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2015年11月28日

【文章術】『必ず書ける「3つが基本」の文章術』近藤勝重


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必ず書ける「3つが基本」の文章術 (幻冬舎新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、当ブログでも人気だった『書くことが思いつかない人のための文章教室』が10万部を突破した近藤勝重さんの最新作。

すでに土井英司さんが昨日メルマガで取り上げたので、注目されている方も多いと思います。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
文章を書くのは苦手ですか? 簡単に書くコツは「3つ」を意識すること。これだけで作文や小論文、仕事の報告書、ブログ記事などどんな文章も短時間で、しかも他人が唸る内容に仕上げることができます。(中略)
書く内容に応じて本書では今すぐ役立つ「3つ」を伝授。
長年新聞、雑誌上で健筆を振るってきた名コラムニストが自らのメソッドを明かした文章術の決定版!

自身の著作が灘中等の入試問題によく使用されるだけあって、うなずかされる点が多かったです!





Random Words Make A Sentence / Steve Snodgrass


【ポイント】

■1.個人的な体験に普遍性を持たせる
 ぼくは(1)体験(2)気づき(3)普遍性――を踏まえて作文を書くことを「個人的体験の普遍化」とか、「個性の普遍化」と言っています。
 もちろん個人的に体験したことを取り上げて、体験で得た気づきや発見を書いたところで終わっても、その作文にふさわしいのならそれでもいいのですが、ぼくらは書くことを通して考え、考えることを通して社会とどうかかわっていけばいいのか、自らに問うてもいるわけです。
 作文はその表現の場の1つですから、書いた内容が一般に広く通じる意味合いを有している、つまり普遍性があれば、そこはちゃんとふれて結びとしてほしいのです。またそれが作文の書き方としては一番オーソドックスに思われます。


■2.手元に3項目((1)初め(2)中(3)終わり)の骨格メモを置いて書き始める
 ぼくは毎日新聞夕刊で毎週1回、「しあわせのトンボ」と題した1000字近くのコラムを書いていますが、近年はずっと書くべきポイントを(1)(2)(3)と3項目にまとめて取りかかっています。そうするだけで本文を書く時間がメモなしのころに比べて、格段に短縮できました。
 (1)(2)(3)のメモ化を怠ると、文章のまとまりを欠き、書き直すといったこともしばしばです。限られた時間に提出しなければならない作文だと、見直す時問も取れないということになりかねません。
 当然のことながら、早く書き終えればテーマにかなった内容になっているかどうかのチェックができます。必要のない表現を削ったり、誤字、脱字を訂正したり、さらには字句や表現を最適なものにする推敲も可能です。


■3.胸中を景(眺め)に託して描く
 胸中の思いは形を持ちませんから、具体的には描き出せないのです。でも、いい手立てがあります。
 まずはいったん頭を休めてみる。頭にある知識から離れると、心は外に向かいます。そして自然や建物や人々の様子など、視界にある風景を先入観にとらわれず、あるがまま眺めてみる。言ってみれば、景(眺め)に心を託すわけですね。
 すると、どうなるか。じっと眺めていれば、対象物から受けた感じが心に残るものです。その印象を言葉にできれば、そのときの胸中を表現したことになりませんか。


■4.「現在⇒過去⇒未来」の流れに即して書く
 情報の伝達を第一としている新聞がニュースの核心部分を見出しにして本文に入るスタイルを取っているのも、やはり読者の知りたい! にはイの一番に応えなければ、と考えてのことです。
 キャップと呼ばれていた記者時代、若い記者の集まりで記事の書き方について話したことがあります。その際に強調したのも文章はいま現在の状況、状態から書き始め、続いてその事態をもたらした素地、背景に言及する。言ってみれば現在のバックグラウンドとなる過去ですね。
 さらに推察しか書けなくても、この事態がこれからどうなるかの未来にふれる。要は(1)現在(2)過去(3)未来――の流れに即した文章を組み立てるということで、この(1)(2)(3)の内容が備わってこそより伝わる情報たり得るのです。


