2016年01月31日
【世界標準?】『ザ・チェンジ・メイカー ―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン』齋藤ウィリアム浩幸
ザ・チェンジ・メイカー ―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた1冊。著者の齋藤ウィリアム浩幸さんは、ロサンゼルス生まれ日系2世の起業家で、自ら起こした生体暗証番号システムの会社をマイクロソフトに売却した経験をお持ちの方です。
アマゾンの内容紹介から。
誰よりも早く失敗を繰り返す。ルールは都合にあわせて塗り替える。誤った「欧米流個人主義」と決別する…。伝説の起業家が教える成功の鉄則!
本書にあったクイズなんですけど、「フェイスブック、Uber、Airbnb、アリババの4社の共通する特徴とは何か?」……お分かりになりますか?
Shareconomy in Europe Infografik_final / mila.europe
【ポイント】
■1.ルールのとらえ方を変える英語圏には「There is no general rule without some exceptions.」ということわざがあります。例外のないルールはないという意味です。また、「Rules are made to be broken.」という決まり文句もあります。ルールは破られるためにあるという意味です。
日本人は、ルールという言葉を誤った意味で輸入してしまってはいないでしようか。ルールは、その内側にある大切な何かを守るためにあります。あるいは、時の統治者にとって都合の良い常識を押し付けるために存在します。もっと痛烈な言い方をすると、欧米ではルールは「バカのためにある」とまで言い切る人も少なくありません。時代にそぐわなければ、多数の利益に沿わなければ、どんとん例外を認め、常に改変されるべきが「rule」であることに異論のある外国人は少ないでしよう。
■2.多様性の実現のためには女性登用がもっとも効果的
日本の経営者は、「これからはグローバルで戦っていこう」と口を揃えて言います。しかしその前に国内で約52%もの人口比率を占めているはずの女性の視点、価値観を取り入れる努力を放棄するというのはいかがなものでしようか。これでは多様性に満ちた海外市場で通用するはずもありません。
もしそういった企業に経営コンサルティングを依頼されたとしたら、アドバイスは非常に簡単です。これからの時代を生き残るためには、「まずは経営層を含めたすべてのチームに、日本の人口比率と等しい女性を参加させてくたさい」。これが実現されるだけで、組織は失っていた半身を取り戻したかのように生まれ変わるでしょう。
■3.互いを助け合うペイフォワードの習慣を始める
私が日本に来て驚いたのは、仕事に行き詰まっている人に「お手伝いしましょう」と声をかけると、猛然と拒否されることです。(中略)
アメリカでは、幼少時代から、ボランティアの課外活動などを通して人間には能力的にも環境的にも格差があることを学びます。その上で、他人に与える余裕のある人間から、ぺイフォワードの循環をスタートさせたことが今日の経済的発展の礎となったことは、べンチャー起業家であった私自身も、肌で感じた事実です。
チームのメンバーを、見渡してください。困っている人はいませんか。苦手な作業にいつまでも時間を取られている人はいませんか。毎日ひとりで残業している人はいませんか。
それを誰も助けずに、本人が自力でのみ乗り越えなければならない…そんな希薄な繋がりを果たしてチームと呼べるでしょうか。
■4.ToDoは過去の分を見直す
私は30年来、すべてのToDoをカレンダーに記録しています。加えて、処理済みのToDoには、実際にその予定が有意義だったか、あるいは改善すべき点があったのか、反省材料を書き込みます。そして毎週末、1週間のToDoをすべて振り返って眺めて、翌週をもっと素晴らしい1週間にするためにどうすれば良いのかを検討するのです。ポイントは、未来のことを書くだけではなく過去を見直すことも必ずセットに行うことです。
■5.ビジネスで成功するための4つの法則
私は、次の4つのキーワードが、21世紀型の成功法則と考えています。
1つ目は、クラウドソーシング。インターネット上にあるシステムを介して、不特定多数の寄与を募る手法です。
