2016年03月10日
【子育て】『一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』ムーギー・キム,ミセス・パンプキン
一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「子育て本」。著者のおひとりであるムーギー・キムさんは、当ブログでも『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』をご紹介したことがありましたが、もう一人のミセス・パンプキンさんは、「東洋経済オンラインで3年に渡って育児相談コラムを連載中」という女性で、実はムーギーさんのお母様でもあります(知らなんだ)。
アマゾンの内容紹介から。
東大・京大に入っただけの偏差値エリートに終わらずどんな分野でも成功できる最も大事な力とは?「やり抜く力」「自分で考える力」「知的好奇心」「自信」「学習習慣」などをつける超具体的な55の方法。
なお、若干お買い得なKindle版も発売されております!
Children / zimpenfish
【ポイント】
■1.「人と違っていてもいい」と教える自分で考え、行動する主体性を身につけさせるうえで大切なのは、私たちの社会に蔓延しがちな「同調圧力」に負けない子育てをすることです。アンケートでも多くの学生さんが、ご両親が「他人と違うことを恐れるな」と教えていることに勇気づけられます。
クラスのみんなが言っているから、先生が言っているから、テレビの人が言っているから、という「皆が言ってるから自分もそちらに与する」という思考特性がつく前に、「皆が間違っていることも大いにある」ことを子どもに教えたいものです。「自分の考えは何か」「自分は何をすべきか」を自分で決める習慣こそ、主体性の根本だからです。
■2.「どれだけ活字に触れたか」が一生を左右する
ここまで紹介してきました学生さんのアンケートの中で、最も多くの学生さんに共通していたのが、幼少時に親から本の読み聞かせをしてもらい、たくさんの本を与えられて読書習慣が身についたというものです。読書で視野が広がり、好奇心が強まり、親から言われなくとも勉強するのが当たり前になったという学生さんが、大変多かったのです。(中略)
一流大学に合格しているにもかかわらず、親に勉強せよと言われたことがないという学生さんのほとんどが、「幼児期の親からの絵本の読み聞かせで本好きに育った」「本はふんだんに買ってもらえた」「親が切れ目なく図書館から本を借りてきてくれた」「いつも家に本がいっぱいあって、読書する環境があった」などと回答してくれています。
読書で好奇心や読解力、集中力が養われたことから、自主的に勉強するようになるという自然の流れがあったことがうかがえます。
■3.叱るときは感情的にならない
子どもが幼いからといって、理由も説明せず感情的に叱るのが習慣化すると、一生続く親子関係に禍根を残すことにつながりかねません。
一方的に子どもを理不尽に叱っていると、子どもが思春期になって頭ごなしの物言いが通じなくなってくると、うまく意思疎通ができなくなっていきます。このころになってようやく「もっと子どもの考えを尊重しよう」と思っても、今度は子どものほうが親を受け入れにくくなっていたりします。
子どもが親の理不尽な叱り方に黙って耐えている時期は、長い人生を考えればそう長くはありません。この時期に親として感情的な叱り方をしていると、その後悔は、子どもが巣立ったあとの長期間、ずっと続くことになるのです。
■4.幼少期に「学習習慣」を贈る
幼少期の学習習慣は、子どもの人生を通じて大きな影響を及ぼします。人によっては一番力を発揮する時期は違い、この時期を過ぎてもいくらでも巻き返す人はおられますが、勉強嫌いな子でもこの時期に学習習慣を身につけてやることは、どの時期よりもたやすいのです。私の経験からですが、小学生時代の子どもの頑張り体験は、受験の成功の有無にかかわらず、その子の秘めた力あるいは地力になり得ます。
幼少期に身につけた学習習慣や、「やればできる」という自信は生涯続くものです。
勉強嫌いだったわが息子2人は、性格も考え方も随分違います。それでいて、2人が共通して言っていることがあります。中学受験のときに親子で一緒に頑張った体験が、その後の踏ん張りどころでいつも力になっているというのです。そしてそのときの成功体験が、やればできるという自信になっているといいます。
■5.しつけは厳しく
多くの親は、子どもに勉強はさせようとしますが、道徳的なしつけはおろそかにしがちです。その意味では、成長してから人と最も差がつくのは、「人間性を育む幼少期のしつけ」だと言えるかもしれません。
しつけで重要なのは、まずは自制心を養うことです。「面倒でも身のまわりを整理整頓する」「嫌いでも今、宿題をする」「他にすることがあっても、約束時間は厳守する」など、いろいろと考えられます。(中略)
自制心に欠けていたり、他人への接し方が失礼だったりすれば、社会に出てから苦労するのは子ども本人です。適切なしつけをしていない親は、子どもがイバラの道を歩む覚悟をしなければなりません。
【感想】
◆本書の冒頭に、ムーギー・キムさんによる本書の概説があるのですが、本書で説かれているのは「『一流』を育てるための7大方針55か条」である、とのこと。このうち「7大方針」は、下記目次の各章のタイトルであり、「55か条」はその下にある「節」というか「小見出し」が該当するようです(数えたら55個あったので)。
そしてこの「55か条」は、そのほとんどが私にとっては「同意」できるものであり、そのうちのいくつかは、私自身がこれから「そうしよう」と思っていたモノ。
