2016年03月15日
【起業】『10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか』ジョン・スヴィオクラ,ミッチ・コーエン

10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた起業本。「世界で600人しかいない」という「ビリオネア」の成功の秘密を探っています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
ビリオネアと普通の人の違いは何か。それは外的要因ではなく、内面、すなわち「ビリオネア・マインド」にある。具体的には「アイデア」「時間」「行動」「リスク」「仕事相手」に対する考え方が独特なのだ。これら5つの特徴を、豊富な取材量による実例を交えて説明する。
お求めやすいKindle版も、好評発売中です!

James Dyson / Eva Rinaldi Celebrity and Live Music Photographer
【ポイント】
■1.ビリオネアにまつわる7つの誤解誤解(1) 若くして成功した
誤解(2) IT長者である
誤解(3) ブルー・オーシャンの開拓者
誤解(4) 一発当てた人
誤解(5) モラルが低い
誤解(6) 一夜にして大成功をおさめた
誤解(7) 天賦の才能に恵まれている
(詳細は本書を)
■2.ビリオネアは共感力と想像力を同時に使ってアイデアを出している
ビリオネアは2種類の能力を同時に使ってアイデアを出している。ひとつは、顧客が求めているもの、これから求めるであろうものを感じとる共感力。そしてもうひとつは、共感をべースにまだ見ぬ商品をつくりあげる想像力。
共感力と想像力が出合ったときに、爆発的なアイデアが生まれるのだ。
もちろん、後から理屈を述べるのは簡単だ。ビリオネアのビジネスは、後になれば当たり前と思えるようなものであることも多い。それでも、初期の段階では大きな抵抗にあう。対象のマーケットをよく知る人からすると、あまりにも無謀なことに思えるからだ。
■3.ビリオネアは異なる時間軸を同時にあやつる
異なる時間軸を同時にあやつるのは、多くのビリオネアに共通する特徴である。
ビリオネアはすばやく行動するが、手当たりしだいに行動するわけではない。「これだ」というアイデアが出るまでは動かないし、時期尚早だと思えばじっと機会をうかがう。いかにアイデアがよくても、タイミングがまちがっていたら意味がないからだ。早すぎれば誰も買ってくれないし、遅すぎれば誰かに先を越されてしまう。(中略)
ただし、ビリオネアは異なる時間軸を同時にあやつることで、タイミングを誰よりもうまくつかむことができる。タイミングが予測不可能であることを知っているから、「短気」と「気長」を上手に使いわけるのだ。
■4.ビリオネアはさまざまな形で「売る」経験を積んでいる
我々が調査したビリオネアのうち、実に79%が営業の仕事を経験していた。若いうちに営業を経験した人が多く、調査対象の46%は大学卒業以前に何らかの「売る」仕事でスキルを磨いている。本格的な営業職でなくても、たとえばジョー・マンスエトはクリスマスカードを売っていたし、ミッキー・アリソンは大学でフライドボテトを売っていた。手づくりのレモネードを売るという昔ながらの商売を経験した人も多い。
そんなの遊びみたいなものだ、と思うかもしれない。たが、そこから学ぺることは馬鹿にできない。人前に立ち、堂々とセールストークをする能力。何度も断られながら、あきらめずに立ち上がる精神力。
自分で径験したことのない人には、売るというのがどういうことかけっして理解できないだろう。それを理解しておくことが、ビジネスを成功させるうえで重要な力になる。
■5.ビリオネアはチャンスを逃すリスクを恐れる
プロスぺクト理論によれば、人がリスクをどう認知するかは状況によって変化する。そこには前後関係や過去の経験など、多くの要因が関わってくる。プロスぺクト理論の多くの洞察のなかでも、とくに重要なのが「損失回避性」という概念だ。これは利益と損失とでは損失のほうを過大に評価する傾向をいう。
人は何かを得たいという気持ちよりも、今あるものを失う恐怖のほうを強く感じるということだ。
たいていの人は失敗するリスクを過大評価し、新たなチャンスをふいにするリスクのことはあまり考えない。たがビリオネアは逆だ。失敗するリスクよりも、チャンスを逃すリスクのほうを恐れる。
【感想】
◆本書で登場するビリオネアの抽出方法については、本書の冒頭でフローチャート式で解説されています。まず2012年のフォーブスの世界長者番付から、資産10億ドル保有者(ビリオネア)リストを入手。
そこから「本人の実力とは無関係な理由」で成功した人を削除します(相続、結婚等)。
さらに「透明性を欠いた分野」で成功した人も除外(不正な方法を使うなど)。
これで公正な手段で富を築いたビリオネアが、全世界で600人となりました。
ただ、ここから地域や業種に隔たりがないようにランダムに抽出して、最終的には120人が本書の調査対象となった、とのこと。
なお、本書の巻末には実際に本書内で言及されているビリオネア50人超が、簡単な解説とともに50音順に並んでいますので、何やっている人か忘れた場合でも、すぐ見直せるというありがたい仕様です。
◆さて、そんなビリオネアに関する「誤解」をまとめたのが、上記ポイントの1番目。
特に意外だったのが、(2)の「IT長者である」なんですが、実際にはIT・テクノロジー業界出身の人は2割にも満たないのだそう。
これは金融や消費財の分野とそう変わらないとのことです。
同じく(3)の「ブルー・オーシャンの開拓者」というのも当てはまらず、8割のビリオネアがいわゆる「レッド・オーシャン」で成功を手にしているのだとか。
では逆に、ビリオネアが持つ「ビリオネア・マインド」とはどういうものか、というと5つあって、詳細はネタバレ自重……ではなく、下記目次の第2章から第6章までの見出しがそれに該当しています。
つまり、各章ごとに「ビリオネア・マインド」について解説しているのが本書という次第。
◆そして上記ポイントの2番目から5番目までは、本書の第2章から第5章までからそれぞれ抜粋しています。
第6章は割愛してしまったのですが、企業のトップが、自分と正反対の人とコンビを組んでいた、という話は結構広く知られたところかと。
アップルのジョブズとウォズ、マイクロソフトのゲイツとポール・アレンは当然なんですが、むしろあまり知られていないコンビが数多く登場していますので、詳しくは本書にて。
またボリュームの関係から、上記各ポイントでは4番目を除いて、具体例や具体的人物等がいっさい登場していないものの、本書では逆に「これでもか」とばかりに掲載されています。
この辺は巻末の人物紹介と併せて読んで頂くと、理解が深まるかと。
◆その事例の中から「目からウロコ」だったものを1つだけご紹介しておくと、小見出し曰く「油田火災の危機を10万ドルのチャンスに変えた男」。
今でこそ「リッチな米スポーツオーナー」として知られるフィリップ・アンシュッツですが、元々は父親の石油採掘会社で働いていたのだそう。
すると1967年、アンシュッツが27歳のとき、部下の現場主任が大量の石油を掘り当てるという幸運に恵まれます。
彼はすぐさま、借りられるだけの金を借りて、周辺の採掘権を買い占め、全速力で掘削。
ところが作業員のミスで油田に火がついてしまいます。
油田火災の消火作業の専門家に頼もうにも、すでに借金まみれだった彼は、丁度ワーナーブラザースが、油田火災のドキュメンタリー映画を撮ろうとしていたことを知り、担当者に電話。
「とっておきの映像を撮るチャンスだ」と言って、10万ドルで話をまとめ、それによりワーナーはこの映画を完成させたのだそう。

