2015年11月04日
【対話術】『<特別版>年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術』和仁達也

<特別版>年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、昨年当ブログでも人気だった『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』の続編。今回は、より実践的なクライアントとの「対話術」について、著者の和仁達也さんが指南してくださいます。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「相手を動かす言葉」を選び、口にする人には、それができる理由があります。社長が離れられなくなるコミュニケーションの「表」と「裏」。成果を出すコンサルタントは、「対話の型」を持っている!
なお、若干お買い得なKindle版も出ておりますので、ご検討のほどを。

Session 4: Interactive Dialogues on the Way Forward ITU: Development Opportunities and International Standards as Part of the Global Strategy Against Counterfeit and Substandard ICT Products / ITU Pictures
【ポイント】
■1.見込み客のお困りごとを言語化するそこでコンサルタントとして、事業を始める前に何をしておけばいいかというと、「自分が対象とするクライアントがどんなお困りごとトップ3を抱えているかを明快に言葉にする」訓練をしておくことなんです。
できれば1文で表現できるようにしておくこと。そして、それをストーリーで語れるようになればべストです。(中略)
ストーリーで語るとは、お困りごとに関するたとえ話をこれまでの自分の経験談や、知人の事例を紹介しながら伝えるということ。すると目の前の見込み客は、「ああ、うちの会社でもそれに近いことがあるある!」と親近感を抱いてくれます。
そうなると、見込み客にとってそのお困りごとのストーリーは、もはや他人ごとではなくて自分ごとになりますから、姿勢が前のめりになるんですね。つまり聞く姿勢が生まれます。
■2.質問の「意図」に答える
そこで、問題です。次のカッコ内に、どんな言葉が入るでしょうか?デキない営業マンやコンサルタントは、【 】にそのまま答える。では1分間、シンキングタイムです。…考えましたか?では、答えです。
デキる営業マンやコンサルタントは、【 】に答える。デキない営業マンやコンサルタントは、【相手の質問】にそのまま答える。質問そのものじゃないんです。質問に隠された「意図」が重要なんです。
デキる営業マンやコンサルタントは、【質問の意図】に答える。
なのでそこに答えるには、人から質問をされたら、「相手がなぜそれを尋ねるのか?」の意図であり真意を汲み取ろうとする必要があります。
■3.パートナー型コンサルタントが抱いてもらうべき3つの期待
では、クライアントからどんな期待を抱いてもらうといいかというと、次の3つです。
まず1つめは、「この人と話をしたら頭がスッキリ整理されたな、という感じ」を持ってもらえること。これは理想的です。対話するごとに、脳内が快になります。
2つめに、「見落としている盲点によくぞ気づかせてくれた、という惑じ」です。具体的には、「なるほど!」という言葉を何回も言ってもらえていたとしたら、それはクリアできている証拠です。
「なるほど!」というのは、自分が見落としている盲点に気づかされた時に、思わず出る言葉だからです。
3つめに、「この人と話をしていると先が見えてきてワクワクしてきた、という感じ」です。
■4.「2ステップ許可獲得法」で相手から「OK」を引き出す
「当社のシステムは○○になっています。それをあなたにも適用していいですか?」この「2ステップ許可獲得法」は、いきなり1ステップで「○○をしていいですか?」と言うよりも受け止めやすいはずです。
なぜなら、前段の当社のやり方・システムを説明している間は、クライアントは他人ごととして聞けるからです。「それをあなたにも適用していいですか?」と言われて初めて自分ごとに変わります。
相手は自分に振られる前までは一般論として聞いているので、前段は二ュートラルな立場で安心して聞ける。その相手を見ていると、こっちもしゃべりやすい。そんな相乗効果が働くのです。
■5.「安心・安全・ポジティブな場」を作るための5つのポイント
●すべて肯定語でしゃべる
●相手に恥をかかせない
●「先に言えば説明、あとで言えば言い訳」を徹底する。つまり、「前置きトーク」をちゃんと準備する
●相手に先にしゃべらせる
●表情やしゃべり方に気をくばる
(詳細は本書を)
【感想】
◆冒頭で触れたように、本書は和仁さんの『年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書』の続編にあたるため、そちらを読んでらっしゃる方にとっては、まさに「実践編」という感じ。和仁さんの推奨する「パートナー型コンサルタント」の考え方に納得し、「では自分も!」と思われた方にとって有り難いであろう「具体的なアクション」、特にコンサルタントにとって大事な「トーク」部分にフォーカスされています。
