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2015年10月29日

『自信がない人は一流になれる』がもっと評価されるべき5つの理由


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自信がない人は一流になれる


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた自己啓発本

一昨々日の『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』もそうだったのですが、世間的に「常識」と思われていることを、大胆に覆す内容になっています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「自信が低い人ほど、将来成長する」――ロンドン大学の人気教授が教える、驚きの成功法則! ハーバード・ビジネス・レビューで絶賛されたベストセラーの初翻訳です。
著者はイギリスの名門大学で教える社会心理学者です。「成功者はなぜ成功したのか」について長年にわたり広範な研究を行ない、「成功に自信は必要ない」という結論にたどり着きました。根拠のない自信は害になるばかり。自信のない人のほうが、自分の現状を正確に把握し、弱点克服のために努力して実力をつけることができるのです。

「目からウロコ」の連続に、またまた付箋を貼りまくってしまいました!



なお、タイトルは久々にホッテントリメーカーのお世話になっておりますw





【ポイント】

■1.逆境で無理に自信を高めると、かえって能力が落ちてしまう
 ここからわかるのは、自信過剰な人は自己防衛の傾向が強いということだ。他人から受けたネガティブな評価と、自己評価が一致しないとき、彼らは他人の評価を無視することを選ぶ。そして自分を納得させるために、自己評価をさらに引き上げるのである。この偽りの自信によって、テストの点数を予想するとき、実力よりもかなり高い点数を予想することになる。そして、実際のテストで点数が悪かったという事実から、彼らがネガティブなフィードバックを素直に受け入れられなかったということがわかる(それに気を取られ、テストに集中できなかったということだ)。
 この実験からわかるのはこういうことだ――逆境に立たされたとき、無理に自信を高めることで逆境を乗り切ろうとする人は、現実が見えなくなるだけでなく、普段よりも能力が落ちてしまう。


■2.努力するのに自信はないほうがいい
 たとえば、ある重要なプレゼンテーションを任されたとしよう。自信がなかったり、不安になったりするのはたしかにイヤなものだ。しかしそのおかげで、失敗や恥をかくのを避けるために、きちんと準備することができる。そしてその結果、自信があって心配していなかった場合よりも、はるかにいいプレゼンテーションを行うことができるのだ。
 つまり、自分を向上させたいと思うなら、スター卜時点で自信はないほうがいいということだ。自信を持つことは、本当の実力をつけるまではむしろ役に立たない。そして自信のなさは、実力を高めることにつながる。言い換えると、成功は努力のたまものであり、そして努力するには自信はないほうがいいということだ。


■3.能力に関しては、自分より他人の意見の方が正しい
 ブライアン・コンリー博士とデニズ・ワンズ博士は、人間の未来の行動を予測するうえで、評判と人格のどちらが当てになるかという調査を行った。未来の行動の中身は、大学の成績、仕事の業績、人間関係などだ。数百におよぶさまざまな研究(被験者は数千人になる)を調査した結果、調べた限りすべての分野で、人格(自分が考える自分)よりも評判(他人から見た自分)のほうが、正確に未来を予測していた。
 つまり、人の能力を判定する場合、本人の意見よりも他人の意見のほうが当てになるということだ。


■4.自信が現実をゆがめる
 心理学の研究によると、自信が高くなるほど、否定的なフィードバックを無視するようになる。せっかく忠告してくれる人を軽く扱い、自分を褒める人ばかり高く評価する。(中略)
 楽観的で、自分を高く評価している人ほど、否定的なフィードバックを受け取ると、現実を自分に都合のいいようにゆがめる傾向がある。この現象には、「補償的自己膨張」という名前がついている。自信が現実をゆがめるというこの現象は、実際に目で見ることができる。脳スキャンを使った研究によって、他者からのフィードバックを処理する脳の部位が明らかになったからだ。自信の高い人と低い人とでは、実際にフィードバックへの反応が異なっていたのである。


■5.成功者は不安を克服するために努力した
 成功者に共通する資質を1つだけあげるとすれば、それは自信のなさを成功によって克服していることだろう。一般的には、成功の秘訣は自信があったからだ、自分を信じていたからだと言われているが、むしろ成功したのは不安のおかげだと言ったほうが正しい。不安がなければそもそも努力もしないだろうし、たいていの人より成功してからも、さらに努力を続けることもないだろう。
 こう考えると、成功している人としていない人の違いは、不安に対する態度だけだとも言えるかもしれない。成功している人は自分の不安と正面から向き合い、不安を克服するために努力したのだ。ここで大切なのは、不安を克服するために何をするかということだ。成功者は、偽物の自信を手に入れるために頑張るのではなく、何か大きなことを達成するために頑張った。成功こそが不安の特効薬だということだ。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、今までの常識――「自信は(ないより)あった方がいい」――を、ほぼ全編を通して否定している1冊でした。

