2015年11月13日
【出世の秘訣?】『出世する人は一次会だけ参加します ―会社人生を決める7つの選択』平康慶浩
出世する人は一次会だけ参加します ―会社人生を決める7つの選択 (日経プレミアシリーズ)
【本の概要】
今日ご紹介するのは、昨日同様先日の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた仕事術本。タイトルには「一次会」とありますが、内容はもちろんそれだけに留まらず、「出世全般」に関する見逃せないモノばかりでした。
アマゾンの内容紹介から。
飲み会に参加するか断るか、転勤に応じるか家庭を優先させるか、人事面談で成果をアピールするか否か―「出世する人の選択」には、それぞれの企業タイプに応じた、ある法則性があった!人事のプロフェッショナルが、働き方のルールが変わるこれからの時代を踏まえ、20代~50代まですべての会社員にキャリアの築き方をアドバイスする。
企業のタイプによって、出世のために取るべき行動が違っていたとは!?
November Executive Board Meeting / AFGE
【ポイント】
■1.企業の3つのタイプ●忠誠心を求める「ロイヤリティ型企業」ロイヤリティ型の特徴は「経営層と従業員とが一体となり会社を成長させようとする点」にある。そのためロイヤリティ型の会社はメンバーシップ型雇用を前提とする。メンバーシップ型雇用というのは簡単に言えば、会社の仲問になれる人を抹用する考え方だ。●変化に合わせて生き延びようとする「環境適応型企業」環境適応型にも多くの段階がある。個別の変化にその都度対応していこうとする段階から、それらを組み合わせてメッセージ性を強める段階、そして総合的に変革することで徹底した変化対応を進める段階だ。●会議が短く、社内飲み会が少ない「自立型企業」要約すると自立型の会社とは、「一人ひとりの責任と権限を明確にし、自発的な業務遂行やチャレンジを重要視する」企業のことだ。ロイヤリティ型のように社内旅行を重視している場合もあるし、環境適応型のように中途採用や若い役員がいることも多い。しかし重要なことは働き方が異なるということだ。
■2.残業時間と人事評価結果との関係
評価が良く残業が少ない……昇進候補
評価が良く残業が多い……昇進候補にはなるが、メンタルへルスチェック対象にもなる
評価が悪く残業が少ない……要教育
評価が悪く残業が多い……論外
■3.「自己評価」の使い方
まず、自己評価はなるべく高めにする。目標が未達成でもあったとしても、達成として記載する。達成していたのなら、さらに上位の評価になるような記述をする。
次に、理由をしっかりと書く。未達成を達成とするのであれば、周囲の環境やクライアン卜側の事情などを理由として記述しよう。達成をさらに上の達成とする場合にも、どれだけ厳しい環境の中で達成したのか、ということをアピールすればいい。
そして面談の場で、そのことについて再度話すのだ。仮に「とはいえ未達成じゃないか。これだと達成扱いにはできないよ」と上司に諭されたとしてもこう言えばいい。
「評価は会社がするものですからお任せします。でも私自身は自己評価に書いたような理由から、十分に認められるべきだと考えています」と。
■4.「課長にもなれない人」が増えている理由
環境要因としては人口の偏りがある。2015年現在の人口構成は41歳を頂点とした山なりの分布になっている。山の部分はいわゆる団塊ジュニア世代だ。だからこれよりも若い世代は彼らがポストから退かない限り管理職に昇進することは難しい。(中略)
仮に40歳前後の世代が管理職になった場合、現在30歳前後の世代が最も厳しい状況に置かれるだろう。管理職が非管理職に降格することは少ないため、彼らが役職定年を迎える6年間、ポストが占められてしまうからだ。彼らが役職定年になったとき、現在30歳の若手は45歳になってしまっている。
■5.「雇用の構造に関する実態調査」から見る収入の増減
まず年齢別に見ると39歳までの転職であれば収入が増加した人の割合が大きい。しかし40歳以降の転職では減少する人が多くなる。
転職先の企業規模も重要だ。1000人以上の会社に転職した場合には約52%の割合で収入が増えているが、それ以外では40%程度にとどまる。
そして職務内容を見てみると、「運輸・通信の仕事」「専門的・技術的な仕事」「事務の仕事」「生産工程・労務の仕事」で収入が増えることが多く、「保安の仕事」「販売の仕事」「サービスの仕事」「その他の仕事」「管理的な仕事」では収入が減ることが多い。特に「管理的な仕事」では48%の人の収入が減っており、増加しているのはわずかに29%のみだ。
