2016年02月19日
【心理】『影響力の心理』ヘンリック・フェキセウス
影響力の心理~The Power Games~
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨日の「未読本・気になる本」の記事にて人気を集めていたコミュニケーション本。本書の著者のヘンリック・フェキセウス氏は、「神経言語プログラミング(NLP)、ヒプノシス(催眠)、演技、マジック、心理学などのコミュニケーション・メンタル技術」等を学んだというお方です。
アマゾンの内容紹介から。
あなたは人を何秒で信用するか?ほとんどの人は「多数派」に流されて生きている。でも、今日からすべてが自分の望み通りになるとしたら―科学的に人を暗示にかける。潜在意識で場を支配する方法。
想像していたのよりも濃い内容で、思わず付箋を貼りまくりました!
【ポイント】
■1.何かを「始める」よう説得する代わりに、すでに「始まっている」と伝えるたとえばどこかのコーヒーショップが配っている「スタンプ10個で1杯無料」のカード。こうしたカードは少なくともスタンプが1個押された状態で渡される。これこそテクニックだ。すでに始まっているスタンプカードをもらうと、カフェに再び足を運んでスタンプを迫加しようとする可能性がぐっと高まる。すでに始まっているプロジェクトを継続するほうが、新しい何かを始めるよりもラクなのだ。実際には始まっていなくても、事態が進行中であることを感じさせるだけで十分なのである。
■2.「あなた」を文頭にもってくる
仮に、あなたが会議に出たくない気分だとしよう。もし「僕は会議に出なきゃダメかな?」と言ったら、自分のことしか考えていない人のように聞こえる。もちろん相手も、「たまには他の人のことも考えてみるべきじゃないかしら。みんながあなたのように行動したらどうなると思う?」といった返事をしてくるだろう。
だが、もし反対に、あなたが相手の視点に立って「あなたは僕抜きでも会議を切り抜けられそうですか?」と聞けば、質問の焦点はもはや、あなたが会議に出るべきかどうかではなく、その相手が自分1人でも会議を切り抜けられるかどうか、になっている。そしてたいていの場合、答えはイエスになる。「問題ないわ。あなたが出られないなら、私が何とかする」
■3.頼み事に小さな付箋メモを付ける
付箋の影響力が大きいことは、既に証明されている。黄色い付箋に手書きでメッセージを書くと、何もしないときに比べて、お願いをきいてくれる可能性が2倍以上も高まるのだ。付箋を付けずにアンケートの用紙を渡すと、35パーセントの人しか回答しないところ、付箋を付けると75パーセント以上の人が答えてくれるようになる。
しかも、付箋に「ありがとう」と書き、「自分の名前」をサインすれば、記入する人の割合はさらに跳ね上がる。それだけでなく、付箋を付けなかったときに比べて記入した内容も詳細で、分量も多くなり、期限内に提出する人の割合も多くなる。
■4.挨拶は1回ためる
私的な電話を受けたとき、あなたはどのように応えているだろうか? 相手が誰だかわからないときは、ニュートラルな声で出るだろう。相手が誰だかわかって、しかもそれが親しい友人だったとき、初めて感情が変化する。「もしもし、誰……あ! 久し振り! 元気?」
このテクニックは、仕事で電話に出るときにも使える。どこかのお人好しにならって、陽気な声で電話に出るのは止めよう。
代わりに、フレンドリーではあるものの、ニュートラルな声で出る。そして、相手が名前を言ったら初めて、大きな笑顔が伝わるような声で話すのだ。「ターディス・エンタープライズのマットです……ああ、モイヤさん!」。温かく、柔らかで、明るい声が彼女だけのためであること、そして特に彼女からの電話を受け取って嬉しいと伝えることが大切だ。
■5.相手の何に感謝しているか明確にする
プレートを取ってくれた例でいえば、いつものありふれた「ありがとう」の代わりに、「取り忘れているのに気づいてくれてありがとう!」と言おう。これはプレートを取ってくれたことへの感謝ではない。「自分に注意を払ってくれてありがとう」と言っているのだ。具体的な「相手の行動」にふれながら感謝するのは、個人的な、感情の伴った感謝の表れである。この違いは、心理学的にとてつもなく大きい。(中略)
相手の何に感謝しているのかを明確にすると、相手の目立たない行動に注目していたことが伝わり、自分が相手を気にかけていると感じさせることができる。
さらには相手がすでに確信していること――自分は素晴らしい人間である――を追認することで、その認識はやがてあなたにも返ってくる。自分のことを素晴らしいとわかってくれるのだから、あなたも素晴らしい人に違いない! そしておそらく頭もとてもいいのだろう! というように。
