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2015年09月29日

【ライフハック】『いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術』ジョスリン・K・グライ


いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術
いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事で注目を集めた「知的生産術本」。

当初、タイトルと装丁だけ見て「なんだ、マネジメント本か」と危うくスルーするところでした。

アマゾンの内容紹介から。
メール、フェイスブック、ツイッター、人から頼まれた用事…その時間、「本当に大事なこと」に使えていますか?各分野の第一線で活躍するプロフェッショナル20人が、日々秘かに実践している「創造性を高める工夫」を大公開!「がんばっているのに、結果が出ない…」から抜け出すための4つのスキルを紹介!

「プロフェッショナル20人」として、セス・ゴーディンやダン・アリエリーと言った、当ブログではお馴染みの著者たちも登場していますよ!





Busyness / flgr


【ポイント】

■1.気乗りしないときこそ「いつもと同じ」を心がける
 私に言わせれば、必要な戦略はごくシンプルだ。「いつもと同じ作業」にすること。定期的かつ習慣的に安定して行う、ということだ。
 自分はいつもと同じ作業をしているのだ、と自分自身に意識させる。そのための方法はいくつもあるだろう。白衣を着る、専用の眼鏡をかける、同じ場所で作業する、といったことで、プロとしての力を発揮する。
 たとえ気が乗らないときでも――いや、むしろ気が乗らないときこそ、「自分は今ここで仕事をしているのだ」と確認することに意味があるのだ。
 気が乗ったときに創造性を発揮する人間ならごまんといるが、プロになるなら気が乗らないときでも同じ作業ができなければいけない。気分に左右されないというのが、仕事と、単なる趣味との分かれ目だ。

――セス・ゴーディン(起業家、作家)


■2.仕事の切り替えは、切りのいいところでする
 たとえば、午前中は執筆の仕事をし、午後は別の報告書作成に取り組むとしよう。「仕事に変化をつける」という理由から、書き上がっていない原稿から手を離す。無理のないペース配分に思えるかもしれないが、研究によれば、完成していない午前中の原稿がずっと頭のなかに残り、精神的なかゆみのような効果をもたらすせいで、パフォーマンスは徐々に落ちていく。心理学的には「注意の残留物」と呼ばれる現象だ。(中略)
 プロジェクトには切りのいい停止点を決めておいたほうがいい。いつまでも気がかりな点を引きずらないように、いったん意識を解放してから、別の作業に移るのだ。そうすれば精神的な区切りを作って、次の課題に全力で取り組むことができる。

――クリスチャン・ジャレット(心理学者)


■3.メールやSNSはランダム強化の最たる例
 心理学者のバラス・フレデリック・スキナーが導き出したランダム強化という理論がある。ネズミをレバーのある檻に入れる。レバーを100回押すとエサが出る。ネズミはエサが出てくれば喜ぶ。だが、その確率をランダムにする――1回から100回のどこで出るかわからない――と、ますます興奮する。そしてレバーを押し、また押し、また押して、エサが出なくなっても押し続ける。
 メールやソーシャルネットワークは、このランダム強化の最たる例だと思う。私たちは"レバーを押して"メールをチェックするが、いつもは、それで特におもしろいことは起きない。だがときどきメールが来ていて、私たちは喜ぶ。刺激がランダムな間隔で起きるので、私たちはひっきりなしに"レバーを押して"メールを確認せずにいられないのだ。

――ダン・アリエリー(行動経済学者)


■4.意識の「オン」と「オフ」を切り替える
 オーガナイゼーション・サイエンス誌に掲載された2人のレポートでは、「単純な流れ作業をナる(容器にものを詰めるなど)、コピーをとる、ちょっとした掃除をする(実験用具を片づけるなど)(中略)」といった作業を「マインドレス・ワーク」と定義しています。反対に、仕事にかかわる問題を解決する、発明する、創作に取り組むといった作業は、「マインドフル・ワーク」です。
 マインドフル・ワークだけに専念せず、ときおりこの2つを入れ替えることで、脳がリラックスし、複雑な問題を処理する余裕が生まれ、次のマインドフル・ワークに備えてエネルギーをためることができます。

――エリン・ルーニー・ドーランド(ライター、コンサルタント)


■5.「スクリーン無呼吸症候群」に注意する
 スクリーン無呼吸症候群とは、コンピュータであれ、モバイルデバイスであれ、テレビであれ、とにかくスクリーンの前に座っている間に一時的な呼吸停止になる、あるいは呼吸が浅くなる状態のことだ。(中略)
浅い呼吸、呼吸停止、過呼吸状態になると、交感神経が闘争・逃走反応を引き起こす。脈拍が速くなり、空腹感を抱き、身体が行動を起こそうと準備する。危険と戦うか、あるいは危険から逃れるために、人類が昔から必要としてきた状態だ。
 だが、そこで実際に起こす行動が「座ってメールに対応する」だけだった場合、私たちは「完全武装して行くところなし」になるというわけだ。
 交感神経が優位になった身体は衝動的で強迫的だ。過剰消費もしやすくなる。空腹か満腹か区別できなくなる。食べ物でも情報でも、まるでこれを逃したら二度と食べられないかのように、手を伸ばさずにいられなくなる――スマートフォンをたびたび取り出しては、メールやテキストメッセージを確認せずにはいられないのだ。

