2015年11月12日
【決断力】『超一流のスピード決断力』内田 隆
超一流のスピード決断力 (Asuka business & language book)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった仕事術本。著者の内田 隆さんは、MIT、ハーバード、ケネディ行政大学院と、エリート街道まっしぐらの方です。
アマゾンの内容紹介から。
決断にはスピードが大切です。ビジネスの成功者たちは、1秒で決断しています。しかし、何のスキルも持たずに決断し、後悔することになっては、意味がありません。 AとBのどちらかを、「素早く」「正しく」決断するには、考え方のコツがあるんです。著者がハーバードで学んだ、「スピード決断力」の身につけ方を教えます。
さらに、決断スピードが速い人が行っている日常生活での心がけ・行動も紹介。決断力を手に入れた後は、スピード行動力も大切です。最後に決断を行動につなげる方法も教えています。
優柔不断だと一度でも思ったことのある方には、本書をおすすめします!
帯でも、『新ハーバード流交渉術』の共著者である、ハーバードのD・シャピロ博士も推薦している1冊です!
decisions / Impact Hub
【ポイント】
■1.「信条×スピード」のマトリクスで決断するまず1つ目の基準である「信条」とは、わかりやすく言えば、自分が正しいと思うことをするためのルールのことです。(中略)
自分のプレーをするために、決断のルールは自分で決めましょう。それがすなわち信条です。
年を重ね、キャリアを積むに従って、自分の信条を改善していくことも、忘れないでください。(中略)
もう1つ満たさ牡ければならない決断の基準は、「スピード」です。
スピードの基準を設定するためには、どのくらい速く決断できるかという「決断までのスピード」だけでなく、決断した結果を速く出す「結果までのスピード」の面も考慮して決断します。
この2つのスピードを満たすことで、実に多くの決断の機会を得ることができます。
■2.「ソラ」「アメ」「カサ」に選択肢を加える
私がおすすめする決断の手順は、次のものです。1.「ソラ」を見て、決断する際の状況を正しく理解する。決断する時点では、未来は当然のことに不確実です。
2.「アメ」が降りそうだと、出かける上での課題を予測する。
3.「カサ・カッパ」など、選択肢をつくり、精査して解決する。(中略)
選択肢を数多く用意できる方が、選択肢が1つしかないより決断の価値は高い、つまり、より良い決断が得られることは論理的に証明されています。
ただし、数多く選択肢を用意することが目的となり、時間をかけすぎてもいけません。スピーディに選択肢を用意できる思考が大切になります。
■3.決断の理由をMECEで3つ以上あげる
例として、ダイエットを考えましょう。なぜダイエットしたいのか?
もしあなが、痩せたい、素敵なプロポーションになりたい、健康でいたい、などを理由にあげたとしたら、注意してください。これらはMECEではありません。
痩せれば、素敵なプロポーションになるはずですし、極端な痩せ過ぎを除けば肥満より痩せている方が健康です。
これら3つは因果関係で結ばれているので、独立した理由とは言えません。
「健康でいたい」という理由以外に、MECEの正解は次のようなことです。
・痩せることで姿勢が良くなり、自信をもちたい。
・痩せることでキャリアのチャンスをつかみたい(アメリカでは特に多く、同じ能力なら太っている人より痩せている人が昇進します)。
健康(身体)、自信(メンタル)、キャリア(仕事)と3つの独立した要素を理由にあげられることです。
■4.PDCAサイクルを速く回す
外資系企業のミーティングの仕方からPDCAを紹介しましょう。スピード決断が速い外資系企業ではPDCAサイクルを非常に速く回します。それがあらわれるのはミーティングです。(中略)
外資系企業や一部の日本企業では、Pにあたる資料説明の時間はありません。既に資料を配布し、参加者(出席者ではない!)全員が事前に読み終えていることを前提とします。そして次の行動であるDを決めます。
もっとスピードが速い外資系企業になりますと、既に発表者自身はPDCあたりまで仮説をもって終えていて、参加者からのCheckによみどなく答え、不足している点は次のアクションとすると決めます。
つまりミーティングではAを決めることに焦点をあてます。これでミーティングの時間は半分以下に、PDCAを回すスピードも1、2週間速くなります。
■5.TODO思考で実行へ促す
例えば、打合せなどで、相手の話をメモするときは、常に「この話から得られる要旨は何で、そこから自分はどんな行動をするか」を考えてメモを取ります。
TODOを書くのは、やることを今すぐ決めるためです。
スピード決断力を結果へつなげることに非常に役立つ手法の1つなのです。
