2015年09月30日
【記憶力】『読むだけで記憶力がグングン高まる!』樺 旦純

読むだけで記憶力がグングン高まる! (ロング新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で取り上げた「勉強本」。著者の樺 旦純さんは、「脳ネタ」を中心として、かなりの著作をお出しになっている方なのですが、当ブログでご紹介するのは初めてになります。
アマゾンの内容紹介から。
いまの記憶力は必ず10倍にできる!「超記憶人間」の頭の中身はここがちがう!あらゆる分野で効果を発揮するこの「記憶法」このスーパー・トレーニングがすごい「記憶脳」をつくる。実践にたちまち生かせる「記憶術」を盗め!強力な「記憶脳」をつくるスーパー・トレーニング。
一応申し上げておきますが、「読むだけで」というのはさすがに盛ってますよっ!!

Memorizing Scripture and Bible Verses / UnlockingTheBible
【ポイント】
■1.五官をフル動員して記憶する記憶を、速く、確実にするためには、もてる感覚器官を総動員するのがよい。記憶の基礎である知覚をつかさどる感覚器官は、個々に外界に向かって働いているので、それが注意力・集中力の妨げになり、記憶力を低下させている。そこで、できるだけ多くの感覚器官を、意識的に共同に働かせ、記億力の向上をはかる。
つまり、単に目で読むだけでなく、声を出したり、手で書くなどして、視覚・聴覚・運動感覚などをフルにつかう。このように、利用できるものは重層的に利用して、1つの記憶すべき対象に関する情報を、脳の中に"たたき込む"ことである。
われわれが外界のことを学ぶのは、感覚器官という道具を通してである。この道具は、有利に利用すればするほど、多くの情報を脳に送り込んで、より有効な「記憶痕跡」を残してくれる。「記憶」という作業に関しては、盛覚のつかい惜しみは、なんの効果もない。
■2.反復は5回繰り返す
ものを強く覚え込むためには、くり返しくり返し練習し、心の中に固定化することが大切である。1度しか通らない足跡は、すぐ消えてしまうが、同じところを2度も続けて通れば、痕跡は強くハッキリと残る。反復は、記憶の痕跡理論からいっても重要である。
図の曲線は、無意味な綴数宇を記憶するときでも、反復の回数をくり返せばくり返すほど、記憶がよくなることを示している。そして、反復回数が五回以上のところから、急激に記憶が上昇することがわかる。このことから、学習した事がらは、5回以上の復習をすれば、学習効果が急上昇することがわかる。
■3.まったく異なる分野のものを交互に覚える
スイスの哲学者カール・ヒルティは、勉強を行う場合、異なった種類の科目を交互に行うのがよいといっている。
たとえば、国語のあと英語をするとか、数学につづいて物理の勉強をするのではなく、国語、数学、英語、物理、社会というような順序で勉強した方が能率的である。
これは、脳の構造からいっても、心理的な気分転換の面からも非常に合理的なことなのである。
■4.数字を多量に正確に覚えられる「五十音転換」記憶術
どんな数字でも、即座に覚えようとするには、われわれがふだん慣れ親しんでいる五十音に転換してみるとよい。
たとえば、数字の1を五十音順のア行のアイウエオのどれにでも読みかえてよい。同じようにして2は力行全部、3はサ行全部、4はタ行全部というぐあいだ。
こうして一定の読みかえのルールをるくり、実際の数字をこれに当てはめると、いかなる場合でもある程度の意味づけができるものだ。
たとえば67の6はハ行だから「ハ」とし、7はマ行だから「マ」とすると、「67=ハマ(浜)」となる。
この方法はトレーニングによってスビードも増し、効果は目に見えてあがる。とくに、記憶の正確さを要求されるものには、ピッタリの方法である。
■5.語学学習に効果のあるBGM活用法
まず腹式呼吸をする。腹式呼吸のコツは、できるだけゆっくりとお腹をふくらませながら、大きく、深く、息を吸う。そして、ゆっくりお腹をへこませながら息を吐く。これをくり返す。(中略)
その後で、勉強や仕事などに入るわけだが、その際、表にあげた音楽の中から気に入った曲を選び、それをBGMに流す。
なお、音量は、勉強や仕事などに没頭しているときは聞こえないで、集中力が弱まってきたときに、やっと聞こえる程度にしぼり、断続的に聞くのがよい。それも、勉強や仕事時間の半分以下が原則で、10分聞いたら15分休む、というようにする。クライスラー……美しきロスマリン
