2016年01月27日
【資料作成】『一生使える 見やすい資料のデザイン入門』森重湧太
一生使える 見やすい資料のデザイン入門
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気だった、資料作成本。そのときにも申し上げたように、本書は「ブクマ2800弱」の大人気となったスライド、「見やすいプレゼン資料の作り方」を書籍化したものになります。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「見やすさ」を意識し、文字や図表、色の使い方、レイアウトにほんの少し気を配るだけで、資料の仕上がりはぐっと見違えてきます。
本書では、Webのスライド共有サービス「SlideShare」の人気スライド「見やすいプレゼン資料の作り方」をベースに、「これさえ覚えておけばOK! 」という、実務で役立つ最低限のデザインのポイントに絞って解説。ビフォー→アフターの大きな作例を見ながら、誰でも簡単に見やすい資料作りのコツを習得できます。
作例はビジネスでの使用頻度が高いパワーポイントのスライド資料を使用。直感的にポイントを理解できる構成なので、デザインを学んだことのない人、センスに自信のない人でも、すぐに習得できます。
なお、単行本は在庫が切れているようなのですが、Kindle本が用意されていますので、ご安心を。
Channels 0108 / virtualmusictv
【ポイント】
■1.文字を装飾する4つの方法重要な項目を伝えたいとき、PowerPointのワードアートなどの文字装飾機能を使って、文字に飾りをつけたくなったことはないでしょうか。しかし、これは罠です。「かっこいいから」「なんか目立ちそうだから」とやりたくなる気持ちはわかりますが、変に凝ったデザインの資料は、見づらく、そして見た目も悪いです。装飾をするなら、太字にするだけ、大きくするだけ、下線をひくだけ、色を変えるだけの4つで十分です。まずはこの4つを覚えましょう。
■2.配置を決める4つの基本事項
(1)位置を揃える1つ目は、「とにかく揃えること」です。図形やテキストがきちんと揃っているだけで、見やすく、見た目もキレイになります。(2)グルーピング2つ目は「情報のまとまりを意識すること」です。図と説明文、説明文と説明文など、情報のまとまりというものは様々な種類があります。(3)余白3つ目は「余白を作ること」です。余白があると、情報を掴みやすい上に、見た目もすっきりした印象になります。(4)関係性4つ目は「関係性を明確にすること」です。配置によって情報に関係性が生じることがあります。その関係性と、自分が伝えたい内容とにギャップが生じないように気をつけましょう。
■3.註釈には四角形の吹き出しを使う
多くの方は、コメントや注釈を「※」マークを使って、空いたスペースに説明を書く傾向があります。しかし、この※マークを使った手法は本来は本や書類などのためのもの。瞬時に内容を理解してもらう必要のあるスライドでは見る人にひと手間かけることになるので不向きです。また、文字量が増えた印象も与えます。こういった場合、可能な限り吹き出しを使いましょう。吹き出しで視覚的にスぺースを分けることで、瞬時に補足的な説明だということが理解できるようになりますし、文字が多い印象も軽減できます。
■4.角丸四角形の丸みをコントロールする
角丸四角形では角の丸みを調節できますが、丸めすぎると幼稚な印象になってしまうことがあります。これは図形だけでなくフォントにも同じことが言えます。
角の丸みは、丸みを増すほど「やわらかい印象」が強くなります。悪く言えば、「幼稚さ」が増します。つまり、ビジネスなどの引き締まった場面では丸めるのは控えた方が良いということです。逆に、病院や学校向けでは丸みがある方が、親しみを持ってくれる可能性があります。また、適度に丸めることで、堅すぎず幼稚すぎない一般消費者向けにも適しています。
■5.円グラフはカラフルにしない
円グラフはグラフの中でも色が多くなる可能性が高く、煩雑になりがちです。とはいえ、色を変えないと項目の切れ目がわかりません。
