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2015年10月04日

【オススメ!】『過剰な二人』見城 徹,林 真理子


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過剰な二人


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、某リアル書店で「ブックタワー」のように積み重なって売られていた一冊。

内容的には、林さんの『野心のすすめ』のテーマで、見城さんと藤田さんの『憂鬱でなければ、仕事じゃない』のような作りをイメージして頂ければ、と。

アマゾンの内容紹介から。
16年間の絶縁期間を経て、また、二人の関係が始まった。二人は、いかにしてコンプレックスと自己顕示欲を人生のパワーに昇華させてきたのか。才能を見出し、見出され、また刺激し、磨き上げていく編集者と作家の関係が、濃密な名言の応酬となって一冊に凝縮された、文学史上前例のない、とてつもない人生バイブル!

ありがたいことに、もうKindle版も出ています。

思わず付箋も貼りまくり!






【ポイント】

■1.コンプレックスを仕事に生かす
人並みはずれた劣等感こそ、自分を見つめるための原動力になると僕は思う。
 これは作家でもそうだ。作家は、みんな強い自意識を持っている。自意識は、劣等感を意識するところから始まる。そして自意識を見つめれば見つめるほど、当然、作品も面白く、深くなってゆく。(中略)
 では、編集者である僕は、どうか。僕は自分に強いコンプレックスを持っているため、作家と話していると、その人のコンプレックスをすぐに嗅ぎ当てられる。僕はコンプレックスのデパートなのだ。これは一種の特技と言っていい。僕は作家に、そこを掘り下げて書くように進言する。コンプレックスのある所にこそ、文学的な黄金の鉱脈があるからだ。(見城)


■2.ネットに依存するリスク
 ネットに依存すれば、恋愛が希薄になるのは当然である。現実で異性を振り向かせられなくても、ネットに閉じこもっていれば、何もかも思いのままだ。決して傷つくことはない。
 すべてが思い通りになる空間で、他者への想像力が育つはずがない。自分とはまったく違う思考回路や価値観を持っているのが異性であり、他者であるからだ。
 ネットでの憂さ晴らしは、ある種の快楽にちがいない。しかし、それに依存すると、他者と関わるという人間の基本的能力は、確実に損なわれる。(見城)


■3.未来の自分をはっきりと想像する
 漠然と夢を抱くだけでは、決してかないません。何年後かの自分を、はっきりと具体的に思い描くのです。私は、常にそうしてきました。
 そのためには、どうすればいいか?
 まず、今の自分をしっかりと認識することです。今、何が不満か、何が足りないのか? 就職試験で差別されて悔しかったなら、どうすればその会社の人たちを見返すことができるか? 合コンで、モテている人が羨ましかったなら、彼女にあって、自分にないものは何か。逆に、彼女になくて、自分にあるものは何か。それを踏まえた上で、どうすれば男たちを振り向かせることができるか?
 そんな風に、今の自分をきちんと見据えることができれば、おのずと未来の姿も、はっきりと見えてくるのではないでしょうか。(林)


■4.身の程を知りすぎない
 人は常に上を目指していないと、充足感のある人生を送れないのではないでしょうか。「身の程」を知りすぎることは、この充足感を奪ってしまいます。
 少しでもいいから、「身の程」の上を目指してみる。このことが、私は何より大事だと思います。そうすることで、選択肢が増え、人生が豊かになってゆきます。
 結果的に、目標には手が届かないこともあるでしょう。でも、その手前のものは獲得できるのです。初めから身の程を知り、野心を持たなければ、それさえも手に入らなかったでしょう。
「身の程」は知らないほうが、間違いなく得るものは大きいのです。(林)


■5.運はコントロールできる
 運は、自分からつかみに行こうとすれば、必ずつかめます。すぐには、つかめないかもしれません。でも、先ほど言ったように、運はどこまでも意志なのです。その意志を持ちつづけ、何度もつかみに行こうとすれば、いつか手中にできます。
 逆に考えると、これはとてもこわいことです。つかみに行こうとしなければ、運は通り過ぎてしまうからです。その意志を失えば、幸運は永遠にめぐって来ないでしょう。(中略)
 まじめにじっと待っていれば、いつか必ず幸運がめぐってくるなどというのは、おとぎ話にすぎません。現実ではありえないことを、私はよく知っています。
 おとぎ話から現実の世界に飛び出すこと。これが意志の力で運をつかむことだと思います。


