2016年02月25日
【記憶術】『覚えたら一生忘れない最強記憶術』川村明宏,川村真矢
覚えたら一生忘れない最強記憶術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった勉強本。速読スクールの会長が書かれているので、てっきり速読ネタ中心かと思いきや、速読はほとんど出てこず、むしろ新ネタがバンバン飛び出してきてビビりましたw
アマゾンの内容紹介から。
記憶力は仕事力です。短時間で、目を通した書類や読んだ本の中身をくっきり頭に記憶できるようになれば、できる男に生まれ変われます。せっかくの努力を埋もれさせずに、才能を開花させるための一冊です!
上記未読本記事執筆時にはなかったのですが、今ならKindle版も出ております!
Elevator Mnemonics > Jewels / danxoneil
【ポイント】
■1.思い出せても出せなくても、同じスケジュールで復習する短期記憶、長期記憶の話をするとき、私がいちばん注意しているのが、「思い出せる」記憶です。「思い出せる記憶」というのは、長期の記憶と間違われやすいからです。
まだ長期記憶になっていなくても、一定の時間内であれば私たちはその情報を思い出すことができます。たとえば、2日後、1週間後にその情報を思い出せたら、「もう長期の記憶になった」と思い込んでしまうというわけです。そして1年後の試験のときに、まったく覚えていないことに気がつきます。
大切なのは、「思い出せても出せなくても、同じスケジュールで復習する」こと。それが、本当の長期記憶にするための方法となります。
■2.覚えていたいことは五感とセットで記憶する
たとえば、初めて入った定食屋さんで飲んだ味噌汁が、故郷の母のものと同じ味で、懐かしいことが次々と思い出された、といったような経験はありませんか。このように何かの「味」をきっかけに、記憶の引き出しが一気に開くことがあります。つまり、味覚にも記憶は格納されているわけです。(中略)
受験生では、歴史の暗記項目を歌にして覚える人もいます。私の知り合いでは、歴代首相を「クリスマスソング」のリズムに乗せて覚えていました。
このように、脳の中にはそれぞれの五感に対応した記憶の引き出しがあります。記憶する部位はそれぞれ違うのです。五感はそれぞれきめこまかく、記憶を保持する仕組みを持っています。しかし、私たちが「記憶術」として利用しようとするのは、通常は視覚、聴覚のみ。これは脳の使い方としてはとてももったいないことなのです。
■3.何回繰り返したら長期記憶に移行できるのか知っておく
長期記憶に定着させるために、「自分は何回繰り返せば覚えるのか」を知ることも必要です。1章でお話したように、長期記憶にもっていくために必要な繰り返しの回数は人それぞれ。5回で長期記憶への移行をOKとする脳の持ち主もいれば、同じ内容に10回かかる人もいます。
回数をこなせば、記憶できる数は増えていきます。最初は10個中5個しか覚えられなかったのが、時間をあまりあけずに2回目を行うと6個、7個と増えていきます。そして何回目で10個、つまリパーフェクトになるか、この回数を計っておくのです。
何回繰り返したら長期記憶に移行できるのかを知っておくことで、勉強の計画が立てやすくなり、暗記にどれくらいの時間を割いたらよいかがわかるようになります。すべての物事に対して、何回繰り返したら100%覚えられるかを計るのは大変ですから、基本的なもの、たとえば英単語などで自分の現在の能力を計っておくとよいでしょう。
■4.覚えたいことは一度隠す
「すぐに忘れないために、どうすればいいですか?」という質問を、よく受けます。
それに対して私は、「思い出すクセをつけてください」とお答えしています。みなさん「忘れてしまう」と嘆くわりに、「思い出す」という作業をしていないのです。本も新聞も読んだだけ、名刺も交換しただけ。これでは情報は頭に残りません。(中略)
簡単にできる方法は、ちょっと何か覚えておきたいときには、それを一度隠すことです。たとえば、今日の買い物リストを頭に入れておきたければ、書いたメモをさっと隠してみます。書くということに加えて、思い出すという負荷を与えることで、神経細胞の枝が少し伸びることになります。書いたら一度さっと隠してみると、かなり頭に残るはずです。
■5.記憶力を鍛えるために料理をする
普段から料理をしている人であれば、「しょうゆ、みりん、酒」を合わせたらどんな味になるか、記憶を使って再現できます。肉が焼けているのを色で判断しますし、ジュージュー、グツグツといった音も料理中の判断材料ですから聴覚も使います。もちろん、いい匂いがすればうまくできているとわかりますし、焦げてしまったことも匂い、つまり嗅覚で判断できます。
