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2016年02月26日

【自己啓発】『「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講』ステファン・アインホルン


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「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨年末の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げていた自己啓発書

その後土井英司さんのメルマガに先を越されて放置してしまったのですが、晴れて読破致しました。

アマゾンの内容紹介から。
世界トップ医大で「学生が選ぶ最優秀教授」に輝いた名医が、わかりやすく感動的に語る!北欧で空前の社会現象となった世界初の「やさしさ学」講義。なぜ、「与える人」ほど多くを受け取るのか?

なお、お求めやすいKindle版も出ております!






Grooming / randomlife


【ポイント】

■1.大切なのは「気持ち」ではなく「行動」
「大切なのは気持ちだよね」―― 一見もっともらしいこの言葉を聞くたびに、私は考え込んでしまう。他人のために何かをしようとしない人は、決まって、よいことをしようと考えていたのに邪魔が入ったと言い張る。会議の時間が延びたとか、ギャンブルに生活費を使い込んだとか、誕生日プレゼントを買いに行く時間がなかったとか……。
 そんなことは問題ではない。大切なのは気持ちではなく、行動である。もし行いがよいものであれば、動機は二の次だ。


■2.他人を助けるのは、ある意味では快感が得られるから
 ある研究によると、人間どうしの協力作業は、快感を高めるドラッグと同じ生理的効果を脳にもたらすという。私たちが協力し、他人を助けるのは、ある意味では快感を得られるからなのだ。もし快感を得られなければ、人間は現在のように協力し合うことはないだろう。そして、協力したいという願望は、種としてのヒトの生存と生殖能力を高める資質だったため、自然は進化を通じてこの資質が快感を得られることと確実に結びつくようにしたのだ。
 よい行いをする利己的な理由がまたひとつ見つかった! よい行いは副作用のないドラッグのようなものなのだ。


■3.利己的な動機からやさしくしてもよい
「身勝手から生まれる善意? そんなのは善意じゃない。たんなる利己主義だよ!」
――こう憤慨する人もいるかもしれない。だがそうした見解は、「利己主義」と「善」がまったく反対のものだという、ありがちな誤解にもとづいている。そうではない。私たちには利己的な動機から善行を行う立派な権利があるのだ。ダライ・ラマが利己主義的な人間について、賢明な発言をしている――。
「愚かな利己主義者は、いつも自分のことだけを考えて、否定的な結果を招きます。一方で賢い利己主義者は、他人のことを考えてできるだけ手を貸し、自分と相手のどちらにも得になる結果をもたらすのです」
 ダライ・ラマは、利己的な動機からやさしくすることにまったく問題はないという。


■4.お金を重視すると不幸になる
 では、より大きな幸福や満足を得るには、どんな目標を追い求めればいいのだろう?
 幸福度の関係を調べたデータによると、「高い収入」や「仕事上の成功」、そして「有名になること」を目標にしている人は、「友人に恵まれること」や「いい結婚」を人生の重要な目標にしている人と比べて、自分を「やや不幸」もしくは「とても不幸」だと見なす傾向が2倍になるという。
 41の国を対象にした調査でも、成功と愛には大きな相関関係があることがわかつている。愛を重視すればするほど、人は幸せになれる。しかしながら、お金に高い価値を置いている人の場合は、正反対の相関関係が成り立つ。お金を重視すればするほど、不幸になるのだ!


■5.仲間に寛大になると、人生がよりすばらしいものになる理由
 ひとつには、寛大な人は周囲との軋轢が少ないからだ。器の大きい人は他人と競おうとしないので、他の人たちも競い合おうとせずに協力し合い、すべてが丸く収まるようになる。
 第二の理由は、仲間に気前よくあれば、自分も気前よく接してもらえるからだ。
 前にも触れたが、ある研究によると、人は、寛大な人に対しては寛大な態度で接することがわかっている。(中略)
 第三の理由は、他人に寛大だと自分も楽しいからだ。人間の脳は、他人に何かいいことをすると満足感が得られるようにできている。(中略)
 第四の理由は、ざっくりと言うと、寛大な心と善意で他人に接すれば、結局は自分の得になるという法則だ。

(詳細は本書を)


【感想】

◆アマゾンの内容紹介によると、本書は「人口900万人のスウェーデンで30万部突破した」とのこと。

スウェーデンの人々が過度に「利己主義」だったり、その逆だったり、という話は特に聞いたことはないのですが、いずれにせよ人口比で言ったら、大変なベストセラーなワケです。

また、紹介されているネタや調査のいくつかが、類書に載っていたものだったりしたものの、そもそも本書の原書の出版は2005年とのこと。

モノによっては本書の方が早かったのでしょうから、むしろ「遅すぎた翻訳化」という気がしないでもなく。

ちなみに、米国でも2007年には出ていたみたいですね。

The Art of Being Kind: Stefan Einhorn: 9781933648705: Amazon.com: Books


◆個人的に「なるほど」と思ったのが、上記ポイントの1番目。

「大切なのは気持ち」とはよく言ったもので、「できない(やらない)」言い訳に使われがちですが、「これはイカン」とバッサリです。

著者のアインホルン先生曰く、あくまで大切なのは「行動」である、と。

そういえば下記エントリーでも、「『何を言ったか』ではなく『何をやったか』に注目する」というお話を書きましたっけ。

参考記事:【必見!?】いつか娘に伝えたい「恋愛のオキテ」3選(2013年02月14日)


◆さらに本書のキモは、上記ポイントの3番目のように、行動さえ正しければ、それが利己的な動機に寄るものでもいい、と言っている点。

実際、利己的であろうとなかろうと、他人にやさしくすると「人生がよりすばらしいものになる理由」は、上記ポイントの5番目のとおりです。

ここの第3の理由に「人間の脳は、他人に何かいいことをすると満足感が得られるようにできている」とありますが、これぞまさに、上記ポイントの2番目で言われていること。

そして、このような「人とのつながり」を重視する生き方の方が「幸せになれる」というのが、上記ポイントの4番目につながってきます。

結局「愛を重視すればするほど、人は幸せになれる」ワケですね。


◆なお、割愛した中で興味深かったのが、「『衝突は成長のチャンス』は嘘である」というお話。

一般的に、衝突は建設的だ、と言われることもありますが、アインホルン先生は反対の立場です。

曰く「衝突は敗者しか生まない」とのこと。

そして、もし相手の考えや行動を変えようと思って、他人と衝突したのなら、自分自身が変わるべき、と言われています。
 人間は変わることができる、ただしそれは、誰かに命令されて変わるのではなく、自ら進んで、あるいは周囲の誰かに感化されて変わるのだ。

やさしくありたい、と思わされた1冊!

4864104212
「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講
はじめに――「やさしさ」を磨くと人生が変わる
第1講 やさしさと倫理
第2講 偽りのやさしさ
第3講 やさしさ・勇気・利己主義
第4講 あなたが「よい人間」になれない理由
第5講 やさしさは得か?
第6講 「成功」とは何か?
第7講 なぜ、やさしくなると成功するのか?
おわりに――生涯を人間の研究にささげた男が最後に気づいたこと
訳者あとがき


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【編集後記】

本日の「Kindle日替わりセール」から。

B00978ZRTU
レバレッジ・リーディング

本田直之さんの初期のヒット作なんですが、中古にここまでお値段付いているとは知りませんでした。

文庫にもなっていないようなので、普通にお買い得状態という。

参考記事:「レバレッジ・リーディング」本田直之(2006年12月06日)


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