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……自分の会社の掘り当てた油田が燃えている映像を売るなんて、普通考えつきませんよ。
◆本書を最初に見かけたとき、「お金持ちの生活習慣」みたいな本だと思ったのですが、ここまで述べてきたように、それは間違いであり、「起業心得」とも言うべき内容でした。
また、10億ドルというハードルも高すぎて、参考になるのか不安だったものの、普通に「成功者120人の共通項」だと考えれば、むしろ説得力も大きいです。
さらに翻訳書らしく注記もしっかりありますし、上記の人物紹介とは別に、索引まで付いている親切設計w
少々残念だったのが、登場人物の半分くらいが初見だったこと(上記のフィリップ・アンシュッツも知りませんでした)なんですが、会社や商品は知っていても、その創業者までは知らないことも多いですから、致し方ないかな、と。
……単に私が無知である可能性は否定できませんけど。
「成功する起業者」のエッセンスがここに!

10億ドルを自力で稼いだ人は何を考え、どう行動し、誰と仕事をしているのか
第1章 ビリオネアの嘘と真実
第2章 ビリオネアの「アイデア」 共感力と想像力で未来を描く
第3章 ビリオネアの「時間」 最速で動き、ゆっくり待つ
第4章 ビリオネアの「行動」 創造的にルーティンワークをこなす
第5章 ビリオネアの「リスク」 現在の金銭的損失よりも将来の機会損失を恐れる
第6章 ビリオネアの「仕事相手」 自分とは正反対の人を仲間にする
第7章 ビリオネアマインドを組織に活かす
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。
あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫)
名著として名高い作品を、中古の送料以下でご提供。
それにしても、レビュー数の多さ(しかも高評価なものが多々)に圧倒されますね。

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