■5.事実と真実はどう違うのか
 一方、事実と真実ということでは、司馬遼太郎氏の話に興味を覚えました。『手掘り日本史』(文春文庫)の「歴史を見る目」の一節で史料をどうみるかにふれ、「史料自体は何も真実を語るものではない」のあと、こう続けています。
 史料に盛られているものは、ファクトにすぎません。しかし、このファクトをできるだけ多く集めなければ、真実が出てこない。できるだけたくさんのファクトを机の上に並べて、ジーッと見ていると、ファクトからの刺激で立ち昇ってくる気体のようなもの、それが真実だとおもいます。


【感想】

◆本書の冒頭では、A君という就職活動中のメディア志望の学生が登場し、本書の著者である近藤さんに「作文の書き方」を相談します。

近藤さんに「上手下手は二の次にしていいのでは」と言われて驚くA君。

そして近藤さんは、文章を書く際に上手下手より心がけてほしいこととして「何を、どう書くか」という点を挙げます。

さらにもう1点、「どう構成するか」も大事である……ということで、実はこの3点が下記目次にもあるように、本書の各章に該当するという仕様。

本書はこのようにA君に話した内容を大幅に拡充し、「作文や、就活時のエントリーシートのほか、ブログ記事・日記にも役立ち、職場での企画書、リポートなど、多種多様な分野での文章にも活用できるようにまとめたもの」なのだそう。


◆また各章の節でも、それぞれ項目が3つ挙げられています。

上記ポイントの1番目なら「(1)体験(2)気づき(3)普遍性」ですし、4番目なら「(1)現在(2)過去(3)未来」。

一部、無理やり「3つ」にまとめたきらいがありますが、こまけーこたー(AA略

割愛した中でも、描写をする場合の「(1)全体(2)部分(3)細部」や、「(1)情景(2)語らい(3)共感」といったあたりは、読んで頂ければ腑に落ちると思います。

もちろん、上記ポイントで挙げた5つは、いずれも私が個人的に気を付けたいと思った「注目箇所」なので、ぜひマスターして頂きたく。


◆ちなみに、上記ポイントの5番目は「事実」と「真実」だけなので、項目2つしか挙がっていませんが、実はそれに先立って「聞く」がありました。

つまり多く「聞く」ことによって「事実」が集まり、それによって「真実」が浮かび上がるというわけです。

これに関連して本書では紹介されていたのが、「二宮尊徳泥棒説」なるもの。

要は、二宮尊徳は「極貧」であるという「事実」と、にもかかわらず「薪を背負っている」という「事実」から、「薪をどこかから盗んできたのでは?」と考えられる、というワケです。

確かにこれだけだと、「泥棒である」という「真実」になりかねません。

ただし、この話にはウラがあって、実は当時、どこの村にも共同で利用できる「入会山」というものがあったという。

結局「事実」が足りないと、「真実」にたどり着けないのですね。


◆ところで本書は「多種多様な分野での文章にも活用できる」と書かれてはいますが、引用元である著作の多くが文芸やエッセイであるゆえ、仕事上でのライティングに直結はしない印象を受けました。

ただし、逆にビジネス文書ではあまり要求されない「描写力」や「表現力」等々については、上達することウケアイだと思います。

……本書を参考にブログを書いていて、出版社の目に留まる、ということもあながち否定できませんしw

ただ、一番役に立ちそうな用途が、テーマに即した「作文」を書くことで、これは業界・会社によっては就職・転職に必須でしょうから、該当する人は正座して読んで頂きたいところ。


文章を書くときも「3つが基本」なんです!

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必ず書ける「3つが基本」の文章術 (幻冬舎新書)
イチ、ニイのサンで文章力をアップさせてください。――「まえがき」に代えて
第1章 何を書くか
第2章 どう書くか
第3章 どう構成するか


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【スゴ本】『いますぐ書け、の文章法』堀井憲一郎(2011年09月09日)


【編集後記】

◆冒頭で近藤さんの『書くことが思いつかない人のための文章教室』をご紹介しましたが、文章術で言うなら、この本も個人的には「刺さりまくり」ました。

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いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

4年以上前の新書の中古に、これだけのお値段が付いている事自体、スゴイと思います。

なお、レビューは上記関連記事にて。


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