2015年09月21日
【起業】『僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)』和田一郎

僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事にて取り上げた「起業本」。以前、当ブログでレビューした、『僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』の和田一郎さんの待望の続編です。
アマゾンの内容紹介から。
会社を辞めて14年。 1000万円の元手で商売を始めて、現在年商3億円。 孫正義でもなくホリエモンでもない、市井に生きる中年脱サラリーマンの泣き笑い起業奮闘記。
まさに和田さんならではの「等身大の起業ストーリー」をお楽しみください!
161011追記:Kindle化されました!

START Great Lakes Naval Museum April 24, 201013 / stevendepolo
【ポイント】
■1.土壇場で思いとどまる先生はこう言った。
「絶対失敗します。やめておきなさい」(中略)
僕は自分の耳を疑った。
「その物件の広さ、家賃は、今のあなたには無理です」と先生がやさしくいい聞かせてくれる。
「そもそも、エスニックというだけでエスニックの中でも何がやりたいのか、あなたの話からは見えてきません。何に焦点を絞るのか、まずそれを決めてから、もっと小さくて安い店舗を探しなさい。今なら、古い商店街の中の空き店舗みたいに破格の値段で借りられる店舗もあるでしょう。きちんとコンセプトを固めていたら、そういった場所でもそのコンセプトを求めて、遠くからでもお客さんがわざわざやって来てくれるんです。店のコンセプトを固めないまま、少ない資金で大きなところ、人通りの多いところを求めていたら絶対に失敗します」
確かにその通りだった。
■2.辞めて初めて出合えるものがある
その出合いは不思議な偶然だと思うこともあるし、また一方、さまざまな可能性を考えつくした後だったので潜在意識がそれを受け入れる素地を用意していたのだとも思える。
ただし、もし、会社を辞めてとにかく何かを始めなければならないというところに追い込まれていなければ、その出合いは決してなかったのではないかと思うのである。
僕が体験した最も言いにくいことは、その点だ。
会社を辞めて何か商売のネタを見つけることができるかどうかは、会社を辞める前に知ることはできない。実際に辞めて追い込まれてみなければ、出合うことができないものがあるということだ。僕の場合、もし、食えるという確信ができるネタをつかむまで会社を辞めないでおこうと決めていたら、会社を辞めることはできなかったかもしれない。
■3.ビジネスの核心は「売ること」
その頃の僕は、用意万端整わなければ商品は売れないと思っていた。
それは会社人の考え方の癖でもあって、本当は用意万端整わなくても売ることはできる。ともかく売ってみて、現実の体験を通じて何ができるかを探すという方法も有効なのだ。実際、多くの起業家や商売人は、そうやって自分のキャリアをスタートしている。(中略)
僕の場合、実際に会社を辞める前からずっと逡巡していたので、いったいどれほどの時間を、核心である「売る」ことを避けて周囲のあれこれに時間を浪費していたのか想像できないぐらいだ。
要するに、ある程度考えてみても結局わからないという時、僕がやったように周囲を埋めるようなことをするのではなく、一刻も早く、ともかく自分に糸口がありそうなものを売ってみることが大事であるように思う。
■4.新しいことは、とにかくやってみなければわからない
僕らが得た教訓はこうだ。
さまざまな情報のインフラが整い始め、新しいサイトができ、新しい売り方の可能性が出てきたりする。そこに新しい形態の商売が生まれる時は、とにかく、やってみなければその成否はわからないのである。顧客は想像を超える行動に出ることもあるし、想像を超える売り方が成立することもある。そして、そうした情報は本や雑誌はもちろんのこと、ネットにも書かれることはないだろう。
できることなら小さな金額の仕入れで、とにかく売ってみる。
売れなければ他の方法を試せばいいし、売れたならもっと効率的に売る方法や単価を上げる方法を考えて、また小さな単位でやってみればいいのだ。そして、資金に余裕が出るにしたがって、その単位をどんどん大きくしていけばいい。
■5.バスは次々に来る
僕が商売のネタを探していた十数年前はインターネットの黎明期で、インターネットで新しいビジネスを始めて成功した人の話がメディアに多く掲載されていた。その頃、とくに感じたのは、僕がもう少し早く起業を真剣に考えていたら、彼らのようなビジネスができたはずなのに遅れをとってしまったということだった。
乗るべきバスが既に行ってしまった、と感じたのである。
今ではまったくのお笑い草で、滑稽なくらいである。僕がそう感じたあとに、楽天が急速に大きくなり、ツイッターができて、スマホが急速に普及し、フェイスブックが一般のものとなった。インターネットでの販売が一般的になり、販促のツールもメールや検索に加え、ソーシャルメディアが重要になってきた。
バスは次々に来るのである。
行ってしまったバスを嘆く必要はなく、いま来ているバス、次のバスに乗ればいいだけの話である。
【感想】
◆和田さんのブログのファンの方なら、既に知っているであろうエピソードもあったのでしょうが、とにかく私は、まったくの予備知識もなく読んだため、最初からハラハラドキドキの連続でした。何せ、和田さんがどのようなテーマで起業され、今何をされているのかもよく知らなかったので、途中で出てくる起業アイデアも、それが頓挫したモノなのか否かすらも分からないというアリサマ。
ただ、今回改めて和田さんのブログを拝見したものの、特にお仕事に特化しているわけではないので、意外とよく知らないまま、本書を読まれる方も多いのかもしれません。
となると、私同様、各章ごとに和田さんが言及されている「教訓」もさることながら、ストーリー展開が気になってしまうのではないか、と。
◆その肝心の(?)ストーリーの方も、普通の起業の物語とは少々違うモノです。
そもそも、起業してでもやりたいことがあって脱サラするのではなく、まず退職ありき、という感じ。
この辺は、前作を読んでいる自分には和田さんのお気持ちは良く分かるのですが……。

僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと
参考記事:【働き方】『僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』和田一郎(2015年04月16日)
私がもし退職前に和田さんに相談されていたら、おそらく止めていたと思います。
もしくは、私が起業するとしたら、少なくとも何をやるか決めて、その勝算を検討してから(できれば顧客を確保してから)退職していたかと。
ただし、上記ポイントの2番目で述べられているように、「苦しみもがいた」からこそ巡り合えたのが、今のビジネスなんですよね……。
◆また、「これだ」というビジネスに出合ったら出合ったで、仕事の忙しさは、想定外のものでした。
しかたなく専業主婦だった奥さんに手伝ってもらい、2人して土日もない日々が続きます。
それでも手が足りず、やがて人を雇ったり、設備投資でシステムを一新したり。
さらには、和田さんが見つけた「儲けの根源」に気が付いたライバルが登場してしのぎを削ったり。
やがて起きたのが、あのリーマンショックと、それに続く円高。
あっという間に売上が落ちた和田さんは、仕方なく、今まで躊躇していたマーケットに進出するのですが……(詳細は本書を)。
これぞまさに「起業のリアル」だな、と。
◆もっとも、個人的な見解を言わせてもらうと、「起業のお手本」としては、やはりちと微妙。
そもそも、奥さんや中高に通う2人の娘さんがいらっしゃる時点で、小さい事業は始めにくいですし、ほとんど貯金がなかったため、手許資金は退職金の1000万円くらい。
これが枯渇する前に、ビジネスを軌道に載せないといけないのに、上記で触れたように、退職時点で何をやるかも決まっていなかったわけですから……。
その分、こうした状態から、ある意味「一発逆転」していくクダリは、読んでいてワクワクしました。
前作が「後悔したこと」という重いテーマだった分、本書の方が軽快に感じるのは、私だけではないハズ!?
脱サラを考える方なら、要チェックです!

僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語 (自分のビジネスを始めたい人に贈る二〇のエピソード)
1.起業にも2つの道がある
2.最初のプラン
3.会社を退職した日
4.辞めると言った時の家族の反応
5.退職直後の家計状況
6.いったい自分に何ができるのか
7.エスニック・ショップしかない
8.土壇場で思いとどまる
9.また振り出しに戻る
10.そうだ、着物を海外に売ろう
11.自分の名前で初めてモノを売った日
12.一番の問題は「仕入れ」だった
13.ライバル登場
14.月商100万円を突破
15.僕の師匠
16.ハードワークな日々
17.メールニュースともう1人の師匠
18.甘ちゃん卒業
19.その後
20.やるべきかやらざるべきか
【関連記事】
【働き方】『僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』和田一郎(2015年04月16日)【起業心得】『未来を切り拓くための5ステップ: 起業を目指す君たちへ』加藤 崇(2015年07月22日)
【起業】『失敗のしようがない 華僑の起業ノート』大城 太(2015年05月08日)
【必読】『1万円起業』緊急レポート(2013年09月11日)
【起業の心得】『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』山口揚平(2013年01月31日)
【スゴ本!】「はじめの一歩を踏み出そう」マイケル・E・ガーバー(2008年09月10日)
【編集後記】
◆ちょっと気になる本。
自分の考えに自信が持てる本
表紙は可愛らしいですが、中身は果たして!?

この記事のカテゴリー:「起業全般」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
当ブログの一番人気!
4月24日まで
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです