2015年11月24日
【文章術?】『仕事力を高めるデジタル文章術』河口鴻三
仕事力を高めるデジタル文章術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて人気だった1冊。著者の河口鴻三さんは、「一橋大〜スタンフォード」という経歴の、日米で240点もの作品を刊行した「伝説的編集者」とのことです。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「エッ?! こんな凄いやり方があったのか! 」。文章が速く、正確に書けるだけではない! 発想力も鍛えられる驚きのノウハウ!
日米でベストセラー編集者として活躍した著者によるパソコンを使った目からウロコの日本語術。文章力、仕事をやりきる力が高まる「新・知的生産の技術」を大公開。
確かに一般的に考えられる「文章術」というよりは、「知的生産術」「仕事術」的な色合いの強い作品でした!
typing / Key Foster
【ポイント】
■1.単語登録機能を自分への注意喚起に使うたとえば「おもいます」というヨミに、「思います。その根拠は?」という自分への注意喚起のことばを一緒に「単語」として登録するのです。そうすることで、長い報書などを書くときのうっかりミスや確認不足を避けることができます。(中略)
デジタルでは、「おもう」というヨミに「思う」という単語をつねに一致させる必要はありません。「おもう」と入力して「思う なぜ?」という変換候補を表示させても、コンピュータは何の文句も言いません。
これは一見、意味のないイタズラのように響くかもしれませんが、頭を柔軟に使うために、とても有効なヒントを与えてくれる一例です。デジタルで書くと、頭を自然に刺激する多様な選択肢が生まれるのです。
■2.変換したくないものも単語登録する
「変換したい部分とかなのまま残したい部分に分ける」という文章を連続して入力すると、「変換死体」などという候補が出てきてぎょっとします。
こういうことを防ぐために、「したい」「したくない」といった、しょっちゅう使うひらがなも単語登録してしまいます。あまりきっちりした方針はいりません。この「いりません」のような文字列も、登録しておかないと、「要りません」とか「入りません」「煎りません」などと、漢字がらみの表現が優先的に候補として出てきます。
これはもう好きずきですが、「要りません」のような古風な、やや硬い表現が好きでなければ、「いりません」と、かなで登録しておくに限ります。
■3.返事が難しいメールは2回に分ける
むずかしいメールには、心理的コストを負担しましょう。一度ですまそうとしないで、二度三度と手間をかけます。
すると相手は、たとえ意に反する内容の返事でも、納得します。結果的には納得できる返事でも、3日も4日も待されていたら、相手は相当イライラしてしまうに違いありません。
相手の言うことを断る場合でも、まずメールを拝見しましたと返信し、その後、残念ながら貴意には沿えませんという内容の返事をしても、丁寧な文面であれば相手との関係が悪化することはまずありません。
■4.パソコンのポインターを見やすくする
ポインターの先端の矢印を少し大きくし、さらにグレーではなく真っ黒なものに変えると、格段に見やすくなります。
OSのバージョンによって設定の仕方が違いますが、ほんどはデスクトップからマウスの右か左のボタンをクリックして、個人設定から変更します。
マウスのプロパティからポインターを選び、そこから黒の矢印を選択します。
三角形の白抜きで見えているものが真っ黒に変わるのですから、ディスプレイのどこにいても、非常に目立つようになります。
こうするとワードでもエクセルでも、あるいはメールを打つときでもくっきりと矢印が見え、行方不明状態の回数を大幅に減らすことができます。
■5.お詫びやお願いは和語で行う
自分の非を認めたり、これから何かお願いごとをしようというような状況では、和語を意識的に多く使うようにします。このたびは、誠に不躾なお願いをいたしまして、申し訳ございません。この表現のなかには、漢語はひとつも含まれていません。もし同じ内容を漢語を多用して言うと、ニュアンスがすっかり違ってしまいます。今回は、大変失礼な依頼をいたしまして、恐縮に存じます。内容的には詫びているという意味で大きな違いはないのですが、相手に与える印象は相当違います。上から目線です。
和語は柔らかく、漢語は硬いのです。
【感想】
◆冒頭でも申しあげたように、タイトルを見て「文章術」のつもりで読み始めると、かなりの違和感を感じると思います。「てにをは」でも「言い回し」でも、「説得するため」でもない「文章術」。
同じくタイトルに「デジタル」とも付いていることから、「クラウドに下書きを上げて、それであらゆる場所で書く」みたいな話かとも思いきや、それでもなく。
しいて言うなら、「デジタル時代のライティングのインフラ整備」にでもなるのでしょうか?