そういう意味では、上記で5つだけ抜き出すより、普通に本書の目次に列挙してある「55か条」を読んで頂いた方がいい気もするのですが、全部丸写しするわけにもいきませぬ(当たり前)。
「それでは!」と思って、Kindle版の「無料サンプル」をダウンロードしたのですが、残念ながら目次の第1章までで切れていたという……。
まぁ、詳しくは本書をお求め頂けばいいのですが(←アサマシ)。
◆さて本書は、上記ポイントの2番目で「アンケート」というフレーズがでてきたように、著者お2人の実体験だけでなく、「さまざまなグローバル企業に進んだ200人を超える学生」に、「幼少期からの教育方針等」を答えてもらったアンケートをもベースにしています。
その内訳は、東大や京大、早慶等が中心。
年齢や「具体的にどの企業に進んだか」までは書いていないものの、なるほど皆さん優秀そうな感じです。
本書では各章ごとに、まず冒頭でムーギーさんが導入部分の4〜6ページを担当し、続いて上記アンケートを数名分掲載し、それを受けてパンプキンさんの解説が付される仕様。
知名度的に、てっきりムーギーさんがメインかと思いきや、ほぼ8割くらいはパンプキンさんが執筆されています。
もっとも、冒頭のリンク先の育児相談でもお分かりのように、こういった「子育て」ネタは、パンプキンさんの得意とする分野。
お子さんが4人いて、延べ160年に及ぶ母親経験(4人のお子さんの年齢合計)は伊達ではありませんw
◆個人的には、その上記ポイントの2番目を読んで、ますます子どもたちに本を買い与えようと思いましたw
そもそも我が家では、私がこのブログのために本を書い漁ってばかりいるので、子ども達が本を欲しがるのを止める資格がありませぬ。
また、ムスコが算数好きなので、Kindleセールで「大人でも楽しめる算数本」があると、その都度買って、ムスコに解かせてみたりもしてますし。
とはいえ、1点注意しなくていけないのが、割愛した中にあった「『読ませたい本』ではなく、子どもが『読みたい本』を読ませる」という指摘。
以前、リアル書店で買って欲しい本を尋ねると、よく「『かいけつゾロリ』シリーズ」とか言われて、涙目になっていた(「物語」というより「マンガ」に近いので)のですが、それでも買ってやらんといけないんでしょうか?
さらに最近は、「ゲームの攻略本」を求められており、もはや読書でもなんでもないようなw
◆もう1点、上記ポイントの5番目の「しつけ」、特に「自制心」は、「マシュマロ・テスト」として、「目先の欲求を辛抱する能力」が「大きくなってからの社会的な成功に結び付く」ことが、広く知られています。
マシュマロ実験 - Wikipedia
ウチの2人の子どもを見ても、ムスコの方が、たとえ疲れていても「やらなければいけないこと」をやりきる能力はある模様。
そのせいか、同じ学年の頃のムスメと比べても、普通に成績は彼の方がいいようです。
もっとも、「自制心」と同じかそれ以上に、「他人への接し方」は社会に出てから重要なんですが。
◆本書はタイトルに「一流」と入っていますし、帯で『「学力」の経済学』の中室牧子さんが推薦文を書かれているので、 「一流校へ入る育て方」のような印象を受けますが、必ずしもそうではありません。
むしろ「一流校に入った学生さんの育てられ方」を、アンケートをもとに「帰納法的」にまとめあげた、といったところかと。
ですから、エビデンス等はありませんし、当然ですが「具体的な勉強のさせ方」にまでも踏み込んでもいません。
それでも今現在「子育て真っ最中」である私には、勉強になる点が多々ありましたし、本書を参考にして、引き続き子育てをしていこうかと。
……あとでヨメにも読ませなければw
お子さんがいらっしゃるなら、一読をオススメ!
一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる
第1章 「主体性」を最大限に伸ばす―自分を知り、自分で決められる力を育てる
第2章 「視野」を広げ、天職に導く―選択肢を増やし、得意分野に進ませる
第3章 やり抜く力「グリット」を育む―真剣に挑戦させ、簡単にはやめさせない
第4章 一流の「コミュニケーション能力」を磨く―人から信頼されるために必要なコミュニケーション能力の本質
第5章 これで自分から「勉強」するようになる―放任や強制より、「動機づけ」が大切
第6章 「勉強以外の勉強」をさせる―テスト勉強より、「しつけ」こそが一生の財産に
第7章 「無償の愛情」を感じさせる―最も大切な親の仕事
【関連記事】
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【理系の子?】『人気講師が教える理系脳のつくり方』村上綾一(2012年11月18日)
【スゴ本】『理系の子―高校生科学オリンピックの青春』ジュディ・ダットン(2012年06月07日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」は、こちらでした。マッキンゼー 現代の経営戦略 2014年新装版 大前研一books>Kenichi Ohmae business strategist series (大前研一books>Kenichi Ohmae business strategist series(NextPublishing))
単行本からは「77%OFF」、同じシリーズのKindle本と比べると、「53%OFF」らしいです。
ただ、内容的に読む人を選びそうなので、ご留意頂きたく。
ご声援ありがとうございました!
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