを、「人生」というスパンで考え、怒りを損切りする勇気をもつことも重要なことです。


【感想】

◆本書の著者である安藤さんのデビュー作のタイトルでもあり、安藤さんが代表理事を務める協会の名称でもある「アンガーマネジメント」。

これは「怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニング」を意味します。

そしてこのような立場であるにもかかわらず、10年以上前の安藤さんは、ちょっとしたことでイライラしては、人間関係がぎくしゃくしていたのだそう。

つまり本書のタイトルでいうところの「怒りに負ける人」だったわけです。

それが「アンガーマネジメント」を学ぶことにより、「怒らない」自分へと変身。

また、怒るにしても「こう表現すればよかったんだ」と気づき、「怒りを生かす人」になったのだとか。


◆ここでのミソは、「怒りを我慢すればいい」わけではない、ということ。

どんなことにも「怒らない」と、今度は「怒りをため込んでしまう」ことになります。

すると自分自身に多大なる負荷・ストレスを与えることに。

その結果、体調がすぐれなかったり、心の病になってしまったりする、とのこと。

結局それもまた、「怒りに負ける人」にすぎません。


◆そこで怒るときには、上記ポイントの4番目のように「原因」より「目標」、「過去」より「未来」を意識すべし!

さらに、何を相手に言うかについては、「怒りの細分化」を行うと良いのだそう。

たとえば、「共働きの夫婦で夫が家事育児を手伝ってくれない」という場合、「怒るポイント」をしぼるために、マトリクスに当てはめます。

具体的には「自分で変えられる/変えにくい」を縦軸に、「難易度が高い/低い」を横軸に4象限に設定し、「自分で変えられる」かつ「難易度が低い」ものから相手に伝えていくという。

たとえば「子どもが泣いているのに起きない」というのは「自分で変えられる」ものの、寝ている状態のことなので「難易度は高い」ですし、「ゴミの出しのやり方が下手」というのは「難易度は低い」ものの、相手の評価次第なので「自分で変えにくい」ことになります。

さらに、「家に帰ってくるのが遅い」というのは、会社の都合もあり、すぐには仕事を減らせないでしょうから、「自分で変えにくい」上に「難易度は高い」ことに。

結局、「テレビを観ている」や「ゆっくり食べている」といったものが、「自分で変えられる」し、かつ「難易度は低い」ので、この辺から伝えていけばいいわけです。

……私も何かヨメに言いたいことがあったら、これに従おうっとw


◆その上で意識しておきたいのが、上記ポイントの2番目にあった「反射」です。

安藤さんいわく、アンガーマネジメントを学んで10年以上、9万人を超える人の怒りに向かい合ってきたうえで、最もやってはいけないことをたった1つを選ぶとしたら「これ」なのだとか。

その結果、上記ポイントの1番目のように「言ってはいけないことを言ったり、取り返しのつかないことをやったり」してしまったら、「壊れた人間関係や仕事、物体は元に戻ることはない」のですから要注意!

「ついカッとなってしまって……」という言い訳をたまに目にしますが、そうならないようにしたいものです。


「怒りやすい人」や「怒りたいのに怒れない人」は要チェック!

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怒りに負ける人、怒りを生かす人
第1章 「怒りに負ける人」「怒りを生かす人」の違いとは?
第2章 日々、イライラする、ささいなことにムッとくる場合
第3章 大きな怒りを感じたり、怒りが積もり積もった場合
第4章 「怒りたいのに、怒れない」と悩んでいる場合
第5章 「怒りを生かす人」であるために大切な8つの習慣


【関連記事】

『「怒り」のマネジメント術』に学ぶ「怒りと付き合う7つのTIPS」(2011年09月14日)

【怒りの制御】「アンガー・マネジメント」安藤俊介(2008年10月14日)

【コミュニケーション】『アドラー流 たった1分で伝わる言い方』戸田久実(著),岩井俊憲(監修)(2015年03月06日)

【下から目線?】『相手を怒らせずに言いにくいことを伝える100の方法』植西 聰(2014年05月23日)


【編集後記】

◆告知記事のときにアナウンスしていなかったので、お知らせを。

【Kindle】「幻冬舎新書540円均一フェア」始まりました(2016年03月11日)

こちらのセール、アマゾンの公式ページでも「3月17日まで」となっていますが、現在延長中です。

ただし、koboでは本日である「3月25日9時59分まで」、となっていたので、そろそろ本当に終わる可能性が高いかと。

……もっとも値段設定の関係上、お買い得本は少ないのですがw


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

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