ブラームス……ワルツ第15番 変イ長調
ラヴェル……ボレロ (後略)
【感想】
◆いつも通り5点ほどポイントを挙げましたが、これらはすべて、PART 2の「『超記憶人間』の頭の中身はここがちがう!」とPART 5の「実践にたちまち生かせる『記憶術』を盗め!」からになります。なお、PART 1は導入部分であり、ページ数にしてたった13ページほどなので省略。
そして、残るPART 3とPART 4は、表紙に掲載されたサブタイトル(?)にある「トレーニング」や、タイプを判定するための「テスト」が中心です。
これがまたイラスト満載で、当初パラパラと見た際には、「パズル本」かと思いましたよ(マジで)。
この手のワーク系の内容が苦手な方はご注意を。
◆ただし、このパートが役に立たないかというと決してそうではなく、たとえばPART 3に収録されているタイプ判定の1つは、記憶のタイプを「読む記憶」「聞く記憶」「見る記憶」「触れる記憶」といった項目でレーダーチャート化する仕様です。
これによって、どのタイプに特化しているかがわかれば、それにあった記憶法を用いば良い、という。
もっとも、本書でも触れられているように、普通は大体70〜80%の人が視覚型(「見る記憶」)なんですけどねw
ちなみに、同じ視覚型でも、「形」の方が記憶に残る人と、「色」の方が記憶に残る人がいるのだとか。
確かに私の場合、「多色使い」で覚えないとないと暗記できなかったので、あきらかに「色志向」でした。
◆一方、PART 4のトレーニングは、まさに「トレーニング」であり、確かにこういう問題に挑戦していれば、記憶力も良くなるかと。
とはいえ、クイズ形式のものが多いので、1回やってしまうと、答えを覚えてしまうものがちらほらと……。
たとえば、「ある絵を60秒間見てから、次の問いに答えよ」というパターンの場合、具体的に「どれ」とまでは覚えてなくとも、「え? そこ聞く?」という問題だったら、「意外に感じた点」であればあるほど記憶に残ってしまいます。
……と言っている私は、時間の関係で、サクサク答え見ちゃってるんですが(ダメじゃんw)。
◆なお第5章では、上記ポイントの4番目のほか、「定番」の記憶術についても触れられています。
具体的には「『基礎結合』記憶術」「『視覚シンボル』記憶術」「『直接結合』記憶術」といったところ。
一部一般的な記憶術と違う名前のものもありますが、内容を読んで頂ければ「あれのことか」とお分かり頂けると思います。
逆に、上記ポイントの5番目の「BGM活用法」については、全くの初耳でした。
引用した中から1曲。
上記では、曲目を一部しか載せておりませんので、気になる方は本書にてご確認ください。
◆ただし、本書で若干気になったのは、字体が古めかしいことでした。
かなり昔の本……個人的に思い出したのが、多湖輝先生の昔の版の『頭の体操』なんですが、あんな感じです。
イラストもその『頭の体操』のテイストですし、ひょっとしたら大昔の本を出し直したのかも、と考えて、本書を隅から隅までチェックしたものの、そういった記述はナシ。
ちなみに、割愛したお話で「記憶した後、すぐに寝るといい」というのがあって、それは確かにそうなのですが、最近では「寝ることによって脳がデフラグをしている」というのが定説なのに、その点についても言及がないので、やはり古い本の可能性を捨てきれないワタクシ。
まー、私は「勉強本オタク」なので、買っちゃいましたけどねw
読む人を選びそうですが、興味のある方は要チェックで!

読むだけで記憶力がグングン高まる! (ロング新書)
PART 1 いまの記憶力は必ず10倍にできる!
PART 2 「超記憶人間」の頭の中身はここがちがう!
PART 3 あらゆる分野で効果を発揮するこの「記憶法」
PART 4 このスーパー・トレーニングがすごい「記憶力」をつくる
PART 5 実践にたちまち生かせる「記憶術」を盗め!
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【編集後記】
◆「勉強本オタク」と言っておきながら、この本をまだ読んでないのですが。
ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由
中古もほとんど値下がりしませんし、こうなったらKindle版が出るのを待とうかと。

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