【感想】

◆当初、本書の帯に書かれた「16年間の絶縁期間」と言うのを見て、そもそも、このお2人に何らかの関係があったのか、と初めて知ったワタクシ(恥)。

実は林さんの『野心のすすめ』で書かれていたらしいのですが、文壇に「エッセイスト」としてデビューした林さんに、小説を書くよう勧めたのが見城さんだったとのこと。

そして林さんは、見城さんの指導のもと、直木賞候補となる2つの著作を書き上げます。

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星影のステラ (角川文庫 (6301))

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葡萄が目にしみる (角川文庫)

どちらも受賞は逃したものの、『葡萄が目にしみる』の翌年に書いたこの作品で、見事直木賞に。

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最終便に間に合えば (文春文庫)


◆ところが直木賞受賞を契機に、林さんの作品は売れなくなり、お2人は仲違いをしてしまいます(詳細は本書を)。

林さんはその後のスランプ期間中「何とかして見城さんを見返してやる」との思いから発奮し、直木賞から10年後のこの作品がベストセラーになりました。

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不機嫌な果実 (文春文庫)

このとき林さんは
「見城、見てる!?」
と快哉を叫んだそうなので、よほどの想いがあった模様。

……という経緯を踏まえて(?)、本書の冒頭には、2人の対談が掲載されています。

もっともこれ、実は「週刊朝日」で林さんが連載している「マリコのゲストコレクション」という対談ページからのもの。

ここで見城さんが、林さんのことを「すごく過剰」と評されていて、そこから本書のタイトルが付けられたのかな、と。


◆実際、お2人とも「過剰」ですし、良く似てらっしゃいます。

私は林さんの『野心のすすめ』を読んでいたので、若い頃の林さんが、いかにコンプレックスと向き合いながら、成功へとのし上って行ったかを知っていましたが、実は見城さんも同様だったそう。

特に外見に関しては、中学時代には「タコ」というあだ名が付いていて、いじめられっ子だったのだとか。

しかしお2人とも、そんなコンプレックスをバネとして成功されたのですから、上記ポイントの1番目にあるように、コンプレックスもエネルギーの使い道が正しければ、無駄にはなりません。

ところが、今の時代にはネットがありますから、上記ポイントの2番目の「憂さ晴らし」もできてしまいます。

お2人が若い頃に、今のようなネット環境があって、かつ、そちらにエネルギーを注いでいたら、必ずしも成功できていなかったのではないか、と。


◆なお、こうした「のし上って行く」エピソードのいくつかは、お2人の過去の著作といくつかかぶります。

ただ、林さんは『野心のすすめ』執筆時に、見城さんと仲違い中だったため、小説に挑戦し始めた頃のお話がなかった(確か)のが、今回はふんだんに収録。

また、見城さんのお話では、そもそも角川書店に入る前に別の出版社いて、初編集作が38万部も売れていた、なんて初めて知りましたよw

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公文式算数の秘密 (1974年) (Kosaido books)

さらには、角川春樹さんに頼み込んで角川書店に入るいきさつや、そこで映画にも深く携わったことや、幻冬舎立ち上げの話などなど。

特に幻冬舎の最初の頃、かなり苦労された(ずい分意地悪されたそう)ことを思うと、見城さんが本を売る「覚悟」を持っているのも、当然だと思います。


◆そうは言いつつも、ここのところの幻冬舎や見城さんの動向には、私個人としても少々納得しかねる部分がありました。

それは林さんも同様で、例の『殉愛』騒動のときに、林さんが「どの週刊誌も口をつぐんでいるのはおかしい」と、「週刊文春」で批判したのは、記憶に新しいところ。

ただし、その騒ぎの最中に「公然と批判した作家と版元の社長」の共著を出したら、出来レースととられる、ということで、本書は出版を延期されたのだそうです。

ところが今度は、例の「少年A」の問題が発生……。

この辺の経緯については、本書のあとがきで林さんが触れられていますので、気になる方はご確認を。


結構な劇薬ですが、オススメせざるを得ません!

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過剰な二人
第1章 人生を挽回する方法
第2章 人は仕事で成長する
第3章 最後に勝つための作戦
第4章 「運」をつかむために必要なこと


【関連記事】

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【編集後記】

◆最近Kindleセールが多いので、対応に四苦八苦しているのですが、きんどうさん情報によると、またもや新たに始まったらしく。

Amazon.co.jp: ダイヤモンド社 - Kindle本 / Kindle本 ポイント還元セール: Kindleストア

さすがにダイヤモンドさんだと、紹介済みの本も多いので、記事にしたら結構なボリュームになりそうです。


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