正直、あまり意識していないTIPSが多々ありました。
◆まずは上記ポイントの1番目と2番目の「辞書登録」の活用。
これについては、私もある程度は活用していました(仕事&当ブログともに)。
ただそれは、ある程度繰り返し登場する短い文章やフレーズを登録して、入力を簡易にすることであって、それくらいなら類書でも良く見かけます。
それが本書では、一種のリマインダーに使ったり、さらには、「余計な変換をさせない」用に使うという。
……今の最後の「いう」も、ある程度の長さで変換すると、しょっちゅう「言う」になるので、私もさっそく「いう」をヨミ「いう」で登録しました。
なお、上記ポイントの1番目「リマインダー」の方は、後で削除しそこねるとシャレにならないので、最後に一括で検索することをオススメしておきます。
◆また、今回は割愛しましたが、気に留めておきたいのがフォントについて。
たとえば、ひらがなばかりの文章があったとして、それが少々しまらないように感じたら、文字間隔を詰めてみよ、と。
逆に漢字ばかりの文章が読みにくいと感じたら、今度は文字間隔を空けると、読みやすくなるわけですね。
……あまり意識したことありませんでしたが、本書で実例を見ると確かに違うな、と(このブログだと再現できませんがw)。
同様に、見出しには一般的に、本文より少し太い書体を選びますが、その際、文字の大きさを少し小さい文字にして、B(ボールド)にするほうがきれいに仕上がるとのこと。
大事な書類の作成の際には、留意しておきたいものです。
◆そして上記ポイントの4番目のポインターのカスタマイズは、さっそくやってみました。
確かに大き目の黒矢印は、今までの白抜き矢印よりは目立ちますw
今までポインターを「見失った」という意識はあまりなかったものの、ポインターを探すその数秒が積もり積もると、大きな違いになるはず。
さらに、簡単にはできませんが、キーボードのカスタマイズにも触れられていますので、そちらもご参考まで。
極端なケースだと、テレビの字幕をリアルタイムで付ける「ステノキャプショナー専用キーボード」というのもある模様w
これはもう配列から全然違いますけど、よく使う母音だけ中央に突起を付ける等のカスタマイズなら、私たちにもできると思います。
◆最後のポイントの「和語&漢語」の使い分けは、言われてみれば「なるほど確かに!」。
むしろ、上記の例でみる限り、漢語で通した方が、ビジネスとして正しいように感じましたが、それはどうも過ちのようです。
もちろん逆に、何かしら主張したいのであれば、むしろ「漢語が多い方がよい」とのこと。
文章構造的に正しいか否か、だけでなく、こうした使い分けまでできてこそ、ワンランク上のビジネスパーソンになれるのだな、と。
類書があまりないタイプの作品なので、ぜひ1度チェックしてみてください。
アナログな私には、うなずくことしきりでした!
仕事力を高めるデジタル文章術
第1章 書くことの意味はこんなに変わった
第2章 デジタルの大問題=漢字変換をサクサクやる方法
第3章 思考スピードの文章術=登録機能を自由発想で使いこなす
第4章 発想力を高める=置換、検索の本当の威力とは
第5章 「送らないメール」も縦横に活用する
第6章 読みやすい文章のトータルデザイン
第7章 一見トリビアのようでも大事なノウハウ
第8章 魔法のスマート日記術
第9章 会社全体で知的ワープロ術
第10章 良い日本語を書くための主語、和語、漢語のマネジメント
最終章 デジタルにはリスクもいっぱい
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。30代で人生を逆転させる1日30分勉強法
一応、過去の未読本記事では取り上げていたのですが、私自身が「1日30分じゃ足りない」派なもので、チェックを怠っていました。
でも、結構アマゾンで評価が高いんですよね、この本……。
ご声援ありがとうございました!
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