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2015年12月16日

【仕事術】『誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術』井上龍司


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誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術 (アスカビジネス)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた仕事術本

著者の井上龍司さんは、外資系コンサルティング会社であるプライスウォーターハウスクーパース入社後、さまざま業界を担当し、現在は某大手コンサルティング会社に勤務されているのだそう。

アマゾンの内容紹介から。
コンサルタントが実際に使用している仕事術を、中小企業から大手企業のビジネスマンが使えるようにわかりやすく50項目でまとめました。
外資系やコンサルと聞くとハードルが高く、小難しいことをやっていると思いがち。
しかし、基本的な技術や考え方は誰でも使うことができます。
「有用だけどとっつきにくいノウハウ」をシンプルにわかりやすく解説。
図版も多く使用し、より理解できるように工夫しています。
今までやってきてた仕事のやり方に、ほんのちょっとプラスαして、仕事が正確に効率的にできるようになります。

書影の帯にもあるように、コンサルのテクニックを「とにかく、やさしく翻訳」しているのが特長です!





It company / Todor036


【ポイント】

■1.資料は「完成度10%」の段階で上司に見せる
 どれくらいの頻度でチェックポイントを置くかは、作成者のスキルや仕事の内容、ボリューム等により変わってきますが、ぜひおすすめしたいのは「完成度10%時点」で、いったん上司にチェックしていただくことです。
 10%というとほとんどできあがっていない状態ですが、そのあとを方向づけるさまざまな情報が見出せます。
 例えば、ぺージ数の多い文書では、まず「目次」を作ります。目次を見れば、どのような構成・ストーリーで、どのような情報を入れようとしているかが、大まかに分かります。この時点で上司がイメージしたものになっていなければ、最終形がイメージどおりになるはずがありません。


■2.聞き手が知りたい順番で話す
聞き手が知りたいテーマを選ぶのに加えて、聞き手が知りたい「順番」で話すことが肝心です。思いつくままに情報を並べるのではなく、聞き手と対話するかのように、情報を配置していきます。
 例えば、「結論→理由→具体例」の順番に話しましょう、とよく言われます。それは、この順番が聞き手の知りたい順番になっているからです。
 プレゼンが始まると、聞き手はまず「この人は何を主張したいのだろう?」と思うはずです。だから「主張」を最初に述べます。そして、主張を聞けば「なぜそう思うのだろう?」と考えるはずです。だから「理由」を述べるわけです。そして、理由を聞けば「例えばどういうことだろう?」と疑問を持つはずです。だから次に「具体例」を話すのです。


■3.会議でホワイトボードに書いておくべき3点
(1)論点:その会議で議論するテーマです。
 論点は「具体的な疑問文」にすることがポイントです。
 例えば、「新しい店舗は新宿に出すべきか、それとも渋谷に出すべきか」のように記します。
(2)結論:議論を経てたどり着いた結論を記載します。
「新店舗は渋谷に出すことにする」のように、結論が論点の疑問文に対する答えになっていることを確認してください。
(3)宿題:結論を実現していくために必要な行動(または結論が出なかった場合に、次回結論にたどり着くために必要な行動)を記載します。
 宿題には「何を」の他に、「誰が」「いつまでに」の要素が必須です。「誰が」が決まっていなければ、誰もやってくれません。「いつまでに」が決まっていなければ、いつまで経っても進みません。


■4.質問には「意図」を添える
 質問をする際には、質問だけでなくその意図、つまり「なぜそれを聞きたいのか」を一緒に示したほうが、相手は答えやすくなります。(中略)
 質問に意図を添えることは、相手だけではなく、質問者自身にとってもプラスになります。
 例えば、「時間を知りたいのだけど、携帯電話ある?」と意図を添えて相手に聞けば、「携帯はないけど、iPadならあるから時間は分かるよ」といった答えが返ってくるでしょう。これが、もし「携帯電話ある?」とだけ聞いたら、電話をしたいのかな、と相手は思い込むかもしれません。そうなると、「ない」と相手は答えるでしょう。
 このように、質問に意図を添えるかどうかで、目的を達成できるかどうかも変わってくるのです。


■5.「時給1万円のプロにふさわしいか?」で判断し続ける
 インターネットで見かけた私の好きな話で「10年前に戻って人生をやり直したい」という人に対して「今、10年後から戻ってきたと思えよ。今、未来をやり直せよ」と答えるという話があります。
 10年後に「10年前に戻りたい」と後悔しないように、ここからの10年をやり直しましょう。今から厚みのある人生を生きましよう。その過程で、「時給1万円にふさわしい行動を選ぶ」という指針が拠り所になるはずです。今、皆さんが時給2000円レべルであったとしても、時給1万円らしい判断と行動をし続けることで、本当に時給1万円レべルの実力に近づいていくはずです。