熱い、ぬるい、冷たいなどの判断は、触覚の分野。切ったり混ぜたり洗ったりなど、手を動かすことも触覚の分野です。味覚を使うことは言うまでもありません。
料理は五感を総動員します。本を読む、音楽を聴く、といった五感を1つだけ使う作業よりも、記憶力を鍛えることに大きく貢献するのです。
【感想】
◆冒頭で「速読はほとんど出てこず」と申し上げましたが、これが「速読教室の会長の本?」と思うほど、本書には「速読」が出てきませんでした。一応、「『繰り返す』ために不可欠な技術『速読』」という小見出しがあって、その節では「速読ができれば繰り返せるので、記憶の定着率は圧倒的に高くなる」と述べられているものの、記憶をする際に「繰り返しが重要」なのは当たり前のこと。
挙句の果てには「速読に関しては他著にゆずりますが」とまで言われており、速読に関しては、ほぼスルーでした(もう1箇所だけ「速読は右脳を活性化させる」というお話アリ)。
もっともそれだからこそ私は本書を購入したワケですし、もしページを割いて速読のトレーニングが載っていたら、おそらくパスしていたと思います。
◆その代りに本書がフォーカスしているのが、「五感を使って記憶する」こと。
上記ポイントの2番目でもサラッと触れられていますが、本書ではあまり類を見ない「味覚を使った記憶法」を紹介しています。
たとえば、「名前と味覚を組み合わせる」。
具体的には、斉藤さんなら「さ」がつくので、砂糖と結びつける、吉田さんなら「よ」から牛丼の吉野家を思い出す、といった具合です。
そしてその人の顔を見ながら、「甘そうだな」「しょっぱそうだな」と勝手に味覚を想像して、無理矢理でも結びつけるのだそう(詳細は本書を)。
同じように「嗅覚」も、色々な「匂い」と「記憶したいもの」を紐づけることで、覚えておくことができる次第。
自分自身、そうやって記憶した経験がないので、今ひとつピンと来なかったのですが、理屈としては理解できるかな、と。
◆もちろん、こうした五感は「重ねる」ことでさらに効果が倍増します。
たとえば「音読」なら「視覚+聴覚+触覚(唇の動き)」ですし、「ディクテーション」なら「視覚+聴覚」に加えてやはり「触覚(ペンを動かす)」が重なるという。
ちなみに本書では、エクササイズとして「シャドーイング」や「ディクテーション」が挙げられているのですが、その題材が宮沢賢治の『よだかの星』だったりします(下記は青空文庫なのでフリーです)。
よだかの星
それを見て気が付いたのですが、これらは何も英語でなくても良いわけで、覚えたい対象(私であれば税理士試験の理論問題)を音声化して、「シャドーイング」すれば暗記するのにも効果があったハズ。
自分で読み上げたものを「2倍速で繰り返し聞く」ところまではやったのですが、詰めが甘かったです。
◆こうした独特なTIPSとは別に、本書には王道的なテクニックも収録されていますのでご安心ください。
具体的にはこんなところが。
・先生になったつもりで人に教える
・塾から帰ってきた子どもに、今日の授業の内容を質問する
・達成可能な短期目標を常に持つ
・問題集や参考書は1冊にする
・寝る前に覚えたいことをささっと眺める
まぁ、ベタといえばベタですし、類書でも言及されているものばかりですので、ザックリ割愛させていただきました。
◆なお、再度「五感」絡みになりますが、本書の巻末には「色彩トレーニング」と題されたカラーページが付されています。
多くの勉強本で、「記憶やマーカーをする際、色は使いすぎないように」と言われている中、多色使いでビックリの巻w
ちなみに、トレーニングの例を挙げると、「黄色の円と青の円を寄り目(立体視)にすることで重ねあわせて緑の円にする」といったようなもの(詳細は本書を)。
どうも、このトレーニングによって「色彩感覚をオーバーホールして記憶力を向上させる」のが目的のようです。
自分自身、受験生時代は、「同じ単語(フレーズ)を同じ色でどんどんマーキングする」という「多色使い」で記憶していたので、当時本書に出会っていたら、目の色変えて実践していたかも!?
記憶術がお好きな方なら、一読の価値アリです!
覚えたら一生忘れない最強記憶術
1章 記憶力をアップさせる「仕組み」
2章 記憶力をアップさせる「公式」
3章 記憶力をアップさせる「イメージ力」
4章 記憶力をアップさせる「五感トレーニング」
5章 記憶力をアップさせる「繰り返しの力」
6章 記憶力をアップさせる「習慣」
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。諦める力〜勝てないのは努力が足りないからじゃない
まだまだ中古が値崩れしていない為末 大さんの人気作が「69%OFF」で大放出です!
ご声援ありがとうございました!
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