2015年12月06日
【読書術】『自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる!』堀 紘一
自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる! (SB新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった「読書本」。著者の堀 紘一さんは、東大法学部卒で、BCG日本法人の社長まで務められた方ですが、学歴よりも読書の方が重要、と本書では力説されています。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
学歴は読書で凌駕できる!
あの渡邉恒雄主筆に見いだされて読売新聞社に入社。その後、三菱商事、ボストンコンサルティング社長を経て、55歳でドリームインキュベータを起業。カリスマコンサルタントとして名を馳せる知の巨人は、幼い頃から“本の虫”だった。さまざまな本を戦略的に読むことで目標を達成し、自己実現をしてきた。そんな著者の人生に、仕事に効く読書術を初公開。本を武器に学歴さえ凌駕してしまう戦略的読書術の真髄を解き明かす。
なお、Kindle版のご用意もありますので、そちらもご検討を。
Library reading room, main floor / European University Institute
【ポイント】
■1.読書なら誰でも手軽に学習歴が深められる読書には耳学問が持っているような欠点がまるでない。読書は好きなときにできるし、耳学問のように事前に人脈を構築する必要もない。
耳学問では、聞いた情報をあとで理路整然と整理できない恐れもあるが、読書であれば論理的な書き言葉で綴られているので、知識や経験を効率的に吸収しやすいという利点がある。
本や雑誌は文章のプロが書いたものだから、起承転結があり、また独自の視点と分析で仮説を検証しており、読み手の頭にスルスルと入ってくる。万が一わからないところがあったとしても、ページをめくって読み返せるから、理解を深めやすい。
■2.失敗経験の本を読む
日本で1年間に出版される書籍の数は8万点ほど。さまざまなジャンルの本がありそれぞれによさはあるが、ビジネスパーソンが真っ先に読むべきなのは、先人の失敗経験が書いてある本だ。
現代は「格差社会」といわれているが、人間の本質に目を向けると持って生まれた才能に大きな格差はないと私は信じている。だから大半の人は、過去に誰かが経験しているのと同じような失敗を繰り返している。
世界でまだ誰もやった試しがないことに初めてトライしようと思えば、誰でも一度は失敗する。けれど、長くても100年くらいしかない人生で、少なくとも誰かが過去にしでかした過ちや失敗を繰り返すのは無駄なことだと思う。
ならば、先人の失敗経験を頭に入れておけば、「転ばぬ先の杖」となって同じ失敗をしなくて済むようになる。
■3.リーダーになりたいなら哲学を学ぶ
リーダーの役割とは、なんらかの岐路に立ったとき、「こっちにいくぞ!」と決断することに尽きる。その背中についていくのが、その他大勢の部下。その意味では、部下とは「リーダーが決めたことに従う人たち」と定義することができる。
リーダーとはいえ、分岐点でどちらの道を選べばどういう結果になるかは事前にはわからない。わからないことを決めるときには哲学的な思考が要るし、リーダーに哲学がないと部下たちは黙ってついてきてくれない。
私には政治家、経営者、文化人に大勢の友人がいるが、ジャンルを問わず各分野のリーダーになっている人にはみんな哲学がある。話していると「この人は哲学書から学んでいる部分が相当あるな」と感じることが多いのだ。
■4.「累積経験値」を引き上げる
マーケティングの世界では「クリティカルマス」という考え方がある。1962年、アメリカの社会学者エベレット・M・ロジャースが提唱した概念だ。
横軸に時間をとり、縦軸に商品やサービスの普及率をとると、普通は単純な右肩上がりの直線を描くと連想するだろう。ところが、実際にはクリティカルマスと呼ぱれるポイント(通常は市場の16%ほどだといわれている)を超えるまではカーブは横ばいに近いのだが、そこを超えると急カーブを描いて普及率がアップする。
実は読書も同じなのだ1、2冊ではなんの違いもなかったものが、それが500、750、1000冊と読書の「累積経験値」が上がってくると、あるとき静かにクリティカルマスを超える。そこから急カーブを描いて仕事のパフォーマンスが上がるのだ。そこからは読書をしない人との差が急激に開いてくる。
■5.「観察力」を磨くような読書をする
でも、これだけはいえる。起業するにしても、コンサルタントになるにしても、重要なのは「観察力」を磨くような読書である。
一見同じように見えても、そこに潜んでいる微妙な差異を素早く認識できない人は、コンサルタントになっても一流にはなれないし、起業しても成功する確率は低い。微妙なものの違いがわかり、その内容を自分の言葉できちんと表現することが大切なのだ。
そのためには教養が不可欠だが、さらに違いを見分けて表現する感受性を磨く読書も求められる。私が読書全体の30%くらいは小説を読むのがいいと主張しているのは、あらゆる読書で小説が感受性を高める手段として最も相応しいからである。
優れた小説家は基本的に鋭い感性の持ち主である。その鋭い感性で書いた小説を読んでいると自らの感受性も高まり、微妙なものを見分ける観察力が身についてくる。
【感想】