【感想】
◆冒頭で触れた「企業のタイプ」とは、上記ポイントの1番目に出てくる「ロイヤリティ型企業」「環境適応型企業」「自立型企業」のこと。実は本書は全編を通じて、この3つのタイプごとに各内容が言及されているため、今回ポイントとして抜き出すのに苦労しました。
たとえば第1章では、「会社人生を決める7つの選択」と題して、様々な選択項目が登場するのですが、会社のタイプによって正解が変わってきます。
「残業」「社内飲み会」「転勤」といった会社生活ではお馴染みの事柄の中で、たとえば「異動」は、ロイヤリティ型企業では「出世」を考えた場合、異動命令は逆らいようがありません。
これは実は環境適応型企業でもほぼ同様で、よほどのことでもない限りは、前向きに検討すべき、と。
ところがこれが、自立型企業になると、そもそも今の職種で成果を出している人を異動させようとはしません。
つまり異動対象となった時点で、異動したとしても会社にとって損失にはならないと判断されたわけです。
ですからこの場合の選択肢は、それでも会社に残るか、転職・起業などで社外に出るかの2つになるという次第。
◆続く第2章では、「『あきらめると生涯年収が下がる時代』の4つの選択」と題して、個々の事柄よりもっと大きな、キャリアデザインについて検討しています。
たとえば、「これ以上、上にはいけないかな」という「出世の天井」を感じた場合にどうするか?
行動としては3つあって、まずは「転職」でしょう。
ただし上記ポイントの5番目にもあるように、転職してかえって収入が減るパターンもあるわけです。
そこで考えうる2番目の行動とは、「社内での出世を再度考える」。
これは、社内公募制度に応募したり、社会人大学院にチャレンジしたりするもので、実際にそれでチャンスを得ることも多いのだとか。
しかし、多くの人が選択する第3の行動とは……「あきらめる」。
ところが、あきらめてしまっていると、役職定年、定年、再雇用と本当の退職が段階的に訪れるわけで、実入りもどんどん少なくなります。
これについても本書では、各企業のタイプごとに処方箋が出されていますので、気になる方は本書にてご確認を。
◆ところで本書で根幹をなす「企業のタイプ」とは別に、各人のキャリアデザインに関して、もう1つ考えるべき指標があります。
それは「世代」。
要は世代ごとに、やるべきことが違うわけです。
そこで本書の第4章では、50代から20代までの各世代ごとに、「ヒト」「モノ」「カネ」のそれぞれのマネジメントについて言及。
これがまた、見事に「世代×マネジメント」ごとに違うものですから、とても上記ポイントではまとめられませんでした。
基本的に、下の世代の部分は読まなくても結構だと思いますので、チェックの際はご自身の年代以上の部分をおさえておいてください。
◆なお、世代は間違えようがないですが、ご自身の会社が、上記企業のどのタイプに当てはまるかは、本書にそれぞれのチェック項目がありますので、そちらでご確認を。
私のいた企業は、今は知りませんが、当時はロイヤリティ型でした。
本書を読んで改めて思ったのが、今にして思えば、出世のためにも、もうちょっとやりようがあったかな、ということ。
いずれにせよ、「正解」は、会社のタイプによっても違ってきますので、当ブログをご覧になるようなビジネスパーソンの方なら、本書のような作品は、目を通しておくべきだと思います。
会社人生をおくる方すべてに捧ぐ!
出世する人は一次会だけ参加します ―会社人生を決める7つの選択 (日経プレミアシリーズ)
プロローグ 出世のルールが変化する
第1章 出世したいなら残業すべきか―会社人生を決める7つの選択
第2章 会社にしがみつくのは今、適切な選択か―「あきらめると生涯年収が下がる時代」の4つの選択
第3章 「会社の価値観」から「自分の価値観」へ―セルフマネジメントアビリティを身につける
第4章 世代によって違う「働き方のルール」―モデルなき時代の会社員の行動規範
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【編集後記】
◆今日の気になる本。集中力の磨き方 (リンダパブリッシャーズの本)
心理ネタや自己啓発書系の著作が多い植西 聰さんの作品ではありますが、偉人や成功者のノウハウをまとめたっぽいので、結構役に立つのではないか、と。
ご声援ありがとうございました!
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