2016年02月10日
【仕事術】『400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術』佐藤オオキ
400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった仕事術本。著者の佐藤オオキさんは、デザインオフィスnendoの代表で、主に海外のさまざまな賞を受賞されているという方です。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
みなさんのまわりにいる「仕事ができる人」に、仕事が遅い人はいますか?
著者は、常に400以上ものプロジェクトを動かしつつ、新規の仕事もどんどん引き受けています。
なぜ、それが可能なのか?
その秘密は「スピードにある」と言います。
「仕事の質は、スピードで決まる」をモットーにしている著者の仕事術は、すべての分野にフルに活かせます。
お買い得なKindle版も、ぜひご検討を!
nendo 1/3 between hands and objects [3F, GYRE AOYAMA, TOKYO] -10/4 http://t.co/OqsvPBQN3P / nobihaya
【ポイント】
■1.スピードを重視すると、仕事の質が高まるデザインやブランディングの仕事とスピードは、最も関係がないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
実際にスピードを重視すると、不思議なほど仕事の質が高まります。しかも予定よりも早く仕事を仕上げると関係者にも喜んでいただけるため、依頼がどんどん増えてきます。
すると手がける仕事の幅が広がっていくので、ますます経験値が上がっていきます。そして、さらにスピードもアップし、自分も成長していく――という、驚くような正のスパイラルが起きるのです。
■2.「3つの軸」の1つでも無理が利くならあきらめない
「やるためにはどうするか」を考えるときに軸となるのは、「お金」「人手」「時間」の3つです。この3つの軸のうち、どこかで無理が利くなら手の打ちようはあります。お金を使って作業の一部を外注したり、社員を一時的にそのブロジェクトだけに集中して投入したり、人手の要る作業があるなら短期的に人を雇ったりといった方法が考えられるでしょう。時間だけはあるというプロジェクトなら、人手を減らして時間をかけて取り組めばコストを抑えることも可能です。(中略)
お金も人手も時間もないとなるとできることはかなり限定されますし、「どうしても無理だ」という場面が出てくることもあると思いますが、一点でも伸ばせるなら「無理」と判断するのは早計です。
■3.大切なのは、選択肢の中から「2つに絞る力」
決断を早くすることは重要ですが、やってみれば「2つから1つを選ぶというのはそう難しくはありません。50%の確率でより正しいほうを選べるわけですし、経験のあるジャンルのことなら、正解率をもっと高めることもできるでしょう。
私は、より重要なのは、多くの選択肢から2つに絞る力だと思っています。(中略)
では選択肢を2つに絞るときに何を重視するのかというと、私はいつも「長所が最も大きいもの」で、かつ「方向性がまったく異なるもの」はどれかを考えます。このとき、どの選択肢にも必ず長所と短所がありますが、短所が小さければよいとは思いません。リスクが大きくても、大きな長所があることのほうを優先して選びます。
■4.物事を「時間」というフィルターを通して見る
「時間感覚の把握」がより正しくできるようになるには、物事を何でも「時間」というフィルターを通して見てみるのがお勧めです。
ビジネスの場では「いくらお金がかかったか」に目が向きがちで、「どれくらい時間がかかったか」を同じレべルで常に考えている人は多くないかもしれませんが、たとえば新しい商品やサービスに出合ったとき、「このアイデアを考えるのにどれくらいの時間が必要だったのか」「実現するまでにかかった時間は?」といったことに注意を向けてみてください。そうやって時間感覚を磨くことが、自分がそれと似たプロジェクトに関わる場面で、より精度の高い戦略を立てることにつながっていくのです。
■5.コンセプトとは、電話で伝えられるくらいシンプルなもの
「きれい」「恰好いい」といったことは、デザインの表層的な部分にすぎません。「ターゲットとなるユーザーはこういう人物像で、だからこの商品はこんなデザインで……」といった定義づけのようなものをコンセプトと呼ぶ場合もあるようですが、私はこれも表層的な話ではないかと思っています。
私が考えるコンセプトとは、「電話で誰かに伝えられるくらいシンプルな短い文章でいえるもの」「電話で話して『それ、面白そうだね』と言ってもらえるようなもの」です。これが共有されてさえいれば、企画担当者、営業担当者、職人さんなど価値観や立場がまったく異なる人たちが集まっても、短時間で同じ方向に進んでいくことができます。
【感想】
◆タイトルにもある「400のプロジェクトを同時に進める」というのは、さすがにマユツバだろうと思いつつも、ついつい買ってしまったワタクシw実際に読んでみると、なるほど「400」というのもまんざらではないのかも、と思うに至りました。
まず、400件プロジェクトを抱えていても、実際に「頭の中にあるのはそのうちの1つだけ」で、残りの399件のことは忘れているのだとか。
また、プロジェクトによっては3年かかるものもあれば3日で終わるものもあるとのこと。
そこで仕事を締め切り期限によって大きく3つに分け、直近(3日以内)のフォルダのみ、優先順位を考えるのだそうです(詳細は本書を)。
◆本書のPart1では、こうした「仕事術ネタ」が満載。
付箋を貼ったものの、割愛したネタとしては、こんなものがありました。
●すきま時間にやる仕事とは
●仕事を高速化するための重要なポイント
●モチベーションが下がりそうなときの対処法
●情報のインプットとアウトプットの切り替え
●情報の「可視化」とフォルダの階層分け
さらには細かい話ですけど、「メモは正方形の製品を使う」何てのは、その理由が目からウロコ。
要は「向きを気にしなくて済む」からなのですけれど、こういう「余計なことで脳を使わない」というのも、佐藤さんのこだわりなのだな、と。
◆一方Part2では、実際に佐藤さんが関与されたプロジェクトや製品を事例とともに、さらに踏み込んだお話がされています。
なお、本書の冒頭では、こうした製品の数々がカラー写真で紹介されているという。
たとえばこんなのが。
[プロテカ] Proteca 日本製スーツケース アコルデ2 62~99L 4.9kg 拡張機能 12763 09 (ウォームグレー)
自動でシュパッと消臭プラグ 消臭芳香剤 本体 ブリリアントハーブの香り 39mL
アクオ (グリーンミント ガム) 14粒×20個入
ちなみに、上記ポイントの3番目にあった「選択肢を2つに絞る」例として挙げられていたのが、スターバックス目黒権之助坂店のリニューアルのケースでした。
このプロジェクトでは「全部ソファ席にするか、全部をハイスツールにするか」という2つの選択肢に絞り込んだのだそうです。
なるほど確かに、これなら「方向性がまったく異って」いますよね。
◆最後のPart3では、「投資」と「チームづくり」について言及。
上記では割愛しましたが、佐藤さんの会社の「最大の投資」とも言えるのが、まだ出たばかりの「3Dプリンタ」でした
それによって立体模型の完成度が高くなるのとは別に、もう1つ利点があったとのこと(ネタバレ自重)。
さらに自腹でパリの展覧会に出展したエピソードも、「投資」としては大成功でしょう。
いずれにせよ、本書は「デザイナーさんのお話だから関係ない」とスルーするには、もったいない内容かと。
……当ブログの読者さん的には、やはりPart1中心でお読み頂くのがよろしいと思いますがw
「量」と「質」のどちらも追求したい方に!
400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術
PART1 "超"高速で仕事をこなすための基本動作
PART2 400のプロジェクトを"超"高速に進める手法
PART3 ビジネスを加速する投資&チームづくり
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。だから、ぼくは農家をスターにする 『食べる通信』の挑戦
レビューの評価が概ね高いことと、中古がまだ高くてお買い得なのがポイントですね。
ご声援ありがとうございました!
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