具体的にお話しすると、私は20年間愛用している万年筆で、たくさんメモを取っています。
そして中でもやるべきことやアクションを書き出したら、蛍光ペンでその箇所を大きく囲み、TOD0と記します。
そしてこのTOD0に関してはその日のうちに、何かしらの行動をはじめます。
【感想】
◆本書はテーマとしては特に目新しいものではないものの、そのアプローチに置いて、過去の類書といくつかの点で異なっていました。まず上記ポイントの初っ端の「信条×スピード」の判断基準。
これは『7つの習慣』でお馴染みの、「重要度×緊急度」に代わるものです。
著者の内田さんが、「重要度×緊急度」の何を問題にしているかというと、「タスクの期日や依頼者などに依存して、マトリクスのどこに振り分けるか判断している」点。
要は、「他人を優先している」ところです。
そこで「信条×スピード」のマトリクスで判断する場合は、まずすぐに取りかかるのは、「信条の正当性あり×スピードあり」の第1象限のみ。
残りは「正当性あり×スピードなし」の第3象限か、「正当性なし×スピードなし」の第4象限に振り分けて、一時的に「忘れる決断」をします。
また、「正当性なし×スピードあり」の第2象限は、捨てるなり、条件を変える等して、他の象限に移し、常時空にしなければならない、とのこと。
具体的なタスク内容等と、振り分け手順の詳細については、本書にてご確認下さい。
◆一方、ポイントの2番目の「ソラ」「アメ」「カサ」選択肢を加えるお話については、追加したいことが。
というのも、選択肢だけ増やしても、そこからどう絞り込むかについて、長くなるので上記では触れていませんでした。
その方法とは、「選択肢ごとにメリットとデメリットを考えて点数をつける」というもの。
この方法自体は、類書でも目にすることもありますが、その際、本書では1つコツを挙げています。
それは「人を問題から切り離す」というもので、要は人の好き嫌い等ではなく、純粋に問題は何か、その問題を解決するために何をすべきかに焦点をあてて点数化すべきなのだとか。
何でも、この「人を問題から切り離す」ことは、日本人に比べて西洋人は得意なそうで、その要因として、英語には「心」に該当する言葉として「Heart」と「Mind」があるかららしく。
いずれにせよ、「人を問題から切り離す」というコツは、意識しておく必要はあるようです。
◆なお下記目次にあるように、本書の第6章では「スピード行動力」と題して、決断するだけでなく、その後のアクションをも素早く行うためのTIPSを紹介。
上記ポイントの4番目と5番目は、この第6章からのものになります。
特にポイントの4番目のミーティングの進め方については、類書でも数多く論じられているところ。
一般的な日本の企業では、会議の時間のほとんどが、内容説明とその質問に費やされているわけですから、それは全体としてのスピードが上がる訳がありません。
ミーティングである以上、1人で変えるにも限度がありますから、どこまで改善できるかは別として、同じミーティングでも、ここまで違う、という事実は知っておくべきかと。
また、ポイントの5番目に関しては、本書では具体例として、内田さんが某スポーツチームの経営者と話をされた際のメモが収録されていました。
これがまた、見事にTODOだらけというw
内田さん曰く「メモの取り方次第で、結果を出せる人になれます」というのも、思わず納得しました。
◆ちなみに、今回は割愛してしまいましたが、本書の第4章は「スピード決断力」の活用法について。
小見出しを挙げていくと
・部下に仕事を任せるタイミングといったところがありました。
・1日の最初にすべきこと
・会社に残るか転職するか
・高額な買い物をするとき
確かに仕事のみならずとも、決断するシーンは、日頃の生活にも多々あることかと。
こういうときに、思いつきで決めないで、本書のようにロジカルに決定してくことが、成功の秘訣なのだと強く感じました。
速く正しく決断するために読むべし!
超一流のスピード決断力 (Asuka business & language book)
1章 決断は速い方がいい
2章 決断スピードをあげる「基準」のつくり方
3章 決断を成功に導く「選択肢」のつくり方
4章 スピード決断力を活用する
5章 日常はスピードをあげる練習場所
6章 成功者がもっている「スピード行動力」
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【編集後記】
◆ちょっと気になる本。仕事に使える! 東大式記憶術
『東大家庭教師の 頭が良くなる思考法』でお馴染みの吉永賢一さんの記憶術本なのですが、勉強本オタクとしては、チェックしておかねば!
ご声援ありがとうございました!
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