――リンダ・ストーン(コンサルタント)


【感想】

◆本書の著者であるジョスリン・K・グライという人物は、"アイデアブログ「99U」"の編集長兼ディレクターという方。

99u - Insights on making ideas happen

思いっきり英文なので(当たり前w)、どういうサイトか良く分からなかったのですが、アマゾンの「著者について」では、"アイデア実現のために、学校では教わらなかった「ミッシング・カリキュラム」を届けることを狙いとしたオンライン・ポートフォリオ・サービス"と説明しています……て、かえってわからないんですがw

そこで普通にググってみたところ、どうもライフハック系のサイトのよう。

たとえばライフハッカーさんでは、こんな記事が掲載されています。

生産性のある有意義な会議にするためのシンプルな3箇条 | ライフハッカー[日本版]

ということで、まず本書のベースは「ライフハック系のブログ」にある、ということをご理解頂きたく。


◆それを踏まえて、本書では「クリエイティブ・マインド(創造的思考)」に集中するために「ぜひ身に付けたい4つのスキル」なるものが明らかにされています。
「『習慣』を柱にする」
「『集中力』を高める」
「『ツール』に振り回されない」
「『クリエイティブ・マインド』を磨く」
ちなみにこれらは、下記目次にある4つの章のタイトルであり、本書はこの4つのテーマごとに、「各界のプロフェッショナル」が1人当たり6〜7ページを費やして、TIPSを指南してくれる、という仕様。

コラム風に書上げられたパートもあれば、上記ポイントの1番目のセス・ゴーディンや、3番目のダン・アリエリーは質問に解答するスタイルになっています。

この辺、大御所は時間がないので、インタビュー形式で仕上げたのかもしれません。


◆注目すべきは、第3章の「『ツール』に振り回されない」で、今まで類書でその手のお話が登場することはありましたが、丸ごと1つの章を費やして、そのテーマで掘り下げていることはあまりなかったような。

気になる方も多いと思いますので、小見出しを列挙してみます。

 ・メールに主導権を奪われないための3つのステップ

 ・「ソーシャルメディア」を上手に使いこなす方法

 ・週に1度、「脳をリセットする日」を設けよう

 ・テレビをよく観る人ほど寿命が短くなる理由

 ・デート中はスマートフォンの電源を切りなさい


このうち、「テレビをよく観る人ほど寿命が短くなる理由」のパートからは、上記ポイントの5番目のお話を引用しました。

そこで登場する「スクリーン無呼吸症候群」ですが、筆者のリンダ・ストーン女史は、オフィス、家庭、カフェなどで、PCやスマホを使っている200人以上の人を7か月に渡ってリサーチしたところ、圧倒的大多数の対象者に、息を止める、浅い呼吸になるといった状態が見られたのだそう。

これらに対する対応策については、本書にてご確認ください。


◆一方、第2章の「『集中力』を高める」は、このテーマだけで何冊も本が出ているくらいですから、見逃せません。

ということで上記ポイントでは、2〜4番目がこの章からの引用です(偏り杉w)。

まず2番目は、「仕事をキリのいいところでやめない」という、「ツァイガルニク効果」を活用した仕事術に反するものかと思いましたが、良く考えたら、あちらは「同じ仕事を中断する場合」ですから、別に矛盾はしていません。

また、3番目のランダム強化のお話は、指摘されて個人的には「目からウロコ」でした。

どうりで、ついついメールチェックや、RSSリーダーをリロードしてしまうわけですよっ!

……問題は、効果的な解決策がないことなのですが。


◆結論として、本書はライフハック系の仕事術本として、なかなかのクオリティだと思います。

さすがに20人も集めて、1人当たり7ページほどに凝縮しているため、捨てネタも皆無。

惜しむらくは、目次でどの部分を誰が書いたかが記載されていないことなのですが、実際にページを開けばすぐ分かることなので、これはまぁいいかと。

また、今回は、仕事術寄りにまとめた関係上、第4章の「『クリエイティブ・マインド』を磨く」は割愛してしまいましたがお許しください。


ライフハック好きなら要チェックです!

いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術
いつでもどこでも結果を出せる自己マネジメント術
CHAPTER01:「習慣」を柱にする
CHAPTER02:「集中力」を高める
CHAPTER03:「ツール」に振り回されない
CHAPTER04:「クリエイティブ・マインド」を磨く


【関連記事】

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【痛快!?】『お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学』ダン・アリエリー(2014年07月08日)


【編集後記】

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