もちろん、前作を読んでらっしゃらない方でも、内容が理解ができるよう和仁さんは意識されてらっしゃる(「はじめに」で、その旨記述がありました)ので大丈夫。
なお、この「パートナー型コンサルタント」と、従来からのコンサルタントにありがちな「先生型コンサルタント」の違いについては、本書のプロローグにて解説がありますので、前作を未読の方、並びに内容を失念された方は、こちらをお読みください。
ちなみに、税理士業界では税務署を退官してから税理士になる人(OB税理士)が非常に多いため、「高齢+公務員(お役所)」という「先生型」が生まれやすい土壌がありますが。
◆このプロローグに続く第1章は「新規営業時」の対話術であり、おそらくここが本書の一番のキモだと思います。
逆にここがクリアできないと「お客がいない」わけですから、それ以降の章の内容は不要ということ。
実際私も、割愛した部分も含めて、この第1章に一番付箋を貼りました。
さらにクライアントを獲得するだけでなく、その顧問料をいかに高い価格で納得してもらうかも大事です。
たとえば和仁さんの場合は、同業者や税理士、社労士と比較されるのではなく、「クライアントの幹部社員」を設定したとのこと。
つまり、「常勤のナンバー2」だったら、報酬を月額70万円とか80万円支払わねばならないところ、「月1回の出社なので月額15万円」という発想で「価値提供」をしたわけです。
もちろん、そうするためには、「自分自身が『これは絶対にお得だ』」と心から確信できるレベルで腹落ちする必要があるのですが。
◆さらに、なるほど、と思ったのが、値切られたときの切りかえし方です。
他のお客さんの手前、「NO」という手もありますが、もう1つの選択肢が、「条件付きでイエスと言う」もの。
これはたとえば「時間単価を下げずにサービス提供する方法を提案する」ものです。
具体的には、「滞在6時間で15万円」ですと、「時間単価は2万5000円」ですから、半分に値切られた場合は「時間を3時間にする」という形で対応。
もしくは「2時間で7万5000円」を提案すれば、時間単価としては、逆に値上げになります。
さらにもう1つ、「時間軸を長くとり、後で値上げをするシナリオを、あらかじめ描いておく」という考え方もあるのですが、詳しくは本書にてご確認を。
◆なお、上記ポイントの5番目に登場する「前置きトーク」に関しては、本書の第4書を丸々費やして解説がされています。
これは主に3つの使用目的があり、具体的には「事前期待をマネジメントする」「心構えをつくる」「効果を最大化する」というもの。
本書では「心構え」のパターンとして、「社長にとって耳の痛い指摘をするときの前置きトーク」の具体例がありました。
確かに社員へのヒアリングの結果が「社長への注文等」だった場合、それをそのまま社長に伝えたら、「どっちの味方なのか?」と反感をもたれかねませんし、最悪、契約解除にもなりかねません。
そこで社長に「聞く耳を持ってもらう」ために「前置きトーク」が必要なのですが、これまたかなりのボリューム(その分、色々と考えられています)なので、詳細は本書にて。
◆以前前作を、当ブログで多くの方にお買い上げ頂いた際には、どんだけコンサル(もしくはコンサル予備軍)がいるのかと思いましたが、本書はむしろ、コンサル以外の方にも応用できそうな。
たとえば商品やサービスの価格の値上げや、内容の変更等。
また、一般的なコミュニケーションスキルとしても、言いにくいことを伝えたり、こちらの言い分に納得してもらうためのTIPSと読みかえることができると思います。
実際私も大昔に、自分より年下の社長さんに経営面でアドバイスしたところ、「先生にそういうお話をして欲しくない」と言われたことがありました。
おそらくこれも、私が「前置きトーク」を駆使したり、上記ポイントの5番目の「相手に恥をかかせない」辺りに注意して置けば避けられたことだと思います。
もちろん、コンサル関係の方であれば、本書をそのまま丸ごと1冊活かせることウケアイ。
前作がツボだった方なら、当然読むべし!

<特別版>年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの対話術
プロローグ 〈心の準備〉能力は違わないのに、対話術で年収が変わる本当の理由
1.〈新規営業時〉顧客の本音を引き出し、即決を促す対話術
2.〈コンサル開始時〉コントロールしないのに相手が勝手に動き出す仕組みを作る
3.〈課題の深掘り〉「本人も気づいていない問題の核心」を引き出す質問術
4.〈ペースを握る〉相手を安心させ、信頼を積み上げる「前置きトーク」
5.〈対話で解決〉「聞くよりしゃべりたい衝動」との付き合い方
6.〈落とし穴〉コンサルタントが対話で「やらかした」事件簿
7.〈長期契約締結〉気づきを与え、信頼と尊敬を得る着眼点の見つけ方
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【編集後記】
◆HONZのレビューを見て、読みたくなった1冊。
FIFA 腐敗の全内幕
うーん、やっぱり日韓ワールドカップの時の「韓国×イタリア」戦は……。

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