2015年10月18日
【読書術】『外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術』山口 周
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも一番人気だった読書術本。本書の著者である山口 周さんの作品は、過去2冊とも当ブログでは人気だっただけに、本書への期待の高さがうかがわれます。
アマゾンの内容紹介から。
いくらいい本を読んでも、仕事の成果につながらなければ意味がない。そのためには、やみくもに「量」を増やすよりも「どう読むか」が重要になる。独学で経営学を学び、外資系コンサルに転職した著者のメソッド公開!
Kindle版の方が若干お買い得なので、お好きな方を!
Book Addiction / Emily Carlin
【ポイント】
■1.ビジネス書は「狭く、深く」、教養書は「広く、浅く」読むなぜ、このように「違う読み方」が必要になるのか?
理由を簡単に述べれば、ビジネス書は定番・名著と言われる本の数がそれほどないので、基本的にそれらの定番・名著を押さえておけば大概の場合は大丈夫だからです。(中略)
一方で、リべラルアーツ関連書籍については、ビジネス書と真逆になります。定番・名著と言われるものが確定しているのは同じですが、ジャンルが多岐にわたるため、こういった定番・名著をすべて読むわけにもいきません。
■2.読書は「株式投資」と考える
読書の基本は「拾い読み」です。読むに値する箇所が1ぺージしかなければ1ぺージを拾い読みして次の本に移る。それが300円の文庫本であろうと1万円のハードカバーであろうと差はありません。
読書という行為は、自分の時間といくばくかのお金を投資することで人生における豊かさを回収するという投資行為です。カギになるのは、投入する時間と得られる豊かさのバランスです。これ以上時間を投入しても、追加で得られる豊かさは増えないと判断された時点で、その本と付き合うのは終わりにしましょう。
■3.教養書の「知識」は「抽象化」する
リべラルアーツの読書を仕事の成果につなげるために、やらなければならないこと。それは「抽象化」です。リべラルアーツの読書で得られる「知識」は、ビジネス書で得られる知識とは違い、そのままビジネスの世界に活用することはできません。(中略)
抽象化とは、細かい要素を捨ててしまってミソを抜き出すこと、「要するに○○だ」とまとめてしまうこと。モノゴトがどのように動いているか、その仕組み=基本的なメカニズムを抜き出すことです。経済学の世界ではこれを「モデル化する」と言います。
この点について筆者が知る限りもっとも端的にまとめているのは、杜会科学の名著である小室直樹先生の『論理の方法』です。
論理の方法―社会科学のためのモデル
■4.イケスをつくってそこで情報という魚を飼う
具体的には、本を読んで重要だと思われた箇所をデジタルデータとして転記し、いつでも検索して確認できるようにしておくのです。(中略)
自分が重要だと思った情報は、脳内に記憶するのではなく、いつでもアクセス可能な場所=イケスに生きたまま泳がせておき、状況に応じて調達し、他の情報と組み合わせて調理=知的生産するほうが合理的です。自分にとって重要な情報はすべてイケスのなかにあるわけですから、詳細まで全部記憶する必要はありません。関連するキーワードやコンセプトをイケスに紐づけておき、必要に応じてそのイケスから検索できればそれで十分です。
■5.仕事への「示唆」を書き出す
本を読んで「面白かった」と思うのであれば、自分がなぜそう感じたのかを少し踏み込んで考えてみる。そうすると、ビジネスや実生活につながるヒントが得られることが多いのです。
まずは、面白いと思ったところを転記します。そして、その転記した箇所から得られるビジネスや実生活に対する示唆もあわせて書き出してみます。整理の仕方は、(1)面白かった箇所の3つです。
(2)ビジネスや実生活に対する示唆
(3)具体的なアクションの仮説
【感想】
◆上記ポイントの1番目で触れられているように、本書では「ビジネス書」と「教養書」では、ある意味「真逆」な読み方が推奨されています。それを踏まえて下記の目次を見ると、第2章と第3章が「ビジネス書」、第4章と第5章が「教養書」と明確に区分されてるという。
ちなみに本書を開いて、真っ先に目に入るのが、表紙の次に折りたたんで収録された「ビジネス書マンダラ」なるものです。
これは山口さんの知人のコンサルタント80余名の方から、「これは読んでおいてよかった」と思われるビジネス書を推薦してもらった中から71冊選んだもの。
400冊超のリストから、基本的に「10名以上が共通して推薦している書籍」に、山口さんが数冊加えてできたのだそうです。
ぶっちゃけ、ビジネス書に関しては、「これだけ」を読めばいい、とのこと。
◆ちなみにこの「ビジネス書マンダラ」は「マンダラ」と言うだけあって、ただの羅列したリストではありません。
真ん中から周囲に向かって「中心」⇒「基本」⇒「応用」と区別されており、さらにそれらが「経営戦略」「財務会計」「意思決定」等のジャンルに分かれているという仕様です。
