2015年11月02日
【思考術】『外資系コンサルの3STEP思考術―――どんな難問にも答えを出せるアタマの使い方』森 秀明

外資系コンサルの3STEP思考術―――どんな難問にも答えを出せるアタマの使い方
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた思考術本。著者の森 秀明さんの前作、『外資系コンサルの資料作成術』は、当ブログでも大人気で、2014年2月の売上ランキングでも1位に輝いております。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
「整理、分解、比較」。
3つの基本スキルを使いこなせば、コンサルタントのように考えられる!
『外資系コンサルの資料作成術』の著者による、コンサルタントの思考法を伝授する本。前作同様、著者が外資系コンサルティング・ファーム時代に積み重ねた若手コンサルタントに対するトレーニングを通じて確立したシンプルな手法を紹介しますが、今回は思考法がテーマです。
なお、Kindle版も用意されておりますので、そちらもご検討のほどを。

bar graph chart / vecree.com
【ポイント】
■1.分解するための2つの方法●「上から考える方法」これは、各論に入る前に、あらかじめ"アタリ"をつけてから臨むやり方です。たとえば、「達人に学ぶ企画書の作り方」というテーマなら、まずは自分で「通りやすい企画書を作るときに大切な要件とはなんだろう?」と考え、大ざっばな仮説を立ててから実際に調べていくのです。●「下から考える方法」この方法では、とにかくいろいろなデータを集めて、その後で、グループ分けをしていきます。まず、達人と呼ばれる人たちに「企画書を作るときにどんなことを実践しているか?」と片っ端から聞いて、事実を集めていきます。その後、集まったデータをグルーピングして、1つの結論にまとめあげていくやり方です。
■2.「差」「時」「類」「流」の4つに着目する
「差」:物ごとを比べたときの差異や違いに着目します。極端な話、これまで自分なりに考えてはいても、仕事に"行き詰まり"を感じることが多かった人は、差、時、類、流の4つを意識して物ごとを考えてください。それだけでも、いわゆる「仕事のできるビジネスパーソン」に一歩、近づいたことになると言えるでしょう。
「時」:時間の流れや、それに伴う活動の順番に着目します。
「類」:分類に着目します。グー・チョキ・パーのジャンケンや、新規と既存の類型化などが相当します。
「流」:話の流れや物語の組み立て方を意識した切り口です。
■3.グラフ化の目的は「比較」にある
「比較」とは、同じ粒度の事実(ファクト)のかたまりを並べて比べ、そのギャップからメッセージを導き出すことです。事実の量的な比較を行うときは、グラフを利用するとわかりやすくなります。ですから、「グラフ化とは比較することである」と言ってもいいでしょう。
比較の目的は、比べるもの同士の間にひそんでいるメッセージを読み取ることです。たとえば、A社の現在の売上高が600億円で、10年後の売上高の目標が900億円だとします。この2つの売上高を比べたとき、そこには300億円のギャップがあります。そのギャップから考えるべきは、足りない300億円をどう埋めていくかということです。そこから、「新事業を立ち上げる」「停滞事業を見直す」など、何らかの施策や戦略を提案・実践していく必要があることがわかるでしょう。
■4.いち早く「ゴールに向けて考え始める」
多くの人は、「データや資料を集めてから」「分析してから」「資料を作ってから」と、ある程度自分で納得のいく環境が整うまでは、深く考えることを先送りにします。
しかし、データや資料を集める前の段階でも、深く考え始めることは可能です。誰しも「過去に同様の案件を手がけた」「以前にビジネス誌や新聞で情報を見かけた」ということがあるはずで、それを手がかりにすることができます。つまり、いまの段階で知っている知識や経験則、世の中の一般常識などを手がかりにして、それらの事実を書き出して「整理」「分解」「比較」したりして、考え始めるのです。
大切なのはとにかく思考すること。あなたの頭の中にあることと公開されている情報だけであっても、いち早く思考をスタートさせることが肝心です。
■5.思考の質より、思考量や思考数が大切