◆上記ポイントの1番目では、読書に並んで耳学問が登場しています。実は学習歴を高めるには、この2つがもっとも重要であるとのこと。
ただし、ここでも触れられているように、耳学問で学習するためには「聞いてためになる」話をしてくれる人との人脈が必要です。
さらには話し言葉がベースとなるため、論理的にしっかり構築していない場合がほとんどである、と。
これらの問題点をクリアしている分、読書の方が優れている、というのが堀さんの主張です。
◆そして具体的に、「読書にはどんな効用があるのか」について述べているのが、本書の第2章の「読書の7つの効用」。
上記ポイントの2番目にあるように、「先人の失敗経験」を役立てることによって、「失敗を2度繰り返さない」のもその1つです。
巻末には堀さんオススメの本が6冊だけ紹介されているのですが、そのうちの1つがこちら。
失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
*Kindle版アリ
当ブログでは、その解説本を取り上げておりますが。
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
参考記事:【オススメ】『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』鈴木博毅(2012年04月09日)
◆一方第3章では「ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンル」と題して、基礎的な教養を高めるために欠かせない4つのジャンルが紹介されています。
上記ポイントの3番目の「哲学」もその1つ。
やはり巻末のオススメ本としては、この本が挙がっていました。
実存主義とは何か
堀さんはハーバードで経営を学んだ際「付加価値をつけよ」「差別化を図れ」と教えられたそうなのですが、この本で学んでいたため、この考え方がすっと腑に落ちたのだとか。
あまりネタバレをしたくないので、それ以外のジャンルについては、あと1つだけご紹介しておくと「生物学」もそう。
堀さんによると、この本は「全ビジネスパーソン必読の書」だそうです。
種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
*Kindle版アリ
なぜ必読なのかは、本書にてご確認を。
◆また上記ポイントの5番目では、「読書全体の30%くらいは小説を読むのがいい」とありますが、実は本書の第5章の「今日から始める<堀式>読書術」では、この比率についても触れられています。
堀さんいわく「ビジネス書40%、小説30%、その他30%」なのだとか。
ただし、ここで言う「ビジネス書」とは、ハウトゥー本ではなく、経済、経営、マーケティングといった各分野の専門家たちが書いた本のこと。
そして、上記の「4つのジャンル」は、すべて「その他」に含まれますし、他にはエッセイやノンフィクションも同様です。
当ブログでは、この「その他」ジャンルはあまり扱っておりませんし、小説はそれに輪をかけて縁が遠いのですが、そもそも「ビジネス書」もハウトゥー本が多(ry
◆なお、ご自身の「読書歴」との絡みで、本書には堀さんの「自分語り」が結構収録されています。
「東大法学部卒」というのは以前から存じていましたが、「それでなんで読売新聞?」と普通なら思うじゃないですか。
そもそも堀さんご自身は、教駒(現在の筑波大学附属駒場高校)時代、小説家か脚本家になりたかったので、京大の文学部を望まれていたとのこと。
ところが、教駒の文系で常時1番の成績(これもスゴイですが)だったため、担任から「東大の文一を受けないなら内申書を書かない」と脅かされ、現役で合格。
それでも分筆家への思いを断ちきれず、ジャーナリストを夢見て新聞社に入ったのだとか。
……本当は朝日新聞に入りたかったのに、ナベツネ(渡邉恒雄)さんに「読売新聞に入らないとこの世界で生きていけないようにしてやる」と言われて読売に入ったそうですがw
そこからの三菱商事、ハーバード、BCG時代のエピソードも、話としては非常に面白い(再現性は皆無w)ので、詳しくは本書にて。
学歴社会のトップを走る人でも、読書を薦めていますよ!
自分を変える読書術 学歴は学<習>歴で超えられる! (SB新書)
序 章 人生を楽しく生きる3つの方法
第1章 学歴より、読書で「学習歴」を作れ
第2章 読書の7つの効用
第3章 ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンル
第4章 読書をすると運がよくなる
第5章 今日から始める<堀式>読書術
第6章 読書の効果を高める工夫
第7章 読書が私の進む道を決めた
第8章 Q&Aでさらに役立つ読書のコツを学ぶ
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【編集後記】
◆昨日の記事では、沢山の方にお買い上げ頂き、ありがとうございました。【50%ポイント還元!】講談社Kindle本8300タイトル、50%ポイント還元セール中!
さすがに滅多にセールをやらない講談社さんの作品だけに、お買い得感が高い作品が多かったかと。
ただしこれも本日23時59分までなので、迷われている方はお早めに。
時間があれば、あとで「当日ランキング」をやりたいのですが、土日は家族サービスで時間がないのがツライところです(涙目)。
ご声援ありがとうございました!
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