【感想】

◆当初タイトルだけ見て、よくある「コンサル系仕事術本」だと思いきや、類書とは結構異なったアプローチがなされた本でした。

まず冒頭でも触れたように「とにかく、やさしく『翻訳』」されているということ。

ここでいう『翻訳』とは、構成や言い方のみならず、「分かりやすい言葉に置き換えた」という意味での翻訳でもあります。

確かに言われてみれば、本書は専門用語が極めて少なく、コンサル本に出てきがちな言葉もあまり見なかった気が。

その分、その言葉を使うことで「分かった気になる」のを防いでいるのではないか、と。


◆そしてもう1つの特徴が守備範囲の広さで、本書のテーマは、下記目次をご覧頂ければお分かりのように、通常なら各章ごとに1冊ずつ本が出ているレベルです。

実際、本書の巻末には「より深く勉強したい方のための参考書籍・動画一覧」と題して、章ごとに推薦本(&動画)が掲載されているという。

一応、当ブログでもご紹介済みの作品を挙げておきますが。

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外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」 (光文社新書)

参考記事:【スゴ本!】『外資系コンサルの知的生産術 プロだけが知る「99の心得」』山口 周(2015年01月15日)

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伝え方が9割

参考記事:【こんな方法あったんだ】『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年03月05日)

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プロフェッショナル原論 (ちくま新書)

参考記事:「プロフェッショナル原論」波頭 亮(2006年12月15日)

当ブログでのカテゴリ分けでいっても、「ビジネススキル」は当然としても、「ライティング」「プレゼンテーション」」「コミュニケーション」「マネジメント」と、多岐に渡っているわけで、そのためか「王道的なTIPS」がいくつも登場していました。


◆つまり本書に書かれていることは、ビジネスパーソンなら、クリアしておかねばならないものばかりなワケでして。

たとえば、第1章の最初の3つのTIPSが
・「依頼や主張をする際は、根拠を明確にする」

・「『イマイチ』や『微妙』を封印し、必ず根拠を『言葉化』する」

・「『事実』と『意見』を見極める」
といったものなのですけれど、表現の仕方はさておき、指摘されて「目からウロコ」という人はおそらくいないでしょう。

ただし、「分かっている」ことと「実際にできる(やっている)」こととは違うワケで、私自身も「大丈夫」とは言い切れません。

結局本書のキモは、こうした「大ネタ」を「分かりやすく」「広範囲」で指南してくれていることなのだと思います。


◆そんな中、個人的に初見(確か)だったのが上記ポイントの3番目で、会議の議事録には、まずこの3つの要素を記載し、加えて重要な発言や、議論の過程を記録せよ、と。

私の場合、職業柄「会議」自体が極めて少ないので実践しようがないものの、会議が長引いたり、結論が出ない傾向のある方は、ぜひ試してみてください。

それに関連して、本書の「あとがき」にあったのが、「モチベーションというものは、いいやり方を見つけると上がる」というお話です。

要は、本書で示したような具体的なアイデアを1つでも2つでも取り入れれば、モチベーションが出てくるのだとか。

ただし一説によると、こうした本を読んだ後に、その内容を本当に実践する人の割合は7%前後しかいないそうなので、残りの93%の人は「フーン」で終わっているということ。

「ぼ、僕は違うから」(震え声)


良質なTIPSが満載の1冊!

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誰でも使えて成果が出る 外資系コンサルタントの仕事術 (アスカビジネス)
第1章 品質とスピードを両立する、コンサルタントの 思考力
第2章 読み手の心を動かす、コンサルタントの 文書(資料)作成力
第3章 聞き手の心を動かす、コンサルタントの プレゼン力
第4章 ビジネスを加速させる、コンサルタントの 会議力
第5章 顧客や上司との信頼関係を深める、コンサルタントの コミュニケーション力
第6章 成果を上げるチームを作る、コンサルタントの マネジメント力
第7章 人の倍の報酬をいただく、コンサルタントの 心構え


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【仕事術】『外資系コンサルの仕事を片づける技術』吉澤準特(2013年06月17日)

【こんな方法あったんだ】『伝え方が9割』佐々木圭一(2013年03月05日)

「プロフェッショナル原論」波頭 亮(2006年12月15日)


【編集後記】

◆瀧本哲史さんが、久々に新刊を出されたようです。

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戦略がすべて (新潮新書)

これは買って読まねば!


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