【感想】
◆冒頭の画像でもお分かりのように、とにかく付箋だらけになってしまいました。とはいえ、ご紹介できる量は限られているため、ほとんどが割愛せざるをえなかったのですが。
中でももっともカットしたのが、第2章の「言葉の魔術」です。
ここではちょっとしたモノの言い方や、加えるフレーズによって「影響力が増す」事例が多々。
たとえば、「ネガティブな意見は先に言う」というTIPSでは、自分の子どもに「今週末は好きなだけ外出していい。しかし今夜は家にいなさい」という代わりに、「今夜は外出しちゃダメだ。しかし、今週末は好きなだけ外出していいぞ」と言うことを推奨しており、ここまでは既知のお話。
ただし、本書ではさらにここで「最後にポジティブな質問で締めくくる」というTIPSを加えます。
「今夜は外出しちゃダメだ。しかし、今週末は好きなだけ外出していいぞ。だって週末の外出が一番楽しいだろう?」ここで子どもは門限に反発していたとしても、「週末が一番楽しいかどうか」という質問に答えることによって反発しにくくなるという。
◆こんなのはまだいい方で、本家(?)、『影響力の武器』でお馴染みの、「カチッサー効果」(もっともらしい理由をつけて依頼する)ばりのテクニックがちらほら。
たとえば、「論理性がなくとも、もっともらしい因果関係を提示する」。
「この本を読めば、あなたにとってどれだけ価値があるものか、わかるだろう」もう1つ、こんなのも。
「我々以外の会社と仕事をすればするほど、あなたは我々と仕事をするメリットに気づくことになるでしょう」一見、理屈が通っているように聞こえますが、まったく論理的ではありません。
ところが言われた方は、何となく納得してしまうという……。
◆また、個人的に「NLPっぽいな」、と思ったのが「行動パターンを崩すと暗示にかかりやすくなる」というお話。
いつも無意識でやっている行動――たとえば同僚が退社時にいつも、パソコンのスイッチを切り、机を片付け、椅子を机に入れる――を崩すと、暗示を受け入れやすくなるのだそうです。
ですから彼女が退社時に、まさに椅子を机を入れようとしている瞬間に、代わりに椅子をしまうと、彼女は自動的に伸ばした手をどうしようかと迷うことに。
そこで
さっとその手を握って彼女を見つめ「君と僕は気が合うような気がするね」と言い、同じくらい素早く手を放して別の話題に移るのだ。たとえば、「今週末は何しているの?」といった具合だ。ペースを崩された相手をデートに誘うのはたやすい。何と言う口説きテクww
◆こんな調子で割愛した項目が多過ぎたので、本書全体から気になったTIPSを一部列挙してみます。
・気が散る環境にいると、人の意見に流されやすくなる
・「もしくは」を使うと脳が混乱する
・使ってはいけない6つの地雷言葉
・ウザくならない相づち
・褒めるときにオチをつけない
・タイプ別、説得するときの言葉の選び方
・墓碑銘を聞いて「相手がもっとも大切にしている信条」を探る
最後の「墓碑銘を聞く」のは、日本ではあまりピンとこないかもしれませんが、その人の信条が明らかになるので、時間を置いてからそこを突く(褒める)というのは確かに効果があると思います。
◆もちろん、上記で挙げた5つのポイントもおしなべて効果的。
たとえばポイントの1番目と3番目は、日常生活でもお馴染みですが、仕組みを理解することによって、より一層実践したくなりました。
……1番目は実践するのではなく、逆にハマらないようにするのですがw
そしてポイントの5番目も、今まで単に「ありがとう」とだけ言っていたのが、どれだけ機会損失だったのかと後悔しきり……(言わないよりマシですけど)。
これはオススメせざるを得ません!
影響力の心理~The Power Games~
第1章 影響力の仕組み―人は、何秒で他人の発言を信用するのか
第2章 言葉の魔術―どうしてあの人の思い通りに事が運ぶのか
第3章 権力のカラクリ―応援されるリーダーはどこが違うのか
第4章 嫉妬と妬みの構造―ライバルからの攻撃をかわす方法
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【編集後記】
◆本書に関連して、Kindleランキングで見かけた本をご紹介。潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 (Kindle Single)
「変性意識」という言葉は、宮台真司先生の『愛のキャラバン』で初めて知って、女性を口説く際のキーワードだと思った記憶が。
参考記事:【モテ】『「絶望の時代」の希望の恋愛学』宮台真司(2013年12月25日)
ご声援ありがとうございました!
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