メモ書き、チャラ書きを経てホン書きをする段階になると、誤解をする人がたまにいます。それは、人に見せるホン書きは、「量より質」が大切だと思い込んでいることです。「量より質」というのは、「数多くのアイデアを並べるよりは、練りに練って考え抜かれたアイデア1点にしぼって相手に提案したほうが効果的だろう」ということです。
しかし、こういう考え方はビジネスの現場においてはふさわしくありません。むしろ「質より量」で、バリエーションはたくさんあったほうがよいのです。時間をかけて丁寧に1つの企画を立案しても、その内容が相手に刺さらなければ、ビジネスとしては意味を持ちません。それよりも、いくつかの選択肢から選べるほうが相手もありがたいでしょうし、最終的に企画が採用される確率もぐんと上がるはずです。
【感想】
◆本書の「はじめに」で、著者の森さんは「相手にうまく伝えられないのは、そもそもきちんと考えていないからだ」とキッパリ言われています。そしてそのことに気が付いたのは、前作『外資系コンサルの資料作成術』への反響から。
森さん曰く、読者の方々と接しているなかで、資料を作る前に「資料に記述する内容をよく考える」ことができていない人が多かったのだそう。
そこで、「コンサルタントたちがどのように考えているか」「難問にどのように答えをだしているのか」等を、一般化して使える形にしたのが本書とのこと。
◆そのためのキーワードとなるのが「整理」「分解」「比較」の3つ。
本書では第2章、第3章、第4章にて、それぞれ解説がなされています。
しかも、上記ポイントではほとんど触れられていない実例付き。
たとえば、本書の内容紹介の初っ端に「アマゾンの戦略をわかりやすく説明できますか?」とありますが、これは第2章をご覧頂きたく。
ここでは6ページに渡ってアマゾンの経営戦略が詳細に分析されており、どのようにアプローチすべきかを理解することができました。
◆一方第3章では「新規リゾートホテルの開発」を具体例に、セグメンテーションを行っています。
ここでは縦軸に年収、横軸に年齢層を取って、対象顧客を「分解」。
ちなみにこの切り方は一般的ですが、上記ポイントの2番目の「差、時、類、流」で言うと、年収は「差」、年齢層は「時」に該当します。
なるほど、「差、時、類、流」という考え方は、このように活用すればよいのだな、と。
なお本書では、この分析に基づき「滞在パッケージの設計」まで行っており、かなり実践的だと思います。
◆1つ飛んだ第5章では、この思考法を使った仕事の進めかたを解説。
具体的には「7つのヒント」が小見出しとなって展開されています。
上記ポイントの4番目と5番目は、そのうちの2つであり、その他の5つもいずれも納得のいくもの。
それほど厚い本ではないものの、内容をマスターすれば、実際の仕事にも活かせるのではないか、と思いました。
……個人的にはこのコンテンツなら「縦書き右開き」でも出せたんじゃないか、と思いますが(←横書き苦手)。
仕事に直結する思考法がここに!

外資系コンサルの3STEP思考術―――どんな難問にも答えを出せるアタマの使い方
プロローグ あなたの話が伝わらないのは、しっかりした思考ができていないからです
第1章 整理、分解、比較のシンプルな思考法が身につけば、すべての仕事はうまくいく
第2章 事実をどのように整理すればいいのか
第3章 効果的な打開策を導き出すために「分解」する
第4章 比較することで、メッセージを明確にする
第5章 3STEP思考法を使った仕事の進めかた
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」は、当ブログでもレビュー済みのこちら。
指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術
堀江さんは著作も多いのでさておき、共著者の斎藤由多加さんの発想力はスゴイと思いますので、作品をお読みになったことがない方は、この機会に一読をオススメ。
参考記事:【ビジネスの本質】『指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術』堀江貴文,斎藤由多加(2015年08月30日)

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