その根拠も体験談などではなく、すべて実験や研究の結果によるもの。

たとえば上記ポイントの1番目は、ある実験の結果部分についての考察なのですが、その実験というのが「偽のIQテストを行う」というもので、まず普通にIQテストを行う、といって被験者たちは集められました。

IQテストが終わると彼らは「不合格」「高得点」といった結果が渡されるものの、これは偽物で、誰にどんな結果を渡すかはランダムに選ばれたもの。

次に被験者たちはテストを受ける前に20分の勉強時間を与えられ、2度目のIQテストを受験します。

その際、自分の点数を予想してもらっているのですが、自己評価が低かった人ほど自分の点数を性格に予想し、テストの点数も高かったのだそう。

一方、自己評価が高い人が、最初のテストでネガティブな結果を受け取った場合は、2度目のテストの結果予想が実際よりもかなり高くなり、その結果自体は他と比べてかなり悪かったとのこと。

それを踏まえて、上記ポイントの1番目を再度お読み頂きたく。


◆また、同様に本書で指摘されているのが「能力の低い人ほど自信過剰になる」ということ。

実際最近の心理学の研究では、そのことが証明されており、要は「あまりにも能力が低いので、自分に能力がないことさえも理解できない」のだとか。

そしてこれは、ありとあらゆる分野(ユーモアのセンス、創造性、知性、体を使うスキル等)に見ることができるとのこと。

そういえばこの本でも、「弱いチェスプレーヤーほど自己評価が高い」というお話がありましたっけ。

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錯覚の科学 (文春文庫)

参考記事:『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

そもそも人は、面と向かってネガティブな評価など言わないものですから、まず「否定的なフィードバック」を得ること自体マレです。

しかも、「楽観的で、自分を高く評価している人ほど、否定的なフィードバックを受け取ると、現実を自分に都合のいいようにゆがめる傾向がある」というのは、上記ポイントの4番目にもある通り。

実際、処理する脳の部位が異なるのですから、どうしょうもないのでしょうが。


◆とはいえ、「根拠のない自信」の必要性を説いた本は、世の中に溢れています(私自身も必要だと思っていました)。

ちなみにググってみると、こんな感じ。

"根拠のない自信" - Google 検索

現時点で上から2番目の記事が、本書の内容に沿うものですが、それ以外は軒並み「根拠のない自信」を肯定するもの。

全部を確認したわけではないのですが、この「肯定派」の根拠になっているものは、実験や研究の結果によるものではなく、ほとんどが一般論か著者自身の体験等に基づくものだと思います。

特に「成功本」においては、「生存(者)バイアス」に過ぎないのではないか、と……。

この「根拠のない自信」を礼賛している方にとっては、本書は耳イタイというか、それこそ「否定的なフィードバック」と見なして、ディスりそうな予感。


◆逆に、誰もが納得するのが、今回は割愛した第6章の「健康」のお話でしょう。

アルコール摂取にせよ、スピード違反にせよ、性感染症にせよ、「自信がある人ほどリスクの高い行動を取る」と言われたら、そりゃそうだよな、とw

また喫煙に関しても、「危険を顧みないからこそ」タバコを吸っているワケで。

なお、自信がある人は喫煙にともなうリスクが気にならなくなり、さらには「やめたくなったらいつでもやめられる」と思い込むのだそう。

反対に内向的な人は、自信が高くないので、喫煙率も低く、たとえ吸っていても外向的な人より、簡単に禁煙できるのだとか。


◆ちなみに本書の著者であるトマス・チャモロ-プリミュージクは、ロンドン大学の教授ということで、ことさらアメリカ文化が推奨している「自信礼賛」に否定的な立場なのかな、という印象を受けました。

ただし、収録された研究結果等はそのほとんどがアメリカで行われたもの(巻末に膨大な注が付されています)なので、人種的な問題ではないと思います(ただし男女間での差はある模様)。

と言うワケで、もともと自信がない方はさておき、「根拠のない自信」が拠りどころの方にこそ、本書を読んで頂きたく。

もしご自分の「周りからの評価が低い」と感じていたら、その改善の手助けになるのではないか、と。

まーでも、本書のアマゾンレビューは荒れるんじゃないでしょうか。

荒れるほど売れるタイプの作品ではないのですが、人にとっては「良薬口に苦し」となること必至です(含む私?w)。


読む人を選びそうですが、こっそりオススメ!

4569828485
自信がない人は一流になれる
第1章 自信と実力は違う
第2章 自信のなさを利用する
第3章 「他人からの評価」ですべてが決まる
第4章 キャリアと自信
第5章 社交スキルの自信と実力
第6章 自信がない人は健康で長生き
第7章 言うは易く行うは難し?


【関連記事】

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【オススメ!】『習慣の力 The Power of Habit』チャールズ・デュヒッグ(2013年04月26日)

知らないと損する『ウォートン・スクールの本当の成功の授業』(2015年02月14日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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マンガ 日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本

あまり中古が値崩れしてないところに、「69%OFF」というお値段はお買い得なヨカン。

マンガですから、あくまで「サワリ」として読む分には良さそうです。


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