2つ目は、クラウドファンディング。資金調達の手段の多様化はビジネスの成功機会を飛躍的に向上させます。
3つ目は、シェアリングエコノミー。モノ、情報、サービス、お金、そして人材をも、所有せずに共有するという考え方は、急速にフラット化が進む世界に共通の常識となるでしょう。
4つ目は、ゲーミフィケーション。他の3つの法則は重要ですが、そこに「参加してみたくなる」仕組み、見た目、手触りがなければ、人は集まりません。
(詳細は本書を)
【感想】
◆まずは気になってらっしゃる方もいるでしょうから、冒頭のクイズの解答から。本書の該当部分をそのまま引用すると
それは、それぞれが業界で世界最大の事業規模でありながら、自らは何も所有していないことです。とのこと。
実はこのクイズは、上記ポイントの5番目のある節に収録されていたものでした。
確かにこれら4社は、「成功の4つの法則」の複数に該当している、と言えるでしょうね。
◆ただし、このうちUberやAirbnbは、世界各地の進出国・地域で既存の事業体から訴訟を起こされている最中です。
実際、日本でもこの2つについては、既存の事業体というよりも、法律上問題になっているところ。
特にUberの本来の特徴である「自家用車による運送サービス」というのは、普通に「白タク」行為ですから、現状難しい模様。
とはいえ、方向性としては「規制緩和」に向かうハズで、そういう意味では、上記ポイントの1番目にあるように「ルール」は変えられるべきなのだと思います。
……日本の場合、既得権益の存在が無視できないのですが。
◆ちなみに下記目次の通り、この「ルール」については、第1章の「ルール学」に詳しいです。
上記ポイントの2番目も、この第1章からですし、同じく第1章からは、日本の発展のために「ルール」を変えるお話として、学校の「飛び級」の制度導入が挙げられていました。
これまた日本特有の「横並び」ですとか「なんでも平等」の精神からはずれるものなので、実施はなかなか難しいでしょうね……。
他にも第1章には「フェイルファスト(誰よりも先に失敗すること)の推奨」ですとか、付箋を貼ったお話が多かったのですが、詳しくは本書にてご確認を。
◆続く第2章の「リーダー学」からは、上記ポイントの3番目を引用しております。
何やら外国の方が、「仕事で困っている人を助けないイメージ」を持っていたのですが、それは「誤った個人主義」なるものらしく。
著者の齋藤さん曰く、日本人が使う「個人主義」とは、困っている人を放置してそれで良しとする「selfish(利己的)」に意味合いが近いのではないか、と。
欧米の職場では、先に仕事を終えた人間は自然と同僚を手伝うのだそうです(知らなんだ)。
◆もっとも、テーマ的にはこの第2章や第4章の「教育学」より、第3章の「イノベーション学」の方が、当ブログ向きな気が。
この辺は、齋藤さんの「カリスマ起業家」としての本領が発揮されているので、特に「起業」に興味のある方なら、この章は要チェックです。
ただし、本書でちょっと気になったのが、サイバーセキュリティに関する言及の多さでした。
もちろん今後非常に大事なテーマだとは思うのですが、日本だけが立ち遅れているわけではないので、ポジショントークなのかな、と思ってみたり?
それでもグローバルな意識を持つ意味で、本書を読む価値は少なくありません。
「世界標準」を知るために読むべし!
ザ・チェンジ・メイカー ―世界標準のチームリーダーになる49のレッスン
Prologue 現代日本人に与えられた使命とは、世界をリードする『チェンジ・メイカー』になることです。
第1章 ルール学──ルールは、壊すためにある
第2章 リーダー学──世界で勝つリーダーの思考術
第3章 イノベーション学──身につくイノベーション発想術
第4章 教育学──優秀な人材が育つ組織の共通点
第5章 ルール学 Part2──すでに変容した世界のルール
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。「話し方」に自信がもてる 1分間声トレ
「改善率99%」というのは、かなりすごいですね!
ご声援ありがとうございました!
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