ここで考えたいのが「伝えたいことは何なのか」です。例えば円グラフの項目が10個ある場合、10個全て説明したいなら、色を全て変えてもいいですが、大抵は「○○の割合が高い・低い」と特定の項目について伝えるのが目的です。ならば、多い(または少ない)項目だけを強調し、それ以外はまとめてグレーなどの無彩色にしたほうがわかりやすくなります。
【感想】
◆この手の「資料本」のレビューでツライのが、掲載されている図表が前提で、文章も書かれていること。本書もその例に漏れないというより、そもそも冒頭でご紹介したこのスライドが元ネタなワケですから、図表が載りまくり。
見やすいプレゼン資料の作り方 - リニューアル増量版
アマゾンの「拡大機能とその他のビュー」には、大量に本書の画像があるので、その中から1つご紹介するとこんな感じです(リンク先はアマゾンのページなので、クリックしてもこれ以上は大きくなりません)。
ですから、むしろ「このスライドの詳細説明をしたものが本書」と考えても、あながち間違いではないかと。
◆内容的には、ひたすら「見やすさ」「分かりやすさ」を追求。
タイトルにも「デザイン入門」というフレーズがあるように、フォントやレイアウト、構成等のアドバイスが中心です。
それもパワーポイントでの具体的な設定の仕方等にまで踏み込んでくれているので、初心者にもかなり分かりやすそうな。
その分コンサルさんが書くような、いわゆる「勝つプレゼン資料」のような本とは、少々色合いが違います。
もちろん、見やすく、分かりやすい資料であるがゆえ、結果的にプレゼンで選ばれることはあるかもしれませんが、ひたすら「王道を邁進」しているかのよう。
他の本で飛び道具(?)を身に付ける前の、「最初に読みたい」タイプの作品だと思います。
◆かといって、おざなりの書式で資料を作るのかと思いきや、意外なところに凝っていたり。
たとえば、「番号付き箇条書き」をする際の番号は、パワポの「段落番号」ではなく、「円を書いて自作する」のだとか。
また、上記ポイントの3番目で「吹き出し」が登場しましたが、パワポにデフォルトで入っている吹き出しはオススメしないとのこと。
著者の森重さん曰く、「吹き出しの先端部分は『三角形』で個別に作る」のだそう。
さらに、「ユーザーの声」も、普通にカッコ書きで書くのではなく吹き出しで書けば、「実際に誰かが話している印象になる」というのも、なるほど確かに。
ちなみに、そのときの吹き出しは、上記ポイントの4番目にあるような「各丸四角形」にすると、やさしく親しみやすい印象になるのだそうです。
◆難点を挙げるとしたら、本書が「パワポ前提で書かれていること」かと。
……Keynoteユーザーの方、すいません。
当然の話、考え方やでき上がりの資料自体は、パワポ以外でも似たもの(レベル的にも)ができると思うのですが、本書の場合、具体的な指示(設定等の)があるので、そこの該当部分が使えなくなりそうな。
それでも、今まで読んできたこの手の本の中では、圧倒的に分かりやすく、納得のいくものであるので、個人的には激オススメ。
とりあえずは、SlideShareを見て頂いて、本書の雰囲気(特に図表)を確認してみてください。
スライド資料の本の「スライド」が気に入らなかったら、買っても損するだけですしねw
これはオススメせざるを得ません!
一生使える 見やすい資料のデザイン入門
LESSON 1 伝わる資料とはどういうものか
LESSON 2 資料が見やすくなるデザインの基本
LESSON 3 スライド全体のデザインを決めよう
LESSON 4 資料の見栄えが良くなる! 表現のテクニック
LESSON 5 さまざまな資料に応用しよう シーン別実例集
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【編集後記】
◆やたらお手頃価格の勉強本を発見。独学で現役東大合格、予備校で添削指導を1,000人以上した講師が教える!「勉強法の教科書」: 効率的な記憶法、計画の立て方、勉強時間捻出術から、良質な睡眠の取り方まで
これはどうもKindle版だけらしいのですが、著者の岩崎さんは、普通に商業出版されてる方のようなので、スカではないと思われ。
ご声援ありがとうございました!
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