そしてこれらの読み方に関しては、本書の第4章をご参考のこと。
また、個々の書籍の簡単な解説が、巻末の「特別付録」に収録されているので、ここから本書を読み始めてもいいかもしれません。
ちなみに当ブログでもご紹介したことのあるこの本については、こんな解説が。
新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術
タイトルに「マッキンゼー」と入っていないが、筆者が知る限り、最もマッキンゼー社内でのトレーニング資料に近い内容になっている。この本が出てから、数多くの「マッキンゼー流〜」が出版されたが、本書を読んでおけば、他は読む必要がない。
,'⌒,ー、 _ ,,.. X
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,ゝ `く/ / 〉 / ∧_,. r ''"
- - - -_,,.. ‐''" _,.〉 / / . {'⌒) ∠二二> - - - - - - -
_,.. ‐''" _,,,.. -{(⌒)、 r'`ー''‐‐^‐'ヾ{} +
'-‐ '' " _,,. ‐''"`ー‐ヘj^‐' ;; ‐ -‐ _- ちょっくらこの本買ってくる
- ‐_+ ;'" ,;'' ,'' ,;゙ ‐- ー_- ‐ (実は2回目w)
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◆一方、本書の「独自性」としては、むしろ「教養書」の扱いの方が顕著かもしれません。
山口さんがいる外資系コンサルティング業界だけでなく、これまで会われた経営者やかつていた電通でも、エースと呼ばれた人は皆、ビジネス書だけでなく、さまざまな分野の本を読んでいたとのこと。
ビジネス書と違い、本書内で具体的に書名までは挙げていないものの、「読むべき7つのカテゴリー」については列挙されていました。
(1)哲学(近・現代思想)なお、この本は私も何年も前から読みかけなんですが、書店で偶然出会った「工学」の「名著」として紹介されているというw
(2)歴史(世界史・日本史)
(3)心理学(認知・社会・教育)
(4)医学・生理学・脳科学
(5)工学(含コンピューターサイエンス)
(6)生物学
(7)文化人類学
失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する
◆ところで上記ポイントの3番目の「抽象化」は、ちょっと分かりにくいと思いますので、本書に収録されていた具体例をご紹介。
・事実=アリ塚には一定程度遊んでいるアリがいないと、緊急事態に対応できずに全滅するリスクが高まるここで「?」と付いているのは、「仮説」であって「真実」ではないから。
・抽象化=平常時の業務量に対して処理能力を最適化してしまうと、大きな環境変化が起こったときに対応できず、組織は滅亡してしまう?
また、上記ポイントの5番目にあるように「仕事への『示唆』を書き出す」のであれば、この例からだと「ある程度のリソースは、直接的な利益が見込めないような研究や新規ビジネスにあてたほうがよい」となるかと。
ネタ元は、山口さんのお好きな本であるこちらになります。
働かないアリに意義がある<働かないアリに意義がある> (メディアファクトリー新書)
◆ところで個人的には、第7章で推奨されている「積ん読タワー」が気になりました。
具体的な商品名はないものの、恐らくこれではないか、と。
オークス ブックタワー ハイタイプ L51DA ダーク
山口さんは、買ってきた本をまずこの「積ん読タワー」に置いて、その後本棚や廃棄用段ボールに移したりするとのこと(手順等については本書を)。
それにしても、山口さんのように「10冊以上を同時進行で読む」のは、私は無理ですし、本を「ノートだと思ってどんどん書き込む」のは、相変わらず生理的にできませんが、本書の内容は、ビジネス書好きなら概ね納得できると思います。
書名通り「読書を仕事につなげる」ために!
外資系コンサルが教える 読書を仕事につなげる技術
第1章 「仕事につなげる読書」6つの大原則
第2章 【ビジネス書×何を読むか】ビジネス書は「これだけ」読めばいい
第3章 【ビジネス書×どう読むか】古典には読む「順番」がある
第4章 【教養書×何を読むか】好きな本を読んで「ライバルと差別化」する
第5章 【教養書×どう読むか】情報の「イケス」をつくれ
第6章 「書店を散歩する」技術
第7章 「本棚」で読書を仕事につなげる
特別付録 これだけ読めばいい! 「ビジネス書マンダラ」
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【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」はこちら!臆病者のための株入門
結構昔の新書なのですが、中古にそれなりの価格が付いているのがスゴイです。